賃貸管理 読了 9分

【2026年10月】東京都が民泊の適正運営強化月間|賃貸管理で確かめる点

東京都が10月23日から11月30日まで民泊の適正運営強化月間を実施。標識・緊急連絡先の掲示や家主の不在などを指導します。管理会社が確かめることをまとめました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
目次

東京都は2026年10月16日、10月23日から11月30日までを「民泊の適正運営強化月間」とし、特別区・八王子市・町田市・警視庁と一緒に、民泊(住宅宿泊事業)の事業者への啓発と指導を強めると発表しました。一部の自治体では施設を回り、標識や緊急連絡先の掲示、家主居住型での家主の不在、条例で営業できない期間の営業などを確かめ、違反があればすぐ直すよう指導するとしています(東京都の報道発表)。本稿は発表の中身を整理し、管理物件で民泊が行われている、または行われるおそれがある賃貸管理会社が、この期間に確かめることをまとめます。

発表の中身|強化月間で何をするか

東京都産業労働局が2026年10月16日に出した報道発表の要点は次のとおりです(東京都「「民泊の適正運営強化月間」を実施します」)。

  • 目的は、民泊によるごみや騒音など、周りの生活環境への影響に対応することです。
  • 期間は2026年10月23日(金)から11月30日(月)までです。
  • 実施するのは東京都、特別区、八王子市、町田市、警視庁です。保健所を置く区・市を除く都内の区域は、東京都が所管しています。
  • 事業者への啓発として、都や区市の施設でポスターを貼り、チラシを配ります。
  • 巡回は一部の自治体と一緒に行い、宿泊者には民泊を使うときのマナーを知らせ、事業者には騒音やごみの出し方を宿泊者に説明する義務を守るよう求めます。違反が見つかれば、すぐに直すよう指導するとしています。

発表は、指導の対象になる違反の例として、標識や緊急連絡先を掲げていない・書いていないこと、家主が同じ建物に住む形(家主居住型)なのに家主がいないこと、条例で営業が禁じられている期間に営業していることを挙げています。発表には標識の例の画像と、配布するチラシも付いています。

今回の発表は、新しい規制や義務を設けるものではありません。住宅宿泊事業法と各区市の条例で、すでに決まっていることを守らせるための取り組みです。

期間・実施主体・指導の例の一覧

項目内容
発表日2026年10月16日(東京都産業労働局)
期間2026年10月23日(金)から11月30日(月)まで
実施主体東京都、特別区、八王子市、町田市、警視庁
対象住宅宿泊事業(民泊)の事業者と宿泊者
啓発都・区市の施設でのポスター掲示とチラシの配布
巡回(一部の自治体)宿泊者へのマナーの周知、事業者への説明義務の徹底の指導
指導の例標識・緊急連絡先の未掲示・未記載、家主居住型での家主の不在、条例で営業できない期間の営業

住宅宿泊事業法で事業者に課されていること

巡回で確かめられる点は、住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)にもとづく事業者の義務と重なります。主なものは次のとおりです(住宅宿泊事業法)。

条文事業者がすること
第2条第3項人を泊める日数は1年間で180日以内(これを超えると住宅宿泊事業にあたらない)
第3条住宅ごとに都道府県知事等へ届け出る
第9条騒音の防止など、周りの生活環境に悪い影響を与えないための注意事項を宿泊者に説明する(外国人の宿泊者には外国語で)
第10条周りの住民からの苦情や問い合わせに、適切かつすぐに対応する
第11条居室の数が基準を超えるときや、宿泊者がいる間に事業者がいなくなるときは、住宅宿泊管理業者に管理を任せる
第13条届け出た住宅ごとに、見やすい場所に決まった様式の標識を掲げる
第18条区市などは条例で、民泊を行える区域や期間を制限できる

賃貸管理会社にとって大事なのは届出の添付書類です。観光庁の民泊制度ポータルサイトによると、賃借人が届け出る場合は賃貸人が住宅宿泊事業に使うことを承諾したことを示す書類が、転借人が届け出る場合は賃貸人と転貸人の両方が承諾したことを示す書類が要ります。承諾書には住宅宿泊事業を行えるかどうかが書かれている必要があり、賃貸借契約書にその記載がなければ別の書類が必要です。分譲マンションなどの区分所有建物では、管理規約の写しなども添付します(民泊制度ポータルサイト「届出に必要な添付書類」)。

賃貸管理の実務で何をするか

強化月間は事業者に向けた取り組みですが、管理物件の近くの住民から苦情を受けたり、自治体から照会を受けたりする窓口になるのは管理会社であることが多いはずです。この期間に次の点を確かめておくと動きやすくなります。

1. 民泊を承諾した物件を一覧にする

貸主の承諾書を出して民泊に使われている物件を、物件名・部屋番号・届出番号・事業者と住宅宿泊管理業者の連絡先とともに一覧にします。苦情が来たときにすぐ連絡先が分かるようにするためです。承諾した覚えのない部屋で民泊の届出がされていると分かったときは、貸主に知らせ、届出先の区市に問い合わせます。

2. 標識と緊急連絡先の掲示を見る

巡回で最初に見られるのが標識と緊急連絡先です。承諾した物件では、定期巡回のときに標識が見やすい場所に掲げられているか、連絡先が今も通じるかを確かめ、外れていれば事業者に伝えます。

3. 家主居住型の物件で家主がいるかを確かめる

家主居住型として届け出ている物件で家主が住んでいない様子があれば、事業者に確かめます。家主が不在になるなら、住宅宿泊管理業者に任せる必要があります(法第11条)。

4. 近隣からの苦情の受け方を決める

騒音やごみの苦情を受けたときに、届出住宅かどうか(標識の有無)を見て、事業者・住宅宿泊管理業者に連絡し、必要なら区市の窓口につなぐ流れを社内で決めておきます。受けた日時・内容・連絡先・対応を記録に残します。

5. 民泊の承諾を求められたときの扱いを決める

入居者から民泊に使いたいと相談されたら、賃貸借契約書の使用目的や転貸の定めを確かめ、貸主の判断を仰ぎます。承諾する場合は、住宅宿泊事業に使ってよいことと、その範囲を書面にします。区や市の条例で営業できない区域・期間がないかも、事前に確かめます。

無断で民泊に使われていることが疑われるときの見つけ方と対応の手順は、無断民泊の見つけ方と対応手順にまとめています。

よくある質問

Q1. 強化月間はいつからいつまでで、どの地域が対象ですか。

2026年10月23日から11月30日までです。東京都、特別区、八王子市、町田市、警視庁が実施します。巡回は一部の自治体と一緒に行うとされており、すべての区市で巡回があるとは書かれていません。

Q2. 賃貸管理会社に新しい義務ができたのですか。

いいえ。今回の発表は、住宅宿泊事業法と条例ですでに決まっていることを事業者に守らせるための啓発と指導で、管理会社に新しい義務を課すものではありません。

Q3. 管理物件で入居者が無断で民泊をしていたらどうしますか。

賃貸人の承諾がなければ、届出に必要な書類がそろわないため、届出のない営業や、承諾の範囲を超えた使い方になっているおそれがあります。まず事実を確かめて貸主に報告し、届出先の区市に相談します。契約の解除など法的な判断が要るときは、弁護士に相談してください。

Q4. 強化月間のあと、取り締まりは厳しくなりますか。

今回の発表には、強化月間のあとの取り組みについては書かれていません。決まっていないことなので、東京都や各区市のその後の発表を確かめてください。

要点は三つです。東京都が10月23日から11月30日まで、区市・警視庁と民泊の適正運営強化月間を行うこと。巡回では標識・緊急連絡先の掲示、家主居住型での家主の不在、条例で禁じられた期間の営業などが確かめられること。管理会社は、承諾した物件の一覧と掲示の確認、苦情の受け方を今のうちに整えておくことです。

この記事は 2026-10-26 時点の情報です。

出典(本文で参照している資料)

本稿の内容は、2026年10月26日に開いて読んだ次の資料にもとづきます。

本稿で使った内容資料
強化月間の目的・期間・実施主体・取り組み・指導の例東京都産業労働局「「民泊の適正運営強化月間」を実施します」(2026年10月16日)
事業者の義務(180日・届出・説明・苦情対応・委託・標識・条例による制限)住宅宿泊事業法(平成29年法律第65号)
届出の添付書類(賃貸人・転貸人の承諾、管理規約)観光庁 民泊制度ポータルサイト「届出に必要な添付書類」

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