不動産会社の業務改善 読了 24分

「窓が足りないのでデイサービスには使えません」が11月に変わる——建築基準法施行令の改正案、意見の窓口は8月30日で閉じます

空き家や1階の空き店舗を通所介護の事業所に貸したい。話がまとまりかけたところで設計事務所から「この居室は採光が足りません」と言われて止まる。建築基準法28条1項の採光規制は、住宅や学校だけでなく、施行令19条1項が定める児童福祉施設等にもかかります。老人デイサービスセンターはここに入るため、利用者が数時間しかいない通所型の施設でも、居室の床面積に応じた窓が要る。令和8年7月31日に公示された建築基準法施行令の改正案は、この対象から「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」を外します。ただし、外れるのが具体的にどの施設かは、政令ではなく後から出る告示に書かれます。意見を出せるのは8月30日0時までです。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
採光の窓が転用を止めていた|建基法施行令改正案2026
目次

窓が足りないという一言で止まる転用計画が、11月1日に少しだけ通りやすくなります。令和8年7月31日、国土交通省が建築基準法施行令の一部を改正する政令案を公示しました。改正は4項目、規制の区分はいずれも「緩和」です。中小不動産会社の実務にいちばん近いのは2つめ、採光規制の対象から通所型など滞在時間の短い施設を外すという項目です。意見公募の締切は令和8年8月30日0時。公布は令和8年9月、施行は令和8年11月1日が予定されています。

締切は8月30日0時。施行予定は11月1日

e-Govの意見募集案件(案件番号155260718)は、案の公示日が令和8年7月31日、受付締切日時が令和8年8月30日0時です。「8月30日まで」ではなく「8月30日0時」なので、実質的に意見を書ける最終日は8月29日です。この種の締切は毎回ここで取りこぼしが出ます。

概要資料には今後のスケジュールとして公布 令和8年9月/施行 令和8年11月1日と書かれています。いずれも予定であって確定ではありませんが、公布から施行まで2か月弱しかない想定です。3年後に効く話ではなく、年内に効く話として読む必要があります。

【要点】いま押さえる3点

押さえること根拠
通所型など滞在時間の短い福祉施設が、採光規制の対象から外れる見込み令19条1項から「利用者の滞在時間が短いことその他の理由により衛生上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」を除外する
ただし対象施設のリストは政令に書かれない。告示が出るまで、自分の物件が該当するかは判定できない概要資料が4項目のうち3項目について「具体の中身は告示にて規定予定」と明記している
4項目とも規制緩和で、新たな負担は想定されていない規制の事前評価書の「規制の区分」が緩和にのみチェックされ、顕在化する負担は想定されないと記載されている

「窓が足りない」はどの条文から来ているのか

採光の話は、条文としては2階建てになっています。

階層条文書いてあること
法律建築基準法28条1項住宅、学校、病院、診療所、寄宿舎、下宿その他これらに類する建築物で政令で定めるものの居室には、採光のための窓その他の開口部を設けなければならない
政令(対象)建築基準法施行令19条1項上の「政令で定めるもの」の中身。児童福祉施設等を定義している
政令(量)建築基準法施行令19条3項居室の種類ごとに、床面積に対して必要な採光有効面積の割合を表で定めている

今回の改正案が触るのは、真ん中の19条1項です。割合の表(3項)はそのままで、そもそも表に載る土俵に上がるかどうかを絞る。だから緩和の効き方が大きい。割合が1段下がるのではなく、採光の計算そのものが要らなくなるからです。

建築基準法の「児童福祉施設等」は福祉の分類とずれている

ここが実務で最も誤解されます。建築基準法施行令19条1項の「児童福祉施設等」は、子どもの施設だけを指す言葉ではありません。この総称には、児童福祉施設のほかに老人福祉施設、有料老人ホーム、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホームなどが含まれます。老人福祉法上の老人福祉施設には老人デイサービスセンターが入ります。

つまり、名前は「児童福祉施設等」でも、高齢者の通所介護事業所がここに含まれる。これが「デイサービスなのに採光が要る」という現場の違和感の正体です。用語が実態を裏切っているので、条文を引かずに常識で判断すると必ず間違えます。

逆に、事務所、店舗、飲食店、物販店は法28条1項の対象ではありません。空き家を事務所に転用するときに採光の話が出てこないのはこのためです。同じ「用途変更」でも、行き先が福祉系かどうかで採光規制の有無が入れ替わる。ここを見落とすと、賃料も工事費も見積もりが崩れます。

どれくらいの窓が要るのか——令19条3項の割合

令19条3項は、居室の種類ごとに床面積に対する採光有効面積の割合を表で定めています。幼稚園・小学校・中学校などの教室や保育所の保育室が最も厳しく、住宅の居住のための居室、病室、寄宿舎の寝室、児童福祉施設等の入所者の寝室や訓練等に使う居室がその次、談話や娯楽に使う居室が最も緩い、という3段構えです。厳しい側で5分の1、緩い側で10分の1という幅に収まります。

ここで効くのが「有効」という言葉です。窓の面積がそのまま数えられるわけではなく、採光補正係数を掛けます。隣地境界線や向かいの建物までの距離、庇の出、階数によって係数が変わり、条件が悪ければ実面積の何割かしか算入されない、あるいはゼロになる。密集市街地の1階、袋地、前面がすぐ隣家という物件で採光が通らないのはこの係数のせいです。

窓が付いているかどうかではなく、その窓がどこを向いていて前に何があるか。採光規制が転用を止めるとき、止めているのはたいてい建物ではなく敷地の条件です。だから「窓を大きくすれば済む」とは限らない。

住宅はすでに緩和されている。福祉施設は取り残されていた

住宅については、この問題はすでに一度手当てされています。令和4年政令第351号により令19条3項が改正され、令和5年4月1日から、住宅の居住のための居室は原則7分の1以上としつつ、国土交通大臣が定める基準に従って照明設備の設置等の措置を講じた場合には10分の1以上まで下げられるようになりました。基準は令和5年国土交通省告示第86号で、床面において50ルクス以上の照度を確保する照明設備を設けることが軸になっています。

この改正の背景は、自然光でなくても照明で衛生環境を確保できるという技術的な整理でした。住宅で成り立った理屈が、なぜ通所型の福祉施設では成り立たないのか。今回の改正案は、その落差を埋めにいく手当てだと読めます。ただし方向は少し違って、住宅は割合を下げる緩和だったのに対し、今回は対象から外す緩和です。

令和4年政令第351号(住宅)今回の改正案(福祉施設)
触る条文令19条3項(割合の表)令19条1項(対象の範囲)
緩和の型割合を7分の1から10分の1へ規制の対象から除外
条件照明設備の設置等(告示第86号)滞在時間が短いこと等(告示で規定予定)
施行令和5年4月1日令和8年11月1日(予定)

改正案が外すのは「滞在時間が短いもの」

規制の事前評価書は、改正の理由をこう説明しています。児童福祉施設等に採光を求めているのは「健康への配慮から自然光を浴びる必要性が特に高い者が長時間滞在することが想定される」からである。ところが通所型サービスのみを提供する施設など、利用者の滞在時間が短く、利用者が自宅等で自然光を十分に浴びることが可能な一部の施設まで対象になっていて、それが施設の整備における支障の一つとなっている

論理は素直です。規制の目的は「長時間そこにいる人の健康」であり、数時間で帰る人にはその前提が当てはまらない。目的に照らして対象を絞る、という筋の通し方をしています。

ここから読み取れる実務上の見当は次のとおりです。入所・宿泊を伴う施設は外れない見込みが高い。特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、障害者支援施設のように寝泊まりする施設は、そもそも「長時間滞在」の典型なので、緩和の理屈が届きません。逆に通所のみで完結する事業所は候補になりやすい。ただし、これは評価書の書きぶりから読める方向であって、告示が出るまで確定ではありません。

中身は告示に委ねられる。政令だけ読んでも対象は分からない

概要資料は、4項目のうち3項目について同じ注記を置いています。「具体の中身は告示にて規定予定」。採光の除外対象、防火・避難規制の除外対象、危険物から外れる設備の基準、いずれも政令には「国土交通大臣が定めるもの」としか書かれません。

つまり、この政令が公布されても、自分の案件が緩和されるかどうかは分かりません。判定に必要な情報は告示にしかない。パブリックコメントの対象は政令案であって告示案ではないので、「うちの類型を入れてほしい」という要望を出すなら、いま出す意見の中に書いておくほうが届きます。告示が出てからでは、意見公募の手続が別に立つとは限りません。

段取りとしては次のようになります。

時期出るもの実務で分かること
令和8年8月30日0時意見公募の締切意見を出せる期限。ここを過ぎると窓口が閉じる
令和8年9月(予定)政令の公布枠組みは確定。ただし対象施設はまだ分からない
公布から施行まで告示ここで初めて、どの施設が外れるかが確定する
令和8年11月1日(予定)施行この日以降の確認申請から適用される

出どころは厚生労働省の検討会だった

規制の事前評価書の「利害関係者からの意見聴取」欄に、採光の項目の出どころが書かれています。厚生労働省「介護予防・日常生活支援総合事業の充実に向けた検討会」の中間整理(令和5年12月)において、採光のあり方を検討することが必要であるとされた、というものです。

国土交通省の側から出た話ではなく、介護の現場の受け皿を増やしたい側から出てきた要望だという点は押さえておく価値があります。総合事業は市町村が主体で、通所型サービスの担い手をどう確保するかが長く課題でした。建物の側の要件が担い手不足の一因になっているという指摘が、3年近くかかって政令案まで来た形です。

不動産会社の立場で言えば、これは需要の側に強い後押しがある緩和だということです。制度が緩んでも借り手がいなければ空振りですが、この案件は借り手側の団体が押している。物件の引き合いに変わりやすい種類の緩和だと見ています。

型式適合認定に「構造だけ」の類型が増える

1つめの項目は、住宅の供給側の話です。型式適合認定(法68条の10)は、あらかじめ建築物やその部分が令136条の2の11に定める一連の規定に適合することの認定を受けておくと、個々の建築確認でその部分の審査を省略できる制度です(法6条の4第1項2号)。概要資料によれば、ハウスメーカーが供給する住宅の約9割でこの制度が使われています。

現行の類型は3つです。

類型中身条項
1建築物全体令136条の2の11第1号ロ
2建築物全体から建築設備を除いたもの同号イ
3建築設備同条2号
追加構造耐力に係る規定への適合令136条の2の11第1号に追加

追加される類型が対象とするのは、法20条(1項1号後段、2号イ後段、3号イ後段に係る部分)および法37条と、令第3章の規定(52条1項、61条、62条の8、74条2項、75条、76条、80条の3を除く。80条の2は大臣が定めた安全上必要な技術的基準のうち指定する基準に係る部分に限る)です。法37条は建築材料の品質、令第3章は構造強度の章にあたります。

資材が届かないと審査省略が丸ごと止まる、という問題

なぜ構造だけを切り出すのか。事前評価書の説明は具体的です。災害によるサプライチェーンの混乱や機能不全で建築材料の調達が困難になったとき、型式適合認定を受けた材料が入手できないと、認定型式に適合しないため審査省略が受けられなくなる。結果として住宅の迅速かつ安定的な供給が難しくなる。また、より高性能な材料が流通して仕様を変更しようとすると、型式の全体について認定を取り直す必要があり、既に認定を持っている側の負担になっている。

そこで、確認審査で申請者の負担が最も大きいのは構造関係規定への適合性審査であること構造耐力に係る部分は商品開発や機能向上が頻繁には行われないことを踏まえ、構造だけ独立させて認定できるようにする。構造の審査は省略したまま、調達が難しくなった材料についてのみ個別に確認を受ける、という分離ができるようになります。

中小不動産会社への影響は間接的ですが、無関係ではありません。アパートや建売を規格型で供給している取引先が、資材の欠品で着工を止める確率が下がる。着工の遅れは賃料発生の遅れです。供給側の制度の話として読み飛ばすには、効き先が近すぎます。

延焼防止建築物等の層間変形角と防火区画が一部外れる

3つめは、令136条の2第1号ロまたは第2号ロの基準に適合する建築物、事前評価書の言葉でいう「延焼防止建築物等」についての緩和です。防火地域・準防火地域で、耐火建築物・準耐火建築物そのものではなく、同等以上の延焼防止性能で組んだ建築物がこれにあたります。

現行は、これらに対して次の措置を求めています。

措置条項中身
層間変形角令109条の2の2地上部分の層間変形角を150分の1以下にする。層間変形角は、地震力が加えられた際に各階に生じる水平方向の変位を当該階の高さで割った値
面積区画令112条1項・4項・5項一定の面積ごとに耐火性能の高い壁等で区画する
竪穴区画令112条11項吹抜けなど上下階を貫通する空間を耐火性能の高い壁等で区画する

改正案は、この対象から「その構造及び用途並びに周囲の状況を考慮して(避難上及び)防火上支障がないものとして国土交通大臣が定めるもの」を除きます。理由は、日本建築行政会議防災部会からの聞き取り(令和8年3月)を経て、対象外としても安全上問題ないとする技術的知見が得られたためです。

竪穴区画は、既存建物の改修で最もよく問題になる規定のひとつです。階段や吹抜けを開いたまま使いたいのに区画が要る、という形で計画が縮む。ここが一部でも外れるなら、準防火地域の3階建て賃貸や小規模テナントビルの改修で選択肢が増えます。ただし、これも対象は告示待ちです。

用途地域の危険物総量規制からガス燃料設備が外れる

4つめは用途規制です。法48条と法別表第2は、用途地域ごとに建てられない建築物を定めており、その中に一定数量を超える危険物の貯蔵または処理に供する建築物があります。数量の上限は令130条の9第1項が定めています。対象となるのは第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域の7地域です。

概要資料が挙げる課題は、圧縮ガス等の貯蔵・処理施設で敷地内に十分な量を貯蔵できず、貯蔵所から頻繁に輸送する必要が生じているというものです。改正案は、圧縮ガスまたは可燃性ガスを燃料として使用するための設備であって、安全上および防火上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合する設備により貯蔵・処理されるガスを、用途規制上の危険物から除きます。検討は国土交通省「危険物の貯蔵等に係る規制の合理化に関する検討会」(令和7年8月から令和8年3月)で行われました。

該当条項は法別表第2の(と)項4号、(ぬ)項4号、(る)項2号で、法87条2項・3項において法48条7項・10項・11項の規定を準用する場合を含みます。87条は用途変更の条文です。新築だけでなく、用途変更でこれらの地域に持ち込む場合にも同じ判定が働くということです。

4つとも緩和のみ。事後評価は5年後

規制の事前評価書の「規制の区分」は、新設・拡充・緩和・廃止の4択のうち緩和にのみチェックが入っています。4項目すべてについて、規制緩和により顕在化する新たな負担は想定されない行政費用の増加は想定されない副次的および波及的な負担は想定されないと書かれています。

「規制の妥当性(その他の手段との比較検証)」の欄には「緩和のみのため、記載不要」とだけあります。事後評価は政令案の施行から5年後に実施される予定です。

読み手として気をつけたいのは、緩和だからといって黙って通るとは限らないことです。採光や防火は居住者・利用者の安全に直結するため、意見公募で反対意見が出れば告示の範囲が絞られる可能性があります。「緩和されるらしい」という前提で工事契約を先に結ぶのは、施行日と告示の内容が固まるまで避けるべきです。

日付と手続の一覧

日付できごと確度
令和5年12月厚生労働省の検討会中間整理で、採光のあり方の検討が必要とされる確定(過去)
令和7年8月から令和8年3月危険物の貯蔵等に係る規制の合理化に関する検討会確定(過去)
令和8年3月日本建築行政会議防災部会からの聞き取り確定(過去)
令和8年7月29日規制の事前評価の実施確定(過去)
令和8年7月31日政令案の公示、意見公募の開始確定(過去)
令和8年8月30日0時意見公募の締切確定
令和8年9月公布予定
公布から施行まで告示(除外対象・基準の中身)時期未定
令和8年11月1日施行予定
施行から5年後事後評価予定

転用を考えている会社が8月30日までにやること

この1週間でできることは限られていますが、意味のある動きは3つあります。

1つめ、止まっている案件を掘り起こす。過去2年ほどの間に「採光が足りないので通所介護には使えない」で流れた物件があるなら、その物件と居室の条件を一覧にしておく。11月1日以降に告示の対象へ入るなら、そのまま再提案の在庫になります。止めた理由を記録に残していない会社は、この掘り起こしができません。断り文句を台帳に書く習慣は、こういうときに効きます。

2つめ、意見を出す。意見公募は業界団体だけのものではありません。個人でも法人でも出せます。自社が扱った実例として「この用途・この規模の通所型施設が採光で止まった」と具体的に書けるのは、現場を持っている会社だけです。告示の対象を決めるのは国土交通省ですが、判断材料は集まった意見です。提出先と方法は意見公募要領に書かれています。

3つめ、設計事務所と話しておく。採光が外れても、用途変更の確認申請そのものが不要になるわけではありません。特殊建築物への用途変更で200平方メートルを超える場合の確認は残りますし、避難・防火・排煙・内装制限は別条文です。採光は複数ある関門のひとつにすぎない。「緩和されたから通る」と客先に言ってしまう前に、他の関門を潰しておく必要があります。

よくある質問

Q. 11月1日から、通所介護の事業所は採光を考えなくてよくなりますか。

A. そうとは言えません。外れるのは「国土交通大臣が定めるもの」に限られ、その範囲は告示で決まります。通所型サービスのみを提供する施設が想定されているとは読めますが、規模や併設の有無で線が引かれる可能性があります。告示を見るまで、個別の物件について断定はできません。

Q. 既存の建物で、いま採光が足りない状態のものはどうなりますか。

A. 改正されるのはこれから建築・用途変更の確認を受けるものに対する規制です。すでに適法に存在している建物の扱いが遡って変わるわけではありません。ただし、対象から外れれば改修や用途変更のときに採光で引っかからなくなるので、実務上の効き方は「既存建物の再利用がしやすくなる」という方向です。

Q. 住宅の採光も、また緩和されるのですか。

A. 今回の改正案に住宅の割合を動かす項目はありません。住宅は令和4年政令第351号(令和5年4月1日施行)ですでに手当てされており、照明設備の設置等の措置を講じれば10分の1まで下げられます。基準は令和5年国土交通省告示第86号です。

Q. 意見を出すと、名前が公表されますか。

A. 提出された意見の取扱いは意見公募要領に書かれています。氏名・団体名の公表の有無や、提出時に記載を求められる事項は案件ごとに異なるため、提出前に要領の全文を確認してください。e-Govの案件ページには、要領と命令などの案の全部を確認した上で提出するよう明記されています。

Q. 竪穴区画が外れるなら、既存ビルの吹抜けを開けられますか。

A. 対象は延焼防止建築物等(令136条の2第1号ロまたは第2号ロに適合する建築物)に限られ、その中でさらに告示が定めるものだけです。一般的な既存ビルの竪穴区画が不要になるという話ではありません。自社の建物がそもそも延焼防止建築物等に当たるのかを、確認済証と設計図書で先に確かめてください。

出典と、書かなかったこと

項目出典
案件番号155260718、案の公示日、受付締切日時、根拠法令条項、問合せ先e-Govパブリック・コメント「建築基準法施行令の一部を改正する政令案に関する意見募集について」
改正4項目の中身、背景、告示に委ねる旨、公布令和8年9月・施行令和8年11月1日の予定国土交通省住宅局「建築基準法施行令の一部を改正する政令案について(概要)」(令和8年7月)
規制の区分が緩和のみであること、負担・行政費用の想定、意見聴取した会合、事後評価の実施時期国土交通省「規制の事前評価書」(評価実施時期 令和8年7月29日)
厚生労働省の検討会中間整理(令和5年12月)で採光のあり方の検討が必要とされたこと同上(規制の事前評価書「利害関係者からの意見聴取」欄)
ハウスメーカーが供給する住宅の約9割で型式適合認定が活用されていること同上(概要資料「背景」)
法28条1項、令19条1項・3項、法6条の4第1項2号、法68条の10、法48条、法別表第2、令130条の9、令109条の2の2、令112条、令136条の2の条文構成建築基準法および建築基準法施行令
住宅の居住のための居室の割合と照明設備による緩和令和4年政令第351号による令19条3項の改正、および令和5年国土交通省告示第86号

書かなかったことを明記します。令19条3項の表の各号と割合を、号番号まで逐一は列挙していません。号の対応は改正の対象外であり、実務では条文そのものと特定行政庁の運用にあたるのが確実だからです。採光補正係数の算定式(令20条)も扱っていません。また、告示の内容、公布日、施行日はいずれも本稿執筆時点で確定しておらず、「令和8年9月公布」「令和8年11月1日施行」は概要資料が示す予定にすぎません。意見公募の結果として案が修正される可能性もあります。

この改正案の芯は、窓が1枚要る要らないではありません。規制の目的に照らして対象を絞り直す作業が、ようやく既存ストックの再利用の側に回ってきたという流れです。空き家も空き店舗も、壊すより使うほうが安い局面に入っている。制度がそれに追いつくとき、いちばん得をするのは「なぜ断られたか」を記録していた会社です。

本稿は公示された政令案および国土交通省の公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の建築計画の適否を判断するものではありません。賃貸管理と売買仲介の実務はウルスタのコラムで書いています。