2026年9月1日から、育成就労計画の認定申請が始まります。この計画には「適切な宿泊施設の確保」が認定要件として入っていて、しかも原則は申請の時点で契約により確保されていることです。制度が動くのは2027年4月ですが、部屋を探す動きは9月から前倒しで来ます。本稿は、認定要件を管理会社が使える内見チェックの形に置き換えます。
9月1日という日付が、賃貸の営業日程に翻訳されるとき
外国人技能実習機構のサイトに、短い一文が出ています。「育成就労計画認定施行日前申請は、9月1日から開始されます。9月1日以降に到着するように送付してください。」令和8年8月5日の更新です。制度の施行日は2027年4月1日ですが、計画の認定申請だけが7か月前倒しで開く構造です。
この日付は、賃貸実務では別の意味を持ちます。育成就労計画の認定基準には「適切な宿泊施設の確保」が含まれており、原則として申請時点で契約により確保されていることが求められるからです。受入企業は、9月1日に申請書を投函するために、8月のうちに部屋を決めなければならない。本稿を書いている2026年8月13日から数えて、残り19日です。
全国賃貸住宅新聞の2026年8月11日付には、外国人材を雇用する企業と空室・空き家を持つオーナーをつなぐマッチングの取り組みが載っていました。市場は動き始めています。ただ、この需要は「外国人可の部屋を出せば取れる」種類のものではありません。認定基準を満たさない部屋を紹介すると、受入企業の計画が通らないからです。
【要点】受入企業から問い合わせが来る前に押さえる3点
| 押さえること | 根拠・数字 |
|---|---|
| 面積基準は寝室1人当たり4.5平方メートル以上。床の間・押入など使用できないスペースは除く | 育成就労制度運用要領。特定技能1号の7.5平方メートルとは別の基準なので混同しない |
| 面積だけでは足りない。施錠可能で持出不可の私有物収納設備、室面積の7分の1以上の有効採光面積、採暖・冷房設備が必須 | 収納ボックスを配っただけ、押入を区分けしただけは認められないと明記されている |
| 戸単位で分散させるか一棟に集約するかで、適用される法律のセットが変わる | 集約すると労働基準法第10章の「事業の附属寄宿舎」と建築基準法の用途変更が視野に入る。社宅・アパートは原則として附属寄宿舎に非該当 |
公表されている日程を、そのまま並べる
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 2024年6月21日 | 育成就労法(外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律)公布 |
| 2026年4月15日 | 監理支援機関の許可について、施行日前申請の受付開始 |
| 2026年9月1日 | 育成就労計画認定の施行日前申請、受付開始(9月1日以降に到着するよう送付) |
| 2027年2月まで | 技能実習制度に基づく1号技能実習計画の認定申請は、この時期までに行うよう案内されている |
| 2027年4月1日 | 育成就労法施行。育成就労外国人の受入れ開始 |
提出先は本部ではなく、申請者の住所地(法人なら本店所在地)を担当する機構の地方事務所・支所です。施行日前申請のコールセンターは0570-011-300、平日9時から17時。管理会社が代わりに申請することはありませんが、受入企業から「どこに出すのか」と聞かれる場面はあります。
母数はどれくらいか——257万人と37万事業所
厚生労働省の外国人雇用状況の届出によれば、令和7年10月末時点の外国人労働者数は257万1,037人で、前年から26万8,450人(11.7%)増えています。外国人を雇用する事業所数は37万1,215か所で、こちらも2万9,128か所の増加です。
この2つを割ると、1事業所あたりの外国人労働者は約6.9人になります。前年(230万2,587人 ÷ 34万2,087か所)は約6.7人でした。数字が語っているのは、受入れの主役が大規模事業所ではなく、数人単位で雇う中小事業所だということです。
賃貸実務に引き直すと、需要の形は「50戸の寮を一括で」ではなく、「2人部屋を2戸、通勤圏で」が中心になります。これは中小の管理会社が扱える規模です。一棟丸ごとの案件だけを想定していると、この市場は見えません。
「住まい」が計画認定の要件になっている
育成就労計画の認定基準は法第9条第1項第9号にあり、育成就労外国人の待遇が主務省令の基準に適合していることを求めます。その省令が育成就労法施行規則第18条で、宿泊施設の確保はその柱のひとつです。基本方針(法第7条)は、育成就労実施者に「健康で快適な生活を送ることができるよう快適な住環境を確保すること」を求めています。
つまり住まいは、福利厚生として「あればなお良い」ものではなく、これが欠けると計画が認定されない法的要件です。そして運用要領は前提として、建築基準法上の基準を満たした「建築物」であることを置いています。プレハブ小屋や違法建築は、他の要件を全部満たしても通りません。
誰が部屋を用意する義務を負うのか
| 区分 | 宿泊施設を確保する主体 |
|---|---|
| 単独型育成就労 | 申請者(育成就労実施者)自身が確保していること(規則第18条第1号イ) |
| 監理型育成就労 | 申請者または監理支援機関のいずれかが確保していること(規則第18条第2号イ) |
実務では監理支援機関がまとめて手配する例が多いとされますが、認定基準への適合責任は計画の申請者である受入企業にも及びます。窓口が監理支援機関でも、最終的に困るのは受入企業だという構図は変わりません。
適切な宿泊施設とされる9つの要件
| 番号 | 要件 | 内見で見るもの |
|---|---|---|
| 1 | 立地・環境の安全性 | 爆発物・可燃性ガスの取扱場所、有害な作業場、著しい騒音振動、雪崩・土砂崩壊、湿潤地・浸水のおそれのある場所の付近を避ける |
| 2 | 避難階段・避難器具 | 2階以上の寝室に住む人数で必要本数が変わる(後述) |
| 3 | 消火設備 | 実効性のある場所に十分な設備。点検など維持管理の状況も |
| 4 | 寝室の面積・設備 | 1人4.5平方メートル以上、施錠可能な私有物収納、採光、採暖・冷房 |
| 5 | 就眠時間帯の異なる組の分離 | 夜勤と日勤が同居する場合、寝室を別にする |
| 6 | 食堂・炊事場の衛生 | 設ける場合、照明・換気、器具の清潔保管、防虫防鼠 |
| 7 | 衛生設備 | トイレ・洗面所・洗濯場・浴場。近くにあれば施設内でなくてよい |
| 8 | 事業の附属寄宿舎に当たる場合の届出 | 寄宿舎規則の届出等を行っている、または速やかに行うこと |
| 9 | 共用部分の衛生管理 | 必要に応じた消毒など、感染症の発生・まん延防止 |
この9項目はすべて充足が必要とされ、入居後の運用ではなく申請の段階で満たしていることが前提です。
4.5平方メートルルール——何が含まれ、何が含まれないか
| 要件項目 | 基準 |
|---|---|
| 寝室の面積 | 1人当たり4.5平方メートル以上(床の間・押入等、実際に使用できないスペースを除く) |
| 私有物収納設備 | 個人別、施錠可能、持出不可のものを設置 |
| 採光 | 室面積の7分の1以上の有効採光面積を有する窓 |
| 冷暖房等 | 社会通念上、生活に必要とされる採暖・冷房設備等 |
面積に算入できないのは、床の間・押入など「使用できないスペース」です。共用の廊下や洗面所も入りません。専有面積で割ると、足りているつもりで審査に落ちます。
特定技能は7.5平方メートル。同じ外国人でも基準が違う
| 制度 | 1人当たり面積 | 根拠 |
|---|---|---|
| 育成就労(技能実習も同様) | 寝室 4.5平方メートル以上 | 育成就労制度運用要領 |
| 特定技能1号 | 居室 7.5平方メートル以上(約4.5畳以上) | 1号特定技能外国人支援に関する運用要領 |
差は3.0平方メートル、倍率にして約1.67倍です。特定技能ではルームシェアの場合も居室全体の面積を居住人数で割った値が7.5平方メートル以上である必要があります。ただし技能実習2号等から特定技能1号へ変更する人が、すでに確保されている社宅等に住み続けることを希望する場合は例外とされています。
管理会社が押さえるべき論点はここです。育成就労で入れた部屋が、その人が特定技能へ進んだ瞬間に基準割れを起こすことがある。4.5で通した2人部屋は、7.5では1人部屋になります。長く住んでもらう前提の物件なら、最初から7.5で組んでおくほうが後の引っ越しコストは軽くなります。
手持ちの部屋に、何人まで入れられるか
不動産の表示に関する公正競争規約では、畳1枚当たりの広さは1.62平方メートル以上として換算します。この最低値で計算すると、次のようになります。
| 洋室の広さ | 面積(1.62で換算) | 育成就労(4.5) | 特定技能(7.5) | 必要な有効採光面積 |
|---|---|---|---|---|
| 6畳 | 9.72平方メートル | 2人まで | 1人まで | 約1.39平方メートル |
| 8畳 | 12.96平方メートル | 2人まで | 1人まで | 約1.85平方メートル |
| 10畳 | 16.20平方メートル | 3人まで | 2人まで | 約2.31平方メートル |
| 12畳 | 19.44平方メートル | 4人まで | 2人まで | 約2.78平方メートル |
採光の欄は、室面積を7で割った値です。窓のサイズは図面から拾えるので、内見前に机上で落とせます。掃き出し窓が1枚ある6畳なら通常は問題になりませんが、小窓しかない納戸的な部屋は落ちます。
私有物収納設備——認められない3つの対応
運用要領は、認められない対応例を具体的に挙げています。
| 認められない対応 | なぜ足りないか |
|---|---|
| 押入の中を人ごとに区分けしただけ | 施錠できない |
| 個人ごとの収納ボックスを渡しただけ | 持ち出せてしまう |
| 本人のスーツケース等を収納設備として扱う | 備品の提供にあたらない |
求められるのは、一定の容量があること、施錠できること(設備側に鍵がなければ南京錠やチェーンロックで対応)、持ち出せないこと(作り付けでなければ防犯ワイヤー等で建物に固定)、そして鍵は本人が管理することです。会社や施設側が鍵を預かる運用は認められません。なお、個人ごとに施錠できる個室であれば、収納設備の施錠は不要とされています。
作り付けクローゼットに鍵がある賃貸住宅は、ほとんどありません。「鍵付き収納をどう足すか」を先に用意しておくと、そのまま提案の差になります。
避難階段は、居住人数で必要本数が変わる
| 2階以上の寝室に居住する人数 | 必要な避難階段 |
|---|---|
| 通常時15人未満 | 1箇所以上 |
| 通常時15人以上 | 2箇所以上 |
避難器具(滑り台、避難はしご、避難用タラップなど)で代替できますが、15人以上の建物では1箇所は必ず避難階段でなければなりません。避難器具で安全措置を講じる場合は本人への説明が義務づけられ、参考様式第1-15号「育成就労外国人の報酬・宿泊施設・徴収費用についての説明書」の特記事項に記載する必要があります。
戸単位で分散させる限り、この15人という閾値に触れることはまずありません。触れるのは一棟借り上げです。
戸単位で分散するか、一棟で集約するか
ここが本稿の芯です。同じ「社宅を用意する」でも、戸を散らすか一棟にまとめるかで、起動する法律のセットが変わります。
| 方式 | 主に効いてくる法令 | 実務上の重さ |
|---|---|---|
| 一般賃貸を戸単位で借り上げ(1戸1〜2人、複数物件に分散) | 賃貸借契約と運用要領の9要件 | 通常の法人契約の延長で回せる |
| 一棟または区画された施設に集約し、共同生活させる | 上記に加えて労働基準法第10章(事業の附属寄宿舎)と建築基準法第87条(用途変更)が視野に入る | 寄宿舎規則の届出、用途変更確認申請の要否判断が必要 |
受入企業は「まとめたほうが管理しやすい」と考えます。管理会社も、空きの多い一棟を丸ごと埋めたい。利害が一致したときに、いちばん事故が起きます。
「事業の附属寄宿舎」に当たると、話が変わる
宿泊施設が労働基準法第10章の「事業の附属寄宿舎」に該当する場合、寄宿舎規則の届出等を行っていること(または速やかに行うこととしていること)が認定要件に入ります。該当性は、おおむね次の3条件で判断されるとされています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 1 | 常態的に相当人数の労働者が宿泊し、共同生活の実態を備えていること |
| 2 | 独立または区画された施設であること(事業主の母屋に同居する場合は除く) |
| 3 | 事業との関連をもっていること(社宅・アパートは非該当とされる) |
3つ目が実務の分かれ目です。一般の賃貸アパートを借り上げて数人ずつ住まわせる方式は、原則として附属寄宿舎には当たらないという整理です。逆に、一棟を区画して共同生活の実態を作ると条件1と2が揃っていきます。疑義があるときは管轄の労働基準監督署に相談することが推奨されています。管理会社が判断してはいけない領域です。
建築基準法の用途変更という、見落としやすい線
建築基準法の別表第一では、共同住宅も寄宿舎も同じ(二)項に置かれています。同じ項なのだから用途変更にはならない、と考えたくなります。ですが、確認申請の要否を決めるのは別表の項ではなく、建築基準法施行令第137条の18が定める「類似の用途」の組み合わせです。同条は「下宿、寄宿舎」を一組として掲げていますが、共同住宅と寄宿舎の組み合わせは掲げていません。
したがって、共同住宅を寄宿舎として使う形に変える場合、その用途に供する部分の床面積が200平方メートルを超えるときは確認申請が必要になり得ます。4号特例の見直しで既存建築物の手続きが重くなった流れとも重なる論点です(4号特例見直しと確認申請の実務)。
最終判断は特定行政庁または指定確認検査機関です。一棟借り上げの相談が来たら、まず用途の扱いを役所に確認してから条件交渉に入る——この順番を崩さないことです。
見取り図の書き方が、そのまま審査の対象になる
提出する見取り図には、次のことを書くよう求められています。
| 記載事項 | 具体的な書き方 |
|---|---|
| 寝室として使う部分の明示 | 太枠で囲む、斜線を入れるなど |
| 居室の各辺の長さ | 見取り図内に寸法を記載 |
| 面積の算出根拠 | 計算式を見取り図の空白部分に記載するなど |
管理会社が持っている募集図面は、たいてい畳数表示で寸法が入っていません。寸法入りの図面を出せるかどうかが、そのまま案内のスピードになります。
申請時点で契約が要る、という原則と例外
原則は、認定申請の時点で契約により宿泊施設が確保されていることです。これが9月1日という日付を賃貸の締切に変えている理由です。
ただし、それが困難な特段の事情がある場合は例外が認められています。確保予定の個別具体的な宿泊施設について概要が明らかになる資料(見取り図)を作り、本人への説明を行い、その資料を添付して申請する、という手順です。認定後に別の施設へ変えた場合は、育成就労計画の変更の届出が必要になります。
本人が自己負担で別の部屋を借りたいと希望した場合も、基準を満たす限り差し支えないとされます。ただしこの場合も計画の変更届出が要り、新しい住居が基準を満たすかどうかの確認義務は実施者側に残ります。「自己負担だから関係ない」は通りません。
旧技能実習の部屋を使い続ける特例は、時限措置
技能実習法施行前から使ってきた宿泊施設で寝室が1人当たり4.5平方メートルを確保できていない場合、原則として適切な宿泊施設とは認められません。ただし、寝室以外に私有可能なスペースを別途設けるなどの取り組みにより、実質的に1人当たり4.5平方メートル以上の私有スペースが確保されていると認められる場合は、使用している間は適切とみなされる余地があるとされています。利用には機構地方事務所・支所の認定課への事前相談と、参考様式第1-15号の特記事項への記載が必要です。
重要なのは、運用要領がこの特例について「今後3年間の運用状況を踏まえた上で見直しを検討する」と明示していることです。つまり時限措置です。既存の狭い寮を抱える受入企業には、特例が縮小される前に住み替えを進める理由がある。単発ではなく数年にわたる住み替え需要として見られる部分です。
管理会社が8月中に用意する5点
| # | やること | 成果物 |
|---|---|---|
| 1 | 管理物件から、寝室が9.0平方メートル以上(2人可)と13.5平方メートル以上(3人可)の住戸を抽出する | 提案可能物件リスト |
| 2 | 抽出した住戸の寸法入り図面を、契約書添付図面や竣工図から集める | 寸法入り図面の束 |
| 3 | 窓の有効採光面積が室面積の7分の1以上あるかを机上で確認する | 採光チェック欄付きリスト |
| 4 | 鍵付き・固定式の収納をどう用意するかを決める(備え付け/後付け/固定方法) | 収納仕様の標準案と概算費用 |
| 5 | 法人契約時のオーナー説明文面を作る(複数人入居、退去時の原状回復、緊急連絡) | オーナー向け説明書のひな形 |
1から3は在庫の棚卸しなので、材料さえあれば数日で終わります。効くのは4です。鍵付き収納を標準仕様として持っている会社は、問い合わせが来た日に答えられます。
外国人入居の受入れ全般の手順は外国人入居受入れマニュアルに、在留カードの確認実務は在留カードによる本人確認に整理してあります。保証会社の選定は家賃債務保証会社の選び方を参照してください。
受入企業に言ってはいけない4つ
| 言ってはいけないこと | なぜ |
|---|---|
| 「この広さなら大丈夫です」 | 面積は要件の一部にすぎない。収納・採光・避難・衛生を満たして初めて要件を満たす |
| 「寄宿舎に当たるかは、こちらで判断できます」 | 該当性の判断は労働基準監督署の領域。疑義があれば相談するよう案内するのが正しい |
| 「同じ(二)項なので用途変更は要りません」 | 類似の用途の判定は令第137条の18による。最終判断は特定行政庁または指定確認検査機関 |
| 「特定技能に移っても同じ部屋で大丈夫です」 | 基準は4.5から7.5に上がる。移行時に基準割れする組み合わせがある |
共通しているのは、行政の判断を管理会社が先取りしないことです。断言して外れたとき損害を負うのは受入企業で、残るのは「不動産会社がそう言った」という記録だけです。
内見前チェック14項目
| # | 確認事項 | 確認先 |
|---|---|---|
| 1 | 寝室として使う部屋の実面積(床の間・押入を除く) | 寸法入り図面 |
| 2 | 予定入居人数で割って1人4.5平方メートル以上か | 机上計算 |
| 3 | 将来の特定技能移行を見込むなら7.5平方メートル以上か | 受入企業の方針 |
| 4 | 窓の有効採光面積が室面積の7分の1以上か | 図面・現地 |
| 5 | 採暖・冷房設備があるか | 現地 |
| 6 | 施錠可能・持出不可の私有物収納を設置できるか | オーナー承諾 |
| 7 | 2階以上の寝室か。居住人数と避難階段の本数 | 現地・図面 |
| 8 | 消火設備の有無と点検状況 | 管理記録 |
| 9 | トイレ・洗面所・洗濯場・浴場(近隣代替の可否含む) | 現地 |
| 10 | 就眠時間帯の異なる組が同居しないか | 受入企業のシフト |
| 11 | 立地に危険・有害・浸水等の要素がないか | ハザードマップ・現地 |
| 12 | 共同生活の実態を作る形になっていないか | 入居計画 |
| 13 | 一棟集約なら用途の扱いを役所に確認したか | 特定行政庁 |
| 14 | 複数人入居についてオーナーの書面承諾を得たか | 自社の記録 |
よくある質問
Q. 宿泊施設は受入企業の所有でなければいけませんか。
A. いいえ。自己所有である必要はなく、賃貸物件を借り上げる方法や、実施者・監理支援機関が他の者から賃借する方法でも差し支えないとされています。入国後講習の施設についても、市区町村の公民館を借りるなどの方法が可能とされています。
Q. 入国後講習の期間に泊まる施設も、同じ基準ですか。
A. 同じです。運用要領は、入国後講習の実施期間中に宿泊する施設についても9つの要件を満たす適切な宿泊施設を確保する必要があるとしています。実施施設と別に用意する場合は、両方について確認が要ります。
Q. 浴場がなくシャワーだけの物件は通りますか。
A. 運用要領は「温かく入浴できるようにし、プライバシーが守られるよう十分に配慮する」と定めており、シャワー設備がこれを満たすかは個別判断です。疑義があるときは機構地方事務所・支所の認定課への事前相談が推奨されています。管理会社が可否を断定しないでください。
Q. 夏の閑散期に法人需要を取りにいく話として使えますか。
A. 使えます。ただし9月1日は申請の受付開始日であって、需要が一度に立ち上がる日ではありません。閑散期の空室対策としての位置づけは夏の閑散期の空室対策と併せて考えるのが現実的です。
数字の出典と、書かなかったこと
| 項目 | 出典 |
|---|---|
| 施行日前申請が9月1日開始、提出先は地方事務所・支所、コールセンター0570-011-300、参考様式第1-15号、1号技能実習計画の認定申請は令和9年2月まで | 外国人技能実習機構「育成就労計画認定施行日前申請」(令和8年8月5日更新) |
| 監理支援機関許可の施行日前申請が2026年4月15日開始 | 同機構「監理支援機関許可施行日前申請」(令和8年7月10日更新) |
| 施行日2027年4月1日、法の公布日2024年6月21日 | 施行期日を定める政令、出入国在留管理庁「育成就労制度」 |
| 宿泊施設の9要件、寝室4.5平方メートル、私有物収納の要件と認められない例、避難階段の本数、見取り図の記載、申請時の確保、旧施設の特例と3年後の見直し | 出入国在留管理庁・厚生労働省「育成就労制度 運用要領」(令和8年2月公表、第4章は8月改正)、育成就労法第9条・施行規則第18条 |
| 特定技能1号の居室7.5平方メートル以上(約4.5畳以上)、ルームシェア時の計算、技能実習2号等からの移行の例外 | 1号特定技能外国人支援に関する運用要領(厚生労働省の受入れモデル事業資料に引用) |
| 外国人労働者257万1,037人、前年比26万8,450人増(11.7%)、事業所37万1,215か所(2万9,128か所増) | 厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況」令和7年10月末時点 |
| 外国人材を雇用する企業と空室・空き家オーナーのマッチング | 全国賃貸住宅新聞 2026年8月11日 |
| 畳1枚当たり1.62平方メートル以上として換算 | 不動産の表示に関する公正競争規約 |
本稿で計算した派生値は次のとおりです。1事業所あたりの外国人労働者は257万1,037人÷37万1,215か所で約6.9人、前年は230万2,587人÷34万2,087か所で約6.7人。特定技能と育成就労の面積差は3.0平方メートル、倍率は約1.67倍。畳数換算は1.62平方メートルで計算し、6畳9.72平方メートル、8畳12.96平方メートル、10畳16.20平方メートル、12畳19.44平方メートル。有効採光面積はそれぞれを7で割った値です。必要面積の9.0・13.5・18.0平方メートルも4.5の掛け算。8月13日から9月1日までは19日。
書かなかったことも明示します。分野別の上乗せ基準は扱っていません。介護・工業製品製造業・自動車整備・物流倉庫・漁業には分野ごとの追加基準があり、宿泊施設の扱いも分野告示と分野別運用要領を読まないと確定しないためです。用途変更確認申請の要否も断定していません。類似の用途の判定と200平方メートルの当てはめは特定行政庁の判断であり、既存不適格の扱いも建物ごとに違うからです。寄宿舎規則の記載事項も書いていません。労働基準監督署の所管で、管理会社が助言する領域ではありません。
制度が動く前の時期は、間違った断定がいちばん安く手に入る時期でもあります。まだ誰も実務を知らないので、それらしく言えば通ってしまう。ですがその説明は、2027年4月に現物として跳ね返ります。管理会社が売れるのは断定ではなく、寸法の入った図面と、鍵の付いた収納と、行政に確認すべき論点の一覧です。この3つは今日から用意できます。
本稿は公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別案件の認定可否を判断するものではありません。計画認定の要件は最新の運用要領と分野別資料を、寄宿舎該当性は労働基準監督署を、建築基準法上の扱いは特定行政庁をご確認ください。賃貸管理と仲介の実務はウルスタのコラムで継続的に書いています。


