賃貸管理 読了 9分

賃貸管理ソフトは何戸から必要か|30戸はExcel、100戸で入金の確認が限界、200戸で登録が義務

賃貸管理ソフトが要る区切りを、30戸・50戸・100戸・200戸で整理。法律の義務、浮く時間と月額の目安、Excelから移す前に決めておくことをまとめました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
目次

賃貸管理ソフトが要るかどうかは、管理戸数そのものより、オーナーの数・入金の確認を1人でやっているか・担当が2人以上か、の3つで決まります。管理戸数が30戸くらいまでなら、Excelの台帳と通帳の確認で回ります。50戸を超えてオーナーが10人を超えると、毎月の送金明細を作る時間が物件ではなくオーナーの数で増え、100戸を超えると入金の見落としが翌月の問い合わせになります。200戸からは賃貸住宅管理業の登録が義務になり、帳簿と定期報告が法律で決まります。この記事では、戸数ごとに何が変わり、月にいくらまでなら割に合うかを、法律の区切りと作業量の目安で整理します。

結論(戸数ごとの早見表)

管理戸数困り始めることソフトの要否の目安
〜30戸まだ困らないことが多い。オーナーが2〜3人なら送金明細も手で作れるExcelで足りる。月に数百円のソフトなら、記録を1か所に残す目的で入れてもよい
50〜99戸オーナーが10人を超えると、送金明細の作成と送付が月の後半をつぶす送金明細を自動で作れるソフトが割に合い始める。月1,000円前後が目安
100〜199戸入金の消し込みを1人でやると見落としが出る。担当が2人になりExcelの版がずれるソフトが要る。入金の消し込みとオーナー報告を同じ台帳でやれるものを選ぶ
200戸〜賃貸住宅管理業の登録が義務。帳簿の備え付け、分別管理、年1回の定期報告が法律で決まる法律の要件を満たす記録が残るソフトが要る。業務管理者の選任も必要

30戸まで:Excelで足りる条件

30戸までなら、Excelの台帳と通帳の確認で回ります。ただし、次の3つがそろっているときに限ります。

  • オーナーが数人で、送金明細の形が毎月同じ
  • 入金の確認をする人が1人で、その人が台帳も直している
  • 修繕の依頼と費用を、台帳と同じファイルか、少なくとも同じフォルダに残している

この段階でソフトを入れる理由があるとすれば、記録を1か所に残すためです。あとから戸数が増えたときに、過去の入金と修繕の記録を移す手間がなくなります。月に数百円のソフトなら、入れておいて損はありません。

50戸から:送金明細がオーナーの数で増える

管理会社の手間は、物件の数ではなくオーナーの数で増えます。1人のオーナーが30戸持っていれば送金明細は月1通ですが、1戸ずつ持つオーナーが30人いれば30通です。50戸を超えてオーナーが10人を超えるころから、月の後半が送金明細の作成と送付でつぶれ始めます。

送金明細を自動で作れるソフトは、この段階で割に合い始めます。選ぶときは、入金の記録からオーナーごとの送金額が出る形になっているか、オーナーが明細をスマホで見られるかを確かめてください。郵送の手間が無くなるかどうかで、浮く時間が変わります。

100戸から:入金の確認が1人の限界を超える

100戸を超えると、月初に通帳の入金と台帳を照らし合わせる作業が、1人の手に負えなくなります。見落とした1件は、翌月に「先月の家賃が未納になっています」という間違った督促か、入金済みの家賃を入居者に二度請求する形で表に出ます。

このころに担当が2人になることも多く、同じExcelを2人で触ると、どちらが最新か分からなくなります。入金の記録、契約の期間、オーナーへの報告を同じ台帳でやれるソフトに移すのは、この段階が最後の機会です。200戸に近づいてから移すと、法律の対応と移行作業が重なります。

200戸から:賃貸住宅管理業の登録と帳簿

管理戸数が200戸以上になると、賃貸住宅管理業の登録が義務になります(賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律3条、施行規則3条)。登録した業者には、営業所ごとの業務管理者の選任、帳簿の備え付け、家賃等の分別管理、オーナーへの年1回の定期報告が法律で課されます。

戸数の数え方は、管理受託契約を結んでいる賃貸住宅の戸数で、入居の有無は関係ありません。200戸未満でも任意で登録でき、登録した場合は同じ義務がかかります。法律の要件と手続きは「業務管理者とは|賃貸住宅管理業の要件・選任・兼務と不在時の注意」と「管理業務報告書の書き方と定期報告」にまとめています。

月にいくらまでなら割に合うか

ソフトの月額は、浮く時間で考えます。送金明細を1通作るのに15分かかるとして、オーナーが20人なら月5時間です。時給2,000円で計算すると月1万円に相当します。入金の確認で月に半日かかっているなら、さらに4時間分です。

管理戸数浮く時間の目安(月)月額の目安
〜99戸2〜5時間1,000円前後。ウルスタくんのスモールプランは99戸まで月980円(税抜)
100〜499戸10〜30時間1万円前後。同スタンダードは月9,800円(税抜)
500戸〜担当者1人分以上数万円。同プロは月29,800円(税抜)、1,000戸以上のプレミアムは月49,800円(税抜)で頭打ち

他社の料金は、公式ページで月額を公開していない製品が多く、見積もりで決まります。見積もりを取るときは、初期費用、アカウント数、容量、解約時のデータの書き出しの4点を先に聞いてください。聞く順番は「賃貸管理ソフト比較2026|選ぶ観点・見積もりの質問・移行と契約の確認点」にまとめています。

ソフトに移す前に決めておくこと

決めること理由
部屋の番号の付け方Excelで「101」「101」「101号」が混ざっていると、取り込みで別の部屋になります。先にそろえます
賃料を税抜で入れるか税込で入れるか居住用は非課税、事業用は課税です。混ざっているとオーナーへの送金額が合いません
いつの入金から記録を始めるか過去分を全部入れようとすると移行が終わりません。当月から入れ、過去はExcelを残します
誰が入力して誰が確認するか1アカウントのプランでは、入力と確認を同じ人がやることになります。2人で分けるなら複数アカウントのプランを選びます

Excelの台帳をCSVで取り込む手順は「Excelの台帳から移す」に、99戸までのプランの中身は「小規模の管理会社向け」にあります。

よくある質問

Q1. 自分の物件だけを管理する大家にもソフトは要りますか

オーナーが自分1人なら送金明細は要らないので、困るのは入金の確認と修繕の記録です。30戸までならExcelで足ります。それ以上で、入居者ごとの入金と修繕を物件単位で見たいなら、月1,000円前後のソフトを入れる価値があります。

Q2. 200戸未満でも賃貸住宅管理業の登録はできますか

できます。200戸未満は登録の義務がないだけで、任意で登録できます。登録すると、業務管理者の選任・帳簿・分別管理・定期報告の義務は200戸以上の業者と同じにかかります。

Q3. 戸数が増えたらソフトを変える必要がありますか

多くのソフトは戸数でプランが分かれていて、同じソフトの中で上のプランに変えます。ウルスタくんの場合は、99戸までのスモールから100戸でスタンダードに変わり、登録したデータはそのまま残ります。ソフトそのものを変えるのは、必要な機能が無いときに限るほうが、移行の手間が少なくて済みます。

出典(本文で参照している資料)

確かめた内容資料
登録の義務(3条)、業務管理者(12条)、帳簿(18条)、分別管理(16条)、定期報告(20条)e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」
登録が要らない規模(200戸未満。施行規則3条)e-Gov法令検索「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律施行規則」
管理戸数の数え方(入居の有無を問わない)、任意登録国土交通省「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律の解釈・運用の考え方」(PDF)
ウルスタくんの各プランの月額・戸数・アカウント数ウルスタくん「料金」

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