賃貸管理 読了 9分

【2026年10月】報告命令に応じず宅建業免許取消|大阪府の処分と実務

大阪府が10月26日、報告命令に7回応じなかった宅建業者の免許を取消し。業務停止を経た経過と条文、行政から報告を求められたときに管理会社がしておくことを整理しました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
【2026年10月】報告命令に応じず宅建業免許取消|大阪府の処分と実務
目次

大阪府は2026年10月26日、府知事免許の宅地建物取引業者1社の免許を取り消しました。理由は、宅地建物取引業法第72条第1項にもとづく府の報告命令に、正当な理由なく応じなかったことです。この業者は同じ理由で2026年4月に15日間の業務停止処分を受けており、その後も3回の報告命令に応じなかったため、「情状が特に重い」として取消しになりました(大阪府の公表ページ)。この記事では、公表された内容と条文を整理し、賃貸管理・仲介の会社が行政から報告を求められたときに何をしておくかをまとめます。

発表の中身

大阪府は、府知事が宅地建物取引業者に対して行った行政処分を月ごとに公表しています(大阪府 宅地建物取引業者の行政処分)。令和8年10月分のページに掲載されたのは1件で、処分日は2026年10月26日、処分の内容は免許取消、処分理由は「報告命令の拒否」です。

公表資料(処分の内容(PDF))に書かれている理由は、次のとおりです。

  • この業者は、大阪府からの計4回(2025年11月17日付、2026年1月6日付、1月16日付、2月12日付)の、宅地建物取引業法第72条第1項の規定による報告命令に対し、正当な理由なく報告をしなかった。
  • このことが法第65条第2項第4号に該当するとして、2026年4月16日付で15日間の業務停止処分を受けた。
  • それにもかかわらず、その後も大阪府からの計3回(2026年6月22日付、7月14日付、8月17日付)の報告命令に対し、正当な理由なく報告をしなかった。
  • これは法第72条第1項に違反し、法第65条第2項第4号に該当するが、情状が特に重いため、法第66条第1項第9号に該当する。

公表資料には、府が何について報告を求めたのか(どの取引や業務についての報告か)は書かれていません。この記事でも、公表されていない事情には触れません。

2026年10月には、上場している不動産会社が役員の刑を理由に免許を取り消された例もありました(ウルスタくんコラムの解説記事)。今回は、取引上の違反ではなく「行政からの報告の求めに応じなかったこと」だけで、業務停止を経て取消しまで進んだ点が違います。

処分の経過の一覧

項目公表された内容
処分庁大阪府(大阪府知事免許の宅地建物取引業者。主たる事務所は豊中市)
処分日2026年10月26日
処分の種類免許取消処分
根拠条文宅地建物取引業法第66条第1項第9号(第65条第2項各号に該当し情状が特に重いとき)
違反とされた条文第72条第1項の規定による報告命令に、正当な理由なく報告しなかったこと(第65条第2項第4号に該当)
1回目の報告命令計4回(2025年11月17日付、2026年1月6日付、1月16日付、2月12日付)
前の処分2026年4月16日付で15日間の業務停止処分
2回目の報告命令業務停止のあとも計3回(2026年6月22日付、7月14日付、8月17日付)報告しなかった
取消しの後第5条第1項第2号により、取消しの日から5年間は免許を受けられない(聴聞の公示の日前60日以内に役員だった者も同じ)

1回目の報告命令(2025年11月17日付)から取消し(2026年10月26日)までは約11か月で、その間に報告命令は計7回出ています。

関係する条文

条文はe-Gov法令検索の宅地建物取引業法で確かめた内容です。

条文中身条文の要点
第72条第1項報告の求め・立入検査知事は区域内で宅建業を営む者に、業務について必要な報告を求め、職員に事務所へ立ち入らせ帳簿や書類を検査させることができる
第65条第2項第4号業務停止(1年以内)この法律に基づく大臣・知事の処分に違反したとき
第66条第1項第9号免許取消(必ず取り消す)第65条第2項各号に該当し情状が特に重いとき、または業務停止の処分に違反したとき
第83条第1項第5号罰金(50万円以下)第72条第1項から第3項までの規定による報告をせず、または虚偽の報告をした者
第5条第1項第2号免許の欠格(5年)第66条第1項第8号・第9号で取り消された者は、取消しの日から5年を経過するまで免許を受けられない

第72条第1項の報告の求めは、知事が「宅地建物取引業の適正な運営を確保するため必要があると認めるとき」に行えるものです。報告をしないことは、それ自体が業務停止の理由(第65条第2項第4号)になり、罰金の対象(第83条第1項第5号)にもなります。今回の処分は、業務停止のあとも報告をしなかったことを「情状が特に重い」とみて、第66条第1項第9号の取消しに進んだものです。

第66条第1項は「取り消さなければならない」と書かれており、該当すれば知事に裁量はありません。第8号・第9号での取消しは第5条第1項第2号の欠格にあたり、取消しの日から5年は免許を受けられません。法人の場合は、聴聞の期日と場所の公示の日前60日以内に役員だった人も、同じく5年は免許を受けられません。

賃貸管理の実務で何をするか

第72条第1項の報告の求めは、知事の区域内で宅建業を営むすべての者が対象です。賃貸の仲介を行う会社や、宅建業の免許を持って管理業務も行っている会社も含まれます。今回の処分から、次の5つを確かめておきます。

  1. 行政からの文書が、確実に届く先になっているか確かめる。事務所の移転や商号・役員の変更があったのに変更の届出(第9条)をしていないと、免許権者が把握している所在地と実際の事務所がずれます。郵便物を開ける担当と、行政からの文書を受け取ったら代表者に回す手順を決めておきます。
  2. 報告命令が届いたら、期限・求められている事項・提出先を一覧にする。文書に書かれた期限と項目を控え、誰がいつまでに何を集めるかを決めます。期限までにそろわない場合は、期限が来る前に文書に書かれた担当課へ連絡し、扱いを確かめます。黙って期限を過ぎることが、今回の処分の理由そのものです。
  3. 求められそうな書類を、すぐ出せる場所に置く。報告や立入検査では、業務に関する帳簿(第49条)、従業者名簿(第48条第3項)、重要事項説明書や契約書面(第35条・第37条)の控えなどが求められることがあります。物件ごと・取引ごとに探せる形で保管しておくと、短い期限でも対応できます。
  4. 業務停止を受けたら、停止の範囲と期間を社内全員に周知する。業務停止の処分に違反することも、第66条第1項第9号の取消事由です。停止期間中に新しい媒介契約や広告を出さないよう、ポータルへの掲載の停止まで含めて確かめます。
  5. 取引先や委託先の処分の有無を、免許権者の公表で確かめる。客付けを頼む仲介会社や、管理の一部を任せる会社が業務停止や取消しを受けていないかは、都道府県や地方整備局が公表している処分の一覧で確かめられます。

よくある質問

Q1. 報告命令に応じないだけで、免許が取り消されることがあるのですか

あります。報告をしないことは第65条第2項第4号の業務停止の理由になり、情状が特に重いときは第66条第1項第9号で免許を取り消さなければならないとされています。今回の例では、7回の報告命令に応じず、間に業務停止処分を1回はさんで取消しになりました。

Q2. 報告をしないと罰金もありますか

第83条第1項第5号で、第72条第1項から第3項までの規定による報告をしなかった者、または虚偽の報告をした者は、50万円以下の罰金とされています。今回の公表資料には、罰金について何も書かれていません。

Q3. 取り消された会社の役員は、別の会社で宅建業を続けられますか

第5条第1項第2号により、取り消された法人の聴聞の公示の日前60日以内に役員だった人は、取消しの日から5年を経過するまで、自分で免許を受けることができません。また、役員または政令で定める使用人のうちにこうした人がいる法人も、免許を受けられません(第5条第1項第12号)。

Q4. 期限までに資料がそろわないときはどうすればよいですか

法令には、期限の延長の手続は書かれていません。期限が来る前に、文書に書かれている担当課へ連絡して扱いを確かめるのが確実です。今回の処分は「正当な理由なく報告をしなかった」ことが理由になっています。

出典

この記事は 2026-11-04 時点の情報です。

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