賃貸管理 読了 25分

賃貸のLPガス「無償貸与」はもう使えない|設備費のガス料金上乗せ禁止と三部料金制の義務化、オーナーと管理会社の実務対応2026——給湯器やエアコンの費用負担をどう設計し直すか

賃貸物件のLPガスで長く続いてきた、設備の無償貸与とガス料金への費用上乗せという商慣行が、経済産業省の制度改正で是正されました。三部料金制の義務化、設備費用の計上禁止、料金表の提示。オーナーの費用負担の再設計と、管理会社が入居者や募集の現場でどう対応するかを、賃貸管理の実務に落として整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
賃貸のLPガス「無償貸与」はもう使えない|設備費のガス料金上乗せ禁止と三部料金制の義務化、オーナーと管理会社の実務対応2026——給湯器やエアコンの費用負担をどう設計し直すか
目次

賃貸物件のLPガスで長く当たり前とされてきた、エアコンや給湯器の設備費を入居者のガス料金に上乗せする無償貸与の商慣行が、制度の改正で使えなくなりました。これまでは、LPガス会社が自社との契約を条件にオーナーの設備費用を肩代わりし、その分を入居者が毎月払うガス料金に忍ばせて回収する、という形が広く行われてきました。ところが経済産業省は、この不透明なしくみを是正し、2025年4月から料金の内訳を三つに分けて示すことを義務づけ、賃貸では設備費をガス料金に乗せることを新規契約で禁じました。施行から1年余りが過ぎ、設備の更新や入退去のたびに、この変更が賃貸経営に効いてきています。本記事は、ウルスタ代表として中小の不動産会社の実務に関わる立場から、何がどう変わったのか、オーナーと管理会社は費用の負担と料金の説明をどう設計し直せばよいのかを、順に整理します。

LPガスの商慣行是正とは——なぜいま賃貸で問題になるのか

まず、この改正の背景を押さえます。プロパンとも呼ばれるLPガスは、都市ガスの通っていない地域や、集合住宅で広く使われています。その料金は事業者ごとに自由に決められ、同じ地域でも大きく差が出やすいという特徴があります。とりわけ賃貸物件では、入居者が自分でガス会社を選べないという事情があります。ガス会社を決めるのは、あくまで物件のオーナーだからです。この、選ぶ人と払う人が別だという構図が、料金を分かりにくくしてきた根っこにあります。

そこで長く行われてきたのが、いわゆる無償貸与という商慣行です。LPガス会社が、自社と契約してもらう見返りに、オーナーが本来負担すべき給湯器やエアコン、インターホンといった設備の費用を肩代わりする。そして立て替えた分を、入居者が毎月払うガス料金に上乗せして、少しずつ回収していく。オーナーは設備費を持たずに済み、ガス会社は顧客を囲い込めるが、そのしわ寄せは、料金の中身を知らされない入居者に回る。この不透明さが、かねてより問題とされてきました。

この状況に対し、経済産業省の資源エネルギー庁は、液化石油ガスの取引を適正化するための制度改正に踏み切りました。柱は二つです。一つは、料金の内訳を分けて示す三部料金制の徹底。もう一つは、ガスと関係のない設備費を料金に乗せることの禁止です。その中心となる部分が2025年4月2日に施行され、いまや施行から1年余りが過ぎました。夏は給湯や光熱費に入居者の関心が向きやすく、料金への問い合わせも増える季節です。設備の更新や入退去のたびにこの変更が効いてくるいま、賃貸に関わる者として、中身を正しく理解しておく必要があります。

【要点】改正で変わったことの全体像

細かい条文に入る前に、賃貸の現場で押さえるべき骨格を一枚で示します。要は、料金の内訳を分けて見せること、ガスと無関係な費用を乗せないこと、そして入居希望者に料金を示せるようにしておくこと、の三つに尽きます。

変わった点賃貸の現場での意味
三部料金制の義務化LPガス料金を基本料金・従量料金・設備料金の三つに分けて通知する。新規の契約も既存の契約も対象になる
設備費用の上乗せ禁止ガス消費と無関係な設備の費用や、賃貸の給湯器やコンロといった消費設備の費用を、ガス料金に乗せて入居者から回収することが新規契約で禁じられた
料金表の提示に努めるオーナーや管理会社は、入居を希望する人に示すための料金表などを、あらかじめ用意して示すよう努める
設備費はオーナー負担へこれまでガス会社に肩代わりしてもらっていた設備費を、オーナー自身が持つ形になり、その原資をどう賄うかの設計が要る

ポイントは、この改正が入居者の保護を狙ったものだということです。料金の中身を見えるようにし、払う理由のない費用を払わせない。その裏返しとして、これまで料金に紛れていた設備費が表に出て、誰が負担するのかという問いを、オーナーと管理会社に突きつけます。以下、一つずつ中身を見ていきます。

三部料金制とは——基本料金・従量料金・設備料金の分離

改正の一つ目の柱が、三部料金制の徹底です。これは、LPガスの料金を、性質の異なる三つに分けて示すことを求めるものです。具体的には、使った量にかかわらずかかる基本料金、使った量に応じてかかる従量料金、そして設備にかかる費用を示す設備料金の三つです。これまでは基本料金と従量料金にまとめられ、設備費が料金のどこかに溶け込んで見えなくなっていました。それを、内訳として分けて通知することが義務になりました。

大切なのは、この三つに分けて示す義務は、新しい契約だけでなく、すでにある契約にもかかるという点です。つまり、いま入居している人への請求についても、内訳を分けて示す必要があります。入居者は、自分が払っているガス料金のうち、どれが設備の分なのかを、はっきり知ることができるようになったわけです。料金の透明化とは、まさにこの内訳が見えることを指します。

賃貸のオーナーや管理会社にとって、これは、ガス会社との取り決めの中身が入居者から見えるようになった、ということを意味します。かつては料金に紛れて見えなかった設備費が、設備料金という項目で明るみに出る。入居者から、この設備料金は何かと問われる場面が、これから確実に増えます。何にいくらかかっているのかを、オーナーと管理会社の側でも把握しておくことが、これからは欠かせません。

ガス料金に乗せてよい費用と、乗せてはいけない費用

改正の二つ目の柱が、設備費用の上乗せの禁止です。ここが、賃貸にとって最も影響の大きいところです。どの費用をガス料金の設備料金として乗せてよく、どれが乗せてはいけないのか。混同しやすいので、整理して押さえます。

費用の種類ガス料金への計上
配管やメーターなど、ガスの供給に必要な設備設備料金として計上できる。ただし内訳を分けて示す
給湯器やガスコンロなど、賃貸の消費設備新規契約では計上できない。賃貸ではガス料金に乗せて回収できなくなった
エアコン・インターホン・Wi-Fi機器など計上できない。ガスの消費と関係のない設備の費用だから
入居促進のための費用や、オーナーへの謝礼にあたるもの計上できない。入居者が払う理由のない費用だから

要点は二つです。まず、ガスの供給そのものに必要な配管やメーターの費用は、設備料金として示したうえで乗せてよい。これはガスを届けるために要る設備だからです。一方で、エアコンやインターホンのような、ガスと関係のない設備の費用は乗せられない。これは当然のことに思えますが、実際には料金に紛れ込んでいた例が少なくありませんでした。

そして賃貸で影響が大きいのが、給湯器やコンロといった、ガスを使う消費設備の扱いです。これらは、これまでガス会社が無償で貸し与え、その費用を料金に乗せて回収するのが通例でした。ところが賃貸向けでは、この消費設備の費用も、新規の契約ではガス料金に乗せて入居者から回収することができなくなりました。給湯器はガスを使う設備でありながら、その費用は入居者ではなくオーナーが負担すべきものと整理されたわけです。ここが、オーナーの費用負担の設計を大きく揺さぶる点になります。

無償貸与と貸付配管——是正された商慣行の中身

ここで、是正された商慣行そのものを、もう少し具体的に見ておきます。是正の対象となったのは、無償貸与と、貸付配管と呼ばれるやり方です。いずれも、ガス会社がオーナーの費用を肩代わりし、その分を入居者のガス料金で回収する、という点で共通しています。

無償貸与とは、文字どおり、ガス会社がオーナーに設備をただで貸し与える形です。実際には、給湯器やエアコンなどの設置費用をガス会社が負担し、オーナーは初期費用をかけずに設備を備えられます。貸付配管も似た構図で、ガスの配管の設置費用をガス会社が持ち、その回収を料金に織り込むものです。いずれも、オーナーにとっては初期費用がかからず、ありがたいものに見えます。しかしそのつけは、料金の中身を知らされないまま高い料金を払う入居者に回っていました

この商慣行の何が問題だったのか。第一に、料金が不透明になることです。設備費が料金に紛れると、入居者は自分が何に払っているのか分かりません。第二に、料金が割高になりやすいことです。設備費の回収が乗る分、ガスの料金そのものが高く設定されがちでした。第三に、退去のときの精算をめぐる争いです。回収し切れていない設備費の扱いで、もめる例もありました。制度の改正は、この三つの弊害を、料金の透明化と設備費の切り離しによって断とうとするものです。だからこそ、これまでのやり方を見直す必要に迫られています。

オーナーにとって何が変わるか——設備費は誰が負担するのか

では、オーナーにとって、具体的に何が変わるのか。いちばんの変化は、これまでガス会社に肩代わりしてもらっていた設備費を、オーナー自身が負担する形になることです。新しく給湯器を入れる、故障して交換する、といった場面で、その費用をガス料金に乗せて入居者から回収する道が、賃貸では新規契約について閉ざされました。となれば、その原資をどこから賄うかを、オーナーは考えなければなりません。

ここで大切なのは、慌てて家賃を上げれば済む、という単純な話ではないことです。設備費をどう賄うかには、いくつかの道があります。オーナーが自己資金や借入で設備を持ち、その分を織り込んだ賃料を設定する。あるいは、設備を持たない代わりに賃料を抑える。ガス会社との条件を、料金を下げる方向で見直す。物件の相場や競争の状況に照らして、賃料と設備の負担のバランスを、物件ごとに設計し直すことが要ります。ここは、まさに管理会社の腕の見せどころです。

そして忘れてはならないのが、目先の損得だけで判断しない、という視点です。無償貸与に頼れば初期費用は浮きますが、その分だけ入居者のガス料金は高くなり、募集のときに敬遠される要因になります。ガス料金の高さは、いまや入居を検討する人が気にする点の一つです。透明で納得感のある料金は、長い目で見れば、空室を減らし、入居者に長く住んでもらう力になります。設備費の負担を、単なるコストではなく物件の競争力への投資として捉える視点が、これからのオーナー対応には欠かせません。

管理会社の実務対応——料金表の整備と提示、ガス会社との見直し

次に、管理会社が現場で何をすべきかを整理します。改正は、オーナーや管理会社に対しても、入居を希望する人へ示すための料金表などを、あらかじめ用意して示すよう努めることを求めています。募集の段階で、入居後にかかるガス料金の目安を示せるようにしておく、ということです。以下に、管理会社としてやることを並べます。

やること具体の中身
ガス料金の現状の把握管理する物件ごとに、いまのガス料金の内訳と、設備費がどう乗っているかを、ガス会社に確認して洗い出す
料金表の整備と提示入居希望者に示せる料金の目安を、物件ごとに用意する。三つに分けた内訳が分かる形にしておく
ガス会社との条件の見直し設備費の切り離しに合わせ、料金そのものを下げられないか、契約の条件をガス会社と話し合う
設備の負担の設計をオーナーと合意今後の設備更新の費用を誰がどう持つか、賃料にどう反映するかを、オーナーと事前に取り決める
入居者への説明の準備設備料金という項目が何かを、入居者に問われたときに答えられるよう、根拠を手元にそろえる

この中でとりわけ大事なのが、料金の現状の把握と、ガス会社との条件の見直しです。自社が管理する物件のガス料金が、いま何にいくらかかっているのかを把握できていない管理会社は、少なくありません。ガス会社任せになっていた部分を、この機会に棚卸しすることが出発点です。そのうえで、設備費の切り離しに合わせて料金そのものを見直せないかを、ガス会社と話し合います。透明化は、料金を下げる交渉の入り口にもなります。

入居者と募集への影響——料金の透明化と説明の型

改正は、入居者と募集の現場にも、じわりと影響します。まず、内訳が見えるようになったことで、入居者がガス料金の高さに敏感になります。設備料金という項目が明示されれば、これは何かという問い合わせも出てきます。管理会社としては、その問いに、根拠をもって答えられる備えが要ります。何にかかる費用で、どういう考え方で設定されているのかを、落ち着いて説明できることが大切です。

募集の場面では、ガス料金の透明さと安さが、これまで以上に効いてきます。同じような間取りと家賃の物件が並んだとき、入居後の光熱費がはっきりしていて、しかも割高でない方が選ばれやすい。ガス料金を分かりやすく示せることが、他の物件との差になる時代です。透明化を、負担ではなく募集の武器として使う発想が要ります。

もう一つ、忘れてはならないのが、入居後のトラブルを防ぐという視点です。料金の内訳が分からないまま入居すると、後になって高い料金に驚き、不信につながります。募集の段階で、ガス料金の目安と内訳の考え方を、あらかじめ伝えておく。それだけで、入居後のいさかいの多くは防げます。制度や契約の細かな点は、物件や地域、ガス会社によって異なりますので、個別の料金や条件は、必ずガス会社に確認してください。

場面別・対応の型と、つまずきやすい落とし穴

ここまでの内容を、実際の場面ごとの動きに落とします。どの局面で何を確かめ、何を決めるか。あらかじめ型にしておけば、迷わず動けます。

場面対応の型
新しく物件のガス契約を結ぶ無償貸与を前提にせず、設備費の負担と料金の条件を分けて確認する。料金そのものの水準を複数のガス会社で比べる
既存物件の給湯器などを更新する設備費をガス料金に乗せられない前提で、費用の負担と賃料への反映をオーナーと事前に決める
入退去のタイミング新規契約に切り替わる場面で、料金の内訳と設備費の扱いを見直す好機と捉える
入居者から料金を問われる三つに分けた内訳と、設備料金の根拠を示して、落ち着いて説明する

次に、実務でつまずきやすい落とし穴を、あらかじめまとめます。知っておけば避けられるものばかりです。

落とし穴内容
従来のやり方を続けてしまう無償貸与を前提に新しい契約を結び、禁じられた費用の回収を続けてしまう。新規契約では設備費を乗せられない
料金の現状を把握していない自社の物件のガス料金の内訳を知らず、入居者に説明できない。ガス会社に確認して棚卸しする
設備費の負担をオーナーと決めていない更新の場面で費用の持ち方が定まらず、対応が遅れる。事前に取り決める
家賃への安易な転嫁設備費を根拠なく賃料に乗せ、相場から外れて空室を招く。相場に照らして設計する
入居者への説明を怠る内訳を示さないまま入居させ、後の不信を招く。募集の段階で料金の見通しを伝える
まず1つだけやるなら——自社が管理する物件のうち、LPガスを使っている物件をすべて洗い出し、それぞれのガス料金の内訳を、ガス会社に確認して一枚の表にまとめてください。基本料金、従量料金、そして設備料金がいくらで、その設備料金には何が含まれているのか。無償貸与で乗っている設備費があるのか。この一枚があるだけで、どの物件が見直しの対象で、どこから手をつければよいかが、はっきり見えてきます。多くの管理会社は、ガス料金の中身をガス会社任せにしてきたため、いざ入居者に問われても答えられません。まずは現状を見える化することが、すべての出発点です。

制度の理解で慎重に扱いたい点

この改正は、賃貸の実務に幅広く関わる一方で、細かな適用の線引きには、注意して向き合う必要があります。まず、三つに分けて示す義務は既存の契約にもかかりますが、設備費を乗せることの禁止は、主に新規の契約についてのものです。すでにある契約の設備費の扱いをどうするかは、契約の内容や時期によって変わり得ます。自社の物件が、どの扱いに当たるのかは、ガス会社に確認するのが確実です。

次に、設備費の負担や賃料への反映は、物件の相場や競争の状況、オーナーの意向によって、最適な形が変わります。一律の正解はなく、物件ごとに設計するものです。家賃改定を伴う場合は、賃料の増額に関わる別の実務の知識も要ります。そして、料金の細かな計算や、ガス会社との契約の条項の解釈は、専門的な判断を含みます。制度の運用や個別の料金の妥当性については、ガス会社や、必要に応じて専門家に確認してください。本記事は、2026年7月時点で公開されている情報をもとにした一般的な情報の整理であり、個別の契約や料金の判断に代わるものではありません

今週からやることリスト

ここまでを、今週から動ける形に落とします。難しい準備は要りません。まず、現状を見える化するところからです。

時期やること成果物
今週LPガスを使う管理物件を洗い出し、料金の内訳と設備費の乗り方をガス会社に確認して一覧化する物件ごとのガス料金の内訳一覧
今週入居希望者に示せる料金の目安を、物件ごとに用意する募集用の料金表
今月今後の設備更新の費用負担と、賃料への反映の方針を、オーナーと話し合うオーナーとの費用負担の合意メモ
今月設備費の切り離しに合わせ、料金そのものを下げられないかをガス会社と協議するガス会社との見直しの記録
継続入居者から料金を問われたときの説明の型を用意し、担当者で共有する料金説明の手引き

この順で動けば、大きな追加のコストをかけずに、制度の改正に沿った形へと、賃貸のガスまわりを整えられます。最も効くのは、物件ごとのガス料金の内訳を見える化し、入居希望者に示せる料金表を用意しておくことです。この二つができているだけで、入居者への説明も、募集での訴求も、オーナーとの相談も、格段に進めやすくなります。制度が動いたいまこそ、現状の棚卸しから一歩を踏み出してください。

よくある質問

Q1. すでに入居している人の契約も、内訳を分けて示す必要がありますか。
料金を基本料金・従量料金・設備料金の三つに分けて通知する義務は、新しい契約だけでなく、すでにある契約にもかかります。いま入居している人への請求についても、内訳を分けて示す必要があります。詳しい適用は、契約しているガス会社に確認してください。

Q2. 給湯器の費用は、もう入居者からもらえないのですか。
賃貸では、給湯器やコンロといった消費設備の費用を、新規の契約でLPガス料金に乗せて入居者から回収することができなくなりました。これらの設備費は、原則としてオーナーが負担する形になります。原資をどう賄うかは、賃料の設定などと合わせて設計することになります。

Q3. エアコンやインターホンの費用はどうなりますか。
エアコンやインターホン、Wi-Fi機器などは、そもそもガスの消費と関係のない設備です。これらの費用をLPガス料金に乗せることは認められません。ガスと無関係な設備の費用が料金に紛れていないか、この機会に確認しておくとよいでしょう。

Q4. 設備費を負担するなら、その分だけ家賃を上げてよいですか。
設備費をどう賄うかは、賃料の設定を含めて設計する話ですが、根拠なく賃料に上乗せすれば、相場から外れて空室を招きます。物件の相場や競争の状況に照らし、賃料と設備の負担のバランスを物件ごとに考えることが大切です。

Q5. 入居者から設備料金は何かと問われたら、どう答えればよいですか。
設備料金には、ガスの供給に必要な配管やメーターなどの費用が含まれ得ます。何にかかる費用で、どういう考え方で設定されているのかを、根拠をもって落ち着いて説明できるようにしておくことが大切です。個別の料金の中身は、ガス会社に確認したうえで案内してください。

まとめ

賃貸のLPガスで長く続いてきた、設備の無償貸与とガス料金への費用の上乗せという商慣行が、経済産業省の制度改正で是正されました。2025年4月から、料金は基本料金・従量料金・設備料金の三つに分けて示すことが義務になり、賃貸では給湯器などの設備費をガス料金に乗せて入居者から回収することが、新規契約で禁じられました。施行から1年余りが過ぎ、設備の更新や入退去のたびに、この変更が賃貸経営に効いてきています。

やるべきことは決まっています。まず、自社の物件のガス料金の内訳を、ガス会社に確認して見える化する。入居希望者に示せる料金表を用意する。今後の設備更新の費用負担と賃料への反映を、オーナーと事前に取り決める。そして、料金そのものを下げられないか、ガス会社と話し合う。透明化を負担としてではなく、料金の安さと分かりやすさという募集の武器に変えることが、これからの賃貸経営の分かれ道です。

今週やることは、まず一つです。LPガスを使う管理物件の料金の内訳を、一枚の表に洗い出す。ここから始めれば、どの物件をどう見直すかが見えてきます。制度が動いたいまは、これまでのやり方を点検し直す、またとない機会です。現状の棚卸しから、一歩を踏み出してください。

LPガスの料金の内訳や、物件ごとの設備の費用負担、ガス会社との取り決めは、担当者の記憶や個別の書類に散らばりがちで、いざ入居者やオーナーに問われても、すぐに取り出せないことが少なくありません。どの物件がどのガス会社と、どんな条件で契約しているのか。設備費はどう扱われているのか。これが一つの台帳にまとまっていないと、制度の見直しにも、募集での説明にも手間取ります。ウルスタは、中小の不動産会社の管理業務を、一つの台帳の上にまとめる業務システムです。物件と入居者、契約や設備、対応の履歴をひもづけて残せるほど、料金の説明も、オーナーへの相談も軽くなります。詳細はウルスタをご覧ください。
著者:馬場生悦(宅地建物取引士)。中小不動産会社向け業務システム「ウルスタ」を運営。本記事は、経済産業省の資源エネルギー庁による液化石油ガスの取引の適正化に向けた制度改正、とりわけLPガス料金の三部料金制の徹底と、設備費用のLPガス料金への計上の制限に関する、2026年7月時点で公開されている情報と、自社の不動産実務をもとに整理しています。設備費用の計上の可否や料金の扱いは、契約の時期や内容、物件や地域、ガス会社によって変わります。本記事は一般的な情報提供であり、個別の契約や料金の判断に代わるものではありません。個別の料金や条件は、契約しているガス会社や、必要に応じて専門家にご確認ください。
参照した一次情報
  • 経済産業省 資源エネルギー庁 液化石油ガスの取引の適正化に向けた制度改正。LPガス料金の表示や計上方法に関する新しいルール
  • LPガス料金の三部料金制の徹底。料金を基本料金・従量料金・設備料金の三つに分けて通知することを義務づけ。2025年4月2日施行。新規契約と既存契約の双方に適用
  • 設備費用の外出し表示と計上の禁止。エアコン・インターホン・Wi-Fi機器など、ガス消費と関係のない設備の費用をLPガス料金として請求することを禁止
  • 賃貸住宅向けの取り扱い。給湯器やガスコンロなどの消費設備の費用についても、LPガス料金として請求することを制限。設備費用の計上禁止は新規契約に適用
  • 賃貸住宅のオーナーや管理会社等は、入居を希望する人に示すための料金表等を提示するよう努める
  • 背景となった無償貸与や貸付配管の商慣行。ガス会社がオーナーの設備費用を肩代わりし、入居者のガス料金に上乗せして回収してきた慣行の是正
  • いずれも2026年7月時点の公開情報および自社の不動産実務をもとに整理。設備費用の計上の可否や料金の扱いは個別の契約や物件で変わる