賃貸管理 読了 22分

妥協は消えるのに、水まわりの不満だけ増える——令和7年度住宅市場動向調査を賃貸管理の側から読む

入居者に「何が不満ですか」と正面から聞いた統計が出ました。賃貸だけ、住んでから不満が増える項目が3つあります。浴室、台所、そして断熱です。内見のときには飲み込めたはずのものが、なぜ住んだあとに効いてくるのか。募集図面と原状回復の順番を組み替える話として読みます。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
住宅市場動向調査2026|賃貸で後から効く不満3つ
目次

入居者に「この部屋の何が不満ですか」と正面から聞いた統計が、はじめて出ました。国土交通省が令和8年7月17日に公表した令和7年度 住宅市場動向調査です。「満足していないもの」という設問は、この年度から新設されました。そして数字を並べると、民間賃貸だけが他の5区分と違う形をしています

この夏に出た調査で、賃貸だけが違っていた

賃貸管理をしていると、入居者の本音は退去のときにしか聞こえてきません。それも「転勤で」「実家に戻るので」という表向きの理由に隠れて、本当は何が嫌だったのかは分からないまま原状回復に入ります。

その本音に近いものが、統計として出ました。令和8年7月17日公表の令和7年度住宅市場動向調査です。この年度から「建築・購入・入居した住宅に満足していないもの」という設問が新設されました。国土交通省の報道発表でも、新設した項目として真っ先に挙げられています。

本稿は、この調査のうち民間賃貸住宅入居世帯の数字だけを取り出して、募集と原状回復の実務に落とします。持家の話は、賃貸との対比に必要な範囲でしか使いません。

【要点】賃貸の入居者調査で見えた3点

見えたこと数字
満足していない人の割合が、6区分でいちばん高い「特になし」は民間賃貸が29.7%で最低。他5区分の平均38.2%より8.5ポイント低い
入居後に不満が増えるのは3項目だけ浴室+2.7/台所+1.9/気密性・断熱性能+1.8ポイント。他はすべて減るか横ばい
会社の名前では選ばれていない選択理由「信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから」は民間賃貸6.8%。注文住宅53.1%の12.8分の1以下

3つ目は耳が痛い数字です。ただしこれは「賃貸仲介に価値がない」という話ではありません。選ばれる理由が会社ではなく物件に置かれている、という構造の話です。だからこそ物件側の情報の出し方が効きます。

調査の素性——25回目、令和6年度に入居した世帯

数字を使う前に、何を測った統計なのかを押さえます。

項目内容
実施国土交通省住宅局。平成13年度から毎年度実施し、令和7年度は25回目
対象2024年4月から2025年3月までに住み替え・建て替え・リフォームを行った世帯
賃貸の調査地域三大都市圏(首都圏・中京圏・近畿圏)。注文住宅と既存住宅は全国
賃貸の対象住宅個人や民間企業が賃貸目的で建築した住宅。社宅などの給与住宅、公的住宅、学生アパートは除く
抽出と方法国勢調査の世帯数をもとに調査地点を抽出(ランダムエリアサンプリング法)し、訪問留め置き調査
調査期間令和7年9月1日から令和7年12月9日まで
集計推計・母集団復元はいずれも行っていない

ここで大事なのは「学生アパートを除く」「三大都市圏」の2点です。地方の学生向け物件を多く扱っている会社は、そのまま自社に当てはめないでください。それでも、水まわりの数字の形は参考になります。

満足していない人がいちばん多いのは、賃貸だった

「満足していないもの」を複数回答で聞き、何も挙げなかった人が選ぶのが「特になし」です。この割合が高いほど、不満が少ないことになります。

住宅の種類特になし 
注文住宅32.9%
分譲戸建住宅35.2%
分譲集合住宅40.0%
既存(中古)戸建住宅38.3%
既存(中古)集合住宅44.4%
民間賃貸住宅29.7%最も低い

民間賃貸が29.7%で最も低く、最も高い既存(中古)集合住宅の44.4%とは14.7ポイント離れています。

持家は自分で選び、自分で金を出したものですから、不満を言いにくいという心理は働くはずです。それでも構造としては、賃貸の入居者がいちばん多く不満を挙げているという結果になりました。

「特になし」29.7%をどう読むか

裏を返すと、無回答1.4%を除いたおよそ7割の入居世帯が、何かしら不満を挙げているということです。

これは実務者としては、むしろ扱いやすい数字だと考えています。「特に不満はない」と言われると打ち手がありません。不満が言語化されているなら、順番をつけて潰していけます。

不満の1位は家賃。ただし2位と3位が水まわり

満足していないもの(民間賃貸住宅入居世帯・複数回答)割合
価格・家賃(予定より高くなった)17.3%
浴室の設備、広さ16.1%
台所の設備、広さ15.3%
住宅の広さ14.9%
間取り、部屋数13.2%
交通の利便性10.2%
職場からの距離7.1%
気密性、断熱性能6.4%
生活利便性5.6%
防犯性能5.4%
住宅のデザイン4.7%
治安の良さ1.9%
自然災害に対する安全性1.7%
特になし29.7%

1位が家賃なのは、想像どおりだと思います。問題は2位が浴室の設備・広さで16.1%、3位が台所の設備・広さで15.3%だったことです。この2つを足すと31.4ポイントになり、家賃17.3%の1.8倍です。

広さ14.9%や間取り13.2%より上に、水まわりが来ています。

持家では、水まわりは上位に来ない

同じ設問を、住宅の種類ごとに並べます。

住宅の種類浴室の設備、広さ台所の設備、広さ
注文住宅4.6%4.2%
分譲戸建住宅5.8%5.5%
分譲集合住宅3.7%5.2%
既存(中古)戸建住宅9.1%7.5%
既存(中古)集合住宅7.7%6.4%
民間賃貸住宅16.1%15.3%

持家5区分では、浴室はいずれも1割を切るか、既存戸建の9.1%が最大です。賃貸の16.1%は、持家5区分の平均6.2%の2.6倍。台所も同様に2.6倍でした。

つまり水まわりへの不満は、住宅一般の話ではありません。賃貸に固有の現象です。

妥協したものと、住んだあとの不満を並べる

この調査には「住宅選択にあたり妥協したもの」という設問もあります。同じ世帯群に、同じ調査票で聞いたものです。決めるときに飲み込んだもの住んでから不満に残ったものを、並べて引き算できます。

項目妥協した満足していない
価格・家賃28.6%17.3%−11.3
住宅の広さ17.1%14.9%−2.2
間取り、部屋数15.3%13.2%−2.1
台所の設備、広さ13.4%15.3%+1.9
浴室の設備、広さ13.4%16.1%+2.7
交通の利便性11.5%10.2%−1.3
職場からの距離10.8%7.1%−3.7
生活利便性10.8%5.6%−5.2
住宅のデザイン7.6%4.7%−2.9
防犯性能5.4%5.4%±0.0
気密性、断熱性能4.6%6.4%+1.8
自然災害に対する安全性3.1%1.7%−1.4
治安の良さ2.0%1.9%−0.1
特になし19.3%29.7%+10.4

まず全体の傾向として、「特になし」が+10.4ポイント増えています。決めるときには何かを妥協した人でも、住んでみると「まあ、いいか」に落ち着く。とくに価格・家賃は−11.3ポイントと、下がり幅が最大でした。高いと思って契約しても、住めば慣れる、ということです。

増えたのは3つだけ——浴室・台所・断熱

減る項目ばかりのなかで、増えたのは3項目だけです。

項目妥協した満足していない
台所の設備、広さ13.4%15.3%+1.9
浴室の設備、広さ13.4%16.1%+2.7
気密性、断熱性能4.6%6.4%+1.8

浴室、台所、気密性・断熱性能。ほかは横ばいの防犯性能を除いて、すべて下がっています。

内見で飲み込めるものと、住んで効いてくるもの

この3つに共通するのは、内見の15分では評価しきれないという性質です。

内見で判定できるもの住んでからしか分からないもの
広さ、間取り、部屋数浴槽に浸かったときの窮屈さ、洗い場の水はね
駅からの距離、周辺環境コンロが2口で足りるか、まな板を置く幅があるか
デザイン、内装の色冬の朝の室温、結露、夏の西日で上がる室温
家賃と初期費用の総額光熱費が毎月いくらになるか

左の列は、決めるときに一度きり判断すれば済みます。右の列は毎日使うたびに再評価される。だから住んだあとに順位が上がるのだと考えると、数字の形と合います。

そして右の列は、そのまま退去理由になりうるものです。夏の閑散期にできる手当ての整理は夏の閑散期の空室対策にまとめています。

選ぶときも、水まわりで選んでいる

ややこしいのは、水まわりが選ぶ理由でもあることです。

設備等に関する選択理由(民間賃貸住宅入居世帯・複数回答)割合
間取り、部屋数65.8%
住宅の広さ55.3%
台所の設備、広さ32.9%
住宅のデザイン30.4%
浴室の設備、広さ27.3%
防犯性能の高さ11.8%
高気密・高断熱住宅6.8%
火災・地震・水害などに対する安全性の高さ6.2%

台所32.9%と浴室27.3%は、間取り65.8%・広さに次ぐ位置にあります。一方で高気密・高断熱は6.8%しかありません。断熱は選ぶ理由にはなっていないのに、住んだあとの不満としては増えるということです。

だから水まわりは二重に効いている

整理すると、こうなります。

項目選ぶ理由になるか住んだあとの不満実務での扱い
台所・浴室なる(32.9%/27.3%)増える募集でも退去防止でも効く。最優先
気密性・断熱性能なりにくい(6.8%)増える募集では響かない。退去防止として投資する
広さ・間取りなる(65.8%)減る募集で正確に伝えるのが仕事。改修対象ではない
家賃なる(45.8%)大きく減る納得して決めれば、住んだあとは効きにくい

水まわりだけが、募集にも退去防止にも同時に効く位置にあります。改修予算に限りがあるオーナーへの提案順序は、この表がそのまま根拠になります。

実務1:募集図面の水まわりの情報量を増やす

多くの募集図面で、水まわりは「バス・トイレ別」「独立洗面台」「2口コンロ」といった条件表示で終わっています。選ぶ理由の3割前後を占める要素の情報量としては、明らかに足りていません。

足すもの理由
浴室の内寸(洗い場の幅と浴槽の長さ)「1216」などの規格表示は入居者に伝わらない。センチで書く
キッチンの天板の幅と、まな板を置ける空きの実寸写真では奥行きの感覚が伝わらない
コンロの口数と、持ち込みか設置済みかの別持ち込みの場合、入居後の不満に直結する
浴室乾燥・追い焚き・シャワーの高さ調整の有無毎日使う機能ほど、後から効く
洗濯機置き場の防水パンの内寸入らなかった、が起きる。問い合わせ削減にもなる

これは費用ゼロで、今日から変えられます。採寸して書き足すだけです。そして写真は、水まわりだけ枚数を倍にしてください。

実務2:原状回復の優先順位を不満の出る順に組み替える

原状回復の見積りは、たいてい面積の大きい順に組まれます。クロス、床、ハウスクリーニング。水まわりはクリーニングで済ませ、設備交換は「まだ使えるので」と見送られます。

この調査の数字を根拠にすると、順番を変える理由が立ちます。

従来の順組み替え後根拠
クロス全面水まわりの機能部品(シャワーヘッド、混合水栓、シャワー高さ調整)不満2位・3位。単価が低く効果が出やすい
床材キッチンの作業スペース(天板の延長、吊戸棚の位置)選ぶ理由32.9%かつ不満15.3%
ハウスクリーニングクロス・床(従来どおり)デザインは不満4.7%で下位

混合水栓とシャワーヘッドの交換は、部材と工賃を合わせても数万円の世界です。クロス全面より安く、毎日触られます。単価と接触頻度の積で並べ替える、というのが本稿の提案です。敷金精算そのものの手順は原状回復と敷金精算に分けて書いています。

断熱は「見えない不満」として扱う

気密性・断熱性能は、選ぶ理由としては6.8%しかないのに、住んだあとの不満は6.4%まで上がります(+1.8ポイント)。

これは募集で訴求しても決まりにくく、放置すると退去理由になる、という最も扱いにくい形です。実務としては次のように整理しています。

やることやらないこと
内窓・断熱シートなど、単価の低い対策から入れる断熱を募集の主たる訴求にする
入居中の光熱費の相談を、退去シグナルとして拾う数値等級を入居者に説明して納得させようとする
更新のタイミングで、結露と寒さの有無を聞く全戸一斉の大規模改修をいきなり提案する

省エネ性能表示そのものの募集での使い方は省エネ性能ラベルと空室にまとめました。本稿の数字は、ラベルは決め手にならないが、住んだあとには効くという補助線として読んでいただくのが正確です。

会社は選ばれていない——信頼できる業者だから、は6.8%

住宅の種類信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから
注文住宅53.1%
分譲集合住宅24.8%
分譲戸建住宅19.0%
既存(中古)集合住宅16.9%
既存(中古)戸建住宅9.5%
民間賃貸住宅6.8%

民間賃貸は6.8%。およそ14.7人に1人しか、会社を理由に挙げていません。

注文住宅53.1%との差が意味すること

注文住宅は53.1%で、賃貸の7.8倍です。数千万円を預ける相手は会社で選び、月額の住まいは物件で選ぶ。当然といえば当然の結果です。

ここから引き出すべき結論は2つあると考えています。

読み方実務での意味
賃貸仲介で企業ブランドを訴求しても、決定要因になりにくい広告費を会社名の露出に配分するより、物件情報の精度に配分する
選ばれる理由が物件側にあるなら、物件情報の質がそのまま競争力になる他社と同じ図面を出している限り、価格でしか差がつかない

本稿の実務1で挙げた採寸の話は、この構造から出てきています。会社で選ばれないなら、物件の説明で選ばれるしかありません。

選ばれた理由の上位3つを、会社は動かせるか

住宅の選択理由(民間賃貸住宅入居世帯・複数回答)割合
価格/家賃が適切だったから45.8%
住宅の立地環境が良かったから37.6%
交通の利便性が良かったから34.2%
職場から近かったから27.6%
住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから27.3%
昔から住んでいる地域だったから12.4%
親・子供などと同居した、または近くに住んでいたから10.5%
信頼できる住宅メーカー/不動産業者だったから6.8%
一戸建/マンションだから6.3%
子育てに適した環境だったから4.7%
災害発生リスクの低い地域だったから3.7%

上位は家賃45.8%、立地37.6%、交通の利便性34.2%。いずれも会社の努力では動かせない要素です。立地は建った時点で決まり、家賃は相場で決まります。

動かせるのは5位の「住宅のデザイン・広さ・設備等が良かったから」27.3%と、その中身である設備の伝え方だけです。数字が示しているのは、戦える場所がそこに限られているという現実でした。

賃貸はデジタル化がいちばん遅れている

もうひとつ、実務者として無視できない数字があります。

住宅の種類電子契約オンライン重説VR・AR内見
注文住宅27.1%15.6%5.5%
分譲戸建住宅11.6%5.8%1.0%
分譲集合住宅11.5%6.3%7.4%
既存(中古)戸建住宅3.6%2.0%0.0%
既存(中古)集合住宅5.4%8.9%2.6%
民間賃貸住宅2.2%3.9%0.8%

民間賃貸の電子契約は2.2%で、6区分でいちばん低い数字です。注文住宅の27.1%とは12.3倍の開きがあります。

電子契約2.2%、オンライン重説3.9%、VR内見0.8%

IT重説は賃貸から社会実験が始まり、賃貸で先に本格運用されました。それでもオンライン重説は3.9%です。VRを使った内見は0.8%で、ほぼ使われていません。

ここは読み方が2通りあります。

読み方妥当性
賃貸は取引額が小さく、対面でも手間が知れているので不要一定の説得力がある。ただし遠隔地からの申込みでは説明がつかない
供給側が用意していないので、使いようがない本調査は入居者側への設問であり、この可能性は否定できない

どちらにせよ、使っている会社が少ないほど差別化要因としては効きます。IT重説の手順そのものはIT重説の実務ガイドにまとめています。

ネットを使っていない21.5%を切り捨てない

インターネット等の活用(民間賃貸住宅入居世帯・複数回答)割合
インターネットを通じた情報収集71.5%
インターネットを通じた問い合わせ、内見・資料等の申込み25.9%
インターネット等の活用経験はない21.5%
オンラインでの重要事項説明3.9%
オンライン会議システムを活用した物件説明、商談2.5%
電子署名等を活用した電子契約2.2%
VRまたはARツールを活用した物件内見0.8%

見落とされがちなのが「インターネット等の活用経験はない」21.5%です。およそ4.7人に1人。ポータルサイトに載せて終わりにすると、この層には届きません。

店頭の物件票、既存入居者からの紹介、地域の掲示。デジタル化の話とオフラインの導線は、片方を捨てる関係にはありません。

8月にやるなら、この3つだけ

閑散期のいまのうちに、費用のかからない順で3つだけ挙げます。

  1. 管理物件の水まわりを採寸して、募集図面に実寸を足す。浴室の洗い場幅、浴槽の長さ、キッチン天板の幅、防水パンの内寸。写真は水まわりだけ枚数を倍に
  2. 次の原状回復から、混合水栓とシャワーヘッドの交換を標準メニューに入れる。クロス全面より安く、毎日触られる
  3. 更新の案内に、結露と寒さ暑さを聞く1行を足す。断熱は募集では響かないが、退去理由としては効いている

いずれも、来週から始められます。オーナーへの提案の根拠としては、本稿の表をそのまま印刷して渡していただいて構いません。国土交通省の統計です。自社の主観ではありません。

数字の出典と、本稿で計算した派生値

本稿の割合はすべて、国土交通省「令和7年度住宅市場動向調査」の公表値です。民間賃貸住宅入居世帯の数値は三大都市圏を対象としたもので、社宅などの給与住宅、公的住宅、学生アパートは含みません。設問はいずれも複数回答であり、合計は100%になりません。

一方、次の値は本稿が公表値から計算した派生値であり、公表されている数字そのものではありません。

派生値計算
持家5区分の平均「特になし」38.2%/浴室6.2%/台所5.8%(いずれも単純平均)
賃貸と持家平均の倍率浴室16.1÷6.2=2.6倍、台所15.3÷5.8=2.6倍
水まわり合計と家賃の比(16.1+15.3)÷17.3=1.8倍
妥協と不満の差各項目について、満足していない割合から妥協した割合を引いた値
信頼できる業者の倍率53.1÷6.8=7.8倍、100÷6.8=約14.7人に1人
電子契約の倍率27.1÷2.2=12.3倍
ネット未活用の人数換算100÷21.5=約4.7人に1人

「妥協したもの」と「満足していないもの」は同じ調査票の別設問で、同一の世帯群に聞いたものです。ただし同じ人が同じ項目で両方を答えたかどうかまでは、公表資料からは分かりません。本稿の差分は、あくまで集団としての割合の差です。個々の入居者の心変わりを追跡した数字ではない、という点はご留意ください。

また本稿は、水まわりの改修を一律に勧めるものではありません。改修の可否は物件の築年・賃料帯・想定入居者層・オーナーの資金計画で変わります。本稿は優先順位の根拠を示すところまでで、投資判断そのものは各社の領域です。

最後にひとつだけ。この調査で本当に新しいのは、国が入居者に「不満は何か」と直接聞いたことです。答えは、家賃でも立地でもなく、風呂と台所でした。次の内見で、水まわりに30秒だけ長く立ち止まってみてください。

賃貸管理の実務については、ウルスタのコラムで継続的に書いています。