宅建士の登録をしている人は、氏名・住所・本籍・勤務先など登録している事項が変わったら、遅滞なく変更の登録を申請しなければなりません(宅地建物取引業法20条)。氏名か住所が変わったときは、あわせて宅建士証の書換え交付も申請します(施行規則14条の13)。一方、他の都道府県の事務所で働くときの「登録の移転」は義務ではなく、本人が選べる手続きです(19条の2)。この記事では、転職・引っ越し・結婚などの場面ごとに、どの手続きが要るかを法令と自治体の案内で確かめた範囲で整理します。
結論(場面ごとの手続き)
| 場面 | 本人の手続き | 根拠 |
|---|---|---|
| 結婚などで氏名が変わった | 変更の登録と、宅建士証の書換え交付(写真あり) | 20条、施行規則14条の13 |
| 引っ越しで住所が変わった | 変更の登録と、宅建士証の書換え交付(住所だけなら写真は不要) | 20条、施行規則14条の13 |
| 本籍が変わった | 変更の登録 | 20条、施行規則14条の2の2 |
| 宅建業者に転職・退職した | 変更の登録(勤務先の商号・免許証番号) | 20条、施行規則14条の2の2 |
| 他の都道府県の事務所で働く | 変更の登録に加え、必要なら登録の移転(任意) | 19条の2、20条 |
| 宅建士証を無くした・壊した | 再交付の申請 | 都道府県の案内 |
変更の登録が要る事項
20条は「登録を受けている事項に変更があつたとき」に、遅滞なく変更の登録を申請するよう定めています。登録している事項は、氏名・生年月日・住所のほか、施行規則14条の2の2が定める次の事項です。
- 本籍(日本の国籍を持たない人は国籍等)と性別
- 試験の合格年月日と合格証書番号
- 実務の経験の期間と内容、従事していた宅建業者の商号と免許証番号(実務経験で登録した人)
- 宅建業者の業務に従事している人は、その宅建業者の商号または名称と免許証番号
実務で多いのは、氏名・住所・本籍と、勤務先の変更です。京都府は、勤務先の商号や免許証番号が変わった場合も届出が必要と案内しています。勤務先の会社が商号を変えたときも、本人の変更の登録が要るということです。
宅建士証の書換え交付
宅建士は、氏名または住所を変えたときは、変更の登録の申請とあわせて宅建士証の書換え交付を申請しなければなりません(施行規則14条の13第1項)。申請は宅建士証用の写真を付けた書換え交付申請書で行いますが、住所だけの変更なら写真は付けなくてよいとされています(同条第2項)。
本籍や勤務先だけが変わった場合は、宅建士証の書換えは要らず、変更の登録だけを申請します。宅建士証を持っていない人(登録だけしている人)も、変更の登録は必要です。
登録の移転
登録している都道府県とは別の都道府県にある宅建業者の事務所で働く、または働こうとするときは、登録している知事を経由して、働く事務所の所在地の知事に登録の移転を申請できます(19条の2)。「できる」と書かれているとおり義務ではなく、移転しなくても他県の事務所で働けます。ただし、事務の禁止の処分を受けてその期間が終わっていない人は移転できません。
移転すると、それまでの宅建士証は効力を失います(22条の2第4項)。移転の申請とあわせて宅建士証の交付を申請すると、前の宅建士証の残りの有効期間を有効期間とする宅建士証が交付されます(同条第5項)。京都府は、有効期限まで6か月以内の場合は法定講習の関係で宅建協会に問い合わせるよう案内しています。
移転するかどうかの判断材料は、手続きの窓口です。更新や再交付の手続きは登録先の都道府県で行うので、長く他県で働く予定なら、移転しておくと手続きが近くの窓口で済みます。
書類と手数料の例
京都府の案内に書かれている例です。都道府県によって違うので、登録先の案内で確かめてください。
| 手続き | 主な書類(京都府の例) | 手数料(京都府の例) |
|---|---|---|
| 氏名・本籍の変更 | 変更登録申請書、戸籍抄本(申請日前3か月以内に発行)。氏名の変更は書換え交付申請書も | 案内に記載なし |
| 住所の変更 | 変更登録申請書、旧住所が記載された住民票または戸籍の附票、書換え交付申請書 | 案内に記載なし |
| 勤務先の変更 | 変更登録申請書、就職(在職)証明書・退職証明書(代表者印の押印あり) | 案内に記載なし |
| 他県から京都府への登録の移転 | 登録移転申請書、在職証明書など。申請書は移転元の都道府県に出す | 8,000円 |
| 宅建士証の再交付 | 再交付申請書、顔写真1枚(縦3cm×横2.4cm) | 4,500円 |
東京都は、宅建士証がプラスチックカードになった2025年9月1日から、登録の移転に伴う交付申請の顔写真を2枚から1枚に変えています。氏名変更に伴う書換え交付の写真は変わっていないと案内しています。
会社側で必要な届出
本人の変更の登録とは別に、宅建業者にも届出が要る場合があります。事務所ごとに置く専任の宅建士の氏名は、免許の申請書に書く事項です(4条1項5号)。この事項が変わったら、宅建業者は30日以内に変更の届出を出します(9条)。専任の宅建士が入社・退職・改姓したときが当たります。
- 宅建士が入社したら、本人に勤務先の変更の登録を出してもらい、会社は就職(在職)証明書を用意する。
- 宅建士が退職するときは、退職証明書を渡し、専任の宅建士だった場合は30日以内に会社の変更の届出を出す。
- 専任の宅建士が足りなくなったときは、2週間以内に必要な措置を執る(31条の3第3項)。
- 改姓や引っ越しを聞いたら、宅建士証の書換えが済んでいるかを確かめる。
よくある質問
Q1. 「遅滞なく」とは何日以内ですか
20条は日数を決めていません。変更があったら、ためずに申請するという意味です。会社の届出(9条)は30日以内と日数が決まっているので、混同しないように注意してください。
Q2. 宅建業者ではない会社に転職したら、どうなりますか
登録している事項のうち、宅建業者の業務に従事している人の勤務先(商号・免許証番号)が変わるので、変更の登録を申請します。京都府の案内では、勤務先の変更に退職証明書を付けることになっています。
Q3. 登録の移転をしないまま、他県の会社で重要事項の説明をしてもよいですか
移転は義務ではないので、宅建士証が有効であれば説明できます。勤務先の変更の登録は必要です。
Q4. 宅建士本人が亡くなった場合は
相続人が、死亡を知った日から30日以内に届け出ます(21条)。京都府は、戸籍謄本など死亡と相続人を証明する書類を付けるよう案内しています。
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出典(本文で参照している資料)
| 本稿で使った内容 | 資料 |
|---|---|
| 免許申請書の記載事項(4条)と変更の届出(9条)、登録の移転(19条の2)、変更の登録(20条)、死亡等の届出(21条)、宅建士証の効力と移転時の交付(22条の2)、専任の宅建士(31条の3) | e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」 |
| 登録簿の記載事項(14条の2の2)、宅建士証の書換え交付(14条の13) | e-Gov法令検索「宅地建物取引業法施行規則」 |
| 変更の登録の書類、登録の移転の書類と手数料8,000円、再交付4,500円、死亡等の届出 | 京都府「宅地建物取引士に関する諸手続」 |
| プラスチックカード化(2025年9月1日)と顔写真の枚数 | 東京都「宅地建物取引士資格登録申請等の事務の手引」の変更のお知らせ |
