賃貸管理 読了 32分

新築マンションの短期売買は東京23区で9.7%、都心6区で12.1%(国土交通省 9月15日公表)|賃貸中の区分マンションは1年以内に貸主が変わることを前提に、賃貸借と敷金は続くが管理受託契約は続かないことを、管理会社が先に決めておく

国土交通省は2026年9月15日、不動産登記情報を使った新築マンションの取引調査(第2回)を公表しました。購入から1年以内に売られた部屋の割合は2024年で東京23区9.7%、都心6区12.1%、大規模マンションでは9.0%。短期売買の8割は法人で、国外に住所がある人の取得は2025年の都心6区で5.9%です。賃貸管理会社にとってこれは「賃貸中の区分マンションは、1年以内に貸主が変わることが10戸に1戸ある」という数字です。貸主が変わっても賃貸借と敷金は新しい貸主に引き継がれますが、管理受託契約は引き継がれません。国外に住所がある貸主なら源泉徴収と納税管理人の話が出ます。数字の読み方、民法605条の2と賃貸住宅管理業法13条・14条の整理、入居者への貸主変更通知の雛形、今週やる5つ、報告書に足す2行までをまとめます。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
新築マンション短期売買9.7%|1年で貸主が変わる部屋、管理会社が先に決める5つ
目次

国土交通省は2026年9月15日、法務省の不動産登記情報を使った新築マンションの取引調査(第2回)を公表しました。購入から1年以内に売られた部屋の割合は、2024年に保存登記された新築で東京23区9.7%、都心6区12.1%、東京都全体で8.8%です。1棟の登記が100件以上ある大規模マンションに限ると9.0%で、それ以外の2.9%の3倍です。短期売買の8割は法人による取引で、国外に住所がある人による新築の取得は2025年の都心6区で5.9%、千代田区では15.4%でした。賃貸管理会社が読むべき数字は別のところにあります。賃貸中の区分マンションは、1年以内に貸主が変わることが、23区の新築なら10戸に1戸の割合で起きる、ということです。貸主が変わっても、入居者との賃貸借と敷金は新しい貸主に引き継がれます(民法605条の2)。しかし、管理会社が前の貸主と結んでいた管理受託契約は引き継がれません。新しい貸主が国外に住所のある人なら、源泉徴収と納税管理人の話も出ます。本稿は、数字を賃貸管理の側から読み、貸主が変わった日に何が動いて何が止まるかを条文で整理し、入居者への通知の雛形、今週やる5つ、報告書に足す2行までをまとめます。

結論(90秒で読める)

  • 国土交通省の2026年9月15日公表によると、新築マンションを買ってから1年以内に売る短期売買の割合(2024年に保存登記された分)は、東京圏6.6%、東京都8.8%、東京23区9.7%、都心6区12.1%です。大阪圏4.8%、名古屋圏2.4%。前回(2024年上半期まで)から傾向の変化は無く、東京都は微増でした。
  • 23区の40㎡以上の物件では、大規模マンション(1棟の保存登記が100件以上)が9.0%、それ以外が2.9%です。上半期9.8%、下半期3.3%で、上半期に供給された大規模物件が数字を押し上げました。
  • 短期売買のうち法人による取引が81.1%(2018年は93.4%)。国外に住所がある人の短期売買は23区で5.7%(2024年通年)で、上半期7.0%から下半期2.2%に減りました。
  • 国外に住所がある人による新築の取得(2025年)は東京都2.5%、23区2.8%、都心6区5.9%、大阪市5.5%。中古は23区2.7%、都心6区5.6%で増加傾向は見られません。国・地域は近年は台湾が最多です。
  • 賃貸中の区分マンションの貸主が変わると、賃貸借は新しい貸主との間でそのまま続き、敷金の返還義務も新しい貸主に移ります(民法605条の2第1項・4項)。ただし新しい貸主が入居者に家賃を請求するには、所有権移転の登記が必要です(同3項)。管理会社と前の貸主の管理受託契約は移りません。新しい貸主と結ぶには、賃貸住宅管理業法13条の重要事項説明と14条の契約書面が要ります。
  • 新しい貸主が国外に住所のある非居住者なら、借主が法人や事業者の場合は家賃から20.42%を源泉徴収する義務が借主側に生じます(個人の住まいなら不要)。貸主には納税管理人と登記の国内連絡先が要ります。管理会社はこの3点を最初に確認します。
  • 今週やるのは、所有者が変わりうる部屋を数える、管理受託契約の譲渡条項を見る、貸主変更通知の雛形を置く、国外居住の貸主向けの確認票を作る、報告書に2行を足す、の5つです。

何が公表されたのか|短期売買の数字

調査は、法務省の不動産登記情報のうち登記原因が売買であるものを使い、2018年1月から2025年12月までに三大都市圏と地方四市(札幌・仙台・広島・福岡)で登記された新築マンション約57万戸の保存登記と約150万件の移転登記を対象にしています。「短期売買」は、保存登記(新築を最初に買った人の登記)から1年以内に移転登記(次の人への売買)がされた部屋の割合です。前回(2025年11月公表)は2024年6月までの分で、今回は通年に伸び、中古と外国人類推者の分析が加わりました。

エリア2024年の短期売買割合(前回公表値)2023年読み方
東京圏6.6%(6.3%)3.7%1年で1.8倍。2018〜2022年の最大は2021年の5.0%で、それも超えた
東京都8.8%(8.5%)5.2%神奈川県4.7%、埼玉県4.5%、千葉県2.0%。埼玉県は前回1.1%からの急増
東京23区9.7%(9.4%)5.7%10戸に1戸が1年以内に売られている
都心6区12.1%(12.2%)7.1%新宿区20.0%、渋谷区15.2%、中央区12.8%。文京区は1.7%
大阪圏4.8%(5.6%)3.4%大阪府5.1%、兵庫県6.7%。市では神戸市9.1%、大阪市6.1%
名古屋圏2.4%(1.6%)1.0%愛知県2.5%、名古屋市2.8%。三大都市圏で最も低い
地方四市札幌市1.8%、仙台市0.5%、広島市0.4%、福岡市1.9%1.8%/0.5%/0.5%/2.5%地方四市では短期売買はほぼ起きていない

都心6区以外でも葛飾区26.5%、墨田区17.0%、大田区13.4%と高い区があります。国土交通省は「その年にどのようなマンションが供給されたか等によって、短期売買の割合は大きく変動する」と何度も書いています。「大きな新築が建った区では、翌年に所有者の入れ替わりが集中する」と読む数字です。

建物の規模で分けた表も出ています。23区の専有面積40㎡以上の物件で、1棟あたりの保存登記が100件以上の大規模マンションの短期売買は2024年に9.0%、それ以外は2.9%です。件数では大規模602件、それ以外168件。2024年上半期の大規模は575件(9.8%)で、下半期は27件(3.3%)まで落ちました。都心6区では、2018年以降に竣工した40㎡以上の部屋の7割以上を新築購入者が今も持っています。多くの部屋は動かないが、動く部屋は大規模物件に集中して1年以内に動く、ということです。

1年で売っているのは誰か|法人8割、上半期に集中

23区の新築マンションの短期売買のうち、法人が占める割合は2018年の93.4%から2024年の81.1%へ下がっています。裏返すと、個人による短期売買が7%弱から19%弱に増えました。法人の内訳は書かれていませんが、開発業者からまとめて買って顧客に売る「専有卸」は集計から除外されているので、この81.1%は1戸から数戸を新築で買い1年以内に売った法人です。

2024年の23区で国内に住所がある人の短期売買は、上半期1,275件(保存登記13,556件に対し9.4%)、下半期693件(6,538件に対し10.6%)で、割合は上がったが件数は半減しました。国外に住所がある人は上半期17件(7.0%)から下半期2件(2.2%)へ、件数も割合も大きく減りました。年単位では増えたが、2024年後半に止まった、ということです。

中古マンションの数字も今回初めて出ました。23区で国内に住所がある人が中古を買って1年以内に売る割合は22.6%(2024年)で、そのほとんど(97.3%)が法人です。これは買取再販の動きで、新築の短期売買とは性質が違います。管理会社の実務で言えば、中古の区分マンションを法人が買った場合、5戸に1戸は1年以内にもう一度所有者が変わる、という数字です。分譲マンションの募集賃料が1年で1割上がった今、賃借人付きで買って賃料を上げてから売る動きが混ざっていても不思議はありませんが、登記からは分かりません。

国外に住所がある所有者|2.5%・2.8%・5.9%の読み方

国外に住所がある人による新築マンションの取得割合(2025年に保存登記された分)は、東京圏1.6%、東京都2.5%、東京23区2.8%、都心6区5.9%です。区別では千代田区15.4%、渋谷区11.1%、新宿区9.5%、北区7.6%。大阪府3.4%、大阪市5.5%、京都市2.4%。札幌市2.1%、福岡市1.8%には国土交通省が増加傾向を見ています。

項目数字読み方
新築の取得(2025年・保存登記)東京都2.5%、23区2.8%、都心6区5.9%、大阪府3.4%、大阪市5.5%中心部ほど高い。前回(2025年上半期)からは東京都・23区・都心6区とも低下
中古の取得(2025年・移転登記)23区2.7%、都心6区5.6%、福岡市4.8%、大阪市4.4%近年の実績と比べて増えている傾向は見られない、と国土交通省
価格帯(都心6区・2024〜2025年)2億円未満の物件で国外4.0%、2億円以上で6.4%。購入の7割以上が2億円未満高額物件に偏っている傾向は特に見られない、と国土交通省
国・地域(23区)コロナ禍以前から中国・香港・台湾が多く、近年は台湾が最多。シンガポール・米国・英国も一定数登記に書かれた住所の国であり、国籍ではない
外国人類推者の取得(都心6区)2025年11.9%(2024年13.1%)。人口に占める外国人割合は9.1%氏名から類推したもので国内に住む外国人を含む。国外居住者の数字とは別

持ち帰るのは2つです。都心の区分マンションを管理していれば、貸主が国外に住所のある人である部屋が20戸に1戸程度あること。そして、国外に住所がある所有者と国内に住む外国籍の所有者は実務上まったく別で、前者には源泉徴収と納税管理人の問題が出るが、後者は日本に住む貸主と同じだということです。登記の国籍等の申出が2026年10月5日から必須になることで、今後の調査では「氏名から類推」ではなく登記そのものから読めるようになりますが、今回の11.9%はまだ類推値です。

貸主が変わった日に、自動で動くものと止まるもの

ここから賃貸管理の話です。賃貸中の区分マンションが売られると、入居者はそのまま住み、家賃の振込先だけが変わる、と一般には理解されています。条文で確かめると、自動で動くものと止まるものがはっきり分かれます。取引先が破産したときの記事で貸主の破産の場面に触れた民法605条の2を、今回は通常の売買の場面で読みます。

もの貸主が変わるとどうなるか条文管理会社がやること
賃貸借契約自動で新しい貸主に移る。入居者の承諾は要らない。契約書を巻き直す必要も無い民法605条の2第1項(引渡しを受けた建物の賃貸借は借地借家法31条で対抗力がある)、605条の3賃貸借契約書の原本またはコピーを新しい貸主に引き渡す。特約・更新の履歴も
家賃の請求新しい貸主が入居者に家賃を請求できるのは所有権移転の登記をした後。登記前に「新しい所有者です」と言われても入居者は払う義務が無い民法605条の2第3項登記事項証明書で移転登記の日付を確認してから振込先変更を案内する。日割りの精算日を売買の決済日と合わせる
敷金返還義務は新しい貸主に移る。前の貸主が新しい貸主に実際に金を渡したかどうかに関わらず、入居者は退去時に新しい貸主に請求できる民法605条の2第4項、622条の2第1項敷金の額と預かりの経緯を新しい貸主に書面で引き継ぐ。売買契約で敷金の精算がどう扱われたかを確認する
未払家賃・修繕売買前の未払家賃は前の貸主の債権のまま。修繕義務は新しい貸主が負う民法605条の2第1項、606条決済日時点の未収と着手済みの修繕を一覧にして双方に渡す
管理受託契約移らない。管理受託契約は管理会社と前の貸主の契約であり、部屋の所有権と一緒には動かない。前の貸主が売った時点で、その部屋の管理は契約上の根拠を失う賃貸住宅管理業法13条・14条(新しい貸主と結ぶときの手続き)次の章

実務で多い事故は、家賃の請求と敷金です。入居者への通知が決済前に出ると、605条の2第3項の「登記をしなければ賃借人に対抗することができない」状態で振込先の変更を求めることになります。通知は登記後に、前の貸主と新しい貸主の連名で出すのが条文の順序に沿った出し方です。敷金は売買契約で代金から控除するか別途引き渡すかで精算されますが、どちらであっても入居者への返還義務は新しい貸主にあり、精算されていなくても入居者に不利益は及びません。新しい貸主が「受け取っていない」と退去時に揉めることはあるので、引き継ぎ書面に敷金の額を明記しておくのが防ぎ方です。

管理受託契約は引き継がれない|新しい貸主との結び直し

管理受託契約は、部屋の所有権と一緒には動きません。管理会社が前の貸主から受けていた委託は、その貸主が部屋を売った時点で対象を失います。新しい貸主が引き続き同じ管理会社に任せたいなら、新しい貸主との間で管理受託契約を結び直す必要があります。賃貸住宅管理業法13条1項は、管理受託契約を締結しようとするときは、締結するまでに、契約の内容と履行に関する事項を書面を交付して説明しなければならない、と定めます。14条1項は、締結したときは遅滞なく、対象となる賃貸住宅、管理業務の実施方法、契約期間、報酬、更新または解除の定め、を記載した書面を交付しなければならない、と定めます。所有者が変わったからといって、この手続きが省略されることはありません。前の貸主の契約書に新しい貸主の名前を書き足して済ませると、13条の説明をしていない状態になります。

実務では、仲介会社が新しい貸主に「管理は今の会社にそのまま任せられます」と説明し、管理会社には決済後に振込先変更の連絡だけが来る、という流れがよくあります。このとき管理会社は、契約が無いまま家賃を受け取り、入居者対応を続け、管理報酬を請求する根拠も無い状態になります。短期売買が10戸に1戸ある市場では、この「契約の無い管理」が毎年一定数生まれます。防ぐには、前の貸主との管理受託契約に「委託者が対象物件を譲渡するときは、譲渡の予定を事前に管理業者に通知する」条項を入れ、通知を受けた時点で新しい貸主向けの重要事項説明の準備を始めることです。

新しい貸主が法人なら、1年以内にまた売る可能性がこの調査の数字では高い。契約期間は1年か2年にし、譲渡時の通知条項と、次の所有者への引き継ぎ協力の条項を入れておくほうが実態に合います。

国外に住所がある貸主になったら|源泉徴収・納税管理人・国内連絡先

都心6区の新築で20戸に1戸、23区全体で35戸に1戸程度、新しい貸主が国外に住所のある人になります。このときに管理会社が最初に確認するのは3点です。

確認する点決まり管理会社がやること
1. 家賃の源泉徴収非居住者に国内の不動産の家賃を支払う者は、支払の際に20.42%(所得税20%+復興特別所得税。令和9年分以後は防衛特別所得税も加わる)を源泉徴収し、翌月10日までに納付する。ただし個人が自分または親族の住まいとして借りている場合は不要(所得税法161条1項7号・212条1項・213条1項1号、施行令328条2号)入居者が法人(社宅・事務所)か個人事業者かを確認する。法人借主なら、源泉徴収の義務は借主にあることを借主と貸主の双方に書面で伝え、家賃の79.58%が振り込まれることを貸主に説明する。管理会社が家賃を代理受領する場合の扱いは税理士に確認する
2. 納税管理人国内に住所も居所も無い個人の納税者は、申告など国税に関する事項を処理させるため、国内に住所または居所を有する者のうちから納税管理人を定めなければならない(国税通則法117条1項)。定めたときは所轄の税務署長に届け出る(2項)納税管理人が誰かを確認し、年間の家賃収入と経費の集計をその人に渡す段取りを決める。管理会社が納税管理人になることを求められたら、責任の範囲を契約で書く
3. 登記の国内連絡先所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは、国内における連絡先となる者の氏名または名称および住所が登記事項になる(不動産登記法73条の2第1項2号)登記事項証明書で国内連絡先を確認する。管理会社が国内連絡先として登記されることを求められたら、緊急時の連絡と法的な書類の受領の範囲を決めてから承諾する

この3点に加えて、実務上の壁は連絡の速さと送金です。漏水で貸主の承諾が要るとき、時差と言語で1日が失われます。管理受託契約に「一定金額までの緊急修繕は管理会社の判断で実施できる」条項を入れ、金額を決めておきます。家賃は国内口座への振込にするか、まとめて送るかを最初に決めます。外国人の入居者を受け入れる記事の多言語書式は貸主が外国人のときにも半分は使えますが、13条の説明書面は別に要ります。日本語で行うという定めは無いので、英語版を1つ作れば以後の物件で使えます。

入居者に出す貸主変更の通知(雛形)

入居者への通知は、登記が終わってから、前の貸主と新しい貸主の連名で出します。振込先の変更を含むので、入居者が本物と確かめられる情報(登記の日付、新旧貸主の名前、管理会社の連絡先)を入れます。管理会社が引き続き管理する場合の雛形です。

【建物名・部屋番号】をご契約中の【入居者名】様。本物件の所有者が、【年月日】付で【前所有者名】から【新所有者名】へ変わりました(所有権移転登記 【年月日】)。皆様の賃貸借契約は、契約の内容・期間・敷金の額を含め、そのまま新所有者との間で引き継がれます。契約書を作り直す必要はありません。敷金【金額】円は新所有者が返還義務を引き継ぎます。

【年月】分以降の家賃は、下記の口座へお振り込みください。【新振込先】。本通知は新旧所有者の連名で、管理会社【社名】を通じてお届けしています。振込先の変更について不審な点があるときは、この通知に記載の当社番号【電話】へ必ずご確認ください。それ以外の電話や書面で振込先の変更を求められても、当社に確認が取れるまでは応じないでください。管理会社・連絡先は変わりません。

最後の段落は省かないでください。所有者変更の通知は、振込先を変えさせる詐欺の入口としてそのまま使える形をしています。「変更はこの通知だけ、確認は当社の番号だけ」と書くことで、入居者が別の連絡を受けたときに止まれます。管理会社が変わる場合は、前の管理会社が同じ内容を出し、新しい管理会社の名前と番号を書きます。

管理会社が今週やる5つ

やること具体的になぜ今週か
1. 所有者が変わりうる部屋を数える管理物件のうち区分マンションを抜き出し、貸主が法人か個人か、竣工から何年か、国外に住所があるかを台帳に列で持つ。竣工2年以内で貸主が法人の部屋に印をつける23区の新築は1年以内に9.7%、大規模は9.0%が売られる。どの部屋がその候補かを先に知る
2. 管理受託契約の譲渡条項を見る自社の管理受託契約書に「委託者が物件を譲渡するときの事前通知」「譲渡後の新所有者への引き継ぎ協力」「契約の終了」の定めがあるかを確認する。無ければ次の更新から入れる契約の無い管理を毎年生まないため
3. 貸主変更通知の雛形を置く上の雛形を自社の書式にし、登記後・連名・確認先は当社のみ、の3点を固定する。振込先変更の詐欺への注意を必ず入れる通知を急いで決済前に出す事故を防ぐ
4. 国外居住の貸主向けの確認票を作る源泉徴収の要否(借主が法人か個人か)、納税管理人の氏名、登記の国内連絡先、緊急修繕の上限額、送金方法、の5項目を1枚にする。英語版も1枚都心6区の新築は20戸に1戸が国外居住者の取得。最初の面談で全部聞く
5. 報告書に2行を足す次の章の2行を今月のオーナー報告書に入れる。区分マンションのオーナーには「売るときは先に教えてください」を書面で頼む売却の予定を管理会社が最後に知る、を無くす

1の作業で、貸主の住所が国外かどうかを台帳が持っていない会社が多いはずです。管理受託契約書の委託者住所を見て、列を1つ足すだけです。

オーナー報告書に足す2行

区分マンションのオーナーへの今月の報告書には、次の2行を入れることを勧めます。

国土交通省が9月15日に公表した登記情報の調査では、東京23区の新築マンションのうち購入から1年以内に売られた部屋は9.7%、大規模物件では9.0%でした。本物件の入居者様との賃貸借と敷金は、所有者が変わっても法律上そのまま引き継がれますので、売却をご検討の際は、入居者様への通知と敷金の精算を当社が段取りします。予定が決まりましたら決済日の前にお知らせください。

あわせて、所有者が変わると当社との管理受託契約は自動では引き継がれず、新しい所有者様と改めて契約と説明が必要になります。引き続き当社が管理をお引き受けできるよう、売買の仲介会社様に当社の連絡先をお伝えいただけると助かります。

「売らないでください」とは書きません。売却はオーナーの判断です。短期売買が多い市場では、管理会社の顧客は「部屋」ではなく「その部屋を次に買う人」まで含みます。

この調査が言っていないこと

登記情報から分かるのは、所有者が誰で、いつ変わったかです。短期売買された部屋が賃貸中だったか空室だったかは分かりません。本稿の「賃貸中の区分マンションは10戸に1戸で貸主が変わる」は、新築の短期売買割合をそのまま賃貸中の部屋に当てた読み方で、実際には空室のまま転売された部屋も多く含まれます。売却価格と購入価格の差、法人の内訳も書かれていません。2025年に保存登記された部屋の短期売買割合は、まだ1年が経っていないので資料にありません。国外に住所がある所有者の「国」は登記の住所の国であって国籍ではなく、国土交通省も「国籍把握は現行制度では困難」と注記しています。外国人類推者の11.9%は氏名からプログラムで類推した値で、国内に住む外国籍の人を含みます。本稿の条文の整理は一般的な扱いで、個別の売買契約の特約やサブリースの細部までは扱っていません。

よくある質問

Q1. 貸主が変わったら、入居者と契約書を作り直す必要がありますか?

要りません。引渡しを受けている建物の賃貸借は借地借家法31条で対抗力があり、部屋が売られると賃貸人の地位は民法605条の2第1項により自動で新しい貸主に移ります。入居者の承諾も要りません(605条の3)。契約書を巻き直すと、かえって「新しい契約」として条件変更の争いを生むことがあります。覚書で貸主の名義と振込先の変更だけを確認する形が実務では多いです。

Q2. 新しい貸主から「登記はまだだが家賃はこちらへ」と言われたら?

民法605条の2第3項により、新しい貸主が賃貸人の地位を入居者に対抗する(家賃を請求する)には、所有権移転の登記が必要です。登記事項証明書で移転登記を確認してから振込先を変えてください。それまでは前の貸主の口座に払うか、新旧貸主の合意を書面で取ります。

Q3. 前の貸主が敷金を新しい貸主に渡していなかったら、入居者は誰に返してもらえますか?

新しい貸主です。民法605条の2第4項により、敷金の返還に係る債務は譲受人が承継します。新旧貸主の間で精算がされていなくても、入居者の権利には影響しません。管理会社は敷金の額を引き継ぎ書面に明記して、後の争いを防ぎます。

Q4. 管理受託契約は、新しい貸主に「そのまま引き継ぐ」と一言もらえば足りますか?

足りません。管理受託契約は前の貸主との契約で、所有権とは別です。新しい貸主と結ぶときは、賃貸住宅管理業法13条1項の重要事項説明(締結までに書面を交付して説明)と、14条1項の契約書面の交付が必要です。前の契約書に名前を書き足すだけでは13条の説明を省いたことになります。

Q5. 貸主が国外に住所のある人になりました。入居者は個人です。源泉徴収は要りますか?

入居者が個人で、自分または親族の住まいとして借りている場合は、源泉徴収は要りません(所得税法施行令328条2号、国税庁タックスアンサーNo.2880)。入居者が法人(社宅)や、個人でも事業用として借りている場合は、借主が家賃の支払時に20.42%を源泉徴収して翌月10日までに納付する義務があります。貸主側には納税管理人の選任(国税通則法117条)と、登記の国内連絡先(不動産登記法73条の2)が別に要ります。

Q6. オーナーには何を報告すればよいですか?

23区の新築で1年以内の売買が9.7%あるという事実、売っても入居者との賃貸借と敷金は引き継がれるので入居者に不利益は無いこと、その通知と精算は管理会社が段取りすること、管理受託契約は自動では続かないので次の所有者にも当社を紹介してほしいこと、の4点です。上の「報告書に足す2行」をそのまま使ってください。

まとめ

新築マンションを買ってから1年以内に売る割合は東京23区で9.7%、都心6区で12.1%、大規模物件で9.0%。短期売買の8割は法人で、国外に住所がある人の取得は都心6区の新築で5.9%です。賃貸管理会社にとってこれは、賃貸中の区分マンションの貸主が1年以内に変わることを、例外ではなく毎年の業務として扱う数字です。貸主が変わっても賃貸借と敷金は民法605条の2で新しい貸主に引き継がれ、引き継がれないのは管理受託契約です。新しい貸主とは賃貸住宅管理業法13条・14条の手続きで結び直し、国外に住所のある人なら源泉徴収の要否・納税管理人・登記の国内連絡先の3点を最初に確認します。

出典(本文で参照している資料)

本稿の記述は、すべて2026年9月17日に実際に開いて読んだ次の資料にもとづきます。国土交通省の報道発表と別紙のPDFは全文を取得して読み、条文はe-Gov法令検索の該当条のみを取得して読みました。

本稿で使った内容資料
調査の概要(2018年1月〜2025年12月・新築約57万戸の保存登記・約150万件の移転登記・前回に2025年12月までを加え中古と外国人類推者の分析を追加)、短期売買と大規模マンションの定義、都心6区の定義、公表日(9月15日)、「大規模マンション9.0%・大規模マンション以外2.9%」、国外に住所がある者の短期売買の増加傾向と前回からの減少、2億円以上の高額物件に偏っていない、外国人類推者の取得割合の低下国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表 ~三大都市圏及び地方四市の短期売買や国外居住者による取得状況~」(2026年9月15日)同 報道発表資料(PDF)
圏域・都府県・23区・政令指定都市別の短期売買割合(2024年・2023年・前回公表値)、専有卸の除外方法、23区の住所所在地別の短期売買数と割合(上半期・下半期、保存登記数)、短期売買のうち法人が占める割合(93.4%→81.1%)、中古マンションの短期売買(22.6%・法人97.3%)、都心6区の価格帯別の短期売買、大規模・大規模以外の短期売買数と割合(602件・168件、上半期575件→下半期27件)、都心6区の現所有者が何人目か(7割以上・直近4年8割以上)、国外に住所がある者の新築・中古取得割合(圏域・都府県・区・市)、価格帯別(2億円未満4.0%・2億円以上6.4%)、国・地域別の件数(台湾が最多)、外国人類推者の取得割合(11.9%・人口に占める外国人割合9.1%)と類推の方法、国籍把握は困難という注記国土交通省「【別紙】不動産登記情報を活用した新築マンションの取引実態の調査・分析について」(PDF・16頁)
前回調査の対象(2018年1月〜2025年6月・約55万戸)、大規模マンション9.9%・大規模マンション以外3.3%(2024年上期)国土交通省「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果を公表」(2025年11月25日・前回調査)
非居住者等から国内の不動産を借りて賃借料を支払う者は20.42%(令和9年分以後は防衛特別所得税を含む)を源泉徴収、自己または親族の居住の用に借り受けた個人が支払うものは不要、翌月10日までに納付、国外で支払う場合の翌月末日国税庁 タックスアンサー No.2880「非居住者等に不動産の賃借料を支払ったとき」(令和8年4月1日現在法令等)
605条の2第1項(対抗要件を備えた賃貸借の不動産が譲渡されたときは賃貸人たる地位は譲受人に移転)、3項(所有権の移転の登記をしなければ賃借人に対抗することができない)、4項(敷金の返還に係る債務は譲受人が承継)、605条の3(賃借人の承諾を要しない合意による移転)、622条の2第1項(敷金の定義と返還)、606条(賃貸人の修繕義務)民法(明治29年法律第89号)|e-Gov法令検索
31条(建物の賃貸借は登記がなくても引渡しがあったときはその後物権を取得した者に対し効力を生ずる)借地借家法(平成3年法律第90号)|e-Gov法令検索
13条1項(管理受託契約を締結するまでに書面を交付して説明)、14条1項(締結したときは遅滞なく対象・実施方法・契約期間・報酬・更新解除を記載した書面を交付)賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(令和2年法律第60号)|e-Gov法令検索
161条1項7号(国内にある不動産の貸付けによる対価)、212条1項(非居住者に支払う者は支払の際に徴収し翌月10日までに納付)、213条1項1号(百分の二十の税率)所得税法(昭和40年法律第33号)|e-Gov法令検索
328条2号(自己又はその親族の居住の用に供するために借り受けた個人から支払われるものは源泉徴収を要しない)所得税法施行令(昭和40年政令第96号)|e-Gov法令検索
117条1項(国内に住所及び居所を有しない個人の納税者は納税管理人を定めなければならない)、2項(税務署長への届出)国税通則法(昭和37年法律第66号)|e-Gov法令検索
73条の2第1項2号(所有権の登記名義人が国内に住所を有しないときは国内における連絡先となる者の氏名又は名称及び住所が登記事項)不動産登記法(平成16年法律第123号)|e-Gov法令検索

本稿の計算:「10戸に1戸」「20戸に1戸」「35戸に1戸」「3倍」「1.8倍」「79.58%」「個人の短期売買が7%弱から19%弱」は、資料の割合から本稿が丸めて出したものです。「賃貸中の区分マンションの貸主が1年以内に変わる」は新築の短期売買割合を賃貸中の部屋に当てた読み方で、資料は賃貸中か空室かを区別していません。貸主変更通知の雛形、自動で動くものと止まるものの表、国外居住の貸主の確認3点、「今週やる5つ」「報告書の2行」は本稿の整理です。短期売買の売却益、法人の内訳、賃借人付きで売られた件数、2025年の短期売買割合、所有者の国籍は資料に無いので書いていません。

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