東京都は2026年10月28日、官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンドのうち「リブクオリティTOKYOアフォーダブル住宅供給投資事業有限責任組合」が、江戸川区の中古マンションで入居者の募集を始めたと発表しました。初回は2戸で、家賃は共益費込みで67,000〜69,000円、市場家賃の約60%の水準です(東京都の報道発表)。本稿は、都の公表資料に書かれている内容と、賃貸管理会社・仲介会社が押さえておく点をまとめます。
発表の中身|江戸川区の中古マンションで募集
10月28日の都の報道発表(産業労働局)に書かれている要点は次のとおりです。
- 供給するファンドは「リブクオリティTOKYOアフォーダブル住宅供給投資事業有限責任組合」で、運営事業者は株式会社LivEQuality大家さん、株式会社りそな不動産投資顧問、株式会社マックスリアルティーの3社です。
- 物件は江戸川区の中古マンションです。専有面積は51平方メートルです。
- 戸数は初回の募集が2戸です。この物件では全体で23戸を供給する予定で、空室が出るたびに順にアフォーダブル住戸として募集するとしています。
- 家賃は67,000〜69,000円(共益費込み)で、市場家賃の約60%の水準です。このファンド全体では、市場家賃の平均75%程度で供給する予定としています。
- 入居の資格は、世帯年収600万円未満の子育て世帯等が基本です。
- 申込みは、オンライン説明会に参加したあと、オンラインで選考に申し込む流れです。選考と審査があり、都民が優先されます。募集の条件や申込みの詳細は運営事業者の募集ページで確かめるよう案内されています。
都はこのほかのファンドによる供給も順次進めるとし、ファンド全体で合計350戸程度の供給を見込んでいます。
官民連携ファンドの仕組み
このファンドは、都が出資し、民間事業者等も出資して作られます。ファンドがマンションや戸建て住宅を取得し、子育て世帯等に貸します。家賃収入は出資者に分配されます。都の住宅政策本部の説明では、出資の利回りを抑えたり、空き家等を安く購入したりすることで、低い家賃を目指すとしています(東京都住宅政策本部「都における『アフォーダブル住宅』について」)。
都は2026年2月20日に、4つのファンドを創設したと発表しました。都の出資は合計100億円です(国内初のファンド創設の発表・産業労働局のファンドのページ)。
4つのファンドの比較表
2月20日の創設の発表に書かれている各ファンドの条件です。家賃水準や入居対象はファンドごとに違います。
| ファンド | 運営事業者 | 都の出資 | 運用期間 | 供給戸数(アフォーダブル/総数) | 家賃水準 | 入居対象 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| Tokyo ネウボーノファンド | SMBC信託銀行・萬富 | 20億円 | 15年(最長2年延長) | 約60戸/約70戸 | 市場家賃の80%程度 | 未就学児のいる世帯・出産を控えている世帯 |
| 野村不動産アフォーダブル住宅投資事業有限責任組合 | 野村不動産・野村不動産投資顧問 | 20億円 | 10年(最長2年延長) | 約60戸/120戸以上 | 市場家賃の80%程度 | 世帯年収800万円以内の子育て世帯等 |
| Tokyo 空き家再生賃貸アフォーダブル住宅ファンド | ヤモリ・三菱UFJ信託銀行 | 20億円 | 10年(最長3年延長) | 約160戸/約160戸 | 市場家賃の80%程度 | 子育て世帯等 |
| リブクオリティ TOKYO アフォーダブル住宅供給投資事業有限責任組合(今回) | LivEQuality大家さん・りそな不動産投資顧問・マックスリアルティー | 40億円 | 10年(最長5年延長) | 約70戸/約200戸 | 市場家賃の平均75%程度 | 世帯年収600万円以内の子育て世帯等 |
今回のファンドの入居資格は、2月の創設時の資料では「世帯年収600万円以内」、10月28日の募集の発表では「600万円未満」と書かれています。実際に申し込むときの条件は、運営事業者の募集ページの記載で確かめてください。
これまでの募集と、公社住宅の取組
都は2026年5月29日に、第一弾の入居者募集を発表しています(第一弾の入居者募集の発表)。
| 時期 | ファンド | 物件 | 戸数 | 家賃の水準 |
|---|---|---|---|---|
| 2026年5月29日発表 | ヤモリ・三菱UFJ信託銀行 | 品川区・目黒区・板橋区・練馬区・葛飾区・江戸川区・町田市のリノベーション済み中古戸建て | 9戸 | 市場家賃の約65〜80% |
| 2026年5月29日発表 | 野村不動産・野村不動産投資顧問 | 江戸川区の新築マンション2棟 | 22戸と9戸 | 市場家賃の約75〜80% |
| 2026年10月28日発表 | LivEQuality大家さんほか | 江戸川区の中古マンション | 2戸(全体で23戸の予定) | 市場家賃の約60% |
ファンドとは別に、東京都住宅供給公社も既存の公社住宅を使ったアフォーダブル住宅を供給しています。都の説明では、18歳未満の子がいる子育て世帯と新婚世帯が対象で、2026年6月から募集を始め、毎年度200戸、累計1,200戸を供給します。家賃は最大12年間、市場家賃より2割程度低くする想定です(JKK東京のアフォーダブル住宅のページ)。
賃貸管理の実務で何をするか
- 管理物件の近くの募集条件を控えておく。今回の物件も第一弾の新築マンションも江戸川区です。同じ地域で子育て世帯向けの部屋を管理しているなら、公表された家賃と面積(51平方メートルで67,000〜69,000円など)を、自社の募集家賃を見直すときの参考情報として控えておきます。比べるときは、相場の何割かではなく、面積・築年・共益費込みかどうかをそろえて見ます。近隣の相場家賃の確認は、ウルスタくんの家賃査定AIでもできます。
- 入居相談で聞かれたときの答え方をそろえる。子育て世帯から「家賃の安い都の住宅」について聞かれることがあります。ファンドの物件は運営事業者の募集ページから、公社の住宅はJKK東京から申し込む仕組みです。入居資格(世帯年収、子の年齢、都民優先)がファンドごとに違うことを、比較表をもとに案内できるようにしておきます。
- オーナーからの相談には、公表されている範囲で答える。都は、ファンドが空き家等を取得して貸す仕組みだと説明しています。物件の買取りや借上げの条件は都の公表資料には書かれていません。オーナーから売却や活用の相談があれば、各運営事業者の窓口に確かめるよう伝えます。
- 契約の扱いを確かめておく。都の説明では、ファンドの期間が終わっても、期間中に結んだ借家契約は契約期間内は有効です。期間満了後の家賃や更新の扱いは、公表資料には書かれていません。入居者から聞かれたら、運営事業者に確かめるよう案内します。
よくある質問
Q1. 今回の募集には誰が申し込めますか。
都の発表では、世帯年収600万円未満の子育て世帯等が基本です。選考と審査があり、都民が優先されます。細かい条件は運営事業者の募集ページで確かめてください。
Q2. 家賃はいくらで、相場とどのくらい違いますか。
今回の2戸は67,000〜69,000円(共益費込み)で、都は市場家賃の約60%の水準としています。このファンド全体では、市場家賃の平均75%程度で供給する予定です。
Q3. 不動産会社が仲介して入居者を紹介できますか。
10月28日の発表では、申込みはオンライン説明会に参加したあとオンラインで行うと書かれています。不動産会社の仲介の扱いは、都の公表資料には書かれていません。
Q4. 今後も募集はありますか。
今回の物件は、空室が出るたびに順に募集するとしています。都は他のファンドの供給も順次進めるとし、ファンド全体で合計350戸程度を見込んでいます。次の募集の時期は、まだ公表されていません。
要点は三つです。東京都が10月28日、官民連携ファンドによるアフォーダブル住宅の新たな募集を発表したこと。江戸川区の中古マンション2戸で、家賃は市場家賃の約60%、世帯年収600万円未満の子育て世帯等が基本であること。4つのファンドで家賃水準と入居資格が違い、全体で350戸程度の供給を見込んでいることです。
この記事は 2026-10-30 時点の情報です。
出典(本文で参照している資料)
本稿の内容は、2026年10月30日に開いて読んだ次の資料にもとづきます。
| 本稿で使った内容 | 資料 |
|---|---|
| 今回の募集の物件・家賃・入居資格・申込方法、350戸の見込み | 東京都「官民連携ファンドによるアフォーダブル住宅の新たな入居者募集の開始について」(2026年10月28日) |
| 4つのファンドの出資額・運用期間・戸数・家賃水準・入居対象 | 東京都産業労働局「国内初の官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンドの創設」(2026年2月20日) |
| 第一弾の募集の物件・戸数・家賃水準 | 東京都産業労働局 第一弾の入居者募集開始の発表(2026年5月29日) |
| 都の出資の合計、これまでの公表 | 東京都産業労働局「官民連携アフォーダブル住宅供給促進ファンド」 |
| ファンドの仕組み、終了後の借家契約、公社住宅の取組 | 東京都住宅政策本部「都における『アフォーダブル住宅』について」 |
| 公社のアフォーダブル住宅 | 東京都住宅供給公社(JKK東京)アフォーダブル住宅 |

