東京都住宅政策本部は2026年9月11日、「新たな『東京都住宅マスタープラン』策定に向けた都の考え方」を公表しました。2050年代を見据えて、2035年までの10年間に重点的に取り組む政策の方向性を5本にまとめた資料です。土台になったのは、8月27日に東京都住宅政策審議会へ出された企画部会の中間報告(93頁)で、こちらには統計と委員の意見がそのまま載っています。都の計画は、補助金や条例の形になって管理会社の机に届くまでに時間がかかります。ただ、資料に並んでいる数字は、都内で賃貸管理・仲介をする会社がこの10年の商売の前提として持っておくものです。本稿は、2つの資料から数字を5つに絞り、出どころと計算を示したうえで、年度内に変わる手順を整理します。
結論(90秒で読める)
- 都は9月11日に「都の考え方」を出しましたが、これは計画そのものではありません。12月頃に審議会の答申を受けて計画案を作り、パブリックコメントを経て年度内(2027年3月まで)を目途に策定する予定です。現行計画(2022年3月策定・2021〜2030年度)の途中見直しにあたります。
- 賃貸の需要の土台になる世帯数は2035年の768万世帯までは増え、その後は減ります(2055年730万)。人口のピークは2030年の1,426万人で、世帯より5年早く減り始めます。
- 増えるのは高齢者の世帯です。世帯主65歳以上の世帯は2025年の210万から2050年に282万、うち単独世帯は95万から148万で1.6倍。一方で高齢者の約8割は要介護・要支援の認定を受けていません。「高齢の単身入居者」は例外ではなく、募集の主な相手になります。
- 住宅は820万戸あって世帯は730万(2023年)。空き家は約90万戸で、そのうち賃貸用が62.9万戸(70.1%)です。都は「ストックは足りている。長く大切に使う」を通底する考え方にしました。新築が増えて空室が埋まる時代の計画ではありません。
- 65歳以上の単身または夫婦のみの世帯が住む持ち家、いわゆる空き家予備軍は約100万戸。都は「空き家になる前」からの働きかけを方向性の1本目に置きました。相続の後ではなく前に接点を持つ会社が、管理も売却も先に相談を受けます。
- 築40年以上の分譲マンションは42.8万戸から25年で146.1万戸(3.4倍)。管理不全の兆候があるマンションは届出済みの16.4%。賃貸に出ている区分所有の部屋を管理する会社は、建物の管理組合の状態を賃貸の条件として見ることになります。
- 住宅価格については、中間報告が「転売規制などの強い介入は適切ではない」と書き、都の考え方は「投機的取引の抑制に向け、対策を検討」と書いています。何かが決まったわけではありません。お客様に「東京都が規制する」とは言えない段階です。
何が出たか|諮問から策定までの流れ
東京都住宅マスタープランは、東京都住宅基本条例第17条にもとづく計画で、住生活基本法の都道府県計画も兼ねます。現行の計画は2022年3月に策定され、計画期間は2021年度から2030年度、おおむね5年ごとに見直すことになっています。今回はその見直しです。資料に書かれた日付を並べます。
| 時期 | 出来事 | 資料の位置づけ |
|---|---|---|
| 2025年11月20日 | 知事が東京都住宅政策審議会に諮問(諮問第14号「時代の大きな変化に対応した新たな住宅政策の展開について」) | 検討の開始 |
| 2026年1月〜7月 | 企画部会を6回開催(1月9日・2月6日・4月24日・5月20日・6月29日・7月24日)。住宅価格・外国人・空き家・子育て・セーフティネット・マンションの順に論点を議論 | 統計と委員の意見 |
| 2026年8月27日 | 企画部会が審議会へ「中間報告」(93頁) | 本稿の数字の多くはここから |
| 2026年9月11日 | 都が「新たな『東京都住宅マスタープラン』策定に向けた都の考え方」(本編28頁・概要版2頁)を公表 | 今後10年の方向性5本 |
| 2026年12月頃 | 審議会から答申(予定) | 計画案の前提 |
| 答申後 | 新たなマスタープラン(案)→ パブリックコメント、区市町村・都議会などから意見聴取 | 意見を出せる時期 |
| 2026年度内 | 新たな「東京都住宅マスタープラン」を策定(目途) | 計画の確定 |
都の考え方が示した「今後10年間で重点的に取り組む政策の方向性」は5本です。原文のまま引きます。①空き家対策を発生前段階から空き家活用・次世代承継まで切れ目なく強化し、循環型住宅市場を実現。②高齢者・子育て世帯等、誰もが安心してニーズに応じた住宅に住まえる民間住宅市場と重層的な住宅セーフティネットへ。③公的住宅を住宅セーフティネットの一翼かつ多世代が集う地域コミュニティの場へ。④マンションを100年安心して暮らせる居住基盤へ。⑤安全・安心で持続可能な住宅市街地の形成。このうち民間の賃貸管理・仲介に直接かかわるのは①②④で、以下の数字もそこに沿って選びました。
数字1|世帯数は2035年の768万まで増え、そのあと減る
都の考え方は、人口と世帯の見通しをこう書いています。「総人口は2030年にピークを迎える」「世帯数は2035年まで増加し、その後減少」。グラフの数字を拾うと、人口は2025年1,421万人、2030年1,426万人、2050年1,357万人。世帯は2025年755万、2035年768万、2045年761万、2055年730万です(2040年までは国勢調査と都総務局の予測、それ以降は都政策企画局の予測値)。
本稿の計算では、2025年から2035年までの10年で世帯は+13万世帯(+1.7%)、ピークから2055年までの20年で−38万世帯(−4.9%)です。賃貸の部屋数の土台になるのは人口ではなく世帯数なので、「あと10年は増える」が都内の前提になります。ただし増え方は緩やかで、増える中身は次の数字2のとおり高齢の単独世帯です。中間報告の家族類型別のグラフでは「夫婦と子供」の世帯は2050年に向けて減る見込みと書かれています。
全国の数字は先に国勢調査2025速報|人口2.5%減でも世帯2.3%増に書きました。全国では人口がすでに減りながら世帯が増えている状態で、都はその局面に5年遅れて入る、と読めます。
数字2|世帯主65歳以上は2050年に282万、単独は1.6倍
国立社会保障・人口問題研究所の都道府県別推計をもとに、資料は世帯主65歳以上の世帯総数をこう示しています。
| 年 | 単独 | 夫婦等 | 合計 | 2025年比(本稿の計算) |
|---|---|---|---|---|
| 2020年 | 89万 | 117万 | 206万 | — |
| 2025年 | 95万 | 115万 | 210万 | 1.00 |
| 2035年 | 117万 | 122万 | 239万 | 1.14倍 |
| 2050年 | 148万 | 134万 | 282万 | 1.34倍(単独1.56倍・夫婦等1.17倍) |
資料が太字で示している「1.6倍」「1.2倍」は、2050年の単独・夫婦等を2025年と比べた数字です。2050年の全世帯は748万なので、世帯主65歳以上の割合は本稿の計算で37.7%になります。もう一つ、資料が繰り返している数字があります。高齢者のうち要介護・要支援の認定を受けていない人が78.7%(厚生労働省 介護保険事業状況報告 2025年7月)。「高齢者の8割は元気で自立した高齢者」という言い方で、都は「元気なうちの住み替え」を支援する方向を書いています。
管理会社の側から読むと、こうなります。単身の高齢者は、これから10年で最も増える入居申込者です。改正住宅セーフティネット法(2025年10月1日施行)で、残置物の処理や家賃債務保証、居住サポート住宅の仕組みが整ったのは、この数字に対する国の側の答えです。都の側は、中間報告に「東京ささエール住宅等の供給促進」「家主に対する安心感を付与することが重要」「ICTによる見守り」と書き、都の考え方は「住まい探しから入居後のサポートまで切れ目なく支える仕組み」を方向性②に入れました。年齢を理由に断る審査を続ける会社は、増える申込者を自分で減らすことになります。受け入れの手順は改正住宅セーフティネット法と単身高齢者の受け入れと単身高齢入居者の見守り手順に書いてあります。
中間報告には、居住支援の側の数字も載っています。都が指定する居住支援法人は67(2026年3月末)、居住支援協議会を設置した区市は37で人口カバー率91.0%(2026年7月)。一方で、セーフティネット住宅が民営住宅に占める割合は1.6%、専用住宅に限ると0.03%です。受け皿の制度は広がったのに、登録された部屋は少ない。都がこの10年で増やしたいのは、この0.03%の側です。
数字3|住宅820万戸・世帯730万、空き家90万戸の7割は賃貸用
2023年の住宅・土地統計調査で、都内の住宅は820.1万戸、世帯は729.5万世帯、空き家率は10.9%です。差は本稿の計算で90.6万戸。資料は「世帯数がピークとなる2035年(約770万世帯)においても、適切な住宅の維持・管理が進めば世帯数を約50万戸上回る見込み」と書き、新設住宅着工は減少傾向(令和7年 都122,130戸)と添えています。ここから都は、「つくっては壊す」から「長く大切に使う」へ、という通底する考え方を置きました。
空き家の内訳は中間報告に載っています。
| 空き家の種類(2023年・都) | 戸数 | 割合 |
|---|---|---|
| 賃貸用の空き家 | 629,000戸 | 70.1% |
| 売却用の空き家 | 43,800戸 | 4.9% |
| 二次的住宅 | 9,600戸 | 1.1% |
| 賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家 | 214,200戸 | 23.9% |
| うち共同住宅(非木造) | 112,700戸 | 12.6% |
| うち一戸建(木造) | 68,300戸 | 7.6% |
| 空き家総数 | 896,500戸 | 100% |
都内の空き家の7割は、誰かが貸そうとして空いている部屋です。資料はこれを腐朽・破損の有無で分け直し、「市場流通用の空き家 約61万戸」「長期不在等の空き家 約18万戸」「壊れた空き家 約11万戸」としています。管理会社にとって競争相手は、新築ではなく、この61万戸の空室です。世帯が増えるといっても10年で13万世帯なので、空室が自然に埋まる量ではありません。設備・家賃・入居条件で選ばれる部屋にする作業は、都の計画がどうなっても変わりません。
数字4|空き家予備軍100万戸は「相続の前」にいる
資料が「空き家予備軍」と呼ぶのは、「65歳以上の世帯員がいる単身又は夫婦のみ世帯が暮らす持ち家」で、約100万戸です。都の考え方は方向性①の課題認識にこう書きます。「相続物件の大量発生を見据え、空き家になる前からの早期の働きかけを検討・強化」「相続登記がされていない空き家は権利関係が不透明であるため、市場での流通や利活用が困難」。中間報告の委員意見には「空き家所有者に対し各専門家と一緒に相談からアウトリーチ型提案まで一気通貫で行い、流通させるシステムの構築」「買取再販事業者やサブリース事業者との連携が効果的」「子供が独立した段階などで、自然に住み替えや断捨離を検討できる機会の提供」とあります。
数字2と重ねると、この100万戸の持ち主は、これから元気なうちに住み替えを勧められる側の人たちです。売却でも、賃貸に出す管理受託でも、相談が来るのは相続の後より前のほうが早く、条件も良いことが多い。都が「発生前段階」を方向性の1本目に置いたことは、市区町村の相談窓口や居住支援協議会が、相続前の持ち家の相談を受ける体制に寄っていくということです。地元の管理会社がその窓口と名刺を交換しておくと、相談の流れの中に入れます。相続後の手順は相続空き家の処分に書きました。
数字5|築40年超の分譲マンションは25年で3.4倍
都内の分譲マンションは202.8万戸で、総世帯768.2万の約4分の1です(住民基本台帳・建築統計年報などから資料が作成)。築40年以上の戸数は2023年の42.8万戸から、2033年に86.9万戸、2048年に146.1万戸へ増える見込みで、資料は「25年後には約3.4倍」としています。都条例の管理状況届出制度では届出率が96.5%まで上がり、管理不全の兆候があるマンションは届出済みの16.4%(本稿の計算では1,776棟÷10,810棟)です。資料は「減少傾向にあるものの高い水準で推移」と書いています。
賃貸管理の側で関係するのは、区分所有の部屋を1室単位で預かっている場合です。都の考え方は方向性④で「適切に管理された良質なマンションが、適正に評価・選択される環境を整備」と書きました。管理計画認定や東京とどまるマンション(登録1,021件・136,000戸、うち賃貸13,000戸)のような印が、募集の条件として見られる方向です。オーナーが区分所有者なら、管理組合の総会資料と長期修繕計画を毎年もらっておくことが、賃貸の管理会社の仕事に入ってきます。建替えや敷地売却が決まったときに賃貸借がどう終わるかはマンション建替え決議と賃貸借の終了に書きました。
外国人と住宅価格|資料が言っていること・言っていないこと
外国人:民営借家の世帯の6%、外国人世帯の52%が民営借家
都内の外国人は約72万人で人口の5.2%(2025年1月1日)。中間報告は「2022年度以降の増加ペースが継続した場合、2035年にその割合は約1割に到達」と書いています。令和2年国勢調査では、外国人のいる世帯は340,519で総世帯の5%、そのうち民営の借家が177,108世帯で52%です。民営の借家の世帯全体から見ると6%にあたります。委員意見は「契約時や入居前後における丁寧な情報提供や継続的なフォローが必要」「外国人を一括りにせず、実態を丁寧に把握することが重要」で、規制ではなく説明と体制の話です。入居時の手順は外国人入居者の受け入れマニュアルにまとめてあります。
住宅価格:「転売規制は適切ではない」と「対策を検討」の間
ここは読み方に注意がいる部分です。中間報告の委員意見(意見のまとめ)にはこう書かれています。「投機的な取引は望ましくはないが、投資と投機を厳密に分けることは現実的には困難であることから、不動産の転売規制などの強い介入は適切ではない」「短期保有への課税強化など、投機的な取引に対する税制面での対応も考えられるが、制度設計は難しい」「国土交通省が新築マンションの取引状況について調査を実施したが、短期転売等の実態把握には至っていない」。一方、都の考え方は方向性②にこう書きました。「住宅は都民の生活の基盤であり、実需に基づかない投機的取引は好ましくないことから、その抑制に向け、住宅価格の動向等も注視し、対策を検討」。
審議会の側は強い規制に否定的で、都の側は「対策を検討」と含みを持たせた、という関係です。決まったのは「検討する」までで、対象・手段・時期は何も書かれていません。売買の仲介でお客様に「東京都が短期転売を規制する」と言うのは、資料の読み違いです。言えるのは、「都は12月の答申と年度内の計画でこの論点を扱う予定で、いまは検討の段階」までです。
管理会社・仲介がこの10年で変える4点
5つの数字を、日々の手順に落とすと次の4点になります。どれも都の計画を待たずに始められます。
| 変えること | もとになる数字 | 具体的には |
|---|---|---|
| 入居審査の「年齢」の欄をやめ、支払い能力と緊急連絡先・見守りの有無で見る | 世帯主65歳以上 2050年282万・単独1.6倍・自立8割 | 家賃債務保証、残置物処理の合意、見守りサービスの3点をセットにした申込書に変える。オーナーには「単身高齢者を断ると申込者の3分の1を捨てる」と数字で説明する |
| 空室の競争相手を「新築」から「近隣の賃貸用空き家61万戸」に置き直す | 住宅820万戸・世帯730万・賃貸用空き家62.9万戸 | 同じ駅・同じ築年の空室の設備と家賃を月1回並べ、自社物件の順位を見る。10年で世帯+13万は空室を埋める量ではないと前提を置く |
| 相続「前」の持ち家の相談窓口になる | 空き家予備軍100万戸・都の方向性①「発生前段階」 | 管理物件の近隣で65歳以上の持ち家所有者向けの相談会を居住支援協議会・区市町村と組む。売却か賃貸かを決めない段階の相談を受ける |
| 区分所有の預かり部屋は建物の管理状態を賃貸の条件として見る | 築40年超 146.1万戸(3.4倍)・管理不全の兆候16.4% | オーナーから管理組合の総会資料・長期修繕計画・修繕積立金の額を毎年受け取り、募集図面に管理計画認定や東京とどまるマンションの有無を書く |
この資料が決めていないこと
読み手が誤解しやすいので、書かれていないことを並べます。都の考え方には、家賃の見通し、区市町村ごとの需給、新しい補助金の名前や金額は載っていません。方向性は5本とも「〜を推進」「〜を検討」の形で、条例や予算はこれからです。中間報告の「意見のまとめ」は企画部会の委員の意見であって、都の決定ではありません。本稿が「都は〜と書いた」と表現した箇所は都の考え方の本文、「委員意見」と書いた箇所は中間報告の意見のまとめから引いています。数字は資料に載っている統計(総務省 住宅・土地統計調査、国勢調査、社人研の推計、都の予測)で、本稿の計算と書いたものだけが本稿の割り算です。
よくある質問
Q1. 「都の考え方」と「マスタープラン」は何が違いますか?
「都の考え方」は、12月頃の答申を前に、検討の方向性を示した資料です。計画(マスタープラン)は答申を受けて案を作り、パブリックコメントを経て年度内を目途に策定されます。いまの段階で決まった施策はありません。
Q2. 世帯数が2035年まで増えるなら、都内の賃貸は安泰ですか?
増え幅は10年で13万世帯(本稿の計算で+1.7%)で、賃貸用の空き家は62.9万戸あります。増える世帯の中心は高齢の単独世帯で、「夫婦と子供」の世帯は減る見込みです。数が増えることと、自社の空室が埋まることは別の話です。
Q3. 単身高齢者の入居で、都から管理会社への補助はありますか?
都の考え方には補助金の新設は書かれていません。中間報告の委員意見に「家賃低廉化補助等により安定的な収益構造を作ることが重要」とあるのは、居住支援法人の側の話です。現行制度(東京ささエール住宅、居住サポート住宅)は居住サポート住宅の制度を参照してください。
Q4. 空き家予備軍100万戸は、どの区市に多いのですか?
資料は都全体の戸数だけで、区市町村別の数字は載せていません。中間報告の委員意見に「高齢化率が高く空き家予備軍が多いエリアを想定し」とあるので、計画案の段階でエリアの考え方が出る可能性はありますが、現時点では書かれていません。
Q5. 東京都は短期転売を規制するのですか?
決まっていません。中間報告の委員意見は「転売規制などの強い介入は適切ではない」、都の考え方は「投機的取引の抑制に向け、住宅価格の動向等も注視し、対策を検討」です。対象・手段・時期は書かれておらず、お客様に規制が入ると説明できる段階ではありません。
Q6. パブリックコメントには不動産会社も意見を出せますか?
都の考え方には「都民の皆様をはじめ、区市町村や都議会など、様々な関係者から意見等を伺った上で」とあります。募集の方法と期間は計画案の公表時に示されます。9月11日時点では案が出ていないので、まだ募集は始まっていません。
まとめ
東京都が9月11日に出した「都の考え方」は、計画ではなく方向性ですが、載っている数字はこの10年の商売の前提になります。世帯数は2035年の768万まで増え、増えるのは世帯主65歳以上の世帯で単独は1.6倍。住宅は820万戸で世帯より90万戸多く、空き家90万戸の7割は賃貸用。空き家予備軍は100万戸で都は「相続の前」に働きかける方向。築40年超の分譲マンションは25年で3.4倍。住宅価格については「対策を検討」までで、規制が決まったわけではありません。管理会社が今週できるのは、申込書から年齢の欄を外して保証・残置物・見守りの3点セットに変えること、空室の比較相手を近隣の空室に置き直すこと、区分所有のオーナーから総会資料をもらう習慣を作ることです。答申は12月頃、計画案とパブリックコメントはその後、策定は年度内。案が出たら、本稿の数字がどう計画に置かれたかを見ます。
出典(本文で参照している資料)
本稿の記述は、すべて2026年9月14日に実際に開いて読んだ次の資料にもとづきます。
| 本稿で使った内容 | 資料 |
|---|---|
| 公表日 2026年9月11日、諮問が2025年11月、審議会の中間報告を踏まえたこと、12月頃の答申、年度内を目途に策定、東京都住宅基本条例第17条、現行計画は2022年3月策定・2021〜2030年度・おおむね5年ごとの見直し、記事ID 000-001-20260911-092662 | 東京都 報道発表「新たな『東京都住宅マスタープラン』の策定に向けた都の考え方を取りまとめました」(2026年9月11日) |
| 今後10年間で重点的に取り組む政策の方向性①〜⑤、通底する考え方(「つくっては壊す」から「長く大切に使う」へ)、人口のピーク2030年1,426万人、世帯数2035年768万、世帯主65歳以上の世帯(2020〜2050年・単独/夫婦等)、要介護・要支援認定率と78.7%、住宅820万戸・世帯730万・2035年の約50万戸の余裕、新設住宅着工 令和7年 都122,130戸、空き家約90万戸・長期不在等約18万戸・腐朽約11万戸・空き家予備軍約100万戸、分譲マンション約200万戸・築40年以上42.8万戸→146.1万戸(3.4倍)、管理不全の兆候16.4%、方向性②の「投機的取引は好ましくない(略)対策を検討」、外国人約78万人、6つの視点、今後の進め方 | 東京都住宅政策本部「新たな『東京都住宅マスタープラン』策定に向けた都の考え方」本編(PDF・28頁) |
| 世帯数の推移グラフ、世帯主65歳以上の1.6倍・1.2倍、東京こどもすくすく住宅、居住支援協議会の人口カバー率91.0%、東京とどまるマンション、方向性①〜⑤の要約 | 同 概要版(PDF・2頁) |
| 審議経過(諮問第14号 2025年11月20日、企画部会6回の日付と論点)、意見のまとめ(住宅価格:「転売規制などの強い介入は適切ではない」「短期保有への課税強化(略)制度設計は難しい」「短期転売等の実態把握には至っていない」、外国人との共生、空き家、子育て、住宅セーフティネット、マンション)、外国人約72万人・5.2%・2035年に約1割、令和2年国勢調査の外国人のいる世帯340,519・民営の借家177,108(52%)・民営の借家の6%、空き家896,500戸の種類別内訳と類型(市場流通用約61万戸・長期不在等約18万戸・壊れた約11万戸)、世帯年収690万円→902万円、夫婦と子供世帯159万・約4割が70㎡未満、セーフティネット住宅1.6%・専用住宅0.03%、居住支援法人67、居住支援協議会37区市、東京ささエール住宅約6万戸、分譲マンション202.8万戸・総世帯768.2万、管理状況届出(要届出11,200棟・届出済10,810棟・管理不全の兆候1,776棟・96.5%・16.4%)、東京とどまるマンション1,021件・136,000戸(賃貸13,000戸)、家族類型別の世帯数の推移 | 東京都住宅政策審議会企画部会「中間報告」(令和8年8月27日 令和8年度第1回審議会 資料2・PDF・93頁) |
| 令和8年度第1回審議会(8月27日)の開催と配布資料の一覧 | 東京都住宅政策本部「令和8年度 第1回 東京都住宅政策審議会(令和8年8月27日)における資料」 |
本稿の計算:世帯数の増減(+13万・+1.7%、−38万・−4.9%)、世帯主65歳以上の2025年比(1.34倍・1.56倍・1.17倍)と2050年の割合37.7%、住宅と世帯の差90.6万戸、管理不全の兆候の割合(1,776÷10,810)は、資料の数字から本稿が出したものです。「5つの数字」の選び方、管理会社が変える4点、年度内の流れの読み方は本稿の整理です。家賃の見通し、区市町村ごとの需給、補助金の新設は資料に無いので書いていません。
