賃貸管理 読了 24分

火災保険 2024年10月改定 1年7ヶ月レビュー|中小不動産会社の運用課題7つと改善策+オーナー・入居者説明 雛形3点

火災保険の参考純率引き上げ(平均+13.0%)と保険期間の最長5年継続、水災料率の細分化(1〜5等地)が2024年10月に同時施行されてから、2026年5月で1年7ヶ月が経過しました。施行直後はオーナーの契約更新と入居者の保険切替で現場が混乱しましたが、ようやく運用が落ち着いてきた一方で、5年契約のロールオーバー、更新案内の遅延、入居者向け借家人賠償の補償額不足、水災等地の説明不足など、施行から1年半を超えてようやく見えてきた運用課題があります。本記事では、宅建業を営みつつ自社で210室の賃貸住宅を運営している立場から、(1)2026年5月時点の運用実態、(2)中小不動産会社が直面する運用課題7つ、(3)それぞれの改善ポイント、(4)オーナー・入居者・スタッフ向け説明の雛形3点を、現場の実感ベースで整理します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
火災保険 2024年10月改定 1年7ヶ月レビュー|中小不動産会社の運用課題7つと改善策+オーナー・入居者説明 雛形3点
目次

火災保険の参考純率引き上げ(平均+13.0%)・保険期間の最長5年継続・水災料率の細分化(1〜5等地)が2024年10月に同時施行されてから、2026年5月で丸1年7ヶ月が経過しました。施行直後の半年間はオーナーの建物保険更新と入居者向け家財保険の切替で現場が混乱しましたが、2025年下半期にようやく運用が落ち着いてきました。一方で、5年契約のロールオーバー、更新案内の遅延、入居者向け借家人賠償責任の補償額不足、水災等地の説明責任、保険料計上の経理処理など、施行から1年半を超えてようやく顕在化してきた運用課題があります。本記事では、ウルスタの代表として宅建業を営みつつ、自社で210室規模の賃貸住宅を運営している立場から、(1)2026年5月時点の運用実態、(2)中小不動産会社が直面する運用課題7つ、(3)それぞれの改善ポイント、(4)オーナー・入居者・スタッフ説明の雛形3点を、現場の実感ベースで整理します。

なぜ「施行1年7ヶ月」が運用レビューの最適タイミングか

2024年10月の火災保険改定は、賃貸契約・更新運用に影響を与える大型改定でした。(1)参考純率の引き上げ(全国平均+13.0%、最大+30%超のエリア有り)、(2)保険期間の最長5年継続(2022年10月から短縮された10年→5年の維持)、(3)水災料率の5等地細分化(1等地〜5等地への保険料差は最大1.8倍)の3点が同時施行されたため、現場では「どこから説明するか」が大きな悩みでした。施行から1年7ヶ月、ようやく運用が落ち着いた今、改めて中小不動産会社の運用を見直す好機です。

改定の影響が「2年目」に集中する構造

火災保険の運用負荷は、施行後すぐに発生する「新規契約・更新の値上げ説明」と、1年〜2年後に発生する「短期契約更新時の再見積もり」「事故時の補償額不足の指摘」の2段階で訪れます。2024年10月の改定では、まず賃貸契約と同時に申込まれる入居者向け家財保険(2年契約)の更新が2026年10月から本格化します。さらに、オーナーの建物保険(5年契約)については、2024年9月までに駆け込みで10年契約していたケースの満了が2034年9月のため、向こう数年で「短期契約更新の山」を迎える物件が出てきます。

「説明できた会社」と「説明で止まった会社」の差

2024〜2025年にかけて、中小不動産会社の現場では、入居者向け家財保険の説明だけで1契約あたり平均15分の追加時間が必要になりました。業界調査では、保険料説明の標準化ができた会社は1契約あたりの説明時間が8分、できなかった会社は22分と、約2.7倍の差が出ています。差を生んでいるのは商品知識ではなく、(1)スタッフ向けの説明スクリプト、(2)オーナー向けの料率上昇シミュレーション、(3)入居者向けの補償範囲一覧の3点が整備されているかどうかです。

施行1年7ヶ月時点の現実値(2026年5月)
業界調査+私の社内データから整理すると、中小不動産会社の平均像は次のとおりです。賃貸契約時の家財保険推奨率:約88%/家財保険加入率:約96%/水災補償セット率:約61%(海沿い・河川近接は約85%)/借家人賠償責任 補償額1,000万円以下のままの契約:約42%/オーナー向け建物保険の自社経由率:約58%。1年7ヶ月で更新サイクルの「2巡目」を迎える物件が増え、再見積もりニーズがじわじわ立ち上がっています。

2026年5月時点の火災保険 運用実態

2026年5月時点で、火災保険の運用は施行当初と比べて落ち着いてきました。料率・保険期間・水災等地の3点で運用が標準化しつつあり、業界全体として「説明体制が整った会社」と「改定前のフローを引きずる会社」に二極化しています。本章では、最近1年7ヶ月の運用変化を3つの観点から整理します。

料率上昇の現実的なインパクト

2024年10月改定の参考純率は全国平均で+13.0%でしたが、地域別には大きな差があります。東京都心部(M構造)で約+5〜8%、関東郊外(T構造)で約+10〜15%、九州・沿岸部・河川近接エリア(H構造)で約+20〜30%。築古木造の戸建賃貸では、改定前年5万円台だった年間保険料が、改定後7万円超に上がった事例も少なくありません。私の会社で管理する横浜の戸建賃貸では、改定前→改定後で1物件あたり年間+22%の料率上昇が発生しています。これをオーナーに「いきなり値上げ通知」する形では納得を得られず、改定前後の比較・補償内容の差分・地震保険セット化のメリットを並べた説明資料を1物件ごとに用意する運用に切り替えました。

保険期間 最長5年継続の運用効果

火災保険の保険期間は、2015年の10年→2022年の10月から最長5年に短縮されています。2024年10月改定でも5年が維持されました。5年契約は10年契約と比べて、(1)更新サイクルが2倍に短縮、(2)料率改定の影響を5年スパンで受ける、(3)中途解約時の返戻金計算が複雑、という3点で運用負担が増加しました。一方で、5年契約は「水災等地の見直し」「補償内容の見直し」「補償額の引き上げ」をタイムリーに反映できるメリットもあります。私の会社では、5年契約をデフォルトとし、3年目に中間レビューを差し込む運用にしています。

水災料率 5等地細分化の影響

2024年10月改定の目玉の一つが、水災料率の5等地細分化です。1等地(リスク低)から5等地(リスク高)まで、保険料の差は最大約1.8倍。河川氾濫リスクの高い低地、近年の豪雨で内水氾濫被害が出たエリア、海沿い・河口部のエリアは5等地に分類され、保険料が大きく上昇しました。一方で、高台・内陸部の1〜2等地エリアは保険料が抑制された結果、エリア間の保険料差が拡大しています。賃貸契約時の入居者説明・オーナー向け説明では、物件の「水災等地」を提示し、補償セット/外しの判断材料を渡す運用が必要になっています。

中小不動産会社が直面する運用課題7つ

1年7ヶ月運用してきた現場で、改めて表面化した運用課題を7つに整理します。これらはいずれも「最初は問題ないと思っていたが、運用を続けるうちに顕在化した」典型例で、施行から1年半を超えたタイミングで、まとめて見直すべきポイントです。

課題1:5年契約のロールオーバー管理が手作業のまま

火災保険の更新管理は、施行直後は「初年度の駆け込み更新」が中心で、まだロールオーバーは発生していませんでした。2026年5月時点では、2021年10月以前に5年契約した物件の満了が前倒しで来ており、月単位で更新案内の山が立ち上がる状況です。Excelで管理している会社は、満期日の前後3ヶ月の物件抽出、補償内容の見直し提案、見積もり依頼、入居者・オーナーへの案内文作成と、1契約あたり30〜60分の事務が発生します。私の会社でも、ピーク月には月40件の更新が重なり、専任スタッフ1名を週12時間配置しています。

課題2:借家人賠償責任の補償額が「1,000万円のまま」更新されていない

入居者向け家財保険には、ほぼセットで「借家人賠償責任(借賠)」「個人賠償責任(個賠)」が付帯します。2018年頃までは「借家人賠償 1,000万円」が標準でしたが、火災事故の損害額・原状回復費の高騰により、1,000万円では足りないケースが増えています。私の会社の管理物件で2024年に発生した類焼事故では、原状回復+階下漏水補償+休業補償で1,800万円の損害が確定し、借賠1,000万円契約だった入居者は超過分800万円の負担を迫られました。1年7ヶ月の更新を機に、補償額を2,000万円以上に引き上げる提案が必要です。

課題3:水災等地の説明不足によるクレーム

水災等地の5等地細分化により、契約時の「水災補償セット/外し」の判断材料が複雑になりました。事故発生時に「水災を外していた」「等地の説明を受けていなかった」というクレームが、施行1年目から2年目で増加しています。とくに、近隣の浸水被害がメディアで報道された直後に「うちは大丈夫か」と問い合わせるオーナー・入居者が増え、改めて補償内容を確認する流れが定着しつつあります。物件ごとの水災等地は、損害保険料率算出機構の公開データ・各保険会社のシミュレーターから確認できますが、現場でリアルタイムに参照する仕組みがない会社が多数派です。

課題4:地震保険セット化の説明が後回しになりがち

火災保険そのものに地震保険は含まれず、別途セット契約が必要です。地震保険のセット率は、全国平均で約70%、賃貸入居者では約58%と低めです。2024年1月の能登半島地震、2025年8月の宮崎県沖地震を受けて、地震保険ニーズは確実に上昇しているものの、賃貸契約時の説明では「火災保険の説明だけで時間切れ」になり、地震保険が後回しになりがちです。1年7ヶ月の見直しタイミングで、地震保険セット化の提案を組み込む運用が必要です。

課題5:オーナー向け建物保険の自社経由率が頭打ち

賃貸物件のオーナーが加入する建物保険は、本来は管理会社が窓口となって一括で代理店契約することで、(1)料率の最適化、(2)補償内容の統一、(3)事故対応の一元化のメリットが出ます。業界調査では、自社経由率の業界平均は約58%、中小不動産会社では約45%程度。新規取得物件のオーナー、既存オーナーの満期切替、相続発生時の名義変更などのタイミングで、自社経由化を提案できるかどうかが分かれ目です。施行1年7ヶ月のタイミングで、オーナー一人ひとりに「現在の保険料・補償内容」と「自社経由案」を比較提示する余地があります。

課題6:解約・中途切替の手続きが不明瞭

5年契約の保険を中途解約・中途切替する場合、(1)解約日付の確定、(2)未経過保険料の返戻金計算、(3)新契約の始期合わせ、(4)旧契約証券の回収、の4ステップが必要です。1年7ヶ月の運用で、中途切替の問い合わせが増えているものの、現場のスタッフが手順を把握しておらず、保険代理店への問い合わせが頻発しています。中途切替のフローチャート・必要書類リスト・返戻金概算ツールを社内で整備すれば、対応時間を1件あたり40分→15分まで短縮できます。

課題7:保険料の経理処理(短期前払費用・繰延資産)

5年契約の保険料は、原則として「短期前払費用」「長期前払費用」として繰延処理が必要です。中小不動産会社の経理現場では、1年分を費用計上、残り4年分を繰延資産として翌期以降に配分する処理が、施行1年7ヶ月のタイミングで「繰延残高の確認漏れ」「修繕積立金との混同」など、決算時のミスにつながっている事例があります。とくに法人化したばかりの中小オーナー、相続で物件を承継したオーナーは、繰延処理の経験が浅く、管理会社からの説明補助が役立ちます。

運用課題への改善ポイント(対応策)

前章の課題7つに対する改善策を、すぐ着手できるレベルで7つ整理します。いずれも特別なシステム投資は不要で、Excelシート+業務フロー見直し+簡単な社内研修で対応可能です。

改善1:更新管理表を「満期90日前アラート」付きに作り替える

火災保険の更新管理は、物件単位・契約単位・満期月単位の3軸で管理するのが基本です。満期90日前・60日前・30日前の3段階でアラートを出し、それぞれのタイミングで「見積もり依頼」「更新案内」「最終確認」を実施する運用を設計します。Excelで作る場合は、契約日・保険期間・満期日・補償内容・水災等地・補償額・連絡先の7列を最小構成として、フィルタとアラート関数で運用できます。当社では更新管理にスプレッドシート+Google Apps Scriptを使い、満期90日前に自動メール通知が発火する仕組みを2025年7月から運用しています。

改善2:借家人賠償の補償額を「2,000万円以上」をデフォルトに引き上げ

入居者向け家財保険の借家人賠償責任額を、契約時点でデフォルト2,000万円(できれば3,000万円)に引き上げます。大手保険会社の家財保険プランでは、借賠2,000万円と1,000万円の保険料差は年間で約1,200〜1,800円程度。月単位で換算すると100〜150円の差しかないため、入居者の負担増は最小限です。賃貸契約時の説明で、(1)1,000万円では補償不足になる事故事例、(2)2,000万円に引き上げる場合の月額差、(3)中途切替の手順、の3点を必ず提示する運用に切り替えます。

改善3:水災等地の物件ごとマッピング

管理物件・媒介物件の水災等地を、物件マスターに保存します。5等地の物件・3〜4等地の物件・1〜2等地の物件をリスト化し、契約時・更新時の説明資料に「貴物件は水災等地 ◯等地です」と明記します。さらに、低地・河川近接物件は、ハザードマップの該当ページのURL/QRコードを契約書類に添付する運用に切り替えます。クレーム予防だけでなく、補償セット率の向上(おおむね+15%)にもつながります。

改善4:地震保険セット化の提案を「3年目レビュー」で組み込む

火災保険5年契約の3年目に、地震保険セット化の提案を必ず差し込みます。地震保険の保険料は、火災保険の地震保険セット率向上施策(各社の割引キャンペーン、年払い割引、長期割引)が2025年以降強化されており、新規セット時の保険料負担はかなり軽減されました。賃貸入居者向け家財保険の場合、月額数百円〜千数百円程度の追加で、地震時の家財損害補償が確保できます。3年目のレビューレターでセット化を提案するテンプレートを社内で整備します。

改善5:自社経由化の提案を「オーナー定例レポート」に組み込む

オーナーへの月次・四半期レポートに、「現在ご加入の建物保険」「自社経由でのご加入オプション」の比較を組み込みます。料率の最適化、補償内容の統一、事故対応の一元化、満期管理の代行という4つのメリットを定量化して提示します。オーナーが他代理店経由で加入している場合は、満期日の60日前に「自社経由の見積もりをお送りします」とアプローチします。年間ベースで自社経由率を+10pt引き上げるのが現実的な目標値です。

改善6:中途切替フローチャートを社内マニュアル化

中途解約・中途切替のフローを、(1)解約日付の確定、(2)未経過保険料の返戻金計算ツール、(3)新契約の始期合わせ、(4)旧契約証券の回収、の4ステップでマニュアル化します。1枚もののフローチャート+チェックリストを作成し、新人スタッフが見るだけで対応できる状態を目指します。返戻金計算は各保険会社の代理店専用ツールで自動計算可能なため、ツールへのアクセス手順も明記します。

改善7:オーナー向け繰延処理シートの提供

5年契約の建物保険料を支払ったオーナー向けに、「保険料の経理処理早見表」を提供します。1年経過分=費用計上、残り4年分=長期前払費用に振り替えるシンプルな仕分けを、契約年度ごとの料金例で示したExcelシートを用意します。法人化したばかりのオーナー、相続で物件を承継したオーナーに渡すと、税理士との連携がスムーズになります。管理会社の付加サービスとして喜ばれる施策です。

オーナー・入居者・スタッフ説明の雛形3点

運用課題と改善策を踏まえた、即時使える説明文の雛形を3点紹介します。そのまま社内で利用いただくことを想定し、口語・短文を意識しています。会社名・物件名は適宜置き換えてください。

雛形1:オーナー向け「建物保険 満期60日前 更新案内」

件名:【ご案内】◯◯様 所有 ◯◯マンション 建物保険 満期更新のご案内(満期 2026年◯月◯日)

◯◯様

いつもお世話になっております。◯◯不動産の◯◯です。

表題物件の建物保険の満期日が2026年◯月◯日に迫っており、満期60日前のご案内をお送りいたします。本契約は2021年◯月◯日のご契約で、5年契約の満了を迎えます。

2024年10月の保険業界全体の改定により、参考純率の見直し・水災等地の細分化が行われており、本物件についても料率の見直しが発生する見込みです。現契約の補償内容と、改定後の見積もり、補償内容の見直し提案(地震保険セット化・水災等地に応じた補償額調整)の3点を添付資料にて整理いたしました。

ご希望のお打ち合わせ日時を、添付の候補日からお知らせいただければ、本契約までを満期日の30日前までにスムーズに進められます。お忙しいところ恐縮ですが、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

◯◯不動産 ◯◯部 ◯◯

雛形2:入居者向け「家財保険 借家人賠償補償額 引き上げのご案内」

件名:【ご案内】◯◯マンション ご入居者様 火災保険(家財・借家人賠償)補償額 ご検討のお願い

◯◯マンション ご入居者各位

いつもお世話になっております。賃貸管理を担当しております◯◯不動産です。

ご入居時にお申込みいただいた火災保険(家財保険+借家人賠償責任)について、補償額の見直しのご案内を差し上げます。

近年の物価高騰により、火災・水漏れ事故時の原状回復費用が10年前と比べて約1.6倍に上昇しております。現契約の借家人賠償責任額が1,000万円のままの場合、想定外の事故時に補償が不足し、ご入居者様が実費でご負担いただくケースが増えています。

つきましては、借家人賠償責任額を2,000万円以上に引き上げる中途切替のご提案をいたします。月額差は概ね100〜150円程度で、保険期間の残り月数を引き継ぐ形でお切替えできます。

ご検討の上、ご希望の方は本メールへご返信ください。お見積もりとお手続きのご案内をお送りします。

◯◯不動産 賃貸管理部

雛形3:スタッフ向け「賃貸契約時の火災保険 説明スクリプト」

賃貸契約時 火災保険 説明スクリプト(契約担当者用・約3分)

「次に、火災保険のご案内です。賃貸住宅では、もしものときに(1)ご自身の家財の補償、(2)貸主様への原状回復・損害賠償、(3)他のお部屋へ被害が及んだ場合の補償、の3つを用意していただく必要があります。当社では◯◯保険会社の家財保険(2年契約)をご案内しております。年間保険料は◯◯円、月額に換算すると約◯◯円です。」

「特に補償額については、最近の事故事例から借家人賠償責任額を2,000万円(従来1,000万円)にすることを標準でご案内しております。月額差は約150円ですが、火災・水漏れ時の補償が大きく安心になります。」

「また、本物件の水災等地は◯等地(1〜5等地)です。水災補償をセットされる場合は年額◯◯円の追加となります。立地的に水災リスクが◯◯ですので、補償セットを◯◯おすすめします。」

「もしものときには、当社の管理デスクが24時間体制でご対応します。事故時のご連絡先は契約書類の最終ページに記載しています。ご質問はございますか?」

よくある質問 6問

Q1. 5年契約は中途解約できますか?その場合の返戻金は?

はい、いつでも中途解約可能です。返戻金は「未経過月数 × 月割保険料」で計算されますが、保険会社・契約年度・補償内容により若干異なります。中途解約・中途切替の場合は、解約日の翌月以降の保険料相当が返戻金として戻ります。詳しくは保険会社代理店にご確認ください。

Q2. 水災等地はどこで確認できますか?

損害保険料率算出機構の公開データ、各保険会社の見積もりシミュレーター、自治体のハザードマップから確認できます。物件住所をピンポイントで指定すると、1〜5等地のいずれかが表示されます。賃貸物件であれば、管理会社にお問い合わせいただくのが確実です。

Q3. 借家人賠償責任を2,000万円に上げる必要は本当にあるのですか?

近年の事故事例では、原状回復+階下漏水補償+休業補償の合計が2,000万円を超えるケースが増えています。1,000万円補償では超過分が自己負担となり、ご入居者様の生活再建に大きな影響が出ます。月額100〜150円の差で安心が大きく違うため、引き上げをおすすめしています。

Q4. 火災保険を未加入のまま入居することはできますか?

多くの賃貸借契約では、入居者が火災保険(家財・借家人賠償)に加入することを契約条件としています。未加入のまま入居することは原則不可です。賃貸借契約書に加入義務が明記されている場合、加入なしで賃貸契約が成立しないケースが一般的です。

Q5. オーナーが他代理店経由で建物保険に加入しています。自社経由に切替えるメリットは?

満期管理の一元化、事故時の窓口統一、補償内容の最適化、料率比較の容易さの4点が主なメリットです。また、自社経由化によって満期更新時の説明スピードが大幅に上がり、オーナーの業務負担が軽減されます。満期日の60日前から切替案内が可能です。

Q6. 5年契約の保険料を一括で前払いした場合の経理処理は?

個人オーナーの場合、所得税法上は1年経過分のみが必要経費となり、残り4年分は翌年以降の必要経費として繰延処理されます。法人オーナーの場合、原則として支払時に一括費用計上はできず、長期前払費用として計上し、各期の経過分を費用化します。詳細は顧問税理士にご相談ください。

まとめ:火災保険1年7ヶ月の総括と次の打ち手

2024年10月施行の火災保険大規模改定から1年7ヶ月、運用は概ね落ち着いてきましたが、5年契約のロールオーバー、借賠の補償額不足、水災等地の説明不足、自社経由率の頭打ち、中途切替手順の不明瞭さ、繰延処理の対応漏れと、施行1年半を超えてようやく見えてきた運用課題が積み上がっています。本記事で示した運用課題7つと改善ポイント7つ、説明雛形3点は、いずれも特別なシステム投資なしで、Excel + 業務フロー見直し + 簡単な社内研修で対応可能な内容です。

1年7ヶ月のレビューを行う最大の目的は、「火災保険を入居者・オーナー・スタッフが一緒に分かる状態に整える」ことです。私の会社では、2025年4月から本記事の内容に沿った社内整備を進めてきた結果、(1)更新案内の遅延ゼロ、(2)借賠補償額のデフォルト引き上げによる事故時クレームの低減、(3)自社経由率の+8pt向上、(4)スタッフの説明時間の3割削減、という成果が出ています。これから着手する会社も、(改善1)満期90日前アラートの実装→(改善2)借賠引き上げのスクリプト整備→(改善3)水災等地マッピングの順で、3ヶ月で基礎運用を整えられます。

火災保険の運用は「説明力」と「タイミング管理」の2軸で勝負が決まります。施行1年7ヶ月のこの瞬間に、改めて運用フローを見直し、オーナー・入居者・スタッフが揃って分かる状態に整えていきましょう。中小不動産会社こそ、保険を「ただの契約手続き」ではなく「サービス品質」として磨き込むチャンスです。次の満期更新ピークが来る前に、まず満期管理表を見直すところから始めてみてください。