ウルスタ世田谷の不動産相談
ウルスタ › 世田谷の不動産相談 › 旗竿地・私道・再建築不可の家は売れる?
売る

旗竿地・私道・再建築不可の世田谷の家は売れる?価格を決める3つの条件

世田谷区鎌田の住宅地を通る道
写真:鋸香具師/CC0(Wikimedia Commons)。サイズを合わせて切り抜いています。

この記事の結論

  • 旗竿地・私道に面した家・再建築不可の家も、売ることはできます。値段を大きく左右するのは「建て替えられるかどうか」です。
  • 確かめるのは3つ。①道路に2m以上接しているか ②前の道が建築基準法上の「道路」か ③私道なら持分と通行・掘削の承諾があるか。
  • 世田谷区では、旗竿地の通路の幅(東京都建築安全条例)と、幅4m未満の道のセットバック(区の狭あい道路の制度)もあわせて確かめます。

旗竿地・私道・再建築不可の家は売れますか

売れます。世田谷区は古くからの住宅地が多く、細い通路の奥にある旗竿地や、私道に面した家、今のままでは建て替えられない家が珍しくありません。こうした家にも買い手はいます。

ただ、同じ広さ・同じ駅からの距離でも、値段は大きく違ってきます。理由のほとんどは「その土地に、新しく家を建てられるかどうか」です。建て替えられる土地なら、買い手は普通の住宅ローンを使って家を建てられます。建て替えられない土地は、買える人も使える融資も限られます。

この記事では、価格を決める条件を順番に確かめていきます。登記簿や測量図が手元になくても読めるように書いています。

価格を決める3つの条件

1. 道路に2m以上接しているか

建築基準法43条で、建物の敷地は道路に2m以上接していなければならないと決められています。これを「接道義務」といいます。旗竿地なら、通路の一番細いところが2m以上あるかが分かれ目です。1.8mしかなければ、原則として新しい家は建てられません。

2. 前の道が、建築基準法上の「道路」か

見た目が道でも、建築基準法で「道路」と認められていなければ、接道したことになりません。よく出てくる種類は次のとおりです。

道の種類どんな道か建て替え
区道・都道など(42条1項1号)道路法の道路で、幅4m以上建てられる
位置指定道路(42条1項5号)土地の持ち主が造り、特定行政庁から位置の指定を受けた私道建てられる
2項道路(42条2項)幅4m未満でも、昔から家が建ち並び、道路とみなされた道セットバックすれば建てられる
上のどれにも当たらない道通路・里道など原則として建てられない(43条2項の認定・許可を受けられる場合あり)

3. 私道なら、持分と承諾があるか

前の道が私道のときは、その私道の持分を持っているか、車の出入りや水道・ガス管の工事について、ほかの持ち主の承諾があるかで、買い手の安心感が変わります。詳しくは私道の章で説明します。

旗竿地は通路の幅と長さで建てられる家が変わります

東京都では、建築基準法に上乗せする東京都建築安全条例があり、旗竿地(条例では「路地状敷地」)の通路の幅に決まりがあります。

通路(路地状部分)の長さ必要な幅延べ面積200㎡超(耐火・準耐火建築物以外)
20m以下2m以上3m以上
20m超3m以上4m以上

さらに、通路の幅が4m未満の旗竿地では、原則として3階建て以上の建物は建てられません(耐火建築物などは条件が変わります)。つまり、通路の幅と長さで、建てられる家の大きさが決まるということです。

売るときは、通路のいちばん細いところの幅を測っておきましょう。塀やブロックの厚みで、図面より実際の幅が狭くなっていることがあります。

条例には「知事が安全上支障がないと認める場合はこの限りでない」という例外もあります。例外に当たるかは、建物の計画ごとに判断されます。

私道に面した家は、持分と承諾書を確認します

私道に面した家を売るときに、買い手や金融機関から必ず聞かれるのが次の2つです。

  • 私道の持分を持っているか。家の敷地とは別に、私道の土地の一部(持分)を登記しているかどうかです。固定資産税の通知書や登記簿で確かめます。
  • 通行と掘削の承諾があるか。車で通ること、水道管やガス管を掘って引き直すことについて、私道のほかの持ち主の承諾があるかどうかです。

2023年4月1日に施行された民法の改正で、ほかの人の土地に設備を設けないと電気・ガス・水道を引けない場合は、必要な範囲で設置できる権利があることが明文化されました(民法213条の2)。あらかじめ目的・場所・方法を土地の持ち主に通知する必要があります。法務省のガイドラインでは、この権利が成り立つ場合は承諾書がなくても民法上は設置できる、と整理されています。

ただ、実際の工事では、水道局や工事会社が承諾書を求めることもあります。売る前にほかの持ち主から承諾書をもらえるなら、もらっておくほうが買い手は安心します。

幅4m未満の道に面した土地は、セットバックが必要です

前の道が2項道路(幅4m未満)なら、建て替えのときに道の中心から2m下がった線までが道路とみなされます。下がった部分(セットバック部分)には、塀も建物も建てられません。敷地の面積が実質的に減るので、価格にも響きます。

世田谷区の場合

世田谷区には「狭あい道路拡幅整備条例」があります。建築確認の申請などの30日前までに区と事前協議をし、下がった部分を道として整える工事は、自分で整備する場合を除いて区の費用で行われます。区へ寄附するときの分筆登記は、原則として建築主の負担です。角地で2面以上を寄附した場合の奨励金(上限200万円)や、門・塀の撤去の助成もあります。

売る側にとって大事なのは、セットバックが済んでいるか、どれくらい下がる必要があるかを、買い手に説明できることです。区の窓口(建築安全課 建築線・狭あい道路整備担当)で、道路の種類と後退の位置を確かめられます。

再建築不可でも、売り方はあります

調べた結果、今のままでは建て替えられないと分かっても、売る方法はあります。

  1. 43条2項の認定・許可を受けられないか確かめる。敷地の周りに広い空地があるなど、条件を満たせば、接道していなくても建築が認められる場合があります。
  2. 隣の土地の一部を買う・借りる。隣地から幅数十cm分を取得するだけで、2mの接道を満たせることがあります。隣の方に家ごと買ってもらう話がまとまることもあります。
  3. そのまま使いたい人に売る。今の建物をリフォームして住む人、倉庫や駐車場として使う人、再建築不可を専門に買う会社などです。
2025年4月の建築基準法の改正で、木造2階建ての住宅でも、大規模な修繕や模様替えに建築確認が必要になる場合があります。再建築不可の家を「大きく直して住む」計画は、以前より難しくなっていることがあります。

売る前に集めておく資料

資料どこで手に入るか分かること
登記事項証明書(土地・建物・私道)法務局持ち主、私道の持分
公図・地積測量図法務局土地の形、通路の幅
建築計画概要書・台帳記載事項証明区役所建てたときの確認・検査の記録
道路の種類・後退線の資料区役所(建築安全課など)前の道が何道路か、セットバックの位置
私道の承諾書・覚書手元/近所の持ち主通行・掘削の承諾

全部そろっていなくても相談はできます。どの資料が足りないかを一緒に確かめるところから始めます。

よくある質問

旗竿地は普通の土地より安くなりますか。
通路部分は家を建てるのに使いにくいため、同じ広さの整った形の土地より安くなるのが一般的です。ただ、奥まっていて静か、道路から見えにくいなどの良さもあり、建て替えられる旗竿地なら買い手は十分にいます。
私道の持分がないと売れませんか。
売れますが、買い手が住宅ローンを使いにくくなることがあります。私道の持ち主から通行・掘削の承諾書をもらう、持分を譲ってもらうなどの準備で、売りやすくなる場合があります。
自分の家が再建築不可かどうかは、どこで分かりますか。
前の道の種類と、道に接している幅で分かります。道の種類は区役所で確かめられます。接している幅は、測量図や実際に測った長さで確認します。
セットバックした部分は、売るときの面積に入りますか。
登記上の面積に入っていても、セットバック部分には建物を建てられません。価格を考えるときは、セットバック後の面積で見られるのが一般的です。

出典・参考にした資料

2026年10月20日時点で確認した内容です。制度や期限は改正で変わることがあります。個別の税金や登記は、税理士・司法書士・税務署・法務局にご確認ください。

馬場生悦
この記事を書いた人 馬場生悦

ウルスタ株式会社 代表取締役(世田谷区大蔵)。宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士。自社で210室の賃貸住宅を持ち、約100室を自分で管理しています。税理士法人での勤務、仲介・管理会社の創業と売却を経て、売る・貸す・任せるの相談を受けています。プロフィール

世田谷の家や土地のこと、まず話を聞かせてください

売るか貸すか決まっていなくてもかまいません。旗竿地や私道に面した家、相続で名義が決まっていない家など、条件が難しい家のご相談もお受けします。相談は無料です。