令和8年度の賃貸不動産経営管理士試験の受験申込は、2026年9月30日23時59分で締め切られます。その翌日の10月1日から、有効期限が令和9年3月31日の有資格者の更新受付が始まります。増やす扉が閉じる日と、減らさない扉が開く日が、48時間の距離で並んでいるのが今年の8月です。本稿は、この2つの日付を管理会社の人員計画に翻訳します。
8月のカレンダーに、2つの日付が並んでいる
一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会は、令和8年度の賃貸不動産経営管理士試験について、受験申込を2026年8月3日12時に開始し、WEB申込は9月30日23時59分で締め切ると公表しています。郵送申込はさらに早く、9月24日の当日消印有効です。願書の請求そのものは9月14日12時で止まります。
同じ協議会が、更新手続きのページにこう書いています。「有効期限が令和9年3月31日の有資格者の皆様。更新手続きは令和8年10月1日から受付開始予定です。更新手続きに必要な書類は、令和8年9月末に郵送予定です。」
この2つは、まったく別の手続きです。前者は頭数を増やすための扉で、後者は頭数を減らさないための扉です。今年はそれが9月30日と10月1日に並びました。人事の担当者がいる会社なら別々に処理できますが、代表が兼務している中小の管理会社では、片方に気づいた時点でもう片方が閉まっているということが起こります。
全国賃貸住宅新聞は2026年8月12日に、協議会が2026年度版の資格ガイドブックを発行したと報じました。制度そのものは静かに回っていて、業界紙の扱いも小さい。静かな手続きほど、落としても当日は痛くありません。痛むのは、来期に事務所を1つ増やそうとした瞬間です。
【要点】経営者が今週決める3つ
| 決めること | 根拠・数字 |
|---|---|
| 誰を受験させるかを9月30日までに確定させる。試験は年1回で、落とすと次は1年後 | 令和8年度試験は11月15日(日)13時から15時の年1回。WEB申込は9月30日23時59分まで、郵送は9月24日消印有効 |
| 有効期限が令和9年3月31日の社員を洗い出す。更新案内は9月末に登録された自宅住所へ届く | 更新受付は令和8年10月1日開始。有効期間は5年で、期限を超えると失効し再度の登録手続きが必要になる |
| 合格=頭数ではないと理解する。登録実績まで判明している直近の令和6年度は、合格者7,282人に対し登録した有資格者は2,816人 | 登録率は約38.7%。差の4,466人は合格したまま資格者になっていない |
公表されている日程を、そのまま並べる
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 2026年8月3日12:00 | 令和8年度試験の受験申込受付開始(WEB・郵送とも) |
| 2026年9月14日12:00 | 郵送申込用の願書請求の締切 |
| 2026年9月24日 | 郵送申込の締切(当日消印有効) |
| 2026年9月30日23:59 | WEB申込の締切。受験上の特別措置申請もこの日まで |
| 2026年10月1日 | 資格更新の受付開始(有効期限が令和9年3月31日の有資格者) |
| 2026年11月上旬 | 受験票の発送 |
| 2026年11月15日13:00-15:00 | 令和8年度 賃貸不動産経営管理士試験(120分) |
| 2026年12月24日 | 合格発表(予定) |
| 2027年4月1日 | 資格付与 |
本稿を書いている2026年8月16日から数えると、WEB申込の締切まで45日、郵送申込まで39日、願書請求まで29日です。締切から試験日までは46日、試験日から合格発表までは39日あります。
合格者7,282人、登録2,816人。差の4,466人はどこへ行ったのか
ここで使う数字は、あえて令和7年度ではなく令和6年度のものです。理由は単純で、登録実績まで公表されている直近の年が令和6年度だからです。資格付与は毎年4月1日なので、令和7年度合格者の登録実績が確定するのは2026年4月1日以降の公表を待つことになります。
協議会は2025年4月1日に、令和6年度試験の合格者7,282人のうち2,816人を令和7年4月1日付の有資格者として登録したと発表しました。登録率は約38.7%で、4,466人が合格したまま資格者になっていません。
この数字は、管理会社の人員計画にとって決定的です。合格者は業務管理者ではありません。業務管理者になれるのは登録を済ませた賃貸不動産経営管理士であって、合格通知を持っている人ではない。社内で「今年は3人受かった」と喜んで、翌年に「業務管理者が足りない」と気づく会社は、この38.7%を知らないだけです。
| 段階 | 令和6年度の実数 | 前段階からの残存 |
|---|---|---|
| 申込者 | 33,949人 | — |
| 受験者 | 30,194人 | 88.9% |
| 合格者 | 7,282人 | 24.1% |
| 登録した有資格者 | 2,816人 | 38.7% |
令和7年度の合格者は9,370人で、前年より2,088人多い。仮に登録率が令和6年度と同じ38.7%で推移すれば、2026年4月1日付の新規資格者はおよそ3,600人という見当になります。これはあくまで当方の試算であって、公表値ではありません。確定値は協議会の発表を待ってください。
母集団の側も押さえておきます。総有資格者数(登録者数)は、令和7年4月1日時点で88,740人、令和8年4月1日時点で94,817人です。さらに協議会は令和7年4月1日の発表で、業務管理者の要件を備えた者は、2年以上の実務経験があり指定講習を修了した宅地建物取引士16,116人(同年3月5日時点)を合わせて104,856人に達したとしています。業務管理者の供給は、賃貸不動産経営管理士だけで成り立っているわけではないということです。宅建士の経路が無視できない大きさで存在します。
登録が進まない理由は、要件と費用の両方にあります。登録には管理業務に関し2年以上の実務経験か、それと同等以上と認められることが要り、登録料は6,600円(税込)です。実務経験のない合格者は、講習をもう1本受けないと登録できません。合格した時点では、まだ半分です。
申込33,949人が、資格者2,816人になるまでの目減り
同じ令和6年度で、申込者から数えると資格者になったのは約8.3%です。受験者から数えても約9.3%。申込12人につき、資格者になるのは1人という歩留まりです。
申込者36,360人のうち、実際に受験したのは31,792人。4,568人(約12.6%)が当日来ていません。受験率は87.4%で、前年の88.9%から1.5ポイント下がりました。会社が受験料を出して申し込ませた社員が、当日会場に来ないというケースが一定数含まれています。
ここから逆算すると、1人の業務管理者候補を作るために必要な申込は、統計上おおむね12人分です。事務所を1つ増やす計画があるなら、今年1人だけ申し込ませるのは薄い。中小の管理会社に12人の候補はいないので、現実的な対策は合格率と登録率を社内で上げることに絞られます。後述の5問免除講習と、登録手続きの社内フォローがその2つです。
業務管理者は「事務所ごと」であって「会社ごと」ではない
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律は、賃貸住宅管理業者に対し、営業所または事務所ごとに1名以上の業務管理者を選任することを求めています。会社に1人いればよい、という制度ではありません。そして業務管理者は、他の営業所または事務所の業務管理者を兼ねることができません。
この2つを掛け合わせると、経営上の意味は1つに収れんします。登録済みの資格者の頭数が、開ける事務所の数の上限です。支店を出す、他社から管理を承継する、M&Aで拠点が増える——いずれの場面でも、拠点の数だけ頭数が要ります。
| よくある誤解 | 実際 |
|---|---|
| 本店に業務管理者がいれば、支店は不要 | 営業所または事務所ごとに1名以上の選任が必要 |
| 1人が本店と支店を兼務すればよい | 他の営業所または事務所の業務管理者との兼任はできない |
| 試験に合格していれば選任できる | 登録を済ませた賃貸不動産経営管理士であることが要る |
| 宅地建物取引士なら自動的に選任できる | 宅建士が業務管理者要件を満たすには、別途の指定講習の修了という経路をたどる |
登録の要否そのものを含めて、賃貸住宅管理業の登録実務は賃貸住宅管理業の登録更新で整理しています。今回の論点は登録の可否ではなく、登録を維持したまま拠点を増やせるかという人員の話です。
頭数が足りないと、契約そのものが結べなくなる
業務管理者の選任は、看板の話ではありません。業務管理者を選任していない営業所または事務所では、管理受託契約を締結してはならないとされています。つまり頭数が欠けた瞬間に止まるのは、その事務所の新規受託です。
ここが実務で怖いところで、欠員は予告なく発生します。退職、異動、長期の休職、そして資格の失効。前3つは人事が把握していますが、4つ目は把握していないことがあります。更新案内が社員個人の自宅に届く仕組みだからです(後述)。
賃貸住宅管理業者は行政の監督下にあり、立入検査の対象にもなります。日常の自主点検の観点は立入検査を想定した自主点検にまとめました。業務管理者の選任状況は、真っ先に見られる項目のひとつです。
今日申し込んでも、頭数に数えられるのは2027年4月1日
ここが本稿でいちばん実務的な部分です。9月30日に申し込んだ社員が資格付与を受けるのは、2027年4月1日です。申込締切から数えて183日、およそ半年あります。
| 工程 | 時期 |
|---|---|
| 受験申込 | 2026年9月30日まで |
| 試験 | 2026年11月15日 |
| 合格発表 | 2026年12月24日(予定) |
| 登録手続き・実務講習の申込 | 合格発表の翌月以降(令和7年度は令和8年1月7日から受付開始だった) |
| 資格付与 | 2027年4月1日 |
つまり2027年4月より前に事務所を増やす計画があるなら、今年の試験では間に合いません。その場合の選択肢は、すでに登録済みの資格者を採用するか、宅地建物取引士に指定講習という別経路を通ってもらうか、開設時期をずらすかの3つです。この判断は、9月30日より前にしておく必要があります。試験に申し込むかどうかが、その判断に連動するからです。
実務経験2年がない社員には、もう1本の講習が乗る
登録の要件は、試験合格に加えて次のいずれかです。
| 経路 | 内容 |
|---|---|
| 実務経験 | 管理業務に関し2年以上の実務の経験を有すること |
| 講習 | 実務の経験を有する者と同等以上の能力を有すると認められること。実務経験2年とみなす講習の修了がこれに当たる |
新卒2年目や、営業から管理へ異動したばかりの社員は、前者を満たしません。合格しても、実務講習を受けないと登録できないということです。ここを見落とすと、12月に合格を確認して安心し、4月に「登録されていない」と気づきます。
会社側でやることは単純で、受験させる社員の実務経験年数を、申込の段階で一覧にしておくことです。2年未満の社員がいるなら、合格後に講習の受講費と時間が乗ることを、この時点で予算に入れておきます。
合格から1年あくと、さらに1本乗る
もうひとつ、期限のある要件があります。試験に合格した日から1年以上が経過してから資格登録を受けようとする者は、登録手続きの前に賃貸不動産経営管理士登録講習を受講する必要があります。
これが効くのは、過去に合格したまま登録していない社員が社内にいる場合です。前述のとおり令和6年度だけで4,466人が未登録ですから、数年分をならせば相当な人数が業界内に眠っています。中途採用の履歴書に「賃貸不動産経営管理士試験合格」とだけ書かれていたら、それは資格者ではなく合格者です。登録講習を挟まないと業務管理者に選任できません。
なお試験の合格実績そのものは生涯有効です。失われるのは資格であって、合格ではありません。だから眠っている合格者は、講習と登録料で起こせます。新規に受験させるより短いので、採用と社内調査の両面で確認する価値があります。
会場は41地域。残る6県は県外受験になる
令和8年度試験の会場は全国41地域で、令和7年度から山形県・富山県・佐賀県が追加されました。令和7年度の会場を都道府県単位で数えると38なので、3県が加わって41になる計算です。追加3県の令和7年度の申込者は山形119人・富山136人・佐賀136人の合計391人。この人たちは今年から県内で受けられます。
逆に、47都道府県のうち6県には会場がありません。会場一覧に載っていないのは秋田・山梨・福井・和歌山・鳥取・徳島で、令和7年度の申込者は105人・105人・119人・89人・77人・104人の合計599人でした。試験は日曜13時開始で12時30分までに着席が必要なので、前泊が要る地域があります。受験を勧める段階で移動費と前泊費を明示してください。費用の話をしないと、社員は自腹を警戒して申込を先延ばしにし、9月30日を過ぎます。
5問免除講習の修了者は、合格率が12.3ポイント高い
賃貸不動産経営管理士講習(試験の一部5問免除)を修了すると、試験は50問ではなく45問になります。修了年度とその翌年度が対象で、誰でも受講できます。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 一般(50問解答) | 18,395人 | 4,472人 | 24.3% |
| 免除(45問解答) | 13,397人 | 4,898人 | 36.6% |
| 全体 | 31,792人 | 9,370人 | 29.5% |
差は12.3ポイントです。免除の5問が直接効いている分もありますが、講習を受ける層はもともと準備している層でもあるので、この差をすべて講習の効果と読むことはできません。それでも、会社が受験を業務として位置づけるなら、講習の受講をセットにするのが自然だという方向は読み取れます。
実務上の注意が1つあります。受験申込の際に免除申請欄へのチェックが必要で、講習の受講・修了前に申し込む場合は「令和8年度修了(見込み含む)」にチェックを入れます。修了証の提出は不要ですが、チェックの入れ忘れは取り返しがつきません。会社が申込を代行するなら、ここが最大の事故ポイントです。
合格ラインは公表されている
令和7年度の合否判定基準は、50問中38問以上正解(管理士講習修了者は45問中33問以上正解)でした。合格率で調整する試験ではなく、素点で線が引かれています。
令和7年度の全体合格率は29.5%で、前年度の24.1%から5.4ポイント上昇しました。合格者数は9,370人で、前年度の7,282人から2,088人、28.7%の増加です。申込者は36,360人で前年度比2,411人増、受験者は31,792人で1,598人増ですから、母数の伸び以上に合格者が増えた年でした。
ただしこれを「易化した」と読んで来年の計画を立てるのは危険です。素点基準の試験は、問題の難易によって合格率が動きます。会社の計画に使えるのは合格率ではなく、絶対値としての合格ラインです。50問中38問という水準を、社員に最初に伝えるべき数字として扱ってください。
もうひとつ、合格者の平均年齢が43.0歳(前回42.0歳)だという公表値があります。この試験は新卒が入社直後に取る資格ではなく、実務を数年やった中堅層が取る資格だということです。業務管理者の候補は、いちばん現場を回している層と重なります。試験は11月15日で、9月から11月は繁忙期の入口でもある。誰の業務を誰が引き取るかまで決めないと、申込だけして当日来ない4,568人の側に回ります。
10月1日に開く、もうひとつの扉
賃貸不動産経営管理士の有効期限は5年です。有効期限までに更新手続きをしないと資格は失効します。有効期間満了の半年前にあたる10月1日から、更新手続きが可能になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 有効期限が令和9年3月31日の有資格者 |
| 受付開始 | 令和8年10月1日(予定) |
| 案内の発送 | 令和8年9月末 |
| 更新手数料 | 16,500円(税込)。うち認定証カードの発行手数料4,500円を含む |
| 更新方法 | 更新講習の受講および修了が必要 |
| 更新完了までの期間 | 約1か月から2か月 |
更新完了まで1か月から2か月かかるという点は、逆算に効きます。有効期限が3月31日で、更新完了に2か月かかるなら、実質の締切は1月末です。10月1日から1月末までの4か月が、実務上の作業期間になります。
更新案内は「登録された自宅住所」に届く
ここが、会社にとっていちばん危ない仕様です。協議会は明記しています。「更新手続き案内は、登録されている自宅住所宛てに郵送します。住所等を変更した場合や、婚姻等で氏名を変更した場合は、登録事項の変更を行ってください。」
更新申込には、この案内に記載されたIDとパスワードが必要です。つまり案内が届かなければ、社員は更新手続きを開始できません。そして案内は会社ではなく個人宅に届く。会社が管理台帳を持っていても、そこには社員の現住所の更新履歴までは載っていないことがほとんどです。
| 会社が確認すること | なぜ |
|---|---|
| 有効期限が令和9年3月31日の社員は誰か | 今年の更新対象だから |
| その社員は、登録後に引っ越していないか | 案内が旧住所に送られると届かない |
| 婚姻等で氏名が変わっていないか | 同上。登録事項変更の手続きが別にある |
| 9月末に案内が届いたかどうか | 届かない場合は受付センターへの連絡が要る |
実務としては、9月末から10月上旬に一度だけ、対象者に「届きましたか」と声をかけるだけで足ります。1分の確認で、事務所の受託停止という結果を防げます。費用対効果でこれに勝つ社内施策は、そう多くありません。
更新のeラーニングは60日、延長できない
更新講習はインターネットを利用したeラーニングで行われ、学習内容は賃貸住宅管理業の実務に関する知識全般です。受講期間は60日で、受講票に記載された認証キーを入力したログイン時から起算されます。協議会は期間延長不可と明記しています。
修了要件は、eラーニングによる修了試験に合格することです。必要機器はカメラ付きのパソコン、スマートフォン、タブレット等で、本人確認にカメラを使います。推奨ブラウザはGoogle ChromeおよびMicrosoft Edgeです。
会社として押さえるのは2点です。第一に、認証キーを入力した日が起算日なので、繁忙期に入る前に入力させるか、繁忙期を避けて入力させるかを決めること。第二に、会社支給端末にカメラがない場合の代替を用意することです。管理会社の事務所用PCは、カメラなしのデスクトップであることが珍しくありません。
失効したら、どこまで戻るのか
協議会は、有効期限を超過した場合は資格が失効し、再度登録手続きが必要になると案内しています。同時に、試験の合格実績は生涯有効とも明記しています。
この2つを合わせると、失効の損害は次のように整理できます。
| 失うもの | 失わないもの |
|---|---|
| 賃貸不動産経営管理士の資格(したがって業務管理者としての選任要件) | 試験の合格実績 |
| 更新手数料より高くつく、再度の登録手続きの手間と時間 | 実務経験そのもの |
| その事務所で新規の管理受託契約を結べる状態 | — |
試験からやり直しにはなりません。ただし、その事務所の業務管理者が1人だけで、その1人が失効した場合、復帰までの期間は選任していない状態が続きます。ここが実質的な損害です。だから欠員の怖さは、資格そのものより事務所ごとに1名という構造から来ています。
会社が負担する費用を、実額で積む
公表されている金額だけを並べます。
| 費目 | 金額 | 誰に発生するか |
|---|---|---|
| 受験手数料 | 12,000円 | 受験者全員 |
| 登録料 | 6,600円(税込) | 合格後に登録する人 |
| 新規1人あたり小計 | 18,600円 | 実務経験2年以上の合格者 |
| 更新手数料 | 16,500円(税込) | 5年ごとに有資格者 |
更新手数料16,500円には認定証カードの発行手数料4,500円が含まれるので、講習部分に相当するのは12,000円という内訳になります。有効期間が5年ですから、資格の維持費は1人あたり年3,300円という計算です。
これに、実務経験2年に満たない社員の実務講習、任意の5問免除講習、会場までの移動費と前泊費、そして受験日と講習日の人件費が乗ります。金額として大きいのは最後の1つです。資格の費用は受験料ではなく、人が現場を離れる時間です。その前提で予算を組むと、判断がぶれません。
8月中に会社がやる7つ
| やること | 期限の目安 |
|---|---|
| 1. 事務所ごとの業務管理者を一覧化し、それぞれの有効期限を書き込む | 8月中 |
| 2. 有効期限が令和9年3月31日の社員を抽出し、登録住所が現住所と一致するか本人に確認する | 8月中 |
| 3. 来期に増やす拠点の数を決め、必要な頭数との差を出す | 8月中 |
| 4. 受験させる社員を確定し、実務経験が2年以上あるかを一覧に書き込む | 9月上旬 |
| 5. 5問免除講習を受けさせるかを決める。受けさせるなら申込時のチェックを社内で二重確認する | 9月上旬 |
| 6. 郵送申込なら願書を9月14日12時までに請求し、9月24日消印までに投函する | 9月14日/9月24日 |
| 7. WEB申込を9月30日23時59分までに完了させる | 9月30日 |
1番と3番だけは、代表が自分で見てください。事務所の数と資格者の頭数の対応表は、会社の成長速度そのものです。管理戸数の推移と同じ頻度で見る価値があります。日々の管理業務の可視化については中小不動産会社のDXロードマップで整理しています。
社員に言ってはいけない4つ
| 言ってはいけないこと | 理由 |
|---|---|
| 「受かれば業務管理者になれる」 | 登録が別に要る。令和6年度は合格者7,282人のうち登録2,816人 |
| 「合格はいつでも使えるから、登録は落ち着いてからでいい」 | 合格から1年以上あくと、登録の前に登録講習が必要になる |
| 「更新は会社がやっておく」 | 更新案内は個人の登録住所に届き、申込にはその案内のIDとパスワードが要る |
| 「更新講習はいつでも受けられる」 | 受講期間は60日で、協議会は期間延長不可と明記している |
この4つは、いずれも善意で言われるのが厄介なところです。社員を安心させようとした言葉が、半年後に頭数の欠員として返ってきます。伝えるべきは安心ではなく、日付と手続きの本数です。
よくある質問
Q. 管理戸数が少なく、賃貸住宅管理業の登録をしていません。それでも受験させる意味はありますか。
A. 登録の要否と、資格者を持つ意味は別です。管理戸数が増えて登録が必要になったとき、業務管理者がいなければ登録そのものが進みません。資格の取得には最短でも申込から資格付与まで半年以上かかるので、必要になってから動くと間に合わない構造です。登録の判断そのものは賃貸住宅管理業の登録更新を参照してください。
Q. 宅地建物取引士の社員がいます。その人を業務管理者にできますか。
A. 宅建士向けには、業務管理者の要件を満たすための指定講習という経路が用意されています。宅建士であることだけで自動的に選任できるわけではありません。指定講習の修了者には、要件を更新するための講習も別にあります。どちらの経路が自社に速いかは対象社員の実務経験年数と時期によって変わるので、協議会の案内で最新の要件を確認してください。
Q. 今年の試験に社員が受かれば、2027年1月に支店を開けますか。
A. 資格付与は2027年4月1日です。2027年1月の時点では、まだ資格者ではありません。1月に開設したいなら、登録済みの資格者を採用するか、別経路を取るか、開設時期をずらすことになります。
Q. 業務管理者が1人しかいない事務所です。何を優先すべきですか。
A. その1人の有効期限の確認が最優先です。期限が令和9年3月31日なら、9月末の案内到着の確認まで含めて今年の最重要タスクになります。届かない場合の問い合わせ先として、資格更新については0476-33-6660(平日10時から17時)が公表されています。そのうえで、2人目を作る計画を9月30日までに決めてください。
数字の出典と、書かなかったこと
| 項目 | 出典 |
|---|---|
| 令和8年度の試験日11月15日、申込期間8月3日から9月30日、郵送9月24日消印、願書請求9月14日、受験手数料12,000円、登録料6,600円、会場41地域、受験票11月上旬、合格発表12月24日予定、登録要件、合格から1年経過時の登録講習 | 賃貸不動産経営管理士協議会「令和8年度 賃貸不動産経営管理士試験実施要領」 |
| 申込者36,360人、受験者31,792人、合格者9,370人、合格率29.5%、一般と免除の内訳、合否判定基準38問・33問、平均年齢43.0歳、受験率87.4%、都道府県別の申込者数 | 同協議会「令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験の概要」および実施結果総括表 |
| 令和6年度の合格者7,282人のうち2,816人が令和7年4月1日付で登録、総有資格者数88,740人、指定講習を修了した宅地建物取引士16,116人、業務管理者の要件を備えた者104,856人、令和7年度の試験会場38地域 | 同協議会プレスリリース「令和6年度賃貸不動産経営管理士試験で新たに2,816名の資格者が誕生」(2025年4月1日) |
| 総有資格者数(登録者数)94,817人(令和8年4月1日時点) | 同協議会「受験申込者数および受験者に関するデータ」 |
| 令和6年度の申込者33,949人、受験者30,194人、合格者7,282人、受験率88.9%、合格率24.1% | 同協議会「令和7年度 賃貸不動産経営管理士試験の概要」に併記された前年度実績 |
| 会場に山形・富山・佐賀が加わったこと | 令和7年度の会場38地域(上記プレスリリース)と令和8年度の会場41地域(試験実施要領)の一覧を対照して確認 |
| 2026年度版 資格ガイドブックの発行 | 全国賃貸住宅新聞 2026年8月10日(電子版 2026年8月12日) |
| 更新受付10月1日開始、案内は9月末に登録自宅住所へ郵送、有効期間5年、更新手数料16,500円(カード4,500円を含む)、eラーニング60日・延長不可、修了試験、更新完了まで約1から2か月、失効時の取扱い、問い合わせ先0476-33-6660 | 同協議会「賃貸不動産経営管理士の更新手続き」 |
| 資格付与は4月1日、業務管理者になるまでの流れ、宅建士向けの指定講習と更新講習 | 同協議会「賃貸不動産経営管理士・業務管理者になるまでの流れ」 |
| 業務管理者の設置義務と兼任の禁止、選任していない事務所での管理受託契約の禁止 | 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律および同法施行規則 |
本稿で計算した派生値は次のとおりです。令和6年度の登録率は2,816÷7,282で約38.7%、未登録は7,282−2,816で4,466人、その割合は約61.3%。申込者に対する資格者の比は2,816÷33,949で約8.3%、受験者に対しては2,816÷30,194で約9.3%、必要な申込数は33,949÷2,816で約12人。令和7年度合格者9,370人に令和6年度の登録率38.7%を当てただけの試算値が約3,600人で、これは公表値ではありません。総有資格者数の増加は94,817−88,740で6,077人。業務管理者の要件を備えた者は88,740+16,116で104,856人。令和7年度の受験しなかった人は36,360−31,792で4,568人、約12.6%。免除と一般の合格率差は36.6−24.3で12.3ポイント、前年度からの合格率上昇は29.5−24.1で5.4ポイント。会場のない県は47−41で6県、増えた会場は41−38で3地域。追加3県の令和7年度申込者は119+136+136で391人、会場のない6県は105+105+119+89+77+104で599人。新規1人あたりの費用は12,000+6,600で18,600円、更新の講習相当は16,500−4,500で12,000円、年あたりは16,500÷5で3,300円。日数は8月16日から9月30日まで45日、9月24日まで39日、9月14日まで29日、9月30日から11月15日まで46日、11月15日から12月24日まで39日、9月30日から2027年4月1日まで183日です。
書かなかったことも明示します。指定講習の受講料と日程は書いていません。宅建士向けの経路は実施回次によって条件が変わるため、協議会の最新案内で確認すべき事項だからです。5問免除講習の受講料も書いていません。同じ理由です。業務管理者に選任できないケースの網羅もしていません。欠格事由の当てはめは個別判断であり、行政の解釈に依存するためです。そして、受験を業務命令にできるかどうかにも触れていません。労務の論点であり、就業規則と個別の労働契約によるからです。
この記事の核心は、制度の解説ではありません。業務管理者の頭数は、増やすのに半年以上かかり、減るのは1日で終わるという非対称です。9月30日は増やす側の締切で、10月1日は減らさない側の開始日。この2つを同じ紙の上に並べて見ている会社は、意外なほど少ないというのが、書いていていちばん強く思ったことでした。事務所ごとの一覧に有効期限を1列足すだけで、来年の景色が変わります。
本稿は公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の選任可否や登録の要否を判断するものではありません。試験・登録・更新の要件は賃貸不動産経営管理士協議会の最新の案内を、賃貸住宅管理業の登録と監督に関する事項は国土交通省および所管の地方整備局等をご確認ください。賃貸管理と仲介の実務はウルスタのコラムで継続的に書いています。


