改正住宅セーフティネット法(住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律)が、2025年(令和7年)10月1日に施行されました。単身高齢者や低所得者、障害のある方、子育て世帯、外国人など、これまで賃貸の入居審査で断られがちだった「住宅確保要配慮者」が安心して住まいを見つけられるよう、そして大家が安心して貸せるよう、両者の不安を制度で埋めにいく改正です。柱になるのは、終身建物賃貸借の手続き簡素化や居住支援法人による残置物処理、要配慮者が使いやすい認定家賃債務保証、そして見守りが付いた「居住サポート住宅」の新設です。多くの不動産会社の経営者がここで見落としがちなのが、これは福祉の話ではなく、単身高齢者の急増という人口動態を前にした「空室対策」と「経営の選択肢」の話だという点です。本記事は、ウルスタ代表として宅地建物取引業を営み、自社で210室規模の賃貸住宅を管理・客付けする立場から、(1)なぜ今この改正なのか、(2)何がどう変わったのか(3本柱)、(3)賃貸オーナーと不動産会社にどう効くのか、(4)施行を受けて今から始める5つの受け入れ準備、(5)管理会社として「貸せない」をどう「貸せる」に変えるか、(6)よくある質問まで、施行から約8か月が経ったいまだからこそ着手したい準備を実務目線で整理します。
なぜ今、住宅セーフティネットなのか — 2025年10月に改正法が施行された
まず事実関係を正確に押さえます。今回の改正は、2024年(令和6年)6月に公布された住宅セーフティネット法の改正に基づくもので、約1年余りの準備期間を経て、2025年(令和7年)10月1日に施行されました。住宅セーフティネット法は、低所得者・高齢者・障害者・子育て世帯・外国人など、住宅の確保に特に配慮を要する人(住宅確保要配慮者)が、民間賃貸住宅に円滑に入居できるようにするための法律です。2017年の制度創設以来、改正を重ねてきましたが、今回の改正は「大家の不安軽減」と「入居者の安全・安心の強化」の二つに重心を置いた点が特徴です。
背景にあるのは、避けようのない人口動態です。単身世帯は今後も増え続け、2030年には900万世帯に迫るとも指摘されています。持ち家率が下がり、賃貸に住み続ける高齢者が増えるなかで、「貸す側の不安」と「借りる側の困りごと」がかみ合わず、入居を断られるケースが後を絶ちませんでした。大家が単身高齢者の入居に抱く不安は、突き詰めると、孤独死とその後の残置物処理、家賃の滞納、認知症などによる近隣トラブルや火災のリスク、そして連帯保証人を立てにくいこと——おおむねこの4点に集約されます。今回の改正は、この一つひとつに対応する道具立てを用意し、「断らざるを得なかった理由」を制度で一つずつ外していくという構えになっています。不動産会社にとっては、縁遠い福祉施策に見えるかもしれませんが、空室に悩む築古物件を抱えるオーナーや、入居者の高齢化が進む管理物件を持つ会社にとっては、むしろ直球の経営テーマです。
改正の中身 — 大家と入居者の不安を埋める3本柱
国土交通省の資料や政府広報、専門家の解説をもとに、賃貸オーナーや中小不動産会社の実務に関係の深い変更点を、改正の柱に沿って整理します。今回の改正は、大きく3つの方針(3本柱)で成り立っています。
柱① 大家が貸しやすく、要配慮者が円滑に入居できる市場環境の整備
一つ目の柱は、民間の大家が安心して要配慮者に貸し出せるようにするための、いわば「貸す側の不安を外す」道具立てです。具体的には4つの仕組みが用意されました。(1)終身建物賃貸借の利用促進。通常の賃貸借契約では、入居者が亡くなると契約が相続人に承継され、相続人が判明するまで家賃の回収も解約もできず、空室のまま固定費だけが出ていく事態が起こります。これを避ける選択肢が、入居者一代限りで、死亡により契約が終了する「終身建物賃貸借」です。今回の改正では、これまで住宅ごとに必要だった認可を、事業者として認可を受けたうえで対象住宅を届け出る方式に簡素化し、使いやすくしました。(2)居住支援法人による残置物処理。入居者が亡くなり相続人が見つからない場合、大家は本来、入居者の所有物を勝手に処分できず、原状回復が進みません。改正では、都道府県知事の認可を受けた居住支援法人が、入居者からの委任に基づいて、万一のときに残置物を処理できる仕組みが加わりました。流れとしては、入居希望者と居住支援法人が残置物処理に関する契約を結び、大家はその契約を前提に賃貸借契約を結んでおく、という形が想定されています。(3)家賃債務保証業者の認定。民間賃貸のおよそ8割が家賃債務保証会社を利用しているとされますが、要配慮者は審査に通りにくいのが実情でした。改正では、要配慮者が利用しやすい保証業者を国土交通大臣が「認定保証業者」として認定し、その認定業者は独立行政法人住宅金融支援機構の家賃債務保証保険を利用できるようにして、保証のリスクを下げます。(4)生活保護受給者の家賃の代理納付の原則化。住宅扶助を本人の口座に振り込む従来の形だと、家賃以外に使われてしまう懸念がありました。改正では、生活保護の実施機関が大家へ直接支払う代理納付を原則とする形に整理されています。
柱② 居住支援法人と連携した「居住サポート住宅」の新設
二つ目の柱は、入居後の「見守り」をセットにした新しい住宅類型、「居住サポート住宅」の創設です。これは、ICT(情報通信技術)を使った安否確認サービスや、居住支援法人等による訪問などの見守り、福祉サービスへのつなぎが付帯した賃貸住宅を指します。たとえば単身高齢者の入居を想定した場合、居室の廊下などに人感センサー付きの照明を設け、一定期間反応がなければ居住支援法人に連絡が入り、訪問して生活や心身の状況が不安定になっていれば適切な福祉の窓口へつなぐ、といった運用が描かれています。大家にとっての意味は、「もしものとき、自分ひとりで抱えなくてよい」という安心です。居住サポート住宅の認定を受けると、住宅の改修について、補助対象工事費用の3分の1(一戸あたり上限50万円程度 等)の補助を受けられる仕組みも用意されています。補助の対象や金額・要件は年度や条件により異なり、公募の期日も定められているため、活用する際は最新の公募要領を必ず確認してください。なお、居住サポート住宅に入る要配慮者については、先の認定家賃債務保証業者が家賃債務保証を原則として引き受ける整理になっており、見守りと保証がワンセットで回るよう設計されています。
柱③ 住宅施策と福祉施策が連携した地域の居住支援体制の強化
三つ目の柱は、行政の縦割りを越えた連携です。これまで住宅は国土交通省、福祉は厚生労働省と所管が分かれていましたが、今回の改正で両省が共同で基本方針を策定し、住宅の提供と福祉サービスを一体で支える体制を強化することになりました。あわせて、市区町村における「居住支援協議会」の設置が努力義務化されました。居住支援協議会とは、地方公共団体・不動産関係団体・居住支援団体などが連携し、要配慮者の入居を支える地域の枠組みです。設置数は2025年度の第1四半期末で全国に163にとどまり、1741ある市区町村のすべてを覆えていないことから、努力義務化によって設置を広げる狙いがあります。国は、居住サポート住宅を施行後10年でおよそ10万戸、居住支援協議会を設けた市区町村の人口カバー率を10年で9割に、という目標も掲げています。中小不動産会社にとっては、地域の居住支援法人や協議会と顔がつながっているかどうかが、実務の差になっていくでしょう。
この改正は、大家に要配慮者の受け入れを強制する制度ではありません。入居を認めるかどうかは、所有者である大家の判断に委ねられており、セーフティネット住宅としての登録も任意です。今回増えたのは「断らざるを得なかった理由」を外すための道具——終身建物賃貸借、居住支援法人による残置物処理、認定家賃債務保証、見守り付きの居住サポート住宅——です。だからこそ不動産会社の役割は、「受け入れましょう」と押し付けることではなく、大家の不安を一つずつ分解し、それぞれに対応する道具を示して、貸す・貸さないをオーナー自身が納得して選べるようにすることにあります。なお居住支援法人の数や対応力には地域差があり、制度の細目も今後の通達やガイドラインで具体化される部分があるため、最新の情報を確認しながら案内することが大切です。
誰に、どう効くのか — 立場別の影響
一口に「住宅セーフティネット法の改正」といっても、不動産会社の関わり方は立場によって異なります。自社や顧客がどの立場に当てはまるかで、対応の優先順位が変わります。賃貸仲介・管理を念頭に、典型的な立場と、意識すべき点、いますぐの対応を表に整理しました。自社の実態に置き換えて確認してください。
| 立場 | 改正で意識すべき点 | いますぐの対応 |
|---|---|---|
| 単身高齢者が多い既存物件のオーナー | 見守り・残置物・保証の不安を制度で軽減できる | 終身建物賃貸借や居住支援法人との連携を選択肢に提示 |
| 空室・築古物件のオーナー | 受け入れ層を広げれば空室対策になる。改修補助も | 断っていた層を可視化し、居住サポート住宅の検討 |
| 賃貸仲介(客付け)の会社 | 要配慮者を断らない店として差別化・送客が増える | 認定保証・残置物条項を申込フローに組み込む |
| 管理会社(受託者の立場) | 入居後の見守り・福祉連携の窓口役を担える | 地域の居住支援法人・協議会と関係をつくる |
| 自社で物件を保有する不動産会社 | 自社が大家として制度を直接使える当事者 | 保有物件で受け入れ・改修・保証の運用を試す |
多くの中小不動産会社で効き目が大きいのは「空室・築古物件のオーナー」と「客付けの差別化」です。駅から遠い、設備が古い、家賃を下げても決まらない——そんな物件ほど、間口を広げて要配慮者を受け入れる余地があります。これまで「単身の高齢者は心配だから」と一律に見送っていた申込みを、見守りと保証と残置物処理という三点セットで受けられるなら、空室の期間を縮められます。客付けの現場でも、「ここなら相談できる」という評判は確実に送客につながります。福祉的な善意というより、需要のある層を取りこぼさないという、極めて実利的な話として捉えるのが現場感覚に近いはずです。
今から始める5つの受け入れ準備 — 「断っていた層」を「貸せる層」に変える
費用を大きくかけずに、今月から着手できる準備を5つに整理します。いずれも、いきなり全物件で受け入れを始めるのではなく、「自社が何を不安に思って断ってきたか」を棚卸しし、それぞれに対応する道具を一つずつ手元に揃えることに重点を置いています。
準備1:自社が「断ってきた層」を可視化する
まずは現状把握からです。直近1年ほどの申込みや問い合わせを振り返り、年齢・世帯・収入・保証人の有無などを理由に見送った案件が、どれくらいあったかをざっと洗い出します。断った理由を「孤独死・残置物が不安」「滞納が不安」「保証人がいない」「近隣トラブルが不安」といった項目に分けてみると、自社が本当に外すべき不安はどれなのかが見えてきます。可視化できれば、次の準備で「どの道具から揃えるか」を決められます。
準備2:地域の居住支援法人・居住支援協議会とつながる
今回の改正は、居住支援法人や居住支援協議会との連携が前提になっている部分が多くあります。残置物処理の受任、見守り、福祉へのつなぎは、自社だけでは完結しません。まずは自社の営業エリアにどんな居住支援法人があるか、居住支援協議会が設置されているかを調べ、一度顔をつないでおくことを勧めます。「もしものとき、誰に連絡すればよいか」が決まっているだけで、受け入れのハードルは大きく下がります。
準備3:認定家賃債務保証と残置物モデル契約条項を申込フローに組み込む
保証と残置物は、大家の二大不安です。要配慮者が利用しやすい認定保証業者を、自社の取り扱い保証会社の選択肢に加えられるか確認します。あわせて、入居者の死亡時に契約を解除し残置物を処理するための「残置物の処理等に関するモデル契約条項」(国が示した契約条項のひな型)を、単身高齢者の契約フローに組み込めるよう準備します。今回の改正で、この残置物処理の受任者として居住支援法人が想定されたことで、ひな型が実務で回りやすくなりました。申込・契約のテンプレートにあらかじめ織り込んでおけば、案件ごとに一から悩まずに済みます。
入居者が亡くなったあと、大家が残置物を勝手に処分すると、後でトラブルになりかねません。これを避けるため、国は、入居時に「死亡したら賃貸借契約を解除する」「残置物は指定した受任者が処理する」という内容をあらかじめ契約に盛り込むためのモデル契約条項を示しています。受任者には親族のほか、今回の改正で居住支援法人も想定されるようになりました。ポイントは、入居後に慌てて準備するのではなく、入居の時点で受任者と契約をセットしておくこと。単身高齢者の申込みが来てから探し始めると間に合わないので、保証会社の選定とあわせて、契約テンプレートに常設しておくのが実務的です。具体的な条項の適用は個別事情によるため、必要に応じて司法書士・弁護士等の専門家に確認しましょう。
準備4:終身建物賃貸借と「見守り」の選択肢をオーナーに提示する
単身高齢者の入居に不安を示すオーナーには、通常の賃貸借だけでなく、終身建物賃貸借という選択肢があることを伝えます。一代限りで、死亡により契約が終了するため、相続人が判明するまで空室が塩漬けになる事態を避けやすくなります。認可手続きが簡素化されたことも、提示しやすくなった理由です。あわせて、ICTの安否確認や居住支援法人の訪問といった「見守り」を付ける選択肢も示します。大家が一番恐れているのは「気づかないうちに最悪の事態が起き、自分ひとりで後始末を背負うこと」です。見守りで早期に異変に気づける体制があるだけで、受け入れの心理的なハードルは大きく変わります。
準備5:築古・空室物件で居住サポート住宅の認定・補助を検討する
空室の目立つ築古物件を持つオーナーには、居住サポート住宅の認定と改修補助を、空室対策の一手として検討する価値があります。見守りや福祉連携を備えた住宅として認定を受けられれば、改修費の一部に補助が見込め、要配慮者という需要層を安定して取り込めます。補助の要件・金額・公募の期日は年度や条件により変わるため、活用する場合は最新の公募要領と、地域の居住支援法人・自治体の窓口を確認したうえで、改修計画とセットで進めるのが現実的です。まずは一棟、相性のよい物件で試し、運用の勘所をつかんでから横に広げるのがおすすめです。
管理会社の実務 — 大家の不安を制度で「分解」する
住宅セーフティネット法の改正を現場で生かす鍵は、大家の漠然とした不安を、制度の道具に対応させて一つずつ分解してみせることです。「単身高齢者はちょっと……」というひと言の中には、たいてい複数の心配が混ざっています。孤独死とその後の残置物、家賃の滞納、認知症などによる近隣トラブルや火災——これらをまとめて「不安」と扱うから、結論が「やめておこう」になりがちです。そこを、孤独死・残置物には終身建物賃貸借と居住支援法人による残置物処理を、滞納には認定家賃債務保証と(生活保護なら)代理納付を、異変の早期発見には見守りを、というように、不安と道具を一対一で並べて見せる。それだけで、「全部が怖い」から「ここはこの道具で外せる」へと、会話が前に進みます。
ここで管理会社が提供できる価値は、「不安の翻訳」と「窓口になること」です。制度の名前を並べるだけでは、オーナーは動けません。自社のエリアのどの居住支援法人と組めるのか、どの認定保証が使えるのか、もしものとき誰に連絡が行くのか——その具体を示して初めて、オーナーは安心して一歩を踏み出せます。実際、当社でも築年の経った単身者向け物件で、見守りと保証と残置物処理の段取りを先に固めたうえで間口を広げたところ、長く空いていた部屋が決まり、結果として収益も安定しました。煽らず、しかし「断り続けることのコスト(空室の固定費)」も率直に伝える。福祉と実利は対立しないどころか、この改正においてはむしろ同じ方向を向いています。地域とのつながりを資産として育てていくことが、これからの賃貸管理の現場では確かな差になっていくはずです。
よくある質問
Q1. この改正で、大家は要配慮者を断れなくなるのですか。
いいえ。入居を認めるかどうかは、所有者である大家の判断に委ねられています。セーフティネット住宅としての登録も任意です。今回の改正は受け入れを強制するものではなく、「断らざるを得なかった理由」を外すための道具(終身建物賃貸借・残置物処理・認定保証・見守り)を増やすものです。受け入れの可否は、オーナーが納得して選べるよう支援するのが不動産会社の役割です。
Q2. 終身建物賃貸借とは何ですか。普通の契約と何が違うのですか。
入居者一代限りの契約で、入居者が亡くなると契約が終了する点が普通の賃貸借と異なります。通常の契約では入居者の死亡で契約が相続人に承継され、相続人が判明するまで解約も明渡しも進みません。終身建物賃貸借なら死亡で契約が終わるため、空室が長く塩漬けになる事態を避けやすくなります。今回の改正で認可手続きが簡素化され、使いやすくなりました。
Q3. 入居者が亡くなったときの残置物は、大家が勝手に片づけてよいのですか。
原則として、大家が同意なく処分することはできません。だからこそ、入居の時点で「死亡時に契約を解除し、指定した受任者が残置物を処理する」というモデル契約条項を結んでおくことが重要です。今回の改正で、この受任者として居住支援法人が想定されるようになりました。事前にこの段取りを組み込んでおけば、もしものときに居住支援法人へ連絡することで処理を進められます。
Q4. 認定家賃債務保証業者を使うと、何がよいのですか。
要配慮者は一般の保証審査に通りにくいことがありますが、認定保証業者は住宅金融支援機構の家賃債務保証保険を利用できるため、保証を引き受けやすくなります。結果として、入居者は審査が通りやすくなり、大家は滞納リスクを抑えられます。自社の取り扱い保証会社の選択肢に、認定保証業者を加えられるか確認しておくとよいでしょう。
Q5. 居住サポート住宅にすると、補助はどれくらい受けられますか。
見守りや福祉連携を備えた住宅として認定を受けると、改修について補助対象工事費用の3分の1(一戸あたり上限50万円程度 等)の補助が見込まれます。ただし、補助の対象・金額・要件・公募の期日は年度や条件によって異なります。活用する際は、必ず最新の公募要領と、地域の居住支援法人・自治体の窓口を確認してください。
Q6. 居住支援法人とは何ですか。どう探せばよいですか。
都道府県が指定する、要配慮者の住まい探しや入居後の生活を支える法人です。見守り、残置物処理の受任、福祉へのつなぎなどを担います。自社の営業エリアにどんな居住支援法人があるかは、自治体の住宅部局や居住支援協議会を通じて確認できます。一度顔をつないでおくと、いざという時の連携がスムーズになります。
Q7. 管理会社として、まず何から手をつければよいですか。
今月やるのは3つです。(1)直近1年で「断ってきた申込み」を理由別に棚卸しし、自社が外すべき不安を見極める。(2)地域の居住支援法人・居住支援協議会と顔をつなぐ。(3)認定家賃債務保証と残置物モデル契約条項を、単身高齢者の申込・契約フローに常設する。いずれも大きな費用をかけずに着手できます。
まとめ:間口を広げることが、空室と地域の双方を支える
改正住宅セーフティネット法は、大家の「孤独死・残置物・滞納・近隣トラブル」という不安に、終身建物賃貸借・居住支援法人による残置物処理・認定家賃債務保証・見守り付きの居住サポート住宅という道具を一つずつ用意し、「断らざるを得なかった理由」を外していく改正です。今から始める準備——断ってきた層の可視化、地域の居住支援法人とのつながりづくり、認定保証と残置物条項の常設、終身建物賃貸借と見守りの提示、築古物件での認定・補助の検討——は、いずれも大きな費用をかけずに着手できる実務です。単身世帯の増加は止まりません。これまで見送ってきた申込みのなかに、空室を埋める需要が確かに眠っています。受け入れの可否を決めるのは最後はオーナーですが、その判断材料を、不安と道具を一対一で並べて示せるかどうかが、不動産会社の腕の見せどころです。福祉的な善意としてではなく、需要を取りこぼさない経営判断として、そして地域の住まいを支える一員として、できる物件から一歩を踏み出していきましょう。今日も一件、丁寧に積み上げていきましょう。
ウルスタは、中小不動産会社の物件・契約・オーナー・入居者情報と対応履歴を一元管理できる業務クラウドを提供しています。要配慮者の受け入れでは、保証会社・居住支援法人・見守りの連絡先や、契約に組み込んだ残置物条項の有無など、覚えておくべき情報が増えます。日々の入力の延長でこれらを残し、もしものときに「誰に連絡すればよいか」がすぐ分かる体制づくりから始めていきましょう。
参考: 国土交通省「住宅セーフティネット制度」および「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律等の一部を改正する法律」(2024年6月公布・2025年10月1日施行) / 政府広報オンライン「改正『住宅セーフティネット法』」 / 各種報道・専門家による解説(大家の不安軽減と入居者の安全・安心強化の3本柱・終身建物賃貸借の認可手続き簡素化・居住支援法人による残置物処理・認定家賃債務保証業者と住宅金融支援機構の家賃債務保証保険・生活保護の代理納付の原則化・居住サポート住宅と改修補助〔補助対象工事費用の3分の1・一戸あたり上限50万円程度 等〕・居住支援協議会の設置の努力義務化・単身世帯が2030年に900万世帯に迫るとの指摘・民間賃貸の約8割が家賃債務保証会社を利用との令和3年度調査) / 国土交通省・法務省「残置物の処理等に関するモデル契約条項」 / いずれも2026年6月時点の公開情報


