顧客管理 / 追客 読了 8分

解約オーナーのウィンバック|再提案の手順と接点の作り方

解約したオーナーへの再提案は、相手の連絡意向と自社の改善状況を確認して進めます。90日・180日・365日の接点づくりの例、解約理由別の準備、連絡記録の管理をまとめます。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
解約オーナーのウィンバック|再提案の手順と接点の作り方
目次

ウィンバックとは、いったん契約が終わった顧客と接点を持ち直し、再び契約を検討してもらう取り組みです。賃貸管理では、解約したオーナーの不満を把握し、自社で改善できたことを具体的に伝えるのが出発点になります。

解約から一定の日数がたてば再契約できる、という決まった法則はありません。本記事では、90日・180日・365日を節目にした接点づくりの例と、解約理由別の再提案、記録と振り返りの方法を紹介します。

連絡時期は、相手の意向と改善状況で決める

引き継ぎの連絡と再提案を分ける

解約直後は、鍵・書類・精算など必要な引き継ぎを完了させます。引き継ぎの連絡に営業の話を混ぜると、用件が分かりにくくなります。再提案は、自社が解約理由に対応できる状態になり、相手が連絡を望むかを確認してから進めます。

連絡を控える条件を先に決める

連絡を断られている、係争中である、引き継ぎが終わっていない、自社側の問題を改善できていない場合は、日数だけを理由に営業連絡を始めないようにします。相手が希望する時期や連絡手段が分かっている場合は、その意向を優先してください。

90日・180日・365日で接点を作る運用例

以下は、連絡を受ける意向があり、引き継ぎも完了した相手に使う計画例です。3回すべて連絡する義務や推奨頻度を示すものではなく、返答に合わせて次の予定を変更・中止します。

解約日を起点にした接点づくりの例
節目目的伝えること
90日今後の連絡意向を確認する引き継ぎ後の状況への配慮と、必要な情報の有無
180日希望に合う情報を届ける相手が関心を示した賃貸市況や、自社で改善した業務
365日再検討する課題があるか尋ねる相談の意向があれば、課題・条件・検討時期を確認する

90日:連絡の可否を確かめる文面例

先日は管理業務の引き継ぎにご協力いただき、ありがとうございました。今後、近隣の賃貸市況などの情報をお送りしても差し支えないでしょうか。ご不要でしたら、以後のご案内は控えます。

180日:改善内容を伝える文面例

以前ご指摘いただいた月次報告について、確認項目と送付手順を見直しました。現在の報告書見本をご希望でしたらお送りします。必要な情報がありましたらお知らせください。

実際に完了している改善だけを伝えます。見本に他の顧客の個人情報や契約情報を載せないようにしてください。

365日:相談の意向を尋ねる文面例

管理業務について、現在見直しをお考えの点はありますか。もしご相談の機会をいただけるようでしたら、ご希望の条件と時期を伺ったうえで、対応できる範囲をご説明します。

上記の文面は編集部が作成した例です。実際の送付実績や再契約率を示すものではありません。

解約理由別に、再提案の材料を変える

5つの解約理由と再提案前の準備
解約理由確認すること用意する材料
費用への不満管理料だけか、修繕費や追加費用も含むか含む業務・含まない業務と費用の内訳
対応の遅さどの場面で、何の連絡が遅れたか受付・一次回答・担当引き継ぎの現行手順
担当者との相性担当変更と連絡方法の変更で改善できるか担当体制、責任者、連絡窓口
空室への不満募集条件・掲載・内見後の対応のどこに課題があるか募集状況、対応履歴、見直し案と検証方法
所有方針の変化売却、自主管理、承継などで求める業務が変わったか必要な業務だけの対応可否と条件

理由が不明なときは、こちらで決めつけず確認します。相手が現管理会社に満足している場合も、その意向を尊重し、自社へ戻ることを前提に話を進めないことが大切です。

避けたい3つのアプローチ

改善していないことを約束する

「今度は大丈夫です」だけでは、以前との違いが伝わりません。担当体制や運用が変わっていないなら、先に社内の改善を進めます。対応できる範囲と、個別の確認が必要な範囲を分けて説明してください。

相手の反応を見ずに連絡を重ねる

返信がないことを、さらに頻度を上げる理由にしないようにします。連絡を止めてほしいという意向があれば、担当者全員が確認できる場所に記録し、予定された営業連絡も停止します。

他社の批判や値引きだけで話を進める

現在の管理会社に関する推測を並べるより、自社が担当できる業務と条件を示します。値引きを提案する場合も、契約期間、業務範囲、追加費用を含めて、継続可能な内容か確認します。

再提案前にそろえる4つの材料

  1. 解約理由の記録:相手が話した内容と、担当者の推測を分ける。
  2. 改善した内容:変更日、担当体制、報告書や対応記録など、説明できる材料を用意する。
  3. 新しい条件:業務範囲・料金・窓口・開始時期を整理する。
  4. 移管の手順:再契約する場合に、相手と現管理会社へ確認する事項をまとめる。

最初の面談では、用意した提案書をすべて説明するより、相手が今困っていることと検討時期を確認します。相談内容が以前と変わっていれば、提案も作り直します。

再契約率と費用を、自社の記録で振り返る

再契約率や獲得費用は、対象者の選び方、期間、業務範囲で変わります。本記事では一律の成功率や、新規営業に対する費用倍率を置きません。

  • 対象者数:同じ期間に再提案の対象としたオーナー数。送信件数では数えない。
  • 相談・提案・再契約の件数:どの段階で止まっているかを別々に見る。
  • 再契約率:再契約したオーナー数 ÷ 対象としたオーナー数。対象期間と観察期間を併記する。
  • 獲得費用:再提案に使った人件費・郵送費等の合計 ÷ 再契約件数。再契約がない場合は単価を算出せず、費用と件数をそのまま記録する。

長期の接点づくりでは、対象に入ったばかりの人と十分な期間が経過した人を単純に比べないようにします。新規営業と比較するときも、費用に含める項目と観察期間をそろえてください。

Excel・CRMで管理する項目

解約オーナーの連絡管理表
項目記録内容
対象オーナーID、解約日、解約理由、担当者
連絡意向連絡可否、希望する手段と時期、確認日
準備自社の改善状況、提案できる業務と条件
接点最終連絡日、内容、返答、次の予定
結果相談、提案、保留、再契約、連絡終了とその理由

予定を自動登録する場合も、送付の直前に連絡意向と案件状況を確認する手順を入れます。解約時の連絡先を営業案内に使えるかは、取得時に示した利用目的などの確認が必要です。個人情報保護委員会のガイドライン(通則編)を確認し、自社の取扱いに沿って管理してください。

よくある質問

Q. 解約から90日たてば連絡してよいですか?

90日は計画例の節目です。引き継ぎの状況、自社の改善、相手の連絡意向を確認して判断します。相手が希望する時期があるなら、それを優先します。

Q. 値引きをしないと再契約は難しいですか?

解約理由によります。対応の遅さや報告への不満であれば、費用より運用の改善を説明することが先です。値引きだけを前提にしないでください。

Q. 返事がない場合はどうしますか?

連絡を増やす前に、連絡手段と意向の記録を見直します。返答が得られない相手への営業連絡をどこで終了するか、社内で決めて運用します。

Q. 専用システムが必要ですか?

少数の対象なら、担当者と次の予定を共有できる表から始められます。対象者が増えたら、連絡停止や担当変更を確実に反映できる管理方法を検討します。

出典

個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」:連絡先の利用目的・管理の確認に参照。確認日:2026年9月9日。

連絡時期、文面、管理表は編集部が整理した運用例です。公的機関が定めた営業手順や、実績調査に基づく成功率ではありません。

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