家賃査定 読了 16分

家賃査定システムの違いは、精度ではなく「査定のあと」に出ます。スマサテ・SRE AI賃料査定 CLOUD・オーナー提案AIロボⅡを、公式サイトの記載だけで並べました

賃料査定システムの主要3サービスを、公式サイトに書かれていることだけで並べました。料金を公開しているのはスマサテだけで、SREは金額の記載がありません。オーナー提案AIロボⅡは売買査定も含めて「月1万円〜使い放題」。各社が出すMER(誤差率)は測定条件が公開されておらず、1.4%と1.04%を並べて優劣は語れません。実務で差が出るのは、査定額そのものではなく、そのあとオーナーに渡す資料の形です。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
家賃査定システム比較 2026|スマサテ・SRE・オーナー提案AIロボⅡ【宅建士監修】
目次

賃料査定システムを比べるとき、各社が最初に出してくるのは「データ件数」と「誤差率」です。ところが実務で差が出るのは、そこではありません。査定額を出したあと、オーナーに何を渡せるか。そこが3社でまったく違います。本稿は、2026年9月4日時点で各社の公式サイトを実際に開いて読み、そこに書かれていることだけを並べたものです。書かれていないことは「未確認」と書きます。

結論(90秒で読める)

  • 料金を公式サイトに載せているのはスマサテだけ。無料プラン(月5回まで)があり、上は月150,000円の無制限まで。すべて月額・税抜・初期費用0円。
  • SRE AI賃料査定 CLOUD は、公式サイトに金額の記載がありません。回数別に5プランが並んでいるだけで、価格は書かれていません。本稿では「未確認」とします。
  • オーナー提案AIロボⅡは「月1万円〜、査定件数は無制限」と明記。ただし具体的な金額表は非公開で、問い合わせが必要です。賃料査定と売買査定の両方に対応する唯一のサービスです。
  • 各社が出す MER(誤差率中央値)は、測定条件が公開されていません。スマサテ1.4%、オーナー提案AIロボⅡ1.04%という数字が並んでいますが、算出の元データも期間も違います。この2つを並べて優劣は語れません。
  • 実務で効くのは、査定額そのものより「査定のあと」です。Excelで自由に直せる査定書か、20ページのマーケット資料か、自社ロゴ入りで売却提案まで載る資料か。ここが3社の本当の違いです。

3社の違いを1枚の表で

すべて2026年9月4日時点で、各社の公式ページに書かれている内容です。私たちがつくっている「ウルスタくん」も同じ表に入れました。自社の製品を外して比べても、読む側の判断材料になりません。同じ物差しを自社にも当てます。「未確認」は、公式サイトを読んでも分からなかったという意味です。

サービス提供月額(税抜)査定回数売買査定査定書の特徴
スマサテ Sumasate 無料〜150,000円
6段階・公開
月5〜100回/無制限 なし Excelで自由に編集できる
SRE AI賃料査定 CLOUD SREホールディングス 未確認
公式に記載なし
月10〜151回以上 なし マーケット資料が20ページ超
オーナー提案AIロボⅡ 日本情報クリエイト 月1万円〜
金額表は非公開
無制限 あり 自社ロゴ入り・出口戦略まで
ウルスタくん
(当社の製品です)
ウルスタ 980円〜49,800円
管理戸数で決まる4段階
記載なし なし 反響〜契約と同じ画面で完結

データと精度の公表

サービスデータ精度として出している数字
スマサテ20億件超・週次更新MER 1.4%
SRE AI賃料査定 CLOUD自社開発のAIエンジン(件数の記載なし)記載なし
オーナー提案AIロボⅡ累計100億件(成約賃料を含む)MER 1.04%(2024年12月・自社調べ)
ウルスタくん(当社)築年・設備・眺望・周辺競合の5要素当社サイトに「査定精度92%」の記載。測り方は公開していません

最後の行は自社です。他社のMERを「測り方が分からないから比べられない」と書く以上、自社の92%にも同じことを言わなければ筋が通りません。当社サイトのこの数字も、母集団と測定時期を公開していません。この記事の比較材料としては使えない数字です。

対応している物件

サービス対応する物件事業用(店舗・事務所)
スマサテ賃貸物件記載なし
SRE AI賃料査定 CLOUD区分・一棟マンション・アパート/47都道府県(海外は非対応)記載なし
オーナー提案AIロボⅡ一棟アパート・一棟マンション・区分・戸建て/全国非対応と明記
ウルスタくん(当社)賃貸物件(管理戸数でプランが決まる)記載なし

料金を公開しているのは1社だけ

比べようとして最初に詰まるのが、ここです。3社のうち、料金表を公式サイトに載せているのはスマサテだけでした。

スマサテは、回数で決まる6段階

利用回数に応じた6段階で、すべて月額・税抜・初期費用0円です。月5回までなら無料で、上限を超えると利用制限がかかる仕組み。公式サイトには「自動的に請求金額が上がることはない」と明記されています。料金は利用人数ではなく利用回数に対するもので、1つのアカウントを複数人で使えるとも書かれています。

査定を月に何件出しているかが分かっていれば、そのまま金額が決まります。試算しやすいのは、この方式の利点です。

SREは回数別の5プラン。ただし金額の記載がない

公式サイトには、ベーシック(月10回まで)・スタンダード(50回)・プロフェッショナル(100回)・プレミアム(150回)・エンタープライズ(151回以上)の5つが並んでいます。使える機能はどのプランも同じで、違うのは回数だけと読めます。ただし金額はどこにも書かれていません。

他社の比較記事に金額が載っていることがありますが、本稿では書きません。公式で確認できないものを断定で書くと、読んだ人が誤った前提で検討することになるためです。金額は資料請求か問い合わせで確認してください。無料トライアルは用意されています。

オーナー提案AIロボⅡは「月1万円〜使い放題」

公式サイトには「月1万円〜のシンプル料金。査定件数の制限なし」と明記されています。ただし具体的な金額表は載っておらず、「貴社の規模・業態・ご利用状況に合わせた最適なプランをご提案」として問い合わせに誘導する形です。下限は分かるが、自社がいくらになるかは問い合わせないと分からない、と理解しておくのが正確です。

回数制限は、思っているより効きます

賃料査定は「1物件1回」では終わりません。設備を足した場合、募集条件を変えた場合、部屋タイプごと。1つの提案をつくる過程で何度も回します。月10回のプランは、実際には月に2〜3件の提案しか作れないことがあります。導入前に「月に何件の提案を作るか」ではなく「月に何回査定を回すか」で数えてください。

「誤差率1.4%」と「1.04%」は比べられない

各社が精度の指標として出しているのが MER(Median Error Rate=誤差率中央値)です。AIが出した推定賃料と実際の賃料の差を実際の賃料で割り、その中央値を取ったもの。値が小さいほど誤差が小さいという指標です。

スマサテは1.4%、オーナー提案AIロボⅡは1.04%と公表しています。数字だけ見ればAIロボⅡが小さい。ただしここを根拠に優劣を決めるのは無理があります。

  • 母集団が公開されていない。どのエリア・どの物件種別・何件で測ったのかが、どちらも書かれていません。都心の区分マンションだけで測れば誤差は小さく出ます。
  • 測定時期が違う。オーナー提案AIロボⅡの1.04%は2024年12月時点の自社算出と明記されています。スマサテ側は時点の記載がありません。
  • どちらも自社による算出です。第三者が同じ条件で測り直した数字ではありません。

MERは「その会社が自分の物差しで測った自分の成績」です。会社をまたいで足し引きできる数字ではありません。選定の材料にするなら、数値そのものより「測り方を公開しているか」を見るほうが実務的です。

査定のあと、オーナーに何を渡せるか

ここが本題です。査定システムを入れて変わるのは、査定額ではなく、オーナーとの会話です。3社は、その会話の形が違います。

スマサテは、Excelでその場で直せる

査定書がExcel形式で出るので、自由に編集できると公式に書かれています。会社ごとの言い回し、オーナーごとの事情、担当者が足したい一言。そういうものを後から入れられます。「うちの形式に合わせたい」が強い会社に向きます。

SREは、マーケットデータで20ページ超

間取りごとの物件数、地域の賃料相場の推移、居住者統計、駅の乗降者数。こうしたデータが自動で入り、20ページを超える資料になると公式に書かれています。設備を足したときの提案、募集条件を変えたときの提案も機能として持っています。「なぜこの賃料なのか」を厚く説明したい場面で効きます。とくに管理受託の競合提案です。

オーナー提案AIロボⅡは、賃貸から売却の話まで1本で

賃料査定に加えて売買査定を持っているので、「貸し続ける」と「売る」を同じ資料の中で並べられます。空室対策・設備によるバリューアップ・出口戦略までを1つのレポートにできる、と公式に書かれています。レポートには自社名とロゴが入り、サービス名は表示されません。

相続や高齢化で「そろそろ売却も考えたい」というオーナーが増えている会社なら、この形は強い。逆に店舗・事務所の管理が多い会社は要注意で、事業用物件には対応していません。

選び方を一行にすると
自社の型に合わせたいならスマサテ。受託提案で厚い資料を出したいならSRE。売却の相談まで受けるならオーナー提案AIロボⅡ。精度表示で選ぶ場面は、実務ではほとんどありません。

比較表から外したサービスと、その理由

検索すると「賃料査定システム7選」のような記事にポルティ賃料査定が入っていることがあります。本稿では外しました。

実際に開いて確認したところ、運営元の porty.co.jp は空き家・別荘・土地を個人間で売買するマッチングサービスで、賃料査定は最寄駅・広さ・築年数などを入れると誰でも使える無料のWebフォームでした。手元で相場感を掴むには便利ですが、不動産会社が業務で使うシステムではありません。同じ表に並べると、料金や機能の比較が成り立ちません。

ツールを入れても解決しないこと

最後に、査定システムを入れる前に確かめておくべきことを書きます。査定額が出ることと、オーナーが納得することは別です。

相場より高い数字を出しても、根拠を説明できなければ信用を失います。相場どおりの数字を出しても、オーナーが期待していた額と離れていれば、その差をどう埋めるかの話をしなければなりません。そこはシステムが代わりにやってくれる部分ではありません。

この論点は別稿でまとめています。査定額を相場の話で終わらせないための考え方は賃料査定は「相場」だけで決めるものではないに、オーナー提案の組み立て方は賃料査定をオーナー提案に変えるに、やってはいけない伝え方は信用を失う賃料査定に書いています。ツールを選ぶ前に、この3本の中身が自社でできているかを確かめてください。できていないままツールを入れても、出てくる数字が速くなるだけです。

賃貸管理システム全体の比較は賃貸管理SaaS比較 2026にまとめています。

よくある質問

Q1. 無料で使える賃料査定システムはありますか?

スマサテに無料プランがあります。月5回まで、レポート機能は月1回まで。上限を超えると利用制限がかかり、公式サイトには自動課金は発生しないと明記されています。まず精度と査定書の形を自社の物件で見てみる、という使い方はできます。SREには無料トライアルがあります。

Q2. 事業用物件(店舗・事務所)の賃料も査定できますか?

オーナー提案AIロボⅡは対応していませんと公式に明記されています。SREは区分マンション・一棟マンション・アパートと書かれており、事業用の記載はありません。店舗・事務所の比率が高い会社は、この点を必ず問い合わせで確認してください。

Q3. 精度が高いのはどれですか?

公開されている情報では判断できません。各社のMERは自社が自社の基準で算出したもので、母集団も測定時期も公開されていません。自社の管理物件のうち、直近で成約した10件を各社で査定してみて、実際の成約賃料とどれだけずれるかを見るのが、いちばん確実です。無料プランや無料トライアルはそのために使えます。

Q4. 基幹システムと連携できますか?

スマサテはAPI連携が可能と公式サイトのFAQに書かれています。オーナー提案AIロボⅡは同社の基幹システム「賃貸革命」と連動し、物件情報の再入力が不要になると書かれています。ただし賃貸革命を使っていない会社でも単独で利用できるとも明記されています。SREについては連携の記載が見当たらず、未確認です。

Q5. 導入までにどれくらいかかりますか?

SREは公式FAQで「申し込みから最長でも2週間以内に利用開始」と書かれています。スマサテは無料登録からその場で使い始められる形です。オーナー提案AIロボⅡは記載が見当たらず、未確認です。

Q6. 査定システムを入れれば、担当者による差はなくなりますか?

査定額のばらつきは小さくなります。ただしオーナーへの説明の差は残ります。同じ査定書を持っていても、なぜその賃料なのか、下げるとしたら何を条件にするのか、を言葉にできるかどうかは担当者次第です。ツールの導入と同時に、説明の型を社内で決めておくことをおすすめします。

なぜ自社製品を同じ表に入れたか

比較記事を自社サイトに置くとき、自社の製品を表から外すやり方があります。私たちはそれをやりません。外したところで、読む側は「この会社の製品はどうなのか」を知りたいまま残ります。表に入れて、同じ項目で、同じ書き方で並べるほうが判断しやすい。

そのうえで、ウルスタくんは査定専用のサービスではありません。反響取込・顧客管理・書類作成・電子サイン・BB流通までを1つの流れにした賃貸管理クラウドで、AI賃料査定はその中の1機能です。料金は管理戸数で決まり、機能はどのプランも全機能。管理99戸までなら月980円(税抜)から使えます。

査定そのものを厚くしたい会社には、上の3社のほうが向いています。査定の回数制限、Excelでの編集、20ページのマーケット資料、売買査定。そういう項目で選ぶなら、専用サービスに分があります。ウルスタくんが向くのは、査定とその前後(反響から契約まで)が分断されていることが困りごとの場合です。

出典(本文で参照している資料)

本稿の数値・機能・料金は、すべて次の公式ページに2026年9月4日時点で記載されていた内容です。各社の提供内容は変わることがあるため、検討時は必ず最新の記載をご確認ください。

本稿で使った内容資料
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