喜多見・宇奈根・鎌田の土地・家を売る、貸す前に知っておきたいこと

このページの結論
- 区の西端、多摩川と野川に挟まれた地域です。2026年の地価公示は1㎡あたり30.3万円(喜多見1丁目)〜45.1万円(喜多見9丁目)で、区の住宅地平均779,900円の4〜6割ほどです。上昇率も2.5〜6.9%と、区平均の7.0%より緩やかです。
- 2019年10月の台風19号(令和元年東日本台風)では、宇奈根1・2丁目と喜多見1丁目付近で浸水し、鎌田1丁目付近でも水があふれました。区は多摩川の想定浸水深を示す表示板を、この地域に計21か所設けています。売る・貸すときは水害ハザードマップの説明が義務です。
- 建て替えには、世田谷西部地域地区計画(容積率80%・建ぺい率40%・敷地100㎡が基本)、多摩川風致地区、2026年3月に決まった外環道東名ジャンクション周辺地区計画などが重なります。区内でもルールの多い地域なので、建てられる大きさを先に確かめます。
喜多見・宇奈根・鎌田の範囲と暮らし
区の喜多見まちづくりセンターの受け持ちで、喜多見1〜9丁目・宇奈根1〜3丁目・鎌田1〜4丁目です。区の説明では、区の西端にあって南北に細長く、北の端が小田急線の喜多見駅、南の端が東急田園都市線の二子玉川駅の手前です。
埋蔵文化財が多く出土し、農村文化の名残をとどめる神社や史跡、伝統芸能が多い地域でもあります。喜多見5丁目の次大夫堀公園民家園では、名主屋敷などを移築して江戸後期〜昭和初期の農村の風景を再現しています。喜多見4・5丁目は、2013年に東京都の「農の風景育成地区」の第1号に指定されました(49.6ha)。
鉄道の駅は北の喜多見駅(小田急線)だけで、宇奈根や鎌田からは二子玉川駅や成城学園前駅へバスで出る人が多い地域です。地価公示の標準地でも、宇奈根2丁目は二子玉川駅まで2,800m、喜多見1丁目は喜多見駅まで2,200mと、駅から離れた地点が多くあります。
町丁目ごとの人口
喜多見1〜9丁目・宇奈根1〜3丁目・鎌田1〜4丁目の人口は2026年10月1日現在で33,653人、世帯は16,498です。1年前(2025年10月1日)と比べると189人増えています。
| 町丁目 | 人口 | 世帯 | 面積(k㎡) | 1年前との差(人) |
|---|---|---|---|---|
| 喜多見1丁目 | 2,006人 | 827 | 0.281 | -11 |
| 喜多見2丁目 | 1,429人 | 762 | 0.297 | -10 |
| 喜多見3丁目 | 1,482人 | 653 | 0.177 | +16 |
| 喜多見4丁目 | 2,612人 | 1,305 | 0.268 | -18 |
| 喜多見5丁目 | 1,745人 | 882 | 0.222 | 0 |
| 喜多見6丁目 | 1,537人 | 708 | 0.141 | +31 |
| 喜多見7丁目 | 3,459人 | 1,784 | 0.331 | +78 |
| 喜多見8丁目 | 2,398人 | 1,405 | 0.16 | +17 |
| 喜多見9丁目 | 3,199人 | 1,713 | 0.296 | -6 |
| 宇奈根1丁目 | 2,120人 | 988 | 0.34 | +12 |
| 宇奈根2丁目 | 2,469人 | 1,066 | 0.332 | +1 |
| 宇奈根3丁目 | 1,251人 | 565 | 0.134 | +34 |
| 鎌田1丁目 | 1,021人 | 528 | 0.384 | -6 |
| 鎌田2丁目 | 2,620人 | 1,249 | 0.237 | -50 |
| 鎌田3丁目 | 2,948人 | 1,465 | 0.22 | +100 |
| 鎌田4丁目 | 1,357人 | 598 | 0.153 | +1 |
| 合計 | 33,653人 | 16,498 | +189 |
世田谷区「町丁目別人口と世帯数」(住民基本台帳)の2026年10月1日現在の値です。1年前との差は2025年10月1日との比較です。
地価(2026年)
| 種類・番号 | 所在(住居表示) | 1㎡あたり | 前年比 | 最寄り駅・道路距離 | 用途地域・建ぺい率/容積率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 地価公示 世田谷-10 | 喜多見9-19-6 | 451,000円 | +6.9% | 喜多見駅 550m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示 世田谷-102 | 鎌田4-7-5 | 372,000円 | +4.5% | 二子玉川駅 2,200m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示 世田谷-14 | 鎌田2-8-21 | 371,000円 | +2.5% | 二子玉川駅 1,900m | 1中専・60/200・準防 |
| 基準地価 世田谷-41 | 喜多見4-3-13 | 346,000円 | +3.9% | 喜多見駅 1,700m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示 世田谷-19 | 喜多見4-3-13 | 340,000円 | +4.0% | 喜多見駅 1,700m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示 世田谷-21 | 宇奈根2-22-6 | 318,000円 | +2.9% | 二子玉川駅 2,800m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示 世田谷-41 | 喜多見1-26-3 | 303,000円 | +3.8% | 喜多見駅 2,200m | 1低専・50/100・準防 |
| 地価公示(商業地) 世田谷5-31 | 喜多見8-18-11 | 877,000円 | +7.9% | 喜多見駅 50m | 近商・80/300・準防 |
地価公示(国土交通省、毎年1月1日時点)と東京都の基準地価(毎年7月1日時点)は、選ばれた地点の更地としての1㎡あたりの価格です。実際に売れる価格は、道路の幅、土地の形、建物の有無と状態で変わります。用途地域の「1低専」は第一種低層住居専用地域、「1中専」は第一種中高層住居専用地域、「近商」は近隣商業地域、「準防」は準防火地域です。
地価は駅からの距離でよく説明できます。喜多見駅に近い喜多見9丁目(550m)が45.1万円なのに対し、宇奈根2丁目(二子玉川駅まで2,800m)は31.8万円です。駅前の喜多見8丁目の商業地は87.7万円(+7.9%)でした。
上昇率は、鎌田2丁目が+2.5%、宇奈根2丁目が+2.9%と、区平均(+7.0%)を大きく下回ります。同じ多摩川沿いでも、二子玉川駅に近い玉川1丁目は101万円(+8.1%)でした。
建て替え・土地活用のルール
用途地域
標準地の多くは第一種低層住居専用地域・建ぺい率50%・容積率100%・準防火地域です。鎌田2丁目の標準地は第一種中高層住居専用地域(建ぺい率60%・容積率200%)で、マンションも建てられる地域です。
世田谷西部地域地区計画
1993年8月10日に決まった地区計画で、区画道路が整っていない地区では容積率80%・建ぺい率40%・敷地面積100㎡以上が基本です(整った道路に接するなどの条件を満たすと容積率100%・建ぺい率50%・80㎡に緩和)。この地域では喜多見地区(喜多見1・2・3・4・5・7丁目の約100ha)、宇奈根地区(宇奈根1〜3丁目など)、大蔵・岡本・鎌田・瀬田地区(鎌田3・4丁目など)、喜多見・成城地区(喜多見8丁目など)、喜多見北部地区(喜多見9丁目)が入ります。喜多見地区では30㎡未満の住戸がつくれず、道路から2m・隣地から1.5mの壁面後退もあります。
多摩川風致地区
宇奈根・鎌田・喜多見は、多摩川風致地区(1933年指定)の指定がある町名です。建物の新築・増改築や木の伐採には許可が必要で、第一種は建ぺい率20%以下・高さ10m以下・道路側3m後退、第二種は建ぺい率40%以下・高さ15m以下・道路側2m後退が基準です。どこが何種かは都市計画図で確かめます。
外環道東名ジャンクション周辺地区(2026年3月5日決定)
喜多見3・5・6・7丁目、宇奈根3丁目、大蔵5・6丁目にかかる新しい地区計画です。6つの地区に分かれ、高さの上限は10m・12m・15mの3段階です。同じ日に「世田谷西部地域 大蔵・喜多見地区」が廃止され、この計画に置き換わりました。古い資料のルールのまま計画しないよう注意が要ります。
区画整理が済んだ地区と、これから済む地区
喜多見南部、宇奈根西部、宇奈根東部、鎌田前耕地などでは区画整理を行った地区ごとに地区計画があります。区内には「土地区画整理事業を施行すべき区域」があり、整理が済んでいない場所で建てるときは都市計画法53条の許可が要ります。物件が当てはまるかは区の窓口で確かめます。
喜多見駅周辺(喜多見8・9丁目)にも地区計画があり、交通広場・道路・壁面の位置などが決められています。
水害と災害のリスク
2019年の台風19号で起きたこと
区が2019年12月に開いた住民説明会の資料では、浸水被害の原因として、宇奈根1・2丁目と喜多見1丁目付近は宇奈根排水樋門・谷川排水樋門の閉鎖などが、鎌田1丁目付近と玉川3丁目付近は堤防が整っていない箇所から多摩川の水があふれたことが挙げられています。
想定と表示板
多摩川の洪水浸水想定区域(想定最大規模の降雨)は2016年5月に指定され、家屋倒壊等氾濫想定区域も公表されています。野川などの中小河川の想定は、東京都が2024年2月に新しくしました。区は2019年の被災地域と浸水が深い地域を中心に、想定浸水深の表示板を宇奈根1〜3丁目に6か所、鎌田1〜3丁目に7か所、喜多見1・2・3・5丁目に8か所設けています。
物件ごとの想定浸水深や、家屋倒壊等氾濫想定区域にかかるかは、区のハザードマップ(2026年7月改定)と国土交通省の重ねるハザードマップで地番ごとに確かめます。売買・賃貸のどちらでも、水害ハザードマップ上の位置の説明は重要事項説明の義務です。
売る・貸すときのポイント
浸水の想定と履歴は、先に自分から伝える
この地域では、買い手も借り手もほぼ必ず水害のことを聞きます。想定浸水深、2019年に浸水があったかどうか、その後に行った対策(基礎の高さ、電気設備の位置など)をまとめて先に示すほうが、後から値引きの材料にされにくくなります。
建てられる大きさで価格が決まる
同じ広さでも、世田谷西部地域地区計画の容積率80%・建ぺい率40%がそのままかかるのか、緩和が受けられるのか、風致地区の第何種かで、建てられる家の大きさが変わります。査定の前に、地区計画の区域と道路の整備状況を確かめておきます。
生産緑地が多い地域の動き
喜多見4・5丁目の農の風景育成地区だけで、生産緑地は2.8ha(17件)あります。生産緑地は指定から30年がたつと区に買取りの申出ができ、特定生産緑地にしなければ固定資産税が段階的に宅地並みになります。周りで農地が宅地になると、似た土地の売り出しが重なることがあるので、売る時期の判断材料になります。
よくある質問
喜多見の土地の相場はどのくらいですか。
2019年に浸水した家は売れますか。
宇奈根や鎌田で家を建て替えるとき、何を確かめればよいですか。
出典・参考にした資料
- 世田谷区「都市整備方針 区の取組み状況(砧地域)」
- 世田谷区「土地区画整理事業」
- 東京都財務局「令和8年地価公示 公示価格個別地点データ(東京都分)」
- 東京都財務局「令和8年東京都基準地価格 基準地価格一覧(CSV)」
- 世田谷区「町丁目別人口と世帯数」(2026年・2025年)
- 東京都財務局「令和8年地価公示価格(東京都分)の概要」
- 世田谷区「喜多見地区」
- 世田谷区「次大夫堀公園民家園」
- 世田谷区「喜多見4・5丁目『農の風景育成地区』」
- 世田谷区「農の風景育成計画書」
- 世田谷区「世田谷西部地域地区計画パンフレット(16地区共通)」
- 世田谷区「地区計画の変更(喜多見地区)計画書」
- 世田谷区「外環道東名ジャンクション周辺地区」
- 世田谷区「土地区画整理事業を施行すべき区域」
- 世田谷区「地区計画等・地区街づくり計画一覧」
- 世田谷区「東京都風致地区条例」
- 世田谷区「令和元年台風第19号に関する住民説明会 資料」
- 世田谷区「想定浸水深表示板の設置について」
- 国土交通省 京浜河川事務所「多摩川 洪水浸水想定区域図」
- 東京都建設局「野川、仙川、入間川、谷沢川及び丸子川 洪水浸水想定区域図」
- 世田谷区「洪水・内水氾濫ハザードマップ」
- 国土交通省「宅地建物取引業法施行規則の一部改正(水害リスク情報の重要事項説明への追加)」
- 世田谷区「生産緑地地区」
2026年10月21日時点で確認した内容です。地価と人口は公表のたびに更新します。建築のルールは地番ごとに違うことがあるので、建てる・売る前には区の窓口や都市計画図(せたがやiMap)で確かめてください。
世田谷の家や土地のこと、まず話を聞かせてください
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