賃貸管理会社にとっての民泊のリスクは、管理物件で入居者が無断で民泊を営む「無断民泊」です。2026年5月29日に国土交通省が公表した住宅宿泊管理業者への立入検査の結果では、検査を受けた44業者のうち35業者が是正指導を受け、自治体も業務改善命令や業務停止命令に踏み込んでいます。近隣からの苦情で分かる形になると、管理会社は最後に知ることになります。
本記事は、宅地建物取引業を営み、自社で賃貸住宅210戸を保有して約100戸を自主管理するウルスタ株式会社の代表が、民泊をめぐる規制の現在地、民法612条と民泊3制度の法的整理、発見チェック8項目、発見時の対応SOP5ステップ、予防の3層、オーナーから民泊転用を相談されたときの考え方までを、少人数の会社が動ける粒度で整理したものです。条例や様式の細目は、運用にあたって国土交通省・観光庁・自治体など提供元の最新情報を確認してください。
民泊をめぐる3つの事実 — 処分・検査・条例がそろって締まった
まず、2026年の民泊規制がどういう局面にあるのかを、公表情報で押さえます。需要が伸びる一方で行政の監視と処分は強まっており、正規の枠に入れない民泊が、無届け・無断の形で賃貸物件に流れ込むおそれがあるというのが全体像です。
事実1:自治体が業務改善命令・業務停止命令に踏み込んでいる
ひとつめは、自治体の行政処分です。豊島区は2026年6月17日、区内で住宅宿泊事業を行う15事業者(23施設)に対し、区として初めての業務停止命令を出したと公表しました。停止期間は令和8年7月1日から令和9年6月30日までです。区は同年4月に、定期報告を続けて出していなかった83事業者(202施設)に業務改善命令を出しており、その後も報告を怠った事業者が対象になりました。京都市も、2026年2月1日から、定期報告を出さない住宅宿泊事業者に対して業務改善命令や過料、業務停止命令、公表などを速やかに行う方針を示しています。届出をした民泊でも、義務を果たさなければ処分の対象になることが、各地で具体的に示されています。
事実2:住宅宿泊管理業者への立入検査、8割が是正指導
ふたつめは、国の立入検査の結果です。国土交通省が2026年5月29日に公表した令和7年度の立入検査の結果では、住宅宿泊管理業者44業者が検査を受け、うち35業者(約8割)が是正指導を受けました。指摘が多かったのは帳簿の備付け等(18件)、証明書の携帯等(16件)、住宅宿泊事業者への定期報告(16件)です。今後については、「外国人の受入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」(令和8年1月関係閣僚会議決定)を踏まえ、管理が適切に行われていない民泊への対応として、周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明と、苦情等への対応を特に重点的に指導するとしています。住宅宿泊管理業の登録業者は令和8年3月時点で4,095業者です。登録を受けたプロの管理業者でも多くが指摘を受ける制度を、入居者が無断・無届けで適法に運営できる余地は、ほとんどありません。
事実3:自治体の条例と仲介サイトの掲載ルールが厳しくなっている
みっつめは、自治体と国の仕組みです。大田区は2026年4月1日から特区民泊のガイドラインを改正し、近隣住民への説明会の開催、周知の範囲の10mから20mへの拡大、駆けつけを公共交通機関で30分以内から徒歩10分以内へ、ごみの回収を週1回以上から週3回以上へ、と基準を厳しくしました。大阪市は、令和8年5月29日をもって特区民泊の新規受付を終了しました。豊島区は、区域と期間の制限を設ける条例改正の方針を示しています(区の公表では2026年12月施行予定)。
仲介サイト側にもルールがあります。観光庁の民泊制度ポータルサイトによると、住宅宿泊仲介業者は、届出物件を掲載する際に届出番号などを確認し、掲載物件に届出番号等を表示する必要があります。掲載物件は観光庁に報告され、自治体の情報と食い違う物件は削除の対象になります。黙ってサイトに載せて稼ぐ形の民泊は、届出番号の確認と照合で表に出やすくなっているということです。
ここが核心:市場は伸び、正規の枠は狭まり、すき間は賃貸物件に向かう
観光庁の民泊制度ポータルサイトによると、住宅宿泊事業の届出住宅数は令和8年9月15日時点で43,037件です。直近の宿泊実績(令和8年6月1日〜7月31日)では、全国の宿泊者数は582,162人で前年同期比123.8%、うち外国人が57.5%でした。一方で条例は厳しくなり、新規の正規参入の枠は狭まっています。需要があるのに正規の枠が足りないとき、賃貸住宅を借りて無断で転貸民泊に回す動きが出るおそれがあります。管理物件がその受け皿にならないよう、仕組みで備えておく必要があります。
無断民泊が管理物件で起きると何を失うか
無断民泊は「見つけたら止めればいい」という軽い話ではありません。続いている間、管理会社とオーナーは損失を積み上げ続けます。第一に、近隣・他の入居者からのクレームです。深夜の騒音、スーツケースの出入り、曜日を無視したごみ出し。近隣の我慢が限界を超えて行政や警察に通報されると、管理会社は「何も把握していなかった会社」として登場することになります。第二に、良い入居者の退去です。ファミリー物件で「隣が民泊になった」となれば、退去の理由として十分です。第三に、建物と保険のリスクです。不特定多数の宿泊は想定外の損耗や火災のリスクを伴い、保険の適用で用法違反が争点になることも考えられます。第四に、分譲マンションでは管理規約違反として管理組合との紛争に発展し、オーナーが組合から責任を問われます。そして最後に、オーナーの信頼です。「毎月管理料を払っているのに、自分の部屋がホテルになっていることに気づかなかったのか」という一言に、反論の余地はありません。
法的整理 — 民法612条と民泊3制度、「届出すれば合法」が成り立たない理由
対応を間違えないために、法律の骨格を3点だけ押さえます。
無断転貸は契約解除事由になる(民法612条)
賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ賃借物を転貸できず、これに違反して第三者に使用又は収益をさせたときは、賃貸人は契約を解除できます(民法612条)。判例上、賃貸人に対する背信行為と認めるに足りない特段の事情があるときは解除できないとされています(最判昭和28年9月25日)。ただし不特定多数の宿泊者に反復継続して部屋を提供する無断民泊は、親族を一時的に住まわせたような事案とは性質が違い、背信性が認められやすい類型と考えられます。民泊禁止の特約がない古い契約でも、612条と用法遵守義務を根拠に対応できます。特約があれば、解除の根拠はさらに明確になります。
適法な民泊は3ルートしかなく、無許可には罰則がある
適法に民泊を営む方法は、(1)旅館業法の許可(簡易宿所営業など)、(2)国家戦略特区の特区民泊の認定、(3)住宅宿泊事業法の届出(年間の宿泊日数180日以内、条例による制限あり)の3つです。いずれにも当たらない営業は旅館業法の無許可営業となり、6月以下の拘禁刑若しくは100万円以下の罰金、又はその併科の対象です(旅館業法第10条)。この罰金の上限は、平成29年12月公布の改正法で3万円から100万円に引き上げられました。住宅宿泊事業法の届出をしても、年180日を超えれば住宅宿泊事業には当たらず、義務を果たさなければ前述のような行政処分の対象になります。
借主が勝手に「届出して合法化」はできない
実務上もっとも重要なのがここです。住宅宿泊事業法の届出では、届出者が賃借人の場合、賃貸人が住宅宿泊事業の用に供することを承諾したことを証する書類の添付が必要です(観光庁 民泊制度ポータルサイト「届出に必要な書類」、施行規則第4条第4項)。転借人であれば、賃貸人と転貸人の承諾を証する書類が必要です。つまり、貸主と管理会社が承諾していない限り、入居者は適法な届出そのものができません。無断民泊は「届出を知らなかった善意の副業」ではなく、構造的に、無届け(旅館業法違反の疑い)か、承諾の書類に問題がある届出のどちらかを伴います。この理解があると、借主の「届出すれば問題ないはずだ」という反論に、その場で正確に答えられます。
無断民泊の発見チェック8項目 — 巡回・データ・通報の3経路で網を張る
発見は偶然に頼らず、仕組みにします。経路は3つ。現地の巡回で見る、データで照合する、通報を一元的に受ける。次の8項目をチェック表にして、頻度を決めて回してください。頻度は目安です。
| # | チェック項目 | 見るポイント | 頻度の目安 |
|---|---|---|---|
| 1 | 予約サイトの照合 | 主要な民泊サイトで物件の町名・最寄駅・外観や内装の写真・間取りを検索し、管理物件が掲載されていないか確認 | 月1回 |
| 2 | 届出情報との照合 | 自治体が公表する届出住宅の一覧(公表している自治体の場合)に管理物件の住所がないか確認 | 月1回 |
| 3 | 共用部の異変 | 後付けのキーボックス・スマートロック、多言語の案内の貼り紙、スーツケースの出入り | 巡回ごと |
| 4 | ごみ出しの異常 | 曜日を無視、分別なし、一度に大量 | 巡回ごと |
| 5 | 騒音・人の入れ替わりの通報 | 近隣・他の入居者からの通報を記録様式に一元化し、同じ住戸への繰り返しを検知 | 随時 |
| 6 | 使用量の異常 | オーナー一括契約の水道光熱・通信の使用量の急増 | 検針ごと |
| 7 | 郵便受け・玄関まわり | 表札なしで人の出入りだけ多い、チェックイン案内の掲示、郵便物の放置 | 巡回ごと |
| 8 | 契約面のサイン | 法人契約の利用実態(社宅名目で実態は宿泊)、更新時の居住確認、入居者からの転貸の打診 | 更新・契約時 |
このうち効果が大きいのは1と5です。予約サイトの照合は、立地と写真を知っている管理会社だからこそ短時間で当たりをつけられます。空室募集時の室内写真と掲載写真の家具の配置・窓の形・眺望が一致すれば、ほぼ確定です。5の通報の一元化は、電話や問い合わせの記録を「住戸単位」で集計するだけで、単発のクレームでは見えない「同じ部屋に毎週違う人がいる」というパターンを浮かび上がらせます。
発見したときの対応SOP — 感情的に動かず、5ステップで詰める
ステップ1:証拠を保全する(その日のうちに)
掲載ページのURL・スクリーンショット(物件写真・カレンダー・料金・ホスト情報)を日時入りで保存し、巡回時の現地写真と通報の記録をそろえます。先に借主へ連絡すると、掲載をすぐに消される可能性があります。証拠がそろうまでは接触しないのが原則です。予約可能日の状況やレビュー(宿泊実績の証拠になります)まで押さえれば、後の交渉と法的手続の土台になります。
ステップ2:借主に事実確認と利用停止を書面で求める
証拠がそろったら、借主に対し、配達の記録が残る方法の書面で、(1)無断転貸・用法違反の事実、(2)宿泊提供の即時停止と掲載の削除、(3)期限を切った回答、を求めます。電話や口頭で済ませず、催告の記録を残すことが、後に解除の有効性を支えます。前章の法的整理ができていれば、「届出すればいい」「友人を泊めているだけ」といった反論にも、承諾書類の要否や反復継続性の観点から具体的に答えられます。
ステップ3:オーナーに報告し、方針を決める
発見した時点と催告した時点で、オーナーへ速やかに報告します。方針(是正させて契約を続けるか、解除・明渡しまで進めるか)はオーナーの意向と契約条項を踏まえて決めるもので、管理会社の独断で進めません。日頃の管理報告に発見の経緯と証拠が整理されていれば、「管理会社がきちんと見ていてくれた」という評価に変わります。同じ出来事が、報告の仕方ひとつで信頼の喪失にも獲得にもなります。
ステップ4:是正されなければ解除・明渡しへ
期限内に停止・削除がされない、あるいは再開した場合は、民法612条・用法遵守義務違反・特約に基づく解除通知(内容証明郵便など)に進みます。明渡しに応じない場合は建物明渡請求訴訟となるため、この段階では弁護士と連携してください。悪質な事案ほど、ステップ1〜2の証拠と催告の記録が効きます。なお、滞納がない借主であっても、無断民泊は解除が認められ得る独立の解除事由です。
ステップ5:行政・警察への相談を並行させる
無届けが疑われる場合は、物件所在地の保健所に情報提供します。観光庁の民泊制度ポータルサイトは、法的な手続を経ずに宿泊サービスを提供している事象を見つけた場合は近くの保健所に連絡するよう案内しています。制度についての質問や苦情は、民泊制度コールセンターでも受け付けています。宿泊者とのトラブルや安全面の心配があれば、警察にも相談します。行政の調査・指導は、借主への民事上の働きかけと並行して進められる別のルートです。
実務の考え方
無断民泊の怖さは、近隣からの通報で初めて分かる形になりやすい点です。通報で発覚した時点で、近隣との関係はマイナスからの出発になります。空室募集時の写真と予約サイトの照合を月次の事務作業に組み込み、巡回するスタッフが「あの部屋、最近様子が変です」と言いやすい仕組みをつくっておく。仕組みと現場の目の両方で、通報より先に自社で見つけることが、その後の展開を大きく変えます。
予防の3層ガード — 契約・審査・管理で「できない状態」をつくる
発見と対応のSOPがあっても、起きてから動くのはコストが大きいものです。予防は契約・審査・管理の3層で考えます。
第1層は契約条項です。国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、借主は居住のみを目的として使用すること(第3条)、貸主の書面による承諾なく転貸してはならないこと(第8条第1項)を定めています。同契約書の転貸承諾書の例には、借主が民泊を行おうとする場合の記載方法の注記もあり、民泊には貸主の承諾が前提であることが分かります。これに加えて、「住宅宿泊事業・旅館業・特区民泊その他の宿泊事業の用に供することの禁止」を明記し、違反時の解除の定めを置くと、抑止と交渉の速さが変わります。既存の契約は、更新時に特約を加えていきます。
第2層は入居審査です。申込時に利用目的と居住者全員を確認し、法人契約は入居者名簿と利用実態の報告の条項をセットにします。「鍵を受け取ったら自由に使えるはず」と考えている申込者を、入口で見分けます。
第3層は日常管理です。分譲マンションでは管理規約の民泊の可否を確認します(国土交通省は2017年8月29日、マンション標準管理規約に住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合の規定例を示しました)。規約上の扱いを、賃貸借契約書や募集図面と整合させます。巡回記録と通報記録を住戸単位で残します。そしてオーナーには、「民泊で高収益」という勧誘が来たら管理会社へ相談するよう、日頃から伝えておきます。3層がそろうと、無断民泊は「始めにくく、続けられず、言い逃れできない」状態になります。
オーナーから「民泊をやりたい」と相談されたら
逆方向の相談も増えています。空室対策やインバウンドの収益を期待して、オーナー自身が民泊への転用を考えるケースです。このとき管理会社が示すべきは、賛成・反対の前に判断材料です。第一に、適法なルートは3つで、住宅宿泊事業法の届出なら年180日という上限があり、条例で期間がさらに制限される地域もあります(住宅宿泊事業法第2条第3項、第18条)。収支への影響は大きくなります。第二に、家主不在型では住宅宿泊管理業者への委託が義務です(同法第11条第1項第2号)。その管理業者の立入検査で多くが是正指導を受けているのが現状なので、委託先の体制は契約前に確認する必要があります。第三に、分譲マンションで管理規約が民泊を禁止していれば、そもそも始められません。第四に、自社が管理を受託するなら、賃貸住宅管理業とは別に住宅宿泊管理業の登録(国土交通大臣、同法第22条第1項)が必要です。これらを並べたうえで、通常の賃貸の継続、賃料の見直し、マンスリー利用などの代わりの案と収支を比べて提案すれば、「できます/できません」で終わらない、判断を支える管理会社として信頼が深まります。
このテーマの全体像は「不動産の業務効率化ガイド2026|5段階の進め方と法令チェックポイント・関連記事一覧」にまとめています。
よくある質問
Q1. 無断民泊を見つけたら、すぐ契約解除できますか。
いきなりの解除は勧めません。解除の有効性は信頼関係の破壊が前提になるため、証拠の保全、書面での催告、それでも是正されないという経過を積むことが、結局いちばん確実です。反復継続した宿泊提供の証拠(掲載ページ・レビュー・現地の状況)がそろっているほど、解除は認められやすくなります。
Q2. 借主が「届出済みだから合法だ」と主張したらどうしますか。
届出番号と届出時の添付書類の確認を求めてください。賃借人による届出には賃貸人の承諾を証する書類が必要なので、承諾していないのに届出が受理されているなら、書類に問題がある疑いがあります。自治体の民泊担当の窓口に照会し、事実関係を確認したうえで対応します。いずれにしても無断であれば、契約違反の問題は残ります。
Q3. 契約書に民泊禁止の特約がない古い契約でも対応できますか。
できます。民法612条の無断転貸の制限と用法遵守義務は、特約がなくても適用されます。不特定多数への反復継続的な宿泊提供は、通常の居住用の契約の用法を外れた使用です。ただし今後の抑止のため、更新のタイミングで宿泊事業禁止の特約を加えていくことを勧めます。
Q4. 旅館業の簡易宿所や特区民泊と、住宅宿泊事業法の民泊は何が違うのですか。
簡易宿所は旅館業法の営業許可、特区民泊は国家戦略特区での認定、住宅宿泊事業法の民泊は届出制で、年間の宿泊日数の上限が180日(条例による制限あり)です。前の2つには住宅宿泊事業法のような日数の上限はありませんが、用途地域や設備などの要件があります。賃貸住戸で入居者が無断で行う場合、どの枠組みの許可・認定・適法な届出も通常は取れません。
Q5. 分譲マンションの一室を管理しています。管理規約との関係はどうなりますか。
マンション標準管理規約は2017年の改正で、住宅宿泊事業を可能とする場合と禁止する場合の規定例を示しています。規約で禁止されていれば、区分所有者(オーナー)も入居者も民泊はできません。届出の際も、分譲マンションでは規約の写しの添付が求められます。賃貸借契約・募集図面・規約の整合を確認し、規約違反は管理組合とも連携して対応します。
Q6. 無届け民泊の通報・相談はどこにすればよいですか。
観光庁の民泊制度ポータルサイトは、法的な手続を経ずに宿泊サービスを提供している事象については近くの保健所へ、条例などは各自治体の窓口へ、と案内しています。制度についての質問や苦情は民泊制度コールセンター(0570-041-389、平日9時〜17時)でも受け付けています。宿泊者の出入りに伴う安全上の不安があれば警察への相談も併用してください。通報と並行して、借主への民事上の対応(催告・解除)は自社のSOPで進めます。
Q7. まず何から始めればよいですか。
今週やることは3つです。(1)管理物件の所在エリアで予約サイトを一度検索し、いまの掲載の有無を確認する、(2)通報・クレームの記録を住戸単位で見返し、繰り返しのある住戸を洗い出す、(3)契約書のひな形に宿泊事業禁止の特約があるか確認する。この3つで、いま進んでいるリスクの多くが見えてきます。そのうえで、本記事のチェック8項目を月次・巡回の定例業務に組み込んでください。
まとめ:無断民泊対策は「通報される前に、自社で見つける」体制づくり
2026年、民泊をめぐる環境は、自治体の業務停止命令、管理業者への立入検査での是正指導、条例の厳格化、仲介サイトの掲載ルールと、規制が締まる局面にあります。需要が伸びるほど、正規の枠に入れないすき間が、賃貸物件の無断民泊に向かうおそれがあります。
管理会社の対策は、難しい法解釈ではありません。月1回の予約サイトの照合と届出情報の確認、巡回とごみ・騒音の記録、通報の住戸単位での一元化という発見の仕組み。証拠保全から催告・オーナー報告・解除・行政への相談までのSOP。そして契約の特約、入居審査、規約との整合という予防の3層。どれも少人数の会社で今日から始められる実務です。通報より先に自社で見つけて静かに収めれば、オーナーと地域からの信頼は積み上がります。足元の管理物件を一巡、見直してみてください。
巡回記録・クレーム対応・契約書面を、物件単位でつなげて残すために
ウルスタ株式会社の「ウルスタくん」では、物件・入居者の管理、顧客管理、賃貸借契約書や重要事項説明書などの書類と電子サインを、1つの仕組みで扱えます。通報やクレームの記録が物件・入居者の情報とつながっていれば、繰り返しのパターンで気づく事案の把握も、オーナーへの報告もまとめやすくなります。
関連コラム
出典(本文で参照している資料)
- 国土交通省 住宅宿泊管理業者への全国立入検査結果(令和7年度)について(令和8年5月29日)
- 同 立入検査結果の詳細(是正指導の件数、登録業者数)
- 豊島区 区内で住宅宿泊事業を行う15事業者に対して本区初の業務停止命令を発出しました(2026年6月17日)
- 京都市 報道発表資料(令和8年1月29日)住宅宿泊事業法に基づく定期報告を行わない事業者への対応の強化
- 大田区 特区民泊のガイドラインの改正について(プレスリリース)
- 大阪市 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の新規受付終了について
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト 住宅宿泊事業法の施行状況
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト 違法物件の掲載の防止
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト 届出に必要な書類
- 観光庁 民泊制度ポータルサイト 近隣にお住まいの方
- 観光庁 民泊制度コールセンターのご案内
- 国土交通省 賃貸住宅標準契約書(平成30年3月版・連帯保証人型)
- 国土交通省 住宅宿泊事業に伴う「マンション標準管理規約」の改正について(2017年8月29日)
- 厚生労働省「旅館業法の一部を改正する法律」の公布について(平成29年12月15日)
- 全日本不動産協会 民法612条の解説(最判昭和28年9月25日)
- 住宅宿泊事業法(第2条第3項、第11条、第18条、第22条)
- 旅館業法(第10条)
- 民法(第612条)
この記事は2026年10月7日時点の情報です。

