賃貸管理 読了 24分

7月がいちばん燃える——リチウムイオン電池の火災を、賃貸管理の側から止める

モバイルバッテリーが燃える話は、もう他人事ではありません。東京消防庁管内では2025年に382件、2026年は1.5倍のペースで増えています。出火が最も多いのは7月。ゴミ置き場、駐輪場、そして居室。賃貸管理会社が掲示と巡回と初動で何をどこまでできるのかを整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
リチウムイオン電池の火災2026|賃貸管理の予防と初動
目次

モバイルバッテリーが燃えた、という話は、もう遠くの事故ではありません。東京消防庁管内でリチウムイオン電池を搭載した製品から出火した火災は、令和7年中に382件と過去最多になりました。令和8年は5月31日までで179件、前年同期の117件から62件増えています。そして月別で最も多いのは7月です。賃貸管理をしている会社にとって、これはゴミ置き場と駐輪場と居室の話です。ウルスタ代表として自社で210室の管理を続けている立場から、掲示・巡回・初動という管理会社の手が届く範囲に限って、何をどこまでやれるのかを整理します。

【要点】数字で見る、いま起きていること

先に全体像を書きます。東京消防庁管内のリチウムイオン電池関連火災は、令和7年中に382件で過去最多。10年前の55件と比べて6.9倍です。令和8年は5月31日までで179件、前年同期比で62件増(約1.53倍)。単純に日数で割ると1日あたり1.19件のペースです。全国では消防庁の集計で令和6年に982件。そのうえで、廃棄されたバッテリーを回収中の塵芥車とごみ処理関連施設の火災は、この数字とは別に数えられています。賃貸管理にとって重いのは、後者のほうです。
指標出どころ
令和7年中の件数(東京消防庁管内)382件(過去最多)東京消防庁 令和8年7月13日
令和8年 5月31日まで179件(前年同期117件)同上(速報値)
令和7年の最多月7月・43件(月平均31.8件の1.35倍)同上
令和7年の焼損床面積1,283㎡(過去10年で最大)同上
令和7年の負傷者66人(令和8年は5月末で41人)同上
全国の件数(令和6年)982件(令和4年601件の1.63倍)消防庁 令和8年1月29日
回収中の塵芥車・ごみ処理施設(令和6年)180件(上の件数には含まれない)同上

10年で6.9倍。増え方の形を見る

件数だけを見ると「増えている」で終わってしまうので、10年分を並べます。東京消防庁管内の数字です。

火災件数
平成28年55件
平成29年56件
平成30年81件
令和元年102件
令和2年103件
令和3年140件
令和4年150件
令和5年167件
令和6年243件
令和7年382件

注目していただきたいのは、増え方が一定ではないことです。令和6年から令和7年で1.57倍。前年比で見て、この10年でいちばん急な立ち上がりが直近に来ています。過去の経験則が効かない領域に入ったと考えたほうが、実務としては安全です。

件数の内訳もあわせて見ておきます。令和7年の382件のうち建物火災は330件で、その大半(294件)は「ぼや」でした。全焼は4件、半焼は6件です。ほとんどはぼやで止まっている。ただし焼損床面積は1,283㎡と過去10年で最大で、令和8年は5月31日までで1,095㎡、5か月で前年通年の85.3%に達しています。件数の伸びより、1件あたりの被害の伸びのほうが速い形になっています。

7月がいちばん多い理由を、季節の話にしない

令和7年の月別の件数です。

件数
1月19件
2月15件
3月29件
4月24件
5月30件
6月35件
7月43件最多
8月41件
9月35件
10月42件
11月36件
12月33件

7月が43件で最多、次いで10月42件、8月41件と続きます。7月から9月の3か月で119件、年間の31.2%です。3か月は年の25%ですから、夏に偏っていることになります。

ここで「夏だから暑いので」と片づけると、対策になりません。消防庁の集計では、モバイルバッテリーの出火原因の上位に「高温下での使用、保管」が入っています。高温下というのは、気温そのものというより熱がこもる場所のことです。車内、鞄の中、直射日光のあたるコンクリートの上。賃貸管理の現場に置き換えると、屋外のゴミ置き場、駐輪場の日なた、共用廊下の隅が、それにあたります。管理会社が手を出せる場所が、そのまま危険な場所になっているということです。

全国の件数は、東京だけの話ではない

消防庁が令和8年1月29日に公表した全国調査では、次のように推移しています。

火災件数(全国)
令和4年601件
令和5年739件
令和6年982件

令和7年は1月から6月までで550件。単純に2倍すると1100件で、令和6年の982件を上回るペースです。ただしこれは単純年換算であり、上で見たとおり件数は7月以降に偏るので、実際にはもっと多くなる可能性があります。この単純計算は、あくまで大きさの感覚をつかむためのものとして扱ってください。

都道府県別では令和6年に東京都247件、大阪府98件、埼玉県59件、千葉県と神奈川県が各52件、愛知県50件です。都市部に集中していますが、これは人口と世帯数の分布におおむね沿った形で、地方だから起きないという読み方はできません

ゴミの回収中に燃えている火災は、別に数えられている

ここが本稿でいちばん伝えたい部分です。消防庁の調査は、廃棄されたリチウムイオン電池等を回収中の塵芥車およびごみ処理関連施設から出火した火災を、上の件数から除いています。つまり別枠で数えられていて、その数がこれです。

ごみ処理関連施設塵芥車合計
令和4年79件82件161件
令和5年71件100件171件
令和6年96件84件180件

令和6年は合計180件。週に3.5件、およそ2日に1件のペースで、どこかの塵芥車かごみ処理施設が燃えていることになります。令和7年は1月から6月までで115件(施設56件・塵芥車59件)です。

そしてこの火災には、必ず手前があります。誰かが、どこかのゴミ置き場に出したものが燃えている。塵芥車が燃えたとき、火元になったバッテリーがどの物件から出たものかは、多くの場合わかりません。わからないから管理会社に連絡は来ませんし、統計にも「賃貸物件から出た」とは記録されません。件数に表れない責任の空白がここにあります。

東京消防庁が公表している火災事例にも、示唆的なものがあります。ゴミとして処分するために自宅敷地内で他のごみと一緒に置いていたモバイルバッテリーが、炎天下のコンクリート上で短絡して出火したという事例です。回収される前、まだ敷地にある段階で燃えています。共同住宅であれば、それはゴミ置き場です。

「充電中」は半分以下である

「充電しっぱなしにしなければ大丈夫」という理解が広まっていますが、数字はそう言っていません。令和7年中の出火時のバッテリの状況です。

状況件数構成比
充電中174件45.5%
非充電中(待機中)143件37.4%
使用中27件7.1%
その他15件3.9%
不明23件6.0%

充電中は174件で45.5%。最も多いのは確かですが、半分には届きません。非充電中(待機中)と使用中を合わせると44.5%です。つまり置いてあるだけのバッテリーからも出ている。掲示物に「充電中はその場を離れない」とだけ書くと、置いてあるだけのものは対象外だと読まれます。書き方に注意してください。

何から出ているのか——製品別の順位

順位製品件数(令和7年中)
1モバイルバッテリ130件
2携帯電話機(スマートフォン)43件
3電動アシスト付自転車25件
4充電式カミソリ22件
5コードレス掃除機16件
6ワイヤレスイヤホン15件
7ポータブル電源14件
8電動工具11件

モバイルバッテリが130件で全体の34.0%。2位のスマートフォンの3.0倍です。3位に電動アシスト付自転車が入っているのが、賃貸管理には効きます。駐輪場です。

4位の充電式カミソリ、5位のコードレス掃除機は、居室内の話です。管理会社が直接どうこうできるものではありませんが、「モバイルバッテリーだけの問題ではない」という認識は、掲示や説明の言葉づかいに反映させたほうがよいでしょう。「充電式の製品全般」と書くほうが、実態に合っています。

出火原因の内訳と、そこから読めること

消防庁の令和6年の集計から、モバイルバッテリー(290件)の出火原因です。原因が特定されたものだけを並べます。

出火原因件数特定分の中での構成比
外部衝撃28件29.5%
高温下での使用、保管27件28.4%
製品の欠陥17件17.9%
充電方法の誤り13件13.7%
分解7件7.4%
非純正バッテリーを使用2件2.1%
水没1件1.1%

特定できたのは95件で、残りの67.2%は「その他」または「不明」です。原因が特定できない火災のほうが多いという点は、実務上そのまま受け止める必要があります。誰かの不注意を前提にした対策だけでは足りない、ということでもあります。

特定された分だけを見ると、外部衝撃と高温下での使用・保管の2つで57.9%を占めます。落とした・ぶつけた・熱いところに置いた。この3つです。裏を返せば、掲示と保管場所の見直しで手が届く範囲があるということでもあります。

製品によって原因が違うことも押さえておきます。同じ集計で、電動工具は非純正バッテリーの使用が最多(89件中39件)、携帯電話機は分解と外部衝撃が上位でした。工具は原状回復や設備工事で出入りする業者が持ち込むものですから、業者への周知という別の経路が必要になります。

ここまでを、管理会社の担当範囲に割り付ける

数字を並べただけでは動けないので、場所ごとに割り付けます。

場所誰の管理か管理会社ができること
ゴミ置き場共用部(管理会社の運用範囲)掲示・分別の受け皿・巡回。ここが本丸
駐輪場共用部充電の禁止表示、直射日光の当たる区画の見直し
共用廊下・階段共用部私物の放置排除(従来の避難経路確保と同じ理屈)
専有部(居室)入居者立ち入れない。入居時の書面と更新時の案内まで
作業中の現場工事・原状回復の業者非純正バッテリー使用の禁止を発注条件に書く
退去後の残置物状況により異なる立会い時の確認項目に入れる

この表で大事なのは、専有部に手が届かないことを最初に認めておくことです。居室内の充電の仕方を管理会社が管理することはできません。できないものをできるように書いた掲示は、守られないうえに、守らせなかった責任だけが残ります。

ゴミ置き場——いちばん近い火元

ゴミ置き場でやることは3つです。

  1. 掲示を入れ替える。「燃えないゴミ」の枠の中にリチウムイオン電池が読み込まれる書き方をやめる
  2. 受け皿を用意するか、受け皿の場所を書く。回収ボックスを置くか、自治体・家電量販店の回収場所を掲示に書く
  3. 直射日光の当たる位置に、可燃物と一緒に置かれない配置にする

3つ目は見落とされがちです。ゴミ置き場は、たいてい建物の外周にあります。夏のコンクリートの上は、気温よりずっと高くなります。東京消防庁の事例にあったとおり、炎天下のコンクリート上に置かれたモバイルバッテリーは、それだけで出火しています。屋根の有無、日照の方向、回収までの滞留時間。この3つを見てください。

不適正な排出が続く場合の特定については、賃貸物件の防犯カメラ運用で整理した手順が使えます。ただしカメラは撮れば済むものではなく、目的の特定と告知が先です。火災の原因究明という目的なら、その旨を掲示に明示してください。

掲示を入れ替える工数を、先に見積もる

「掲示を入れ替える」と書くのは簡単ですが、棟数があると一日仕事になります。1か所あたり15分(移動を除く印刷・差し替え・写真記録)、1か所あたり12戸として試算します。

管理戸数ゴミ置き場(想定)所要(分)所要(時間)
50戸4.2か所62.5分1.0時間
100戸8.3か所125.0分2.1時間
200戸16.7か所250.0分4.2時間
300戸25.0か所375.0分6.2時間

200戸で4.2時間。移動を含めれば倍は見ておくべきですが、1日2時間なら数日で一巡します。この数字は12戸に1か所という仮定に基づく目安で、実際の箇所数は物件構成で変わります。自社の物件台帳から実数を出してください。

掲示に書く内容は、5行で足りる

長い掲示は読まれません。5行に絞ります。

  1. モバイルバッテリー・充電式の製品は、燃えないゴミに出さないでください(品目を具体的に3つ以上並べる)
  2. 出し先はここです(自治体の回収場所か、建物内の回収ボックスの位置を1行で)
  3. 膨らんでいるもの、熱くなるものは、特に危険です(異常の見分け方を1行で)
  4. 回収中の車両や施設で火災になっています(なぜ駄目かの理由を1行で)
  5. 困ったら管理会社へ(連絡先。判断を入居者に丸投げしない)

外国籍の入居者が多い物件では、この5行だけでも多言語にする価値があります。品目名は絵で示すのが確実です。装飾のイラストではなく、実物の写真にしてください。

2026年4月に、捨て先の制度が変わった

掲示に「出し先」を書けるようになった背景があります。改正資源有効利用促進法が令和8年4月1日から施行されました。あわせて施行令の一部改正が令和7年12月12日に公布され、同日施行されています。

この改正で、自主回収・再資源化の対象製品に次の3つが追加されました。

  1. 電源装置(モバイルバッテリー)
  2. 携帯電話用装置(スマートフォン等)
  3. 加熱式たばこデバイス

制度としては、高い回収目標を掲げて認定を受けたメーカー等に対し、廃棄物処理法の特例(適正処理の遵守を前提に業許可を不要とする)を設けて、回収のインセンティブを与える形です。管理会社にとっての意味は単純で、「回収の受け皿が制度として整いつつある」ということです。

ただし実際にどこで回収しているかは、自治体と店舗によって違います。掲示に書く前に、自社の管理エリアの自治体のルールと、近隣の回収拠点を必ず自分で確認してください。制度ができたことと、目の前の物件の入居者が持っていける場所があることは、別の話です。

駐輪場と電動アシスト自転車

製品別3位が電動アシスト付自転車(令和7年中25件)でした。駐輪場でやることは2つです。

  1. 共用部での充電を認めるかどうかを、決めて書く。コンセントがある駐輪場では、これを曖昧にしないでください
  2. 屋根と日照を見る。バッテリーを付けたまま駐輪される前提で、直射日光の当たる区画を把握しておく

認めない場合は、代わりにどうするのかまで書く必要があります。「充電禁止」だけを貼ると、目の届かないところで延長コードが伸びます。禁止と代替はセットです。

退去時の残置バッテリー

退去立会いのときに、モバイルバッテリーや電動工具のバッテリーが残されていることがあります。これを可燃ゴミの袋に入れて業者に渡すと、そのまま塵芥車の火災になります。

立会いの手順に1行足してください。「充電式の製品・バッテリーの有無を確認し、あれば分けて記録する」。立会い全体の進め方は退去立会いマニュアルで整理していますが、この項目は追加してください。

残置物の所有権や処分の可否は、契約と状況によって変わります。勝手に捨てられない場面がある一方で、放置すれば発火のリスクが残ります。この判断は個別性が高いので、迷ったら弁護士に確認してください。本稿では「分けて記録する」までを提案します。

巡回でチェックする6点

#見るところ判断の目安
1ゴミ置き場に電池・充電式製品が混ざっていないかあれば分けて、掲示を強化する材料にする
2ゴミ置き場の直射日光と屋根夏場の午後に日が当たる面があるか
3駐輪場の延長コード・タップ1本でもあれば、充電の可否を決め直す合図
4共用廊下・階段の私物避難経路の確保と同じ基準で判断する
5消火器の設置位置と期限ゴミ置き場から取りに行ける距離か
6掲示の更新日1年以上前のままなら差し替える

5番目を入れているのは、初期消火の話につながるからです。後述しますが、負傷者がいちばん多く出ているのは初期消火のときです。消火器がどこにあるかを知らないまま近づくのが、いちばん危ない。

入居時の説明に、1枚足す

専有部には立ち入れませんが、入居時に渡す書面には書けます。1枚に収める内容はこれだけです。

  1. 充電式の製品は、燃えないゴミに出せないこと(出し先も書く)
  2. 膨らむ・熱くなる・充電できないといった異常があれば使用をやめること
  3. 製造事業者が指定していない充電器・バッテリーを使わないこと
  4. 共用部(駐輪場・廊下)での充電の可否
  5. 発火したときの連絡先(119番と管理会社の両方)

3番目は、消防庁の集計で電動工具の出火原因の最多が非純正バッテリーだったことに対応しています。個人の居室でも同じ構造です。

発火したときの初動——負傷者は初期消火で最も多い

ここは管理会社の社内教育として、いちばん重要な部分です。東京消防庁の集計で、受傷時の状況として最も多いのは「初期消火中」で、最近10年間の258人のうち90人(34.9%)です。次いで避難中が46人。燃えている電池に直接触れたり、近づきすぎて火炎にあおられたりして受傷しています。

東京消防庁が案内している手順は、次のとおりです。

  1. 煙や火花が飛び散っているときは近寄らない。火花が収まってから消火する
  2. 消火器か大量の水で消火し、あわせて119番通報する
  3. 燃えている電池は高温になっているため、直接触れず、一定の距離を保つ

「近寄らない」が最初に来ていることを、社内で共有してください。管理会社の担当者が現場に着いたとき、入居者の手前で引き下がりにくい状況になります。引き下がってよい、というより引き下がるべきだ、と事前に決めておくことが、担当者を守ります。緊急時の連絡と判断の体制は夏季休暇中の緊急対応で整理した枠組みがそのまま使えます。

消火した後に、再出火する

これはリチウムイオン電池に特有の話で、知らないと危険です。東京消防庁は、消火直後の電池は内部に電圧が残存している可能性があり、再出火する危険性があると案内しています。対処として示されているのが、水を張ったバケツ等に水没させることです。その際も熱が残っているため、直接触れないようにする、とあります。

つまり「火が消えたので片づけた」で終われません。消えたように見えた電池を、そのままゴミ袋に入れて置いておくと、二度目が来ます。共用部で発火があった場合、消防が引き上げたあとの後片づけは管理会社の仕事になりがちです。この一手順を手順書に書いておいてください。

オーナーへの説明は、費用の話から入らない

ゴミ置き場の掲示の入れ替え、回収ボックスの設置、駐輪場の区画変更。いずれも費用が発生します。ですが最初に費用の話をすると、「では今はいい」で終わります。

順番を変えてください。

  1. 件数を示す(東京消防庁管内で令和7年に382件、令和8年は5月末で179件)
  2. 場所を示す(回収中の塵芥車・施設で令和6年に180件。その手前はゴミ置き場である)
  3. この物件で何を見たかを示す(巡回で実際に混入を見つけたなら、その写真)
  4. そのうえで、費用と手順を出す

3番目があるかどうかで、話の通り方がまったく変わります。統計は説得の材料になりますが、自分の建物の写真にはかないません

管理会社としてやらないこと

やらない理由
特定の製品・メーカーを名指しで「危険だ」と言う根拠が社告・リコール情報に基づかない限り、事実に反する評価になりうる
入居者の居室に立ち入って充電状況を確認する専有部への立入りの根拠がない
発火した電池を素手で運ぶ・水をかけずに袋に入れる再出火と受傷の危険。消防の案内に反する
「保険で出ます」と断定する保険金の可否は保険会社の判断。管理会社が結論を述べる立場にない
入居者に原因の断定を伝える火災原因の調査は消防の所管。断定は後の紛争を招く
回収ボックスを置いて、そのまま放置する回収の引き取り先を確保しないまま置くと、滞留した電池の山ができる

最後の行は、実際に起きます。回収ボックスは「置く」ことより「引き取ってもらう頻度を決める」ことのほうが大事です。置く前に、引き取りの経路と頻度を先に決めてください。

よくある誤解

よく聞く話数字が示していること
充電中でなければ大丈夫令和7年中、充電中は45.5%。非充電中と使用中で44.5%を占める
モバイルバッテリーだけの問題スマートフォン、電動アシスト自転車、充電式カミソリ、掃除機、工具まで幅広い
安物を買わなければ安全特定できた原因の上位は外部衝撃と高温下での使用・保管。価格の話ではない
ぼやで済むから大した話ではない令和7年の焼損床面積は過去10年で最大。令和8年は5か月で前年の85.3%
燃えたらまず消す負傷者は初期消火中が最多(34.9%)。火花が収まるまで近寄らない
消えたら終わり再出火の危険がある。水を張ったバケツ等に水没させる案内が出ている

情報の扱いで慎重にした点

本稿を書くにあたって、意図的に書かなかったことがあります。理由とあわせて残します。

書かなかったこと理由
特定のメーカー・製品名社告・リコールの個別情報は変動する。所管の公表情報を各自で確認いただく
自治体ごとの回収ルール市区町村で異なる。管理エリアの自治体で必ず確認いただきたい
火災が起きた場合の責任の所在契約・状況・過失の有無で分かれる。個別に弁護士の確認が必要
保険金が出る・出ないの判断保険会社の領域。管理会社が結論を述べるべきではない
残置バッテリーの処分の可否残置物の扱いは契約と状況による。本稿は「分けて記録する」までにとどめた
回収ボックス設置の法的整理廃棄物処理法上の位置づけは態様で分かれる。自治体と処理業者への確認が先

件数はいずれも公表資料の値です。東京消防庁の令和7年および令和8年(1月1日から5月31日まで)の数値は速報値である旨が資料に明記されています。消防庁の全国調査は令和4年1月1日から令和7年6月30日までを対象とした集計です。年換算や構成比、1日あたりの件数、掲示の所要時間は、本稿で公表値から計算した派生値であり、公表されている数字そのものではありません。

最後にひとつだけ。この話に、劇的な対策はありません。掲示を1枚入れ替える。巡回で1か所見る。立会いに1行足す。それだけです。ただし7月と8月は、統計上いちばん多い時期です。夏が終わる前に、ゴミ置き場をひとつ見に行ってください。

賃貸管理の実務については、ウルスタのコラムで継続的に書いています。