賃貸管理 読了 13分

住宅セーフティネット法改正2026|居住サポート住宅の認定基準・補助と管理会社の実務

改正住宅セーフティネット法(令和6年法律第43号)が2025年10月1日に施行され、居住サポート住宅の認定制度ができました。省令で定める認定基準、登録住宅との違い、代理納付や認定家賃債務保証業者、補助、管理会社が進める手順を国交省の資料で整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
住宅セーフティネット法改正2026|居住サポート住宅の認定基準と管理会社の実務
目次

改正住宅セーフティネット法(令和6年法律第43号)は2025年10月1日に施行され、居住支援法人等が入居中の見守りを行う「居住サポート住宅」の認定制度ができました。認定には、毎日1回以上の安否確認と月1回以上の見守り、近傍同種の家賃と均衡した家賃など、省令で決まった基準があります。この記事では、条文と国土交通省の資料をもとに、認定の基準、登録住宅との違い、認定家賃債務保証業者や代理納付のしくみ、管理会社が進めるときの手順を整理します。

改正住宅セーフティネット法の概要

国土交通省のページによると、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律」は令和6年法律第43号として2024年6月5日に公布され、2025年10月1日に施行されました。住宅確保要配慮者とは、低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを養育している者などをいいます(法2条1項)。

改正は、次の3つの柱で整理されています。

柱主な制度
大家が賃貸住宅を提供しやすい市場環境認定家賃債務保証業者制度、終身建物賃貸借の手続きの見直し、居住支援法人による残置物処理
居住支援法人等が入居中サポートを行う賃貸住宅の供給促進居住サポート住宅(居住安定援助賃貸住宅)の認定制度
住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制居住支援協議会の設置の推進、福祉分野との連携

国交省の説明会資料(2025年6月)では、セーフティネット登録住宅は943,143戸、居住支援法人は1,029法人(いずれも2025年3月末時点)とされています。

記事で使う言葉

制度の資料には似た言葉が多く出てきます。この記事では、次の意味で使います。

言葉意味根拠
住宅確保要配慮者(要配慮者)低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子どもを養育している者など法2条1項
居住安定援助入居中の安否確認、訪問等による見守り、福祉サービスへのつなぎ改正法リーフレット、改正省令の概要
要援助者要配慮者のうち、日常生活を営むのに援助を必要とする者事業者向けQ&A
認定事業者居住安定援助計画の認定を受けて事業を行う者。大家と居住支援法人の共同が想定されている法40条、事業者向けQ&A
専用賃貸住宅入居者を要援助者とその同居の配偶者・親族に限る住戸事業者向けQ&A

居住サポート住宅の認定のしくみ

申請先と計画の中身

法律上の名前は「居住安定援助賃貸住宅事業」です。事業を行おうとする者は、居住安定援助計画を作って認定を申請します(法40条)。申請先は、市の区域では市長、福祉事務所を設置する町村の区域では町村長、それ以外の区域では都道府県知事です。

計画には、住宅の位置・戸数・規模・構造及び設備、入居者の範囲を定める場合はその範囲、専用賃貸住宅の戸数、家賃その他の賃貸の条件、提供する居住安定援助の内容、その対価と条件などを記載します(法40条)。国交省の事業者向けQ&Aでは、大家と居住支援法人が共同で認定事業者となる形が想定されています。

省令で定める認定基準

法41条は、床面積、構造及び設備、入居者の範囲、専用住宅の戸数、家賃、援助の内容、援助の対価などについて、国土交通省令・厚生労働省令で定める基準に適合することを認定の条件としています。国交省が公表している改正省令の概要(2025年6月24日公布、10月1日施行)による主な基準は次のとおりです。

項目基準
各戸の床面積原則25㎡以上。既存住宅は18㎡以上。共用部分を活用する場合は18㎡以上(既存住宅で共用部分を活用する場合は13㎡以上)。共同居住型は大臣が定める基準
構造及び設備各戸に台所、便所、収納設備、浴室またはシャワー室を備える(共用部分を活用する場合は緩和あり)
専用住宅の戸数1戸以上
家賃近傍同種の賃貸住宅の家賃の額と均衡を失しないよう定める
安否確認1日に1回以上、通信機器の設置その他の方法で行う
見守り1月に1回以上、要援助者への訪問その他の方法で行う
福祉サービスへのつなぎ利用可能な福祉サービスに関する情報の提供と助言を適切に行う
援助の対価援助の提供に要する費用に照らして不当に高いものでない

事業者向けQ&Aでは、住宅が耐震性を有することも必要とされ、1981年(昭和56年)6月以降に新築の工事に着手したもの、または耐震診断の結果などで確認できるものが対象になると説明されています。入居者の範囲については、専用住宅は要援助者(要配慮者のうち援助が必要な者)とその同居の配偶者・親族に限られ、専用でない住宅は要援助者以外の要配慮者も入居できるとされています。

認定を受けた後の義務

認定事業者は、認定を受けた計画に従って事業を行わなければなりません(法47条)。居住安定援助に関する事項を記載した帳簿を備え付け、保存する義務もあります(法48条)。計画の変更には認定が必要で、報告の徴収、改善命令、認定の取消しの規定も置かれています。

セーフティネット登録住宅との違い

以前からある「セーフティネット登録住宅」と、新しい「居住サポート住宅」は、名前が似ていますが別の制度です。事業者向けQ&Aの説明をもとに、違いを整理します。

比べる点セーフティネット登録住宅居住サポート住宅
制度の形登録計画の認定
中心となる条件要配慮者の入居を拒まない入居中のサポート(安否確認・見守り・福祉サービスへのつなぎ)を行う
担い手大家大家と居住支援法人等

Q&Aは、どちらも住宅確保要配慮者の円滑な入居を図るために重要な制度と位置づけています。見守りの体制を用意できない物件では、まず登録住宅として受け入れの間口を広げる、という順番も考えられます。

認定家賃債務保証業者

国交省の改正法リーフレットによると、居住サポート住宅に入居する要配慮者の家賃債務保証を正当な理由なく断らないことなどを条件に、国土交通大臣が家賃債務保証業者を認定する制度ができました。要配慮者の保証について住宅金融支援機構(JHF)の保険が最大9割まで付くこと、緊急連絡先を個人に限定しないこと、保証人の設定を条件としないことが示されています。

生活保護受給者の住宅扶助の代理納付

居住サポート住宅の入居者が生活保護を受けている場合、住宅扶助費と共益費の代理納付が原則化されました(リーフレット)。事業者向けQ&Aでは、認定事業者が代理納付の希望を保護の実施機関に通知する流れが示され、駐車場代は対象外とされています。管理会社にとっては、家賃の入金の確認方法が変わる点に注意が必要です。

居住支援法人による残置物処理

居住支援法人の業務に、入居者からの委託にもとづく残置物の処理が加わりました。入居者が生前に、推定相続人または居住支援法人・管理業者等の第三者と委任契約を結び、亡くなったときに受任者が残置物を処理するしくみです。国土交通省と法務省が作った「残置物の処理等に関するモデル契約条項」を使うことが示されています。

終身建物賃貸借の手続きの見直し

入居者が亡くなったときに契約が終わる終身建物賃貸借は、これまで住宅ごとに認可を申請する必要がありました。改正後は、事業者として認可を受け、対象の住宅は実際に終身建物賃貸借をするときまでに届け出る形に簡素化されています(リーフレット)。

大家向けの補助のしくみ

国交省の説明会資料(2025年6月)では、セーフティネット登録住宅と居住サポート住宅を対象に、次の補助が示されています。いずれも地方公共団体が補助を行う場合に国が補助するしくみで、物件の所在地の地方公共団体が制度を設けているかどうかで使えるかが決まります。

補助補助率(資料の表記)国費の限度額(資料の表記)
改修費補助国1/3(+地方1/3)50万円/戸 等
家賃低廉化補助国1/2+地方1/2原則2万円/戸・月 等
家賃債務保証料等低廉化補助国1/2+地方1/2原則3万円/戸 等

事業者向けQ&Aでは、家賃低廉化補助は住宅扶助や生活困窮者住居確保給付金との重複受給が原則としてできないこと、見守りなどサポートの対価を直接補助する制度は設けていないことが示されています。補助の募集時期や要件は年度ごとに変わるため、申請の前に地方公共団体の窓口で確認します。改修費補助の実務はセーフティネット住宅の改修費補助で扱っています。

管理会社が認定を検討するときの手順の例

居住サポート住宅は、大家だけでは基準を満たせず、見守りを担う居住支援法人等との連携が前提になります。管理会社が間に入って進めるときの手順を、例として示します。

  1. 地域の窓口を確かめる:物件の所在地で認定の申請先がどこか(市、福祉事務所を設置する町村、都道府県)、要綱や申請書式が出ているか、補助の制度があるかを確認します。国交省の「居住サポート住宅情報提供システム」も参考になります。
  2. 候補の住戸を絞る:耐震性(1981年6月以降の着工か、耐震診断の結果があるか)、床面積、台所・便所・収納・浴室またはシャワー室の有無を、上の基準と照らし合わせます。
  3. 居住支援法人と役割を決める:安否確認(1日1回以上)と見守り(月1回以上)を誰がどの方法で行うか、福祉サービスにつなぐときの連絡の流れ、援助の対価をいくらにするかを決めます。
  4. 大家に説明する:家賃は近傍同種と均衡させる必要があること、計画に従って運営する義務と帳簿の保存義務があること、代理納付や認定家賃債務保証業者で家賃の回収の不安をどこまで減らせるかを、条文と資料にそって説明します。
  5. 計画を作って申請する:法40条の記載事項にそって居住安定援助計画を作り、申請先に提出します。
  6. 運用の記録を残す:安否確認・見守りの記録、家賃と代理納付の入金の記録、帳簿を、報告を求められたときに出せる形で保存します。

単身の高齢の方の受け入れについては改正住宅セーフティネット法と単身高齢者の入居受け入れもあわせて読んでください。

よくある質問

Q1. 居住サポート住宅の認定は、大家と管理会社のどちらが申請しますか。

法40条は、居住安定援助賃貸住宅事業を行おうとする者が申請すると定めています。国交省の事業者向けQ&Aでは、大家と居住支援法人が共同で認定事業者になる形が想定されています。管理会社の関わり方は、地域の要綱や居住支援法人との役割分担によって決まるため、申請先の窓口に確認してください。

Q2. 18㎡の既存のワンルームでも認定を受けられますか。

改正省令の概要では、各戸の床面積は原則25㎡以上、既存住宅は18㎡以上とされています。ほかに、設備、耐震性、専用住宅の戸数、家賃、援助の内容などの基準もすべて満たす必要があります。

Q3. 全部の住戸を要配慮者専用にする必要がありますか。

改正省令の概要では、専用住宅の戸数は1戸以上とされています。専用でない住宅には要援助者以外の要配慮者も入居できると事業者向けQ&Aで説明されています。何戸を専用にするかは計画に記載します(法40条)。

Q4. 見守りの費用に補助はありますか。

事業者向けQ&Aでは、見守りなどサポートの対価を直接補助する制度は設けていないとされています。生活困窮者自立支援制度の地域居住支援事業の委託を受けた場合に、委託費として手当てされる場合があることが示されています。

2026年9月2日 更新について。本記事に「当社」「私の会社」の実績・体験として書かれていた数値や事例(件数・削減幅・日数・金額・社員数・所在地など)は、当社で計測・記録したものではなく、記事作成時に実績のように書かれてしまったものでした。該当する段落を削除し、公式資料と一般的な実務手順だけを残しています。お詫びします。数字を伴う実績は、今後は記録があるものしか書きません。

出典(本文で参照している資料)

この記事は2026年10月7日時点の情報です。

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