賃貸管理 読了 8分

【2026年10月】千代田区がマンション5年転売禁止を個別要請|賃貸管理の確認点

千代田区が10月27日、分譲事業者に原則5年間の転売禁止特約と同一名義の複数購入禁止を個別要請。2025年の要請との違い、国の短期売買の調査、管理会社が確かめる点をまとめました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
【2026年10月】千代田区がマンション5年転売禁止を個別要請|賃貸管理の確認点
目次

東京都千代田区は2026年10月27日、区内で進むマンション開発事業に参加する分譲事業者に対し、購入者への引渡しから原則5年間は転売できない特約を付けることと、同じ建物で同一名義の人が複数の住戸を買うことを禁止するよう、個別に要請したと発表しました。2025年7月に業界団体へ出した要請を、個々の開発事業で徹底させるものです(千代田区の配信)。本稿は、区の公表資料に書かれている内容と、賃貸管理会社・仲介会社が確かめておく点をまとめます。

発表の中身|2つの要請事項

10月27日の区の配信に書かれている要点は次のとおりです。

  • 要請した相手は、区内で都市開発諸制度等を活用して進むマンション開発事業に参加する分譲事業者です。個別の事業名・事業者名は公表されていません。
  • 要請事項の1つ目は、購入者が引渡しを受けてから原則5年間は転売できないようにする特約を付けることです。
  • 要請事項の2つ目は、同一建物内で、同一名義の者による複数物件の購入を禁止することです。
  • 理由として区は、新築価格の上昇が賃貸や中古の価格に波及し、子育て世帯が区内での住み替えをあきらめざるを得ない状況があること、投機目的の取引が増えると住宅価格や家賃の高騰を招くこと、居住実態のない住戸が増えると管理組合の運営に支障が出ることを挙げています。
  • あわせて進める施策として、空き家のリノベーションやオフィスの住宅への転用によるアフォーダブル住宅の供給を挙げ、需要と供給の両面から子育て世帯が住み続けられる環境をつくるとしています。

配信は区からの「要請」で、法令にもとづく義務かどうかや、従わない場合の扱いは書かれていません。

2025年の要請と今回の違い

区は2025年7月18日、一般社団法人不動産協会に対して同じ2つの取組を求めていました(2025年7月18日の配信・区長名の要請文)。要請文では、総合設計などの都市開発諸制度を活用する事業と市街地再開発事業のうち、これから許認可等を受ける事業を「再開発等事業」とし、そこで販売するマンションを対象としていました。

項目2025年7月18日2026年10月27日
要請した相手一般社団法人不動産協会(業界団体)区内の開発事業に参加する分譲事業者(個別。名称は非公表)
対象都市開発諸制度を活用する事業・市街地再開発事業で、これから許認可等を受けるもの区内で都市開発諸制度等を活用して進むマンション開発事業
転売引渡しから原則5年間は転売できない特約同じ(原則5年間)
複数購入同一建物で同一名義による複数物件の購入を禁止同じ
法的な義務要請(義務の定めは示されていない)要請(義務の定めは示されていない)

なお、隣の港区は2025年12月3日掲載の区民の声への回答で、千代田区と同様の要請を行う予定はないとしています(港区の回答)。

国の調査で分かっている短期売買の状況

国土交通省は2026年9月15日、不動産登記の情報を使った新築マンション取引の調査結果を公表しています(国土交通省の公表資料)。購入から1年以内の売買を「短期売買」として、2024年1〜12月に保存登記された住戸を調べたものです。

  • 東京23区の専有面積40平方メートル以上で、1棟で売買による保存登記が100件以上ある大規模マンションの短期売買の割合は9.0%、それ以外は2.9%でした。
  • 短期売買の割合は東京都を中心に、神奈川県・大阪府・兵庫県の一部で高く、増加傾向とされています。
  • 都心6区(千代田・中央・港・新宿・文京・渋谷)では、国外居住者による2億円以上の高額物件の活発な短期売買の傾向は、特に見られないとされています。

賃貸管理の実務で何をするか

  1. 区内の新築分譲住戸の管理を受けるときは、売買契約の特約を見せてもらう。今回の要請に応じた物件では、売買契約に転売を制限する特約が入る場合があります。期間・例外・違反したときの定めはオーナーの売買契約書で確かめます。賃貸に出すことの扱いは区の配信には書かれていないため、特約の文言で確かめます。
  2. 売却や買替えの提案の前に、引渡し日と特約の期間を控える。オーナーに売却査定や買替えを提案する前に、引渡し日から5年の期間がいつ終わるか、例外の定めがあるかを管理台帳に控えておきます。
  3. 同じ建物で複数戸を持つことを前提にした提案をしない。同一名義での複数購入の禁止が付いた物件では、同じ建物でもう1戸買って貸すといった提案は成り立ちません。購入の条件は分譲事業者が示す販売条件で確かめます。
  4. 管理組合への届出を確かめる。区は居住実態のない住戸による管理組合運営への支障を理由に挙げています。区分所有の住戸を賃貸に出すときは、管理規約や使用細則で求められる届出(賃借人の届出、区分所有者の連絡先など)を確かめ、漏れなく出します。

よくある質問

Q1. 千代田区のマンションは法律で転売が禁止されたのですか。

いいえ。10月27日の配信は、区から分譲事業者への「要請」です。法令にもとづく義務かどうかや、従わない場合の扱いは書かれていません。実際に転売が制限されるかどうかは、物件ごとの売買契約の特約によります。

Q2. すでに建っている中古マンションの売買も対象ですか。

配信で対象とされているのは、区内で都市開発諸制度等を活用して進むマンション開発事業で販売されるマンションです。すでに引き渡されたマンションの売買について求めたものかどうかは、配信には書かれていません。

Q3. 特約が付いた住戸を買って賃貸に出すことはできますか。

区の配信と2025年の要請文には、賃貸に出すことの扱いは書かれていません。物件ごとの売買契約の特約で確かめてください。

Q4. どの物件が対象か分かりますか。

区は個別の事業名・事業者名を公表していません。購入を検討している物件に特約があるかどうかは、販売する事業者に確かめてください。

要点は三つです。千代田区が10月27日、区内の開発事業に参加する分譲事業者に、引渡しから原則5年間の転売禁止特約と同一名義の複数購入の禁止を個別に要請したこと。2025年7月の業界団体への要請を個々の事業で徹底させるもので、法令上の義務かどうかは示されていないこと。賃貸に出すことの扱いは物件ごとの特約で確かめる必要があることです。

この記事は 2026-11-01 時点の情報です。

出典(本文で参照している資料)

本稿の内容は、2026年11月1日に開いて読んだ次の資料にもとづきます。

本稿で使った内容資料
今回の個別要請の相手・要請事項・理由・あわせて進める施策千代田区「千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する個別要請について」(2026年10月27日配信)
2025年の要請の経緯千代田区「千代田区内の投機目的でのマンション取引等に関する要請について」(2025年7月18日配信)
2025年の要請の対象事業・要請事項・理由千代田区長から一般社団法人不動産協会への要請文(2025年7月18日)
新築マンションの短期売買の調査結果国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果」(2026年9月15日)
港区の考え方港区「投機目的でのマンション取引等に関して」(2025年12月3日掲載)

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