2027年4月、家庭用エアコンに新しい省エネ基準(トップランナー基準)が適用され、基準を満たさない機種はメーカーが製造・出荷できなくなります。いわゆる「エアコン2027年問題」です。新基準対応モデルは従来の廉価機種より大幅に高く、2026年後半には駆け込み需要による品薄と価格上昇も懸念されています。全国賃貸住宅新聞2026年6月1日付は、エアコン価格の高騰に備えて賃貸管理会社が工事提案に動き出したと報じました。賃貸住宅にとってエアコンは、いまや照明と同じレベルの基本設備です。1台数万円の値上がりは家電の話に聞こえますが、管理戸数で掛け算すれば、これはオーナーの資金計画と管理会社の提案力の話になります。しかも、これまでの「壊れたら最安機種にすぐ交換」という運用そのものが、廉価機種の消滅と品薄で成立しなくなっていきます。本記事は、ウルスタ代表として宅建業を営み、自社で210室規模の賃貸住宅を管理・客付けする立場から、(1)制度の正確な理解と2つの誤解の整理、(2)実売価格で見る値上がりの現在地、(3)管理戸数で考えたときの影響、(4)全戸棚卸しの台帳7項目、(5)計画更新の設計5ステップ、(6)オーナー提案書のつくり方と契約上の整理、(7)募集・入居者対応への活かし方までを、少人数の会社が今日から動ける粒度で整理します。価格・在庫・補助金は変動が大きいため、実行にあたっては必ず最新情報を確認してください。
エアコン2027年問題とは — 「使えなくなる」ではなく「安い機種が買えなくなる」
まず制度を正確に押さえます。間違った理解のままオーナーに説明すると、不要な不安を煽るか、逆に必要な手当てを遅らせるか、どちらかに転びます。
2022年5月の告示改正で、目標年度が2027年度に決まっていた
根拠は省エネ法のトップランナー制度です。市場で最も省エネ性能の高い製品を基準に将来の目標値を設定し、メーカー各社に達成を求める仕組みで、経済産業省は2022年5月の告示改正により、家庭用エアコンの新しい目標基準と目標年度(2027年度)を定めました。壁掛形エアコン全体で2016年度実績比およそ13.7%のエネルギー消費効率(APF:通年エネルギー消費効率)の改善、量販帯の4.0kWクラスでは最大34.7%の改善という、過去の改定と比べても大幅な引き上げです。資源エネルギー庁は、新基準の達成により年間約280万トン(約120万世帯分に相当)のCO2削減を見込むと説明しています。つまり2027年問題は突然降ってきた話ではなく、4年前に予告されていた期限が、いよいよ来年に迫ったという話です。
義務を負うのはメーカー。市場で起きるのは「廉価モデルの消滅」
ここが最も誤解の多いポイントです。新基準の達成義務を負うのは製造事業者・輸入事業者であり、販売店や利用者ではありません。2027年4月以降、基準未達の機種はメーカーが製造・出荷できなくなりますが、それまでに出荷され市場に流通している在庫品は、2027年4月以降も購入・設置できます。一方で業界推計では、現行スタンダードモデルの約7割が新基準に届いていないとされ、販売店の情報では大手メーカーの2026年モデルでも、売れ筋の最廉価シリーズは未達のままです。メーカーは2026年度中に対応モデルへの切り替えと未達モデルの生産縮小を進めるため、賃貸の定番だった「工事費込み10万円前後のスタンダード機」は、段階的に市場から姿を消していきます。
よくある2つの誤解 — 既存機は使えるし、修理もできる
誤解の1つめは「設置済みのエアコンが2027年4月以降使えなくなる」というものです。これは誤りで、使用そのものへの規制は一切ありません。誤解の2つめは「旧モデルは修理できなくなる」というものです。これも誤りで、補修用性能部品の保有期間は業界の公正競争規約上、エアコンは製造打切り後9年が基準とされ、国内主要メーカーは実際には10年の保有を表明しています。製造終了からおおむね10年間はメーカー修理が可能です。ただし裏を返すと、製造から10年を超えた機種は部品保有期限切れで「直したくても直せない」事態が現実に増えるということでもあります。築15年前後の物件に残る設置時のエアコンは、2027年問題と関係なく、すでに修理不能リスクの圏内にいます。
慌てて全戸交換する必要はありません。ただし、故障のたびに最安機種を即日手配するという従来の運用は、廉価機種の消滅・品薄・単価上昇で確実に苦しくなります。対応の軸は「壊れたら替える」から「壊れる前に、安い時期に、計画的に替える」への切り替えです。
値上がりの現在地 — 実売価格と電気代のデータで見る
では実際、いくら変わるのか。大手設備交換業者の公開価格(2026年春時点)では、同じパナソニックの6畳用でも、新基準未達のスタンダード機(省エネ基準達成率87%)が工事費込み約12.5万円、新基準対応機(達成率100%)が約20.6万円と、現時点では2倍近い開きがあります。対応機はまだ量産初期で割高なため、この差は今後縮小する見込みですが、報道や業界推計では、最終的に廉価帯で1台あたり2〜3万円程度の上昇が目安とされています。なお、型落ちの2025年モデルは在庫限りの底値圏で、6畳用スタンダードが工事費込み10万円前後。2025年モデルと2026年モデルは機能面の違いがほぼないため、在庫があるうちは型落ちが最も合理的な選択肢です。
電気代も見ておきます。上記の6畳用の比較では、期間消費電力量が未達機717kWh、対応機630kWhで、電気料金の目安単価31円/kWhで計算すると年間約2,700円、10年間で約2.7万円の差になります。資源エネルギー庁の試算では、より大型の14畳クラスで年間約1万2,600円の差になる例も示されており、大型機ほど省エネ効果は大きくなります。ここで賃貸特有の論点がひとつ。この電気代を払うのは入居者であって、オーナーではありません。つまり高効率機の価格差はオーナーの電気代では回収できず、回収先は「募集力」と「入居者満足」になります。この構造を理解しておくと、後述のオーナー提案で説明の筋が通ります。
需給の見通しも押さえておきましょう。例年メーカーは新モデル発売まで旧モデルを作り続けますが、2027年4月以降は未達モデルを出荷できないため、2026年夏以降、未達の廉価モデルは生産・出荷が縮小し、市場在庫の奪い合いになる可能性が指摘されています。販売店は在庫があれば売れるため、底値の旧モデルから順に消えていき、選択肢が「高い対応機しか残っていない」状態に近づいていく。これが2026年後半から2027年にかけての基本シナリオです。
管理戸数で掛け算する — 1台の話ではなく資金計画の話
1台2〜3万円の値上がりは、持ち家の人にとっては数年に一度の出費の話です。しかし管理会社は台数を持っています。仮に200室を管理し、各戸に1台ずつあるとすれば200台。家庭用エアコンの設計上の標準使用期間は10年で、更新の目安は8〜12年ですから、自然体でも毎年12〜16台前後が交換期を迎える計算になります。単価が2〜3万円上がるだけで年30〜50万円の負担増。築年の近い棟がまとまって更新期に入る年は、1棟10〜20台の一斉交換で数百万円規模の支出になります。これはもう家電の買い替えではなく、外壁塗装や屋上防水と同じ「計画修繕」の世界です。
もうひとつ深刻なのがタイミングのリスクです。エアコンの故障は真夏に集中します。真夏は工事業者が最も捕まらない時期であり、2026〜2027年の夏はそこに品薄と高値が重なる、過去に例のない調達環境の悪さになり得ます。猛暑日にエアコンが直らない・替えられないという状態は、入居者の健康リスクであると同時に、設備の一部滅失等による賃料減額(改正民法611条)や退去につながる管理上の事故です。さらに、同じ棟のエアコンは同じ年に設置されているため、故障も同じ年に連鎖しやすい。「壊れてから動く」運用は、最も高く・最も遅く・最も信頼を失うタイミングで動くことを意味するようになります。
今週からやる全戸棚卸し — 設備台帳7項目と優先度ABC
対策の出発点は、自社の管理物件にいま何が付いているかを知ることです。実は多くの管理会社で、エアコンの設置年・型番は台帳化されていません。次の7項目を住戸単位で記録するところから始めます。
| # | 台帳項目 | 見るポイント | 情報源 |
|---|---|---|---|
| 1 | 設置年・経過年数 | 8年超は要注意、10年超は優先交換の候補 | 竣工図書・引渡書類・過去の交換記録 |
| 2 | 型番・製造年 | 銘板の写真を台帳に添付。製造10年超は部品保有期限切れの可能性 | 室内機側面・室外機の銘板 |
| 3 | 畳数適合(能力kW) | 能力不足は常時フル稼働になり電気代増・早期故障の原因 | 間取り図と銘板の冷房能力 |
| 4 | 修理・クレーム履歴 | 同一住戸の繰り返し故障・効きが悪いという申告は交換優先のサイン | 対応履歴・入居者からの申告記録 |
| 5 | 契約上の扱い | 設備か残置物か。募集図面の表記と契約書の整合も確認 | 賃貸借契約書・募集図面 |
| 6 | 入居状況・退去予定 | 空室・退去予定は入替の好機。入居中は在宅調整が必要 | 管理システム・解約受付 |
| 7 | オーナーの意向・資金 | 一括更新か分散か、年次予算の有無、修繕計画への組み込み状況 | オーナー面談・月次報告のやり取り |
台帳ができたら、優先度を3段階に分けます。A:設置10年超または修理歴が複数ある住戸 — 2026年度内の交換を提案(部品保有期限と品薄の両リスクから先に外す)。B:設置8〜10年 — 見積もり取得と在庫確保、夏前点検を実施(壊れたら即交換の予備軍として準備だけ済ませる)。C:8年未満 — 点検と記録のみ(慌てて触らない)。銘板の確認は、退去立会い・定期巡回・消防点検などのついでに写真を撮る運用にすれば、200室でも2〜3か月で一巡できます。完璧な台帳を作ってから動くのではなく、巡回のたびに埋まっていく台帳にするのが現実的です。
計画更新の設計 — 5つの決めごと
棚卸しができたら、更新の方針を5つの観点で設計します。どれも「決めておけば迷わない」類のものです。
決めごと1:どの部屋にどのグレードを入れるか
全室を高効率機にする必要はありません。使用時間が長いLDKやファミリー向け住戸は高効率機(電気代の差が大きく、募集訴求にもなる)、使用頻度が低い個室や回転の速い単身ワンルームは在庫の廉価モデルで十分、という使い分けが合理的です。電気代の差は使用時間に比例するため、使わない部屋に高い機種を入れても誰の得にもなりません。物件のターゲット・間取りごとに標準グレードを決めておくと、発注のたびに悩まなくて済みます。
決めごと2:いつ買うか
現時点の優先順位は明確です。第一候補は底値で機能差のない2025年モデルの在庫、それが尽きたら2026年の廉価モデルの在庫、新基準対応機は量産が進んで価格がこなれてから、という順番です。例年エアコンはお盆過ぎから値が下がりますが、今年から来年にかけては品薄リスクとの天秤になります。A判定の住戸と夏前の交換分は、待たずに今の在庫価格で確保するのが守りの選択です。
決めごと3:いつ工事するか
7〜8月は設置業者の最繁忙期で、希望日程はまず取れません。狙うべきは、退去後の原状回復と同時(在宅調整が不要で立会いも一度で済む)、そして秋〜冬の閑散期です。入居中の交換は、入居者にとっても半日の在宅拘束になるため、「無料で新しいエアコンに替わります」というメリットの伝え方と、日程の選択肢を複数示す段取りが欠かせません。年間の交換予定をカレンダーに落とし、夏をまたぐA判定だけ先行させる形が基本形になります。
決めごと4:どこから買うか
調達先は量販店・地場の設備業者・ネット系の交換業者で価格と工事品質のバランスが異なります。複数戸をまとめた一括発注での単価交渉と、2〜3社の相見積もりを標準動作にしてください。本体価格だけでなく、標準工事の範囲(配管再利用の可否・処分費)、保証年数(10年保証の有無)、繁忙期の対応力まで比較するのがポイントです。初期費用を平準化したいオーナーには、エアコンのリース・レンタルという選択肢も近年増えています。月額は割高でも、故障対応込みでキャッシュフローが読めることを好むオーナーは一定数います。
決めごと5:お金の置き場所を決める
エアコンは1台ずつ見れば小さな支出ですが、ここまで見たとおり棟単位・年単位では計画修繕と同じ規模になります。オーナーごとの年次修繕予算に「エアコン更新枠」を明示的に設けることを提案してください。大規模修繕の長期計画には屋根・外壁はあってもエアコンがないことが多く、ここが資金計画の盲点になっています。なお、交換費用の税務上の扱い(修繕費か資本的支出か、少額減価償却資産の特例の適用など)はオーナーの状況により異なるため、確定申告を見据えて税理士への確認を促すところまでがセットです。
オーナー提案のつくり方 — 「値上がりします」ではなく「計画に変えます」
オーナーへの伝え方で、同じ事実がコスト通告にも信頼獲得にもなります。提案書は次の5点構成を推奨します。(1)状況の要約 — 2027年4月の基準改定で廉価機種が消え、価格上昇と品薄が見込まれること(本記事の冒頭の整理を1枚に)。(2)対象物件の棚卸し結果 — 住戸ごとの設置年・優先度を一覧にした「設置年マップ」。(3)優先度別の概算費用 — A判定は今年度、B判定は来年度というように、いつ・何台・いくらを見える化。(4)分散更新のスケジュール案 — 退去時交換と閑散期工事を組み合わせた現実的な工程。(5)何もしなかった場合のリスク — 真夏の故障集中・品薄での割高調達・賃料減額や退去のリスク。ここまで揃えると、オーナーは「値上げの報告」ではなく「リスクを先回りした計画」として受け取れます。
電気代の説明には注意が必要です。前述のとおり、省エネ機の電気代メリットを受け取るのは入居者です。だからこそ「オーナー様の節約になります」ではなく「募集時の訴求材料と退去抑止になります」と説明するのが正確で、信頼を損ないません。電気代が上がり続けるなかで、月千円単位の光熱費差は入居者にとって実質的な家賃差です。高効率機を入れた住戸は、募集図面に年間電気代の目安差を書ける。これが価格差の回収ルートです。
契約面の整理もこの機会に行います。エアコンを「設備」とするか「残置物」とするかで、故障時の修繕義務の所在が変わります。設備なら修繕・交換は原則オーナー負担、残置物なら原則入居者の自己負担です。ただし、募集図面で「エアコン付き」と訴求しながら契約書では「残置物につき貸主は一切責任を負わない」とするような実態と矛盾した建て付けは、特約が無効と判断されるリスクがあります。残置物扱いを続けるなら募集表記とセットで整合させる、設備に切り替えるなら修繕費の予算化とセットにする。どちらの方針でも、雛形の点検は2027年を待たずにやっておくべき宿題です。補助金については、国・自治体の省エネ関連支援は年度ごとに変わり、賃貸住戸のエアコン単体が対象になる制度は限られます。断熱改修などと組み合わせる制度も含め、年度初めに自治体の窓口情報を確認する習慣をつけ、使えるときだけ使う、というスタンスが現実的です。
当社の210室でも、数年前までエアコンの設置年は「誰かがなんとなく覚えている」状態でした。台帳化のきっかけは、猛暑の盆休みに同じ棟で3台立て続けに故障し、業者がどこも捕まらず、最後は量販店の店頭在庫を定価近くで買って凌いだ経験です。以来、退去立会いのチェックリストに「銘板写真の撮影」を1行足しただけで、台帳は1年半でほぼ埋まりました。いまは設置10年超のリストを毎年春に見直し、退去が出たら「ついでに交換するか」をその場で判断できます。先回りの正体は、高度な予測ではなく、ただの記録です。
募集と入居者対応にどう活かすか
最後に、この話を守りだけでなく攻めに使う視点です。募集面では、新基準対応機や高効率機を設置した住戸は「省エネエアコン設置・年間電気代の目安〇円おトク」という具体的な訴求ができます。電気代が家計の関心事になっている局面では、築年の不利をソフト面で巻き返す数少ない材料です。入居者対応では、6月中に「冷房の試運転のお願い」を全入居者に案内してください。猛暑が来る前に不調を申告してもらえれば、品薄・繁忙期を避けて手当てできます。試運転案内は、故障の早期発見という実利に加えて、「この管理会社は先回りしてくれる」という体験そのものが解約抑止になります。そして退去が出たら、原状回復と同時の交換判断。棚卸し台帳がここで効きます。発見(台帳)→計画(分散更新)→提案(オーナー)→活用(募集・入居者対応)という一連の流れが回り出せば、2027年問題はコスト増のニュースではなく、管理品質を示す機会になります。
よくある質問
Q1. いま設置されているエアコンは、2027年4月以降も使えますか。
使えます。新基準の義務はメーカー(製造・輸入事業者)に課されるもので、設置済み機器の使用への規制はありません。買い替えを急がせる情報に接したときは、まずこの原則に立ち返ってください。
Q2. 旧モデルは修理できなくなると聞きましたが本当ですか。
誤解です。補修用性能部品はエアコンの場合、製造打切り後9年の保有が業界規約の基準とされ、主要メーカーは10年保有を表明しています。製造終了からおおむね10年はメーカー修理が可能です。逆に、製造から10年を超えた機種は部品切れで修理不能になることが現実にあるため、設置10年超の住戸を優先交換とするのが本記事の提案です。
Q3. 結局、いくら値上がりするのですか。
確定値はありませんが、報道・業界推計では廉価帯で1台2〜3万円程度の上昇が目安とされています。現時点の新基準対応機は量産初期のため、6畳用で未達機の2倍近い実売例もありますが、この差は量産とともに縮小する見込みです。むしろ確実なのは「工事費込み10万円前後の選択肢が消えていく」ことです。
Q4. 全戸をいますぐ交換すべきですか。
不要です。一斉交換は資金を傷め、まだ使える機器を捨てることになります。設置10年超・修理歴ありのA判定から順に、退去時と閑散期を使って分散更新するのが、コストとリスクのバランスが最も良い進め方です。
Q5. エアコンは設備と残置物、どちらにすべきですか。
一律の正解はありません。設備にすれば修繕義務はオーナーに残りますが募集力は上がり、残置物にすれば負担は軽い一方で訴求に使えず、矛盾した募集表記をすると特約無効のリスクがあります。物件の競争環境と、オーナーの修繕資金の体力で決め、契約書と募集図面の整合だけは必ず取ってください。
Q6. 補助金は使えますか。
国・自治体の省エネ関連補助は年度ごとに内容が変わり、賃貸住戸の家庭用エアコン単体を対象とする制度は限られます。断熱改修や給湯設備と組み合わせた制度が対象になる場合もあるため、工事をまとめる前に自治体窓口と設備業者に最新の制度を確認してください。申請期限と予算枠の確認も忘れずに。
Q7. まず何から始めればよいですか。
今週やるべきは3つです。(1)直近1〜2年のエアコン関連の修理・クレーム履歴を住戸単位で集計し、繰り返しのある住戸を洗い出す。(2)退去立会いと巡回のチェックリストに「銘板写真の撮影」を追加し、台帳化を始める。(3)設置10年超が分かっている住戸のリストを作り、夏前の点検と見積もり取得に着手する。この3つで、真夏に最悪のタイミングで慌てるリスクの大半は潰せます。
まとめ:「壊れたら最安で交換」の時代が終わる。台帳と計画で先回りする
2027年4月の新省エネ基準で、基準未達のエアコンはメーカーが製造・出荷できなくなり、賃貸の定番だった廉価機種は段階的に市場から消えていきます。値上がりは1台あたり数万円でも、管理戸数で掛け算すれば、オーナーの資金計画と管理会社の調達力が問われる経営の話です。幸い、やるべきことは難しくありません。設置年と型番を台帳にする。優先度をABCに分ける。在庫が安いうちにA判定を確保し、退去時と閑散期に工事を寄せる。オーナーには値上げの報告ではなく、設置年マップと分散更新のスケジュールを添えた計画を見せる。そして高効率機を入れた住戸は、電気代の差を募集の武器にする。どれも少人数の会社で今日から始められる実務です。エアコンの故障は、入居者の生活と健康に直結するからこそ、先回りした管理会社への信頼は大きい。2027年4月を、コスト増の年ではなく、設備管理の仕組みが一段上がった年にしていきましょう。今日も一件、丁寧に積み上げていきましょう。
ウルスタは、中小不動産会社の物件・入居者・契約書類・対応履歴を住戸単位で一元管理できる業務クラウドを提供しています。エアコンの設置年や銘板写真、修理履歴が契約情報とつながっていれば、本記事の棚卸し台帳も優先度判定も、日々の巡回記録の延長で自然に積み上がります。2027年を前に、まずは記録の置き場所から整えていきましょう。
参照: 経済産業省による省エネ法トップランナー制度に基づく家庭用エアコンの目標基準改定(2022年5月告示改正・目標年度2027年度・壁掛形全体で2016年度比約13.7%の効率改善・4.0kWクラス最大34.7%) / 資源エネルギー庁の解説(新基準達成による年間約280万トンのCO2削減見込み・電気代試算) / 全国賃貸住宅新聞2026年6月1日付「管理会社の工事提案進む」(2027年4月の省エネ基準改定に伴うエアコン価格高騰に備えた管理会社の動き) / 大手設備交換業者の公開実売価格(2026年春時点・6畳用の省エネ基準達成率87%機と100%機の価格と期間消費電力量・電気料金目安単価31円/kWhによる試算・2025年モデル在庫価格) / 家電公正取引協議会の公正競争規約に基づく補修用性能部品の保有期間(エアコン9年)と主要メーカーの10年保有の公表 / 賃貸オーナー向けメディアの解説記事(2026年4月・標準使用期間と更新目安・交換費用の目安・設備と残置物の契約整理) / いずれも2026年6月時点の公開情報