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登録免許税の軽減措置2026|土地の移転登記1.5%が令和11年3月末まで延長・住宅用家屋は保存0.15%移転0.3%抵当権0.1%と住宅用家屋証明書を中小不動産の実務目線で整理

登録免許税は、要件と証明をそろえれば大きく下がる税です。土地の移転登記1.5%の令和11年3月末までの延長、住宅用家屋の保存0.15%・移転0.3%・抵当権0.1%、認定住宅のさらなる軽減、住宅用家屋証明書と中古の耐震要件を、中小不動産の現場目線で解説します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
登録免許税の軽減措置2026|土地の移転登記1.5%が令和11年3月末まで延長・住宅用家屋は保存0.15%移転0.3%抵当権0.1%と住宅用家屋証明書を中小不動産の実務目線で整理
目次

家や土地を買うと、それが自分のものだと公に示すために登記をします。その登記を受けるときに国へ納めるのが登録免許税で、買主が引渡しのときに支払う諸費用のなかでも、決して小さくない一項目です。この税にも、要件を満たせば税率が大きく下がる軽減が用意されています。しかも令和八年度の税制改正で、土地の売買による所有権移転登記の軽減、本則二パーセントを一・五パーセントに下げる特例が、令和十一年三月三十一日まで三年延長されました。住宅用家屋の保存登記・移転登記・抵当権設定登記の軽減も、令和六年度の改正で令和九年三月三十一日まで延ばされています。本記事は、ウルスタ代表として宅地建物取引業を営む立場から、登録免許税の軽減のしくみと、いま延長されている特例、そして軽減の鍵を握る住宅用家屋証明書までを、宅地建物取引士の目線で実務に即して整理します。

なぜいま登録免許税の軽減が中小不動産の話題になるのか

登録免許税は、不動産の登記を受けるときに国に納める国税です。売買で家や土地を取得すれば所有権の移転登記が必要になり、新築を建てれば所有権の保存登記が要り、住宅ローンを組めば金融機関のために抵当権の設定登記をします。そのどれにも登録免許税がかかります。買主にとっては、仲介手数料や司法書士報酬と並んで、引渡しのときにまとまって出ていく諸費用の一角です。この税に軽減があることを、私たち仲介がきちんと伝えられるかどうかで、買主が用意すべき現金の見立てが変わってきます。

いま、この税に改めて光が当たっているのには、二つの理由があります。第一に、土地の売買による所有権移転登記の税率を本則二パーセントから一・五パーセントに下げる特例が、令和八年度の税制改正で令和十一年三月三十一日まで三年延長されたこと。もともとこの土地の特例は令和八年三月三十一日で期限を迎えるはずでしたが、切れる寸前で延長され、令和八年四月一日以降の登記申請にも引き続き適用されます。第二に、住宅用家屋の保存登記・移転登記・抵当権設定登記の軽減が、令和六年度の税制改正で令和九年三月三十一日まで延ばされていること。土地と住宅、その両方の登記コストの軽減が、当面のあいだ確保されたわけです。買主の資金計画を組み立てる私たちにとっては、見過ごせない前提の変化です。

【要点】登録免許税の軽減を一枚で

細部に入る前に、制度の骨格を俯瞰します。押さえるべきは、税の性質、土地の移転登記の特例、住宅用家屋の保存・移転・抵当権の軽減、認定住宅のさらなる軽減、そして住宅用家屋証明書という手続、この六つの論点です。

論点内容実務の勘所
税の性質登記を受けるときに国に納める国税。課税標準は不動産の価額、原則、固定資産税評価額。抵当権は債権額登記の種類ごとにかかる。通常は司法書士が代理で納付する
土地の移転登記売買による所有権移転は本則二パーセントを一・五パーセントに軽減。適用期限は令和十一年三月三十一日令和八年度改正で三年延長。住宅でない土地にも及ぶ数少ない軽減
住宅用家屋の保存自己居住用の家屋の保存登記は本則〇・四パーセントを〇・一五パーセントに。適用期限は令和九年三月三十一日新築を建てたときの登記。住宅用家屋証明書が要る
住宅用家屋の移転自己居住用の家屋の売買移転は本則二パーセントを〇・三パーセントに。適用期限は令和九年三月三十一日中古住宅の取得で効く。土地とは別に建物にかかる
抵当権の設定住宅取得資金の借入れに係る抵当権設定は本則〇・四パーセントを〇・一パーセントに。適用期限は令和九年三月三十一日課税標準は借入額。ローンを組むほど軽減額も大きい
住宅用家屋証明書住宅の軽減を受けるには市区町村長の証明を登記申請書に添付する必要がある証明が無ければ本則税率。床面積五十平方メートル以上などの要件

六つの論点は、ばらばらの知識ではなく一本の線でつながっています。まず、登記を受けると評価額を基準に税がかかるという性質があり、そこに土地の移転登記は一・五パーセントという特例で土台を下げ、住宅の建物には保存・移転・抵当権それぞれの軽減を重ね、その住宅の軽減を現実にするために住宅用家屋証明書という一枚を添える。この流れを理解すると、登録免許税は「登記のたびに満額かかる税」ではなく、「要件と証明をそろえれば大きく下がる税」なのだと見えてきます。

登録免許税とは——いつ・何に・いくらかかるのか

登録免許税は、不動産の登記や会社の登記など、一定の登記や登録を受けるときに課される国税です。不動産の売買でいえば、所有権の移転登記や、新築住宅の所有権保存登記、住宅ローンのための抵当権設定登記が対象になります。課税の基準となる課税標準は、所有権に関する登記では不動産の価額、すなわち原則として固定資産課税台帳に登録された固定資産税評価額です。実際に支払った売買価格ではありません。抵当権の設定登記だけは、課税標準が担保される債権額、つまり借入額になります。

税額は、課税標準に税率を掛けて求め、登記の申請と同時に納めます。実務では、買主から依頼を受けた司法書士が、登録免許税を計算し、必要な現金を預かって法務局に納付し、登記を申請するという流れが一般的です。買主にとっては、司法書士報酬と登録免許税がひとまとまりの費用として提示されるため、その内訳のうち税の部分が軽減でどれだけ下がっているのかは、意識しないと見えにくいところです。だからこそ仲介の段階で、登記でおおよそいくらの税がかかり、軽減でどこまで下がるのかを見取り図として示しておくと、諸費用の見立てに狂いが出ません。次章から、その軽減の中身を一つずつ見ていきます。

土地の売買の移転登記——本則二パーセントを一・五パーセントに

まず、住宅であるかどうかを問わず、土地の売買に広く効くのが、この特例です。土地の売買による所有権の移転登記の税率は、本則では二パーセントですが、特例により一・五パーセントに軽減されています。課税標準は土地の固定資産税評価額です。たとえば評価額が二千万円の土地なら、本則の二パーセントで四十万円のところ、一・五パーセントなら三十万円で、十万円の差になります。

この土地の特例で注目すべきは、令和八年度の税制改正で適用期限が延長された点です。もともとの期限は令和八年三月三十一日で、そのまま何もなければ令和八年四月以降は本則の二パーセントに戻るはずでした。ところが令和八年度改正でこの期限が令和十一年三月三十一日まで三年延長され、令和八年四月一日から令和十一年三月三十一日までの登記申請にも、引き続き一・五パーセントが適用されることになりました。住宅の建物にかかる軽減とは根拠も期限も別建てで動いているため、土地は令和十一年三月末まで、住宅用家屋は令和九年三月末まで、と期限を分けて覚えておくのが正確です。

住宅用家屋の軽減——保存〇・一五、移転〇・三、抵当権〇・一

次に、自己の居住用の建物そのものにかかる登記の軽減です。個人が自分で住むために取得した住宅用の家屋については、三つの登記で税率が下がります。新築を建てたときの所有権保存登記は、本則〇・四パーセントを〇・一五パーセントに。中古住宅などを売買で取得したときの所有権移転登記は、本則二パーセントを〇・三パーセントに。そして住宅の取得資金を借り入れるために設定する抵当権の設定登記は、本則〇・四パーセントを〇・一パーセントに軽減します。いずれも適用期限は令和九年三月三十一日で、令和六年度の税制改正で三年延長されたものです。

ここで大事なのは、土地の一・五パーセントと、この住宅用家屋の軽減は、別々に効くということです。中古住宅を土地付きで買えば、土地の部分には土地の移転登記の一・五パーセントが、建物の部分には住宅用家屋の移転登記の〇・三パーセントが、それぞれ適用されます。抵当権を一本設定してローンを組めば、その抵当権設定登記には〇・一パーセントがかかります。買主が支払う登録免許税は、この三つを足し合わせたものになるわけです。なお、抵当権設定登記の軽減は、住宅の取得と一体となった借入れであることが前提で、課税標準は借入額そのものです。借入額が大きいほど、本則〇・四パーセントとの差、すなわち軽減額も大きくなります。

認定長期優良住宅・認定低炭素住宅の、さらに手厚い軽減

住宅の性能が一定の基準を満たすものとして認定を受けている場合には、一般の住宅用家屋よりもさらに手厚い軽減が用意されています。認定長期優良住宅として認定を受けた住宅は、所有権の保存登記が〇・一パーセント、移転登記が戸建てで〇・二パーセント、マンションで〇・一パーセントに軽減されます。認定低炭素住宅は、保存登記も移転登記も〇・一パーセントです。一般の住宅用家屋の保存〇・一五パーセント、移転〇・三パーセントと比べると、さらに一段下がることが分かります。これらの認定住宅の特例も、適用期限は令和九年三月三十一日まで延長されています。

実務では、売主や売買の対象が認定住宅に当たるかどうかを、早い段階で見極めておくことが大切です。認定を受けた住宅であれば、認定通知書などの書類が手元にあるはずで、登記の際にはその写しなどを添えて、より低い税率の適用を受けます。認定を受けているのにその事実が引き継がれず、一般の住宅として登記してしまえば、受けられたはずの軽減の一部を取りこぼすことになりかねません。新築の分譲やビルダーとの取引では、対象が認定長期優良住宅や認定低炭素住宅として売り出されているのかを、販売資料の段階で確かめておく癖をつけたいところです。

住宅用家屋証明書——軽減の鍵を握る一枚

ここまで見てきた住宅用家屋の軽減は、要件を満たしていれば自動的に効く、というものではありません。軽減の適用を受けるには、その家屋が住宅用家屋の要件を満たしていることを証する、市区町村長の証明を登記申請書に添付する必要があります。これがいわゆる住宅用家屋証明書です。証明書が添付されていなければ、要件を満たしている住宅であっても、登記は本則の税率で行われてしまいます。軽減の鍵を握るのは、この一枚だと言っても言い過ぎではありません。

住宅用家屋証明書の主な要件
住宅用家屋証明書の交付を受けるには、おおむね次の要件を満たす必要があります。第一に、個人が自己の居住のために新築または取得した家屋であること。投資用や賃貸用は対象外です。第二に、家屋の床面積が登記簿上で五十平方メートル以上であること。第三に、新築または取得の後、一年以内に登記を受けるものであること。併用住宅の場合は、住宅として使う部分が家屋全体のおおむね九十パーセントを超えていることが求められます。証明書は、物件の所在地の市区町村が交付します。取得税の床面積が令和八年四月から四十平方メートルに下がったのとは異なり、登録免許税の住宅用家屋証明は五十平方メートル以上が要件である点は、混同しやすいので注意してください。要件の細部や必要書類は市区町村によって運用が異なるため、所在地の窓口または司法書士に確認するのが確実です。

中古住宅の関門——築年数から耐震性へ

中古住宅の所有権移転登記で軽減を受ける場合には、新築にはない関門が加わります。かつては、木造など非耐火の建物は取得の日以前二十年以内、鉄骨造や鉄筋コンクリート造など耐火の建物は取得の日以前二十五年以内に建築されたものであること、という築年数の要件が中心でした。しかし現在は、築年数そのものよりも、耐震性を軸に判断する運用に整理されています。具体的には、昭和五十七年一月一日以後に建築された家屋であること、いわゆる新耐震基準の建物であれば、築年数を問わず要件を満たすものとして扱われます。

昭和五十六年以前に建築された古い建物であっても、道が閉ざされているわけではありません。耐震基準適合証明書や、住宅性能評価書、既存住宅売買瑕疵保険への加入を示す証明など、新耐震相当の安全性を裏づける書類をそろえられれば、軽減の対象になります。この耐震という関門の立て付けは、不動産取得税の中古住宅の控除とよく似ています。取得税でも登録免許税でも、中古住宅では新耐震に当たるかどうかが最初の分かれ道になる、と押さえておくと、買主への説明が一貫します。取得税は都道府県税で申告により軽減を受けるのに対し、登録免許税は国税で証明書の添付により軽減を受ける、という手続の違いはありますが、耐震性を軸に判断するという考え方は共通しているのです。

具体例で確かめる——中古マンションの登録免許税

数字で見ると腑に落ちます。自己居住用として、新耐震に当たる中古マンションを住宅ローンを組んで取得した場合を考えます。建物の固定資産税評価額を六百万円、敷地の持分の評価額を九百万円、住宅ローンの借入額を二千万円とし、床面積は六十平方メートルで住宅用家屋証明の要件を満たすものとします。まず建物の所有権移転登記は、住宅用家屋の軽減で〇・三パーセント。六百万円に〇・三パーセントを掛けて一万八千円です。本則の二パーセントなら十二万円ですから、建物だけで十万円以上の差が出ます。

次に土地です。敷地の持分の移転登記には、土地の売買の特例で一・五パーセントが適用されます。九百万円に一・五パーセントを掛けて十三万五千円。本則二パーセントなら十八万円ですから、四万五千円の差です。最後に抵当権の設定登記は、借入額二千万円に〇・一パーセントを掛けて二万円。本則〇・四パーセントなら八万円で、六万円の差になります。三つを合計すると、軽減後は一万八千円と十三万五千円と二万円で、合わせて十七万三千円。もし軽減が一つも効かなければ、十二万円と十八万円と八万円で三十八万円ですから、この一件で二十万円以上、登録免許税が圧縮されている計算です。買主に諸費用を案内するとき、この軽減が正しく効いた前提の数字を示せるかどうかが、資金計画の精度を左右します。

不動産取得税との違い——国税と都道府県税、登記と取得

買主が不動産を取得すると、登録免許税のほかに、不動産取得税もかかります。名前も課税のタイミングも似ているため混同されがちですが、この二つはまったく別の税です。登録免許税は国に納める国税で、登記を受けるという行為に対してかかり、保存・移転・抵当権設定といった登記の種類ごとに、その都度課税されます。納付は登記申請と同時で、実務では司法書士が代理して行います。軽減を受けるには、住宅用家屋証明書などを登記申請書に添付します。

一方の不動産取得税は、都道府県に納める地方税で、不動産を取得したという事実そのものに対して、原則として一度だけかかります。引渡しや登記のあとしばらくして、都道府県から納税通知書が届き、それに従って納めます。軽減を受けるには、原則として取得者による申告が必要です。つまり、同じ取得という場面でも、登録免許税は登記のときに証明書で、不動産取得税は取得後に申告で軽減を受ける、という段取りの違いがあります。買主には、登記でかかる国税と、あとから通知が来る都道府県税が別々にかかること、そのどちらにも軽減があり別の手続で受けることを、早めに見取り図として伝えておくと、あとで「聞いていない出費」が出てくる不安を防げます。

登記コストの軽減は、物件ごとの要件と期限を取りこぼさない管理があってこそ効く
ウルスタは、中小不動産会社の物件・顧客・取引の進行と対応履歴を一元管理できる業務クラウドを提供しています。どの取引が自己居住用でどの床面積か、中古なら新耐震に当たるか、認定長期優良住宅や認定低炭素住宅の認定はあるか、住宅用家屋証明書は誰がいつ取得するのか。登録免許税の軽減は、こうした情報が取引の記録とひとつながりになって初めて、案内の抜けなく回せます。担当者が代わっても要件と証明の段取りが引き継がれ、買主に諸費用を正確に伝えるための土台になります。取得の一手ごとの安心を、記録と仕組みで支える。詳しくは https://ulsta.jp をご覧ください。

現場メモ——諸費用の内訳を一枚で見せて、買主の不安を先回りした話

先日も、初めて中古マンションを買う若い共働きの夫婦から、諸費用の見立てについて相談を受けました。物件価格は決まっていても、仲介手数料や司法書士報酬、登記の税金など、価格以外にいくら要るのかが見えず、貯えでまかなえるのか不安だという声でした。そこで、建物と土地の評価額の見込みから登録免許税を軽減後で概算し、抵当権設定の分も借入額から見積もって、諸費用の内訳を一枚の紙にまとめてお渡ししました。

実務で気を配ったのは、軽減が効いた数字と、仮に効かなかった場合の数字を、並べて見せたことです。住宅用家屋証明書を取れば建物の移転登記がこれだけ下がり、土地の一・五パーセントの特例が令和十一年三月末まで続いているので土地もこの水準に収まる、と説明すると、夫婦は諸費用の全体像に見通しを持てたようでした。登録免許税そのものは司法書士が計算し納付してくれる税ですが、その手前で「なぜこの金額なのか」「どこが軽減で下がっているのか」を仲介が言葉にできると、買主の安心はまるで違います。制度を数字に翻訳して先回りで示す一手が、初めての買主にとっては、いちばんの安心材料になるのだと実感した一件でした。

よくある質問(FAQ)

Q1. 登録免許税は、売買価格に税率を掛けて計算するのですか。
いいえ。所有権に関する登記の課税標準は、原則として固定資産税評価額であり、実際の売買価格ではありません。評価額は時価より低く出ることが多いため、売買価格を基準にした額より税額は小さくなるのが通常です。抵当権の設定登記だけは、課税標準が借入額になります。

Q2. 土地の一・五パーセントの軽減は、いつまで使えますか。
土地の売買による所有権移転登記の一・五パーセントの特例は、令和八年度の税制改正で適用期限が令和十一年三月三十一日まで三年延長されました。令和八年四月一日から令和十一年三月三十一日までの登記申請に適用されます。住宅用家屋の軽減の期限、令和九年三月三十一日とは別なので、混同しないよう注意してください。

Q3. 住宅用家屋の軽減は、賃貸に出す物件でも受けられますか。
いいえ。住宅用家屋の軽減は、個人が自己の居住のために取得した家屋が対象です。投資用や賃貸用として取得する物件は、この軽減の対象になりません。自己居住用であることや床面積五十平方メートル以上などの要件を満たし、住宅用家屋証明書の交付を受けることが必要です。

Q4. 中古住宅なら、いつのものでも住宅用家屋の軽減を受けられますか。
いいえ。取得者が自己の居住用に使うこと、床面積が五十平方メートル以上であること、そして耐震性の要件を満たすことが必要です。昭和五十七年一月一日以後に建築された家屋であれば新耐震として扱われ、それより前の建物でも、耐震基準適合証明書などで安全性が確認できれば対象になります。

Q5. 軽減を受けるために、何かしなければならないことはありますか。
住宅用家屋の軽減を受けるには、物件所在地の市区町村が交付する住宅用家屋証明書を、登記申請書に添付する必要があります。実務では司法書士が段取りをしますが、証明書の取得には家屋の要件を満たす書類が要るため、どの書類を誰が用意するのかを早めに整理しておくと、登記の直前に慌てずに済みます。

Q6. 登録免許税と不動産取得税は、どう違うのですか。
登録免許税は登記を受けるときに国に納める国税で、登記の種類ごとにかかり、証明書の添付で軽減を受けます。不動産取得税は取得したときに都道府県に納める地方税で、原則として一度だけかかり、後日届く納税通知書に従って納め、軽減は原則として申告で受けます。取得の場面では、この二つが別々にかかる点を押さえておくと安心です。

まとめ:登録免許税は、要件と証明をそろえれば大きく下がる税

登録免許税は、登記を受けるときに国へ納める国税で、諸費用の一角として決して小さくありませんが、土地の移転登記の一・五パーセントの特例、住宅用家屋の保存〇・一五・移転〇・三・抵当権〇・一の軽減、そして認定住宅のさらに手厚い軽減を積み重ねれば、税額は大きく下がります。そのうち土地の特例は令和八年度改正で令和十一年三月三十一日まで、住宅用家屋の特例は令和六年度改正で令和九年三月三十一日まで延長され、当面の登記コストの軽減は確保されています。ただし住宅の軽減は住宅用家屋証明書を添えて初めて効き、中古住宅では新耐震という関門があり、床面積は五十平方メートル以上が要件です。自社がいま預かっている売買の案件のなかから、自己居住用で床面積五十平方メートル以上の中古住宅や、住宅ローンを伴う取引を書き出し、住宅用家屋証明書の段取りと諸費用の概算を早めに用意するところから、この軽減の活用を始めてみてください。買主の安心は、諸費用の見取り図を早めに示す一手と、要件と証明を取りこぼさない記録に支えられます。

著者: 馬場生悦(宅地建物取引士)。ウルスタ代表。中小不動産会社向けの実務メディアを運営する傍ら、自社で宅地建物取引業を営み、賃貸住宅の管理・客付けおよび戸建て・区分マンションを含む売買仲介と、オーナー・買主の相談に携わる。本記事は、登録免許税の軽減措置について、土地の売買による所有権移転登記の一・五パーセントの特例が令和八年度の税制改正で令和十一年三月三十一日まで延長されたこと、および住宅用家屋の保存・移転・抵当権設定の軽減が令和六年度の税制改正で令和九年三月三十一日まで延長されていることをふまえ、2026年7月時点の公開情報と自社での実務経験に基づき整理したものである。登録免許税の計算や住宅用家屋証明書の要件の細部、認定住宅の適用可否は、登記実務を担う司法書士や物件所在地の市区町村の運用によって異なる場合がある。個別の税額計算や登記手続にわたる判断は、司法書士または所轄の法務局にご確認いただきたい。本記事は特定の物件や事業者を勧めるものではなく、判断の材料を整理することを目的としている。

参考: 国税庁——登録免許税の税額表および登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ(住宅用家屋の所有権保存登記〇・一五パーセント・移転登記〇・三パーセント・抵当権設定登記〇・一パーセント、認定長期優良住宅および認定低炭素住宅の特例、適用期限令和九年三月三十一日への延長) / 財務省・国土交通省——令和六年度および令和八年度の税制改正の関連資料(土地の売買による所有権移転登記の一・五パーセントの特例の令和十一年三月三十一日までの延長、住宅用家屋に係る特例の令和九年三月三十一日までの延長) / 法務省・法務局——登録免許税の計算および住宅用家屋証明書に関する案内(課税標準は原則として固定資産税評価額、抵当権は債権額、住宅用家屋証明書の添付による軽減、床面積五十平方メートル以上などの要件、中古住宅の耐震に関する取扱い。要件や運用は各市区町村により異なる) / いずれも2026年7月時点の公開情報および自社の不動産実務をもとに整理