賃貸住宅管理業の登録番号は、括弧の中が「更新の回数に1を加えた数」になります。新規登録なら(1)、一度更新すれば(2)です。2026年は登録制度が初めて一斉に更新期を迎えた年で、更新を済ませた会社の番号はすでに変わっています。そしてこの番号は、管理受託契約の重要事項説明書と締結時書面と標識に印字されている。更新申請が受理された日と、書面の差し替えが終わった日は、別の日です。
更新が終わった会社に、まだ残っている作業がある
賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律が施行されたのは2021年6月15日で、登録の受付も同じ日に始まりました。登録の有効期間は5年間です。つまり最初に登録した事業者の有効期間は、2026年の6月に満了を迎えました。更新申請ができるのは有効期間満了日の90日前から30日前までの60日間で、申請がなければ満了と同時に登録は抹消されます。
この「初回の一斉更新」そのものは、当コラムでも手続きの側から扱ってきました。書類の揃え方や申請期間の逆算は賃貸住宅管理業の登録更新2026と登録更新の60日間に書いたとおりです。本稿が扱うのは、そのあとに残る作業です。
更新すると、登録番号が変わります。正確には、番号の括弧の中の数字が変わります。そして賃貸住宅管理業法は、この登録番号と登録年月日を、契約前に渡す書面と、契約時に渡す書面と、事務所に掲げる標識に書けと定めています。申請が通った瞬間、この3種類の書面はすべて古い番号のままです。
【要点】更新した会社が今週やる3つ
| やること | 根拠・数字 |
|---|---|
| 更新後の登録番号と登録年月日を、電子申請システムの通知で確認する。記憶や名刺の記載を根拠にしない | 登録番号の括弧書きには「登録の更新の回数に1を加えた数」を記入すると、国土交通省の解釈・運用の考え方が定めている |
| 重要事項説明書・締結時書面・標識の3種類を、実物で突き合わせる。ひな形ファイルだけでなく、事務所に貼ってある標識も見る | 令和7年度の立入検査で、法13条43件・法14条62件・法19条15件の指摘。合計120件は全指摘243件の49.4%にあたる |
| 差し替えの起点日を決める。更新後に新しく締結する契約から新番号にする | 法13条・法14条の義務は「締結しようとするとき」「締結したとき」に発生する。既に交付済みの書面を遡って差し替える義務は条文上ない |
括弧の中身は「更新の回数に1を加えた数」
国土交通省の「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」は、第5条関係のなかで登録番号の取扱いを4項目にわたって定めています。要点は次のとおりです。
| 定め | 内容 |
|---|---|
| 付与の順序 | 登録番号は地方整備局等の単位ではなく、全国を通して、登録をした順に付与する |
| 括弧の中身 | 括弧書きには、登録の更新の回数に1を加えた数を記入する |
| 失効した番号 | 登録が効力を失った場合の番号は欠番とし、補充は行わない |
したがって、新規登録の直後は更新回数が0回なので括弧は(1)、初回の更新を終えると(2)になります。会社名も所在地も何ひとつ変わっていないのに、番号だけが変わる。これが、見落としの温床になります。商号変更や移転なら「書面を直さなければ」と誰もが気づきますが、更新は手続きが完了したこと自体が達成感になってしまい、書面まで意識が届きません。
旧制度からの移行組は、さらに1を足す
もうひとつ、経過措置があります。2020年6月30日までに旧「賃貸住宅管理業者登録規程」に基づく登録を受けていた事業者については、括弧書きに更新の回数に2を加えた数を記入することとされています。ただしこれは2026年3月15日までに法に基づく登録の申請を行った場合に限るという条件つきで、この日付は本稿の執筆時点で156日前にあたります。
実務上の意味は単純です。自社の番号が何番であるべきかを、更新回数から自分で逆算しないこと。旧制度の実績があるかどうかで数え方が変わるうえ、条件の判定も絡みます。根拠にすべきは、電子申請システムで通知された登録内容そのものです。
その番号が刷られている場所は、少なくとも3つある
登録年月日と登録番号は、法律上どこに現れるのか。立入検査の指摘事項から逆算すると、少なくとも次の3か所が確認できます。
| 条項 | 書面 | 令和7年度の指摘の例示に含まれる文言 |
|---|---|---|
| 法第13条 | 管理受託契約の締結前の書面(重要事項説明書) | 賃貸住宅管理業者の登録年月日及び登録番号 |
| 法第14条 | 管理受託契約の締結時の書面 | 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の登録年月日及び登録番号 |
| 法第19条 | 事務所に掲げる標識 | 標識未作成、登録年月日の誤記 |
13条と14条については、指摘の例示に「登録年月日及び登録番号」がそのまま挙がっています。19条については例示の文言は「登録年月日の誤記」で、登録番号には触れられていません。ただし標識に登録年月日が記載されること自体は、この指摘から確認できます。
ここで押さえておきたいのは、13条と14条が別々の書面だという点です。重要事項説明書を直しても締結時書面は直りませんし、その逆もまた同じです。多くの会社ではこの2つが別ファイルで管理されていて、片方だけ直して安心する事故が起きます。
令和7年度の立入検査——168社を検査し、118社に是正指導
国土交通省は2026年6月5日、令和7年度の全国立入検査の結果を公表しました。本稿の執筆時点で74日前の資料です。
| 項目 | 令和7年度 | 令和6年度 |
|---|---|---|
| 立入検査を実施した事業者 | 168社 | 187社 |
| 是正指導を行った事業者 | 118社 | 127社 |
| 是正指導率(本稿で算出) | 約70.2% | 約67.9% |
| 指摘件数の合計(本稿で集計) | 243件 | 291件 |
| 是正指導1社あたりの指摘件数(本稿で算出) | 約2.06件 | 約2.29件 |
是正指導を受けた118社については、すべてにおいて是正等がなされたことを確認していると公表資料に明記されています。検査は摘発ではなく是正を目的とした運用だということが読み取れます。
検査を受けた168社の内訳も公表されています。賃貸住宅管理業のみを行う事業者が110社、管理業を行いかつ特定転貸事業者(サブリース業者)でもある事業者が57社、管理業を行っていない特定転貸事業者が1社です。合計は168社で一致します。サブリースを兼ねる事業者が全体の約33.9%を占めていることになります。
母数も見ておきます。令和7年度末時点の賃貸住宅管理業者の登録数は10,197社です。検査を受けたのは168社なので、年間で全体の約1.6%にあたります。60年に一度の計算になりますが、これを「当たらない」と読むか「当たったときに3社に2社は指摘される」と読むかで、備え方が変わります。令和6年度の検査を軸にしたセルフ監査の考え方は賃貸住宅管理業の立入検査2026にまとめてあります。
条項別の指摘件数を、前年度と並べてみる
公表資料には、法の条項ごとの指導件数が令和6年度の数値とあわせて掲載されています。そのまま並べます。
| 条項 | 内容 | 令和7年度 | 令和6年度 | 増減 |
|---|---|---|---|---|
| 法第14条 | 管理受託契約の締結時の書面の交付義務違反 | 62件 | 60件 | +2 |
| 法第13条 | 締結前の書面の交付(重要事項説明)義務違反 | 43件 | 35件 | +8 |
| 法第18条 | 帳簿の備付け等義務違反 | 32件 | 41件 | -9 |
| 法第32条 | 特定転貸事業者の書類の閲覧義務違反 | 23件 | 26件 | -3 |
| 法第17条 | 従業者証明書の携帯等義務違反 | 22件 | 42件 | -20 |
| 法第20条 | 委託者への定期報告義務違反 | 17件 | 20件 | -3 |
| 法第19条 | 標識の掲示義務違反 | 15件 | 22件 | -7 |
| 法第31条 | 特定賃貸借契約の締結時の書面の交付義務違反 | 14件 | 19件 | -5 |
| 法第16条 | 財産の分別管理義務違反 | 7件 | 7件 | 0 |
| 法第28条 | 誇大広告等の禁止義務違反 | 4件 | 6件 | -2 |
| 法第30条 | 特定賃貸借契約の締結前の書面の交付義務違反 | 4件 | 13件 | -9 |
増えたのは2条項だけ。あとは減っている
この表を、増減で分類し直します。
| 方向 | 条項数 | 該当する条項 |
|---|---|---|
| 増えた | 2条項 | 法第13条(+8)、法第14条(+2) |
| 横ばい | 1条項 | 法第16条(±0) |
| 減った | 8条項 | 法第17条、法第18条、法第19条、法第20条、法第28条、法第30条、法第31条、法第32条 |
合計は11条項です。件数で束ねると、この構図はもっとはっきりします。
| グループ | 令和7年度 | 令和6年度 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 法第13条+法第14条(管理受託契約の書面) | 105件 | 95件 | +10 |
| それ以外の9条項 | 138件 | 196件 | -58 |
| 合計 | 243件 | 291件 | -48 |
全体の指摘は48件減りました。にもかかわらず、管理受託契約の書面に関する2条項だけが10件増えている。この2条項が全指摘に占める割合は、令和6年度の約32.6%から令和7年度の約43.2%へ上がりました。
直しやすいものから直った。残ったのはひな形の中の不備
なぜこの2つだけが減らないのか。減った側の中身を見ると、性質の違いが見えてきます。
最も大きく減ったのは法第17条の従業者証明書で、42件から22件へ、約47.6%の減少です。指摘の中身は「従業者証明書の未作成、不携帯」。これは作れば直る類のもので、一度作って配れば翌年は指摘されません。法第19条の標識も同じで、貼れば直ります。法第30条は13件から4件へ、約69.2%減りました。
いっぽう13条と14条の指摘は、公表資料の例示を読むと「法定記載事項の記載不備」が中心です。これは書面のひな形そのものに埋め込まれた欠落で、性質がまったく違います。
| 指摘の性質 | 具体例 | 影響の広がり方 |
|---|---|---|
| 単発の不作為 | 従業者証明書の未作成、標識の未掲示 | その1件のみ。作れば止まる |
| ひな形の欠落 | 締結時書面に登録番号の欄がない、入居者への周知に関する事項が抜けている | そのひな形で結んだ契約すべてに及ぶ。気づくまで増え続ける |
ここが本稿の芯です。ひな形の不備は、直すまで自動的に量産される。そして登録番号の変更は、まさにひな形の中の数字を古くする出来事です。更新した会社は、放っておけば更新した瞬間から、全件が同じ不備を抱えた契約書を出し続けることになります。
法13条——重要事項説明書11項目の、その第1号
管理受託契約の締結前に説明すべき事項は、施行規則第31条で11号にわたって定められています。その第1号が「管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の商号、名称または氏名並びに登録年月日及び登録番号」です。11項目の先頭に置かれています。
残りの10項目も挙げておきます。管理業務の対象となる賃貸住宅、管理業務の内容及び実施方法、報酬並びにその支払の時期及び方法、報酬に含まれない通常必要な費用、管理業務の一部の再委託に関する事項、責任及び免責に関する事項、法第20条の規定による委託者への報告に関する事項、契約期間に関する事項、賃貸住宅の入居者に対する管理業務の内容及び実施方法の周知に関する事項、管理受託契約の更新及び解除に関する事項。
立入検査の13条の指摘例示には、登録年月日及び登録番号と並んで、この「入居者に対する管理業務の内容及び実施方法の周知に関する事項」が名指しされています。抜けやすい項目です。解釈・運用の考え方は、これについてどのような方法(対面での説明、書類の郵送、メール送付等)で入居者に周知するかを記載し、説明することと求めています。「周知します」とだけ書いた書面では足りない、という趣旨です。
法14条——指摘件数が最多だったのはここ
62件で全条項中の最多です。締結時書面については、法第14条第1項各号の事項と施行規則第35条各号の事項が記載された契約書であれば、その契約書をもってこの書面とすることができるとされています。つまり多くの会社では、管理受託契約書そのものが14条書面を兼ねています。
指摘の例示に挙がっているのは次の3つです。
| 抜けやすい記載事項 | ひとことで言うと |
|---|---|
| 法第20条の規定による委託者への報告に関する事項 | オーナーに何を、どのくらいの頻度で報告するか |
| 賃貸住宅の入居者に対する管理業務の実施方法の周知に関する事項 | 入居者にどうやって伝えるか |
| 管理受託契約を締結する賃貸住宅管理業者の登録年月日及び登録番号 | 更新で変わる、あの数字 |
3つのうち2つは13条の指摘例示とも重なります。同じ穴が、前の書面と後の書面の両方に開いているということです。片方のひな形を作るときにもう片方を写しているのだから、当然といえば当然の結果です。
法19条——標識の登録年月日
標識は施行規則の別記様式第12号で定められた様式です。令和7年度の指摘は15件で、前年度の22件から7件減りました。指摘の中身は「標識未作成、登録年月日の誤記など」です。
「未作成」は減らせますが、「誤記」は更新のたびに新しく生まれます。標識は事務所の壁に貼ってあるため、ファイルサーバーを検索しても出てこないのが厄介です。ひな形の一括置換では直りません。事務所が複数ある会社は、事務所の数だけ現物があります。
あわせて確認しておきたいのが、そもそも標識を掲げるべき「営業所又は事務所」の範囲です。解釈・運用の考え方は、管理受託契約の締結、維持保全の手配、または金銭の管理の業務が行われ、継続的に賃貸住宅管理業の営業の拠点となる施設として実態を有するものが該当するとしています。いっぽう電話の取次ぎのみを行う施設や、維持保全業務に必要な物品等の置き場は該当しません。
いつから新しい番号にするのか。既存の契約は遡るのか
実務でいちばん迷うところです。条文の構造から整理します。
| 場面 | どうなるか |
|---|---|
| 更新後に新しく締結する管理受託契約 | 13条・14条の義務が発生する。新しい番号で交付する |
| 更新前に締結済みで、そのまま継続している契約 | 13条・14条の義務は「締結しようとするとき」「締結したとき」に発生するもの。交付済みの書面を遡って差し替える義務は条文上ない |
| 更新後に変更契約を締結する場合 | 13条・14条は変更契約の締結にも適用される。ただし変更のあった事項について書面の交付や説明を行えば足りる |
加えて、解釈・運用の考え方には次の定めがあります。契約の同一性を保ったままで契約期間のみを延長することや、組織運営に変更のない商号又は名称等の変更等、形式的な変更と認められる場合は、重要事項説明や締結時書面の交付を行わないこととして差し支えない。
ただし注意が必要な例外もあります。法施行前に締結された管理受託契約で、法施行後に重要事項説明を行っていない場合は、変更契約を締結しようとするときに11項目すべてについて説明を行うこととされています。2021年6月より前から続いている古い契約を抱えている会社は、ここを一度確認しておく価値があります。
結論として実務の指針はこうなります。遡及の心配より、起点日の徹底を優先する。更新の通知を受け取った日に、ひな形の差し替えと、その日以降に締結する契約は新番号で出すという運用の切り替えを、同時に済ませてください。
ついでに直す1——何も起きなかったオーナーへの報告
書面を触るなら、同じ機会に見ておきたい項目があります。法第20条の定期報告は17件の指摘でしたが、例示された中身が示唆的です。「定期報告書の一部未作成(報告事項(苦情・修繕等)の無いオーナーに対する報告省略)、定期報告の未実施など」。
つまりその期間に何も起きなかったオーナーへの報告を省略したことが、指摘の対象になっています。報告すべき事象がないことと、報告義務がないことは別だという整理です。
頻度も定められています。管理受託契約を締結した日から1年を超えない期間ごとに、および管理受託契約の期間の満了後遅滞なく報告を行う必要があります。ただし、1年を超えない期間ごとの報告が行われている期間内に期間満了に伴う更新を行う場合、その更新時における期間満了に伴う報告は不要として差し支えないとされています。
苦情の扱いも明確です。単純な問い合わせについて記録および報告の義務はありませんが、苦情を伴う問合せについては、記録し、対処状況も含めて報告する必要があります。苦情については、発生した日時、申し出た者の属性、内容、対応状況等を把握可能な限り記録することが求められます。
ついでに直す2——帳簿の契約年月日
法第18条は32件で、前年度の41件から9件減りました。例示は「帳簿における契約年月日の未記載、法定帳簿の作成・整理方法の不備など」です。
契約年月日という、契約書を見れば必ず書いてある情報が帳簿から漏れる。これは転記の運用が属人化しているときに起きます。帳簿の記載事項のうち、解釈・運用の考え方が補足しているものを挙げます。
| 記載事項 | 補足されている内容 |
|---|---|
| 契約の対象となる賃貸住宅 | 所在地及び物件の名称、部屋番号、委託の対象となる部分及び附属設備 |
| 受託した管理業務の内容 | 法第2条第2項の管理業務に限らず、管理受託契約で規定する委託業務の内容も含めて記載することが望ましい |
| 報酬の額 | 報酬だけでなく、業者が一時的に支払い後に賃貸人から受ける水道光熱費や備品購入費等も含む |
ついでに直す3——従業者証明書は誰に持たせるのか
42件から22件へと最も大きく減った項目ですが、範囲の誤解が残りやすいところです。解釈・運用の考え方は次のように整理しています。
| 対象 | 携帯義務 |
|---|---|
| 賃貸住宅管理業者の責任の下に、賃貸住宅管理業に従事する者 | あり |
| 直接の雇用関係にあるが、内部管理事務に限って従事する者 | なし |
| 一時的に業務に従事する者 | あり。ただし証明書の有効期間は業務に従事する期間に限って発行する |
従業者であることを表示する方法は証明書による方法に統一するとされています。名刺や社員証で代替することはできません。
分別管理は7件で横ばい。口座を分けるだけでは足りない
法第16条だけが7件から7件へ、まったく動きませんでした。件数は少ないものの、指摘の中身は重い部類です。例示は「管理業務において受領する家賃等の金銭を管理するための口座と自己の固有財産を管理するための口座と明確に区分していない」。
ここで見落とされやすいのが、口座の分離だけでは要件を満たさないという点です。解釈・運用の考え方は、口座を別とした「上で」、管理受託契約ごとに金銭の出入を区別した帳簿を作成する等により勘定上も分別管理する必要があるとしています。口座は1つでも、帳簿の側で契約ごとに分かれていなければなりません。
いっぽう、現実的な運用も認められています。家賃等を管理する口座にその月分の家賃をいったん全額預け入れ、そこから固有財産の口座へ管理報酬分を移し替えるといった、一方の口座に両者が同時に預入されている状態が生じることは差し支えないとされています。ただし速やかに移し替えることが前提です。また賃貸人に家賃等を確実に引き渡すことを目的として、適切な範囲において、管理業者の固有財産のうち一定額を家賃等の口座に残しておくことも差し支えないとされています。
更新に要る費用と、失効したときに要る費用
金額の差が、期限管理の動機になります。
| 手続き | 金額 |
|---|---|
| 更新申請(オンライン) | 18,000円 |
| 更新申請(書面) | 18,700円 |
| 新規登録(登録免許税) | 90,000円 |
更新申請を落として登録が抹消されると、次は新規登録になります。オンラインの更新18,000円に対して新規登録は90,000円で、差は72,000円、倍率にして5倍です。しかも金額以上に痛いのは時間で、登録申請に対する処分の標準処理期間は90日とされています。管理戸数200戸以上の事業者は登録なしに賃貸住宅管理業を営むことができないため、この空白は営業の空白に直結します。
あわせて、登録後の届出期限も確認しておきます。登録事項に変更があったときは、変更があった日から30日以内に届出が必要です。廃業等の場合も30日以内です。また1年以上業務を行っていないときは、登録取消しの対象となります。
更新後30日でやる9項目
| # | やること | 確認の観点 |
|---|---|---|
| 1 | 電子申請システムの通知で、更新後の登録番号と登録年月日を確定させる | 記憶・名刺・過去の書面を根拠にしない |
| 2 | 管理受託契約 重要事項説明書のひな形を差し替える | 規則第31条第1号。11項目の先頭 |
| 3 | 管理受託契約書(14条書面を兼ねる場合)のひな形を差し替える | 指摘件数が最多の条項 |
| 4 | 全事務所の標識を現物で確認し、作り直す | ファイル検索では見つからない。事務所の数だけある |
| 5 | サブリースを行っている場合、特定賃貸借契約の重要事項説明書と契約書も確認する | 法第30条・第31条。検査対象168社の約33.9%が兼業 |
| 6 | 会社案内・ウェブサイト・パンフレットの登録番号表記を洗い出す | 法定書面ではないが、古い番号が残ると説明の整合が崩れる |
| 7 | 新番号の適用開始日を決め、営業と契約事務に周知する | 締結日ベースで切り替える |
| 8 | ついでに13条・14条の法定記載事項を全項目突き合わせる | 入居者への周知、オーナーへの報告の2項目を特に |
| 9 | 次回の有効期間満了日をカレンダーに登録する | 申請できるのは90日前から30日前までの60日間のみ |
やりがちな誤解4つ
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 「更新が受理されたので、手続きは終わった」 | 登録番号が変わっている。書面3種類が古いまま残る |
| 「登録番号は変わらない。会社は何も変わっていないのだから」 | 括弧書きには更新の回数に1を加えた数を記入すると定められている |
| 「重要事項説明書を直したから大丈夫」 | 13条と14条は別の書面。締結時書面のほうが指摘件数は多い(62件) |
| 「何も起きなかったオーナーには報告しなくてよい」 | 報告事項のないオーナーへの報告省略が、指摘の例示に挙がっている |
よくある質問
Q. 更新後、既に交付済みの重要事項説明書を全オーナーに再交付する必要がありますか。
A. 法第13条・第14条の義務は、契約を締結しようとするとき、および締結したときに発生するものです。交付済みの書面を遡って差し替えることを求める規定は条文上ありません。優先すべきは、更新後に新しく締結する契約から確実に新番号にすることです。ただし個別の契約について変更契約を締結する予定がある場合は、その際の取扱いを所管の地方整備局等に確認してください。
Q. 管理戸数が200戸未満で、任意で登録しています。義務は軽くなりますか。
A. 軽くなりません。解釈・運用の考え方は、登録を受けた場合は管理戸数が200戸未満であっても、他の登録業者と同様に法第2章の規制に服すると明記しています。違反した場合は業務停止等の監督処分や罰則の対象になります。いっぽうで、登録により社会的信用の向上につながることが見込まれるとも書かれています。
Q. 標識はどの事務所に掲げればよいですか。
A. 管理受託契約の締結、維持保全の手配、または金銭の管理の業務が行われ、継続的に営業の拠点となる実態を有する施設が対象です。電話の取次ぎのみを行う施設や、資材置き場は該当しません。判断に迷う拠点がある場合は、実際にそこで契約締結や維持保全の手配を行っているかどうかで切り分けてください。
Q. 立入検査はいつ来るのか、事前に分かりますか。
A. 本稿で扱った公表資料には、選定の基準も事前通知の有無も記載されていません。分かるのは、令和7年度に168社が検査を受け、そのうち118社が是正指導を受けたという結果だけです。是正指導を受けた118社すべてで是正が確認されていることから、運用の目的が是正にあることは読み取れます。
Q. 業務管理者の要件も更新と関係しますか。
A. 賃貸住宅管理業の登録更新と、業務管理者個人の資格の有効期限は、別々の期限です。業務管理者は営業所または事務所ごとに選任が必要で、こちらの期限管理は業務管理者2026にまとめてあります。2つの期限を1枚の表に並べておくことをおすすめします。
数字の出典と、書かなかったこと
| 項目 | 出典 |
|---|---|
| 令和7年度の立入検査168社・是正指導118社・118社すべてで是正確認、内訳(管理業のみ110社、管理業かつ特定転貸57社、管理業を行わない特定転貸1社)、条項別の指導件数11条項、令和6年度の187社・127社および条項別件数、登録数10,197社(令和7年度末時点) | 国土交通省「賃貸住宅管理業者及び特定転貸事業者への全国立入検査結果(令和7年度)について」(2026年6月5日)概要版および詳細版 |
| 登録番号の括弧書きは更新の回数に1を加えた数、旧登録規程からの移行者は2を加えた数(2026年3月15日までに申請した場合に限る)、全国通しで登録順に付与、失効した番号は欠番、規則第31条の11項目、法第14条と規則第35条、標準処理期間90日、営業所又は事務所の範囲、従業者証明書の携帯範囲、帳簿の記載事項、分別管理の方法、定期報告の頻度と苦情の記録、形式的な変更の取扱い、200戸未満で登録した場合の規制、更新手数料18,000円・18,700円、登録免許税90,000円 | 国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(令和5年3月31日施行) |
| 登録の有効期間5年、更新申請は満了日の90日前から30日前まで、申請がない場合は満了と同時に登録抹消、登録義務は管理戸数200戸以上、変更の届出は30日以内、廃業等の届出は30日以内 | 国土交通省「賃貸住宅管理業法に係る登録申請方法等について」 |
| 法の施行日2021年6月15日、登録受付の開始日 | 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律および国土交通省の同ページ |
本稿で算出した派生値は次のとおりです。是正指導率は118÷168で約70.2%、前年度は127÷187で約67.9%。指摘件数の合計は令和7年度が43+62+7+22+32+15+17+4+4+14+23で243件、令和6年度が35+60+7+42+41+22+20+6+13+19+26で291件、差は48件。是正指導1社あたりでは243÷118で約2.06件、291÷127で約2.29件。検査を受けた割合は168÷10,197で約1.6%。法第13条・第14条・第19条の合計は43+62+15で120件、全体に占める割合は120÷243で約49.4%。法第13条と第14条の合計は令和7年度が105件、令和6年度が95件で、全体に占める割合はそれぞれ105÷243で約43.2%、95÷291で約32.6%。それ以外の9条項は243−105で138件、291−95で196件、差は58件減。サブリースを兼ねる割合は57÷168で約33.9%。内訳の検算は110+57+1で168。法第17条の減少率は20÷42で約47.6%、法第30条は9÷13で約69.2%。費用差は90,000−18,000で72,000円、倍率は90,000÷18,000で5倍。日数は2026年3月15日から本稿の日付まで156日、2026年6月5日から74日、更新申請の窓は90−30で60日間です。
書かなかったことも明示します。更新後の登録年月日がどの日付になるかは書いていません。更新された登録の有効期間は従前の有効期間の満了日の翌日から起算することが法に定められていますが、書面に記載すべき「登録年月日」としてどの日を用いるかについて、本稿が確認した公表資料からは断定できませんでした。ここは必ず、電子申請システムで通知された登録内容そのものを根拠にしてください。数字を推測で埋めることが、この記事が扱っている失敗そのものだからです。
また、立入検査の対象事業者がどう選ばれるかは書いていません。公表資料に記載がないためです。是正指導に従わなかった場合の処分の実例も書いていません。令和7年度は118社すべてで是正が確認されており、資料に該当する事例がありません。特定転貸事業者側の条項(法第28条から第32条)は、件数の提示にとどめ、実務の詳細には踏み込んでいません。サブリースは契約構造そのものの論点が大きく、書面の記載事項だけを切り出すと誤解を招くためです。
この記事の核心は、法令の解説ではありません。更新という手続きは、完了した瞬間に別の作業を生むという構造です。申請が通れば達成感がありますし、実際に登録は継続されます。ところがその同じ瞬間に、社内の書面が一斉に古くなる。立入検査で増えている2条項が、どちらも「ひな形に埋まった記載不備」だったことは、この構造をよく説明していると思います。単発のミスは直せば止まりますが、ひな形のミスは直すまで増え続けます。更新の通知を受け取った日に、ひな形を開く。それだけのことです。
本稿は公表資料にもとづく一般的な整理であり、個別の登録内容や書面の適否を判断するものではありません。登録番号・登録年月日の表記や届出の要否は所管の地方整備局等に、書面の記載事項の解釈は国土交通省の公表資料をご確認ください。賃貸管理と仲介の実務はウルスタのコラムで継続的に書いています。


