賃貸管理 読了 25分

令和8年8月千葉豪雨から3週間|賃貸型応急住宅(民間賃貸の借上げ・三者契約・家賃上限8万〜16.5万円)と住宅の応急修理(限度額75万7千円・3か月以内)。賃貸管理会社が入居者側と貸主側の両方で確認すること

2026年8月13日から14日にかけての令和8年8月千葉豪雨で、千葉県は21市4町に災害救助法を適用しました。内閣府の8月31日時点の集計では千葉県の住家被害は4,866棟で、うち床上浸水が1,996棟です。県と千葉市は民間賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する「賃貸型応急住宅」と、市町が業者に直接支払う「住宅の応急修理」を動かしています。賃貸管理会社は、被災した入居者の側と、空室を出す貸主の側の両方でこの制度に関わります。家賃上限・県が負担する費目・貸主の同意書・切替契約・退去修繕負担金、借家では応急修理が原則対象外であること、民法の賃料減額の条文を整理し、9月中にやることを5つにまとめました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
千葉豪雨2026|賃貸型応急住宅と応急修理、賃貸管理会社が確認する制度と期限
目次

2026年8月13日から14日にかけての令和8年8月千葉豪雨で、千葉県は21市4町に災害救助法を適用しました。内閣府の8月31日17時時点の集計では、千葉県の住家被害は4,866棟、うち床上浸水が1,996棟、床下浸水が2,016棟です。県と千葉市は、民間の賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する「賃貸型応急住宅」の受付を始め、市町が修理業者に直接支払う「住宅の応急修理」も動いています。賃貸管理会社は、この2つに被災した入居者の側空室を出す貸主の側の両方で関わります。本稿は、家賃の上限、県が負担する費目、貸主の同意書、切替契約、退去修繕負担金といった貸主側の条件と、借家では応急修理が原則対象外であること、民法606条・611条の賃料の扱いを、実際に開いた県・市・内閣府の資料から整理します。個別の物件で賃料をいくら減額すべきかは判断していません。

結論(90秒で読める)

  • 災害救助法は8月13日付で適用され、対象は千葉市(直接実施)と20市4町の21市4町です。内閣府の8月31日時点の集計で、千葉県の住家被害は4,866棟(全壊4・半壊699・床上浸水1,996・床下浸水2,016・一部破損151)。床上・床下の浸水を合わせると4,012棟で、住家被害の82.4%(本稿の計算)です。
  • 賃貸型応急住宅は、県(千葉市は市)が民間賃貸を借り上げ、県・入居者・貸主の三者契約で最長2年供与する制度です。物件の条件は貸主の同意・新耐震・家賃上限(単身8万円、2人10万円、3〜4人13万円、5人以上16.5万円)。県が負担するのは家賃・共益費・礼金(1か月以内)・仲介手数料(0.5か月以内)・退去修繕負担金(2か月以内)・損害保険料(県の包括契約)・鍵交換費。合理的な理由のない値上げは認められません。
  • 被災後にすでに個人契約で入居した被災者も、貸主が同意すれば三者契約に切り替えて入居日にさかのぼれます。ただし、支払済みの仲介手数料・保証金・火災保険料は返還されません。管理会社は自社の新規契約の中に該当者がいないかを見る立場です。
  • 住宅の応急修理は限度額75万7千円(大規模半壊・中規模半壊・半壊)/36万7千円(準半壊)、市町が業者に直接支払い、災害発生の日から3か月以内に完了です。市川市は「原則として持ち家が対象で、借家は所有者が金銭的に修理できないことが分かる資料が必要」と明記しています。賃貸住宅の修繕は、制度ではなく貸主の修繕義務(民法606条)で進めるのが基本です。
  • 床上浸水で使えなくなった部分の賃料は、民法611条により「使用収益できなくなった部分の割合に応じて減額される」のが条文の建て付けです。全部が使えなくなれば賃貸借は終了します(616条の2)。9月中に、写真・罹災証明・賃料の扱いを書面に残す。空室を出すなら市町の窓口に相談する。

被害と制度の適用|21市4町・住家被害4,866棟

千葉県は8月13日からの大雨について、8月13日付で災害救助法を適用しました。8月14日の第3報で富里市・山武市・酒々井町・九十九里町の4市町が追加され、千葉市は直接災害救助を実施する形です。対象は次の21市4町です。

市川市、船橋市、館山市、松戸市、茂原市、佐倉市、東金市、習志野市、柏市、市原市、八千代市、我孫子市、鎌ケ谷市、四街道市、八街市、印西市、白井市、富里市、山武市、大網白里市、酒々井町、九十九里町、白子町、長柄町(20市4町・県が実施)と千葉市(市が直接実施)。

内閣府の「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について」(8月31日17時現在)は、都道府県からの報告数値として次の表を載せています。注記に「住家被害の棟数は、災害対策基本法に基づく被害認定調査を受けた棟数とは必ずしも一致しない」とあり、罹災証明書の判定とは別の数字です。

項目千葉県埼玉県合計
死者(うち災害関連死)13人(1人)13人
行方不明者2人2人
全壊4棟4棟
半壊699棟699棟
床上浸水1,996棟2棟1,998棟
床下浸水2,016棟35棟2,051棟
一部破損151棟1棟152棟
住家被害 合計4,866棟38棟4,904棟

死者の内訳は千葉市6人、市川市1人、佐倉市2人、柏市1人、市原市1人、八千代市1人、いすみ市1人です。避難所は8月31日16時30分時点で4自治体11か所、避難者40人です。

9月7日、国交省は公共土木の災害査定を効率化した

国土交通省は9月7日、千葉県と千葉市を対象に、河川・道路などの災害復旧事業について設計図書の簡素化と机上査定の拡大を通知しました。書面による査定の上限額を通常の1,000万円未満から、千葉県8,000万円以下、千葉市1億400万円以下に引き上げるものです。公共土木施設の話で住宅に直接の関係はありませんが、「被災箇所数が過去5か年の平均を超える」規模の災害だということです。

賃貸型応急住宅|貸主側で確認する条件

賃貸型応急住宅は、災害救助法の応急仮設住宅として、県が民間の賃貸住宅を借り上げ、被災者に供与する制度です。千葉市に住んでいた被災者は千葉市の制度、それ以外の20市4町は千葉県の制度が対象で、条件はほぼ同じです。千葉市は9月1日に受付を始め、当面は土日祝日も受け付けています。

入居の対象は、災害発生時に対象市町に住んでいて、住宅が全壊・全焼・流失して住む家がない世帯です。半壊(中規模半壊・大規模半壊を含む)でも、流入した土砂や耐え難い悪臭で住めない場合、避難指示などで長期に住めないと市町長が認める場合、応急修理を使う世帯で半壊以上かつ修理期間が1か月を超える見込みの場合は対象です。自らの資力で住宅を確保できないこと、障害物の除去制度を使っていないことも要件です。

物件の条件と家賃の上限

借り上げの対象になる物件は、千葉県内で、次のすべてに当てはまるものです。貸主から同意を得ていること、新耐震基準(昭和56年6月1日以降着工)で建てられているか耐震診断・耐震改修で耐震性が確認されていること、そして家賃が上限以内であることです。

入居世帯の人数月額家賃の上限
1人(単身)80,000円
2人100,000円
3〜4人130,000円
5人以上165,000円

上限を超える物件は認められず、超過分を入居者が個人負担することもできません。人数の数え方は、未就学児が1人なら数えず、2人以上なら1人あたり0.5人(小数点以下切り上げ)です。県のチラシは家賃について「合理的な理由なく家賃の値上げを行い、家賃上限で契約することがないようにすること」と書き、共益費も「特段の理由なく家賃に対して不自然に高額になる等の場合は対象となりません」としています。柏市は不自然に高額な提示があれば市に相談するよう入居者に案内しています。募集家賃をそのまま出すのが前提です。

県が負担する費目と、貸主が受け取る条件

費目負担条件
家賃上の表の上限以内
共益費(管理費)通常徴収している額
礼金家賃の1か月分以内
仲介手数料家賃の0.5か月分以内
退去修繕負担金家賃の2か月分以内
損害保険料県が包括契約で別途加入
鍵交換費実費
光熱水費・駐車場費・自治会費入居者
故意・過失による損壊の修繕費入居者退去修繕負担金で賄えない不足額

県が負担する費目の一覧に敷金はありません。代わりに「退去修繕負担金(家賃の2か月分以内)」があり、入居者の故意・過失による損壊でこれを超えた分は入居者の負担です。家賃8万円の単身向けを出した場合、礼金8万円・仲介手数料4万円・退去修繕負担金16万円が県負担の上限になります(本稿の計算)。損害保険は貸主が入居者に指定するのではなく、県の包括契約です。県のページは「原状回復に関するトラブル防止のため、入居時には貸主(又は不動産業者)と入居者双方立会いの下、室内の具体的な状況を確認(必要に応じて写真を撮る等)してください」と書いています。付帯設備表と物件状況確認書の入居時版をこの立会いで作る、と考えれば実務は同じです。

手続きは市町の窓口から。貸主が書くのは同意書(様式第2号)

入居希望者は被災時に住んでいた市町の窓口で申出書を出し、受付票と協力不動産業者リストを受け取ります。入居者はそのリストを参考に不動産業者へ相談し、物件が決まったら不動産業者と入居申込書類を作り、市町に提出します。県から結果通知が来たら不動産業者と契約書類を作り、不動産業者が県(千葉市は住宅整備課)に提出して入居です。貸主が記入するのは同意書(様式第2号)で、速やかに出せないときは仲介業者が確約書(様式第3号)を書きます。県が契約書の雛形を送り、押印済みの契約書類は2部を県に送ります。

入居期間は入居日から最長2年です。応急修理制度と併用する場合は、応急修理の申込日から原則6か月で、修理が完了したら速やかに退去です。退去するときは退去の40日前までに終了届を県または市町に出し、貸主・仲介業者・被災市町の立会いで退去を確認し、最終月の家賃が支払われる流れです。

すでに個人契約で入居した被災者の切替

災害救助法の適用日以降に被災し、すでに個人で契約して民間賃貸に入居している人も、入居の対象者と物件の条件を満たし、貸主の同意が得られれば、県・入居者・貸主の三者契約に切り替えて入居日にさかのぼって賃貸型応急住宅として扱えます。その場合、個人契約は精算しますが、すでに支払われた仲介手数料・賃貸物件保証金・火災保険料は返還されません。提出書類は切替契約に係る同意書(様式第6号)と従前の賃貸借契約書の写しです。

管理会社にとってこれは、8月13日以降に自社で契約した入居者の中に、罹災証明書で全壊や半壊の判定を受けた人がいないかを見る話です。切り替えれば家賃は県負担になり、貸主の受け取りは変わりません。本人が制度を知らずに払い続けている可能性があります。

住宅の応急修理|借家は原則対象外、限度額と期限

住宅の応急修理は、大規模半壊・中規模半壊・半壊・準半壊の被害認定を受けた世帯(大規模半壊以外は「自らの資力では応急修理することができない」ことが要件)を対象に、市町が修理業者に依頼し、市町が業者に直接支払う制度です。被災者にお金が支給される制度ではありません。千葉市は8月21日、柏市は8月27日に受付を始めています。

項目内容
限度額(大規模半壊・中規模半壊・半壊)757,000円以内(1世帯あたり)
限度額(準半壊)367,000円以内
一部損壊対象外
修理の期間原則として災害発生の日から3か月以内に完了(8月13日起算なら11月13日・本稿の計算)
対象部位居室・台所・トイレなど日常生活に必要最小限度の部分。空き家・物置・車庫・家電製品・エアコン室外機は対象外
支払済みの工事修理業者に工事費を支払ってしまった場合は対象外
写真修理前・修理中・修理後の写真の提出が必要

限度額を超えた分や対象外の部分は、被災者と業者が別途契約します。Q&Aは、建具(玄関扉・戸・サッシ)や設備(キッチン・トイレ・浴槽・給湯器)のグレードアップは対象外で、交換前の品番を写真に残すよう求めています。工種ごとに複数の業者へ分割発注することは可能です。改正建設業法で見積りの形が変わった直後の災害でもあり、見積書は市町の様式で出します。

借家は「原則として持ち家が対象」

市川市のページはこう書いています。「原則として持ち家が対象ですが、借家の場合は、所有者が金銭的に修理ができないことが分かる以下の資料を提出していただきます」。求められる資料は、所有者の所得証明書による所得や課税の状況(所有者または所有者が保有する法人等の課税証明書)、賃貸借事業の事業計画や財務諸表などです。県のQ&Aも共同住宅の共用部分について「賃貸住宅の場合、一般的にはその借家の所有者・管理者が修理を行うこととなります。しかし、所有者・管理者に応急修理を行う資力がない場合には、入居世帯数分の費用を合算して共用部分の修理を行うことが可能です。なお、この場合、所有者・管理者に資力がないことを証する資料が必要となります」としています。

つまり賃貸住宅では、応急修理の制度は貸主に修繕の資力がない場合の例外で、原則は貸主が自分の費用で直すことになります。入居者に言われて管理会社が貸主の課税証明書を集めて申請する、という流れは普通は成り立ちません。貸主の修繕義務で工事を進め、修繕費は火災保険の水災補償で賄えるかを保険会社に確認する。これが賃貸側の順番です。保険金が出るかは契約内容によるので本稿では判断しません。

なお、Q&Aは応急修理と被災者生活再建支援法の支援金の併給を認め、火災保険の保険金が振り込まれる予定でも「資力がない」と申し出て差し支えないとしています。持ち家の被災者に案内する材料です。

民法の整理|修繕義務・賃料の減額・賃貸借の終了

床上浸水した部屋の賃料をどうするか。最初に見るのは契約書の特約ですが、建て付けは民法にあります。e-Gov法令検索で確認した条文です。

条文内容(条文の要旨)実務での意味
606条1項賃貸人は、賃貸物の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う。ただし賃借人の責めに帰すべき事由による修繕は除く水害による損傷は入居者の責任ではないので、修繕は貸主の義務
607条の2賃借人が修繕が必要な旨を通知し、賃貸人が相当の期間内に修繕しないとき、または急迫の事情があるときは、賃借人が修繕できる貸主の対応が遅れると入居者が自分で修繕し、必要費を請求できる(608条)
611条1項賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合、賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その部分の割合に応じて減額される「請求できる」ではなく「減額される」。使えない期間・部分の賃料は当然に減る建て付け
611条2項残存する部分のみでは賃借した目的を達することができないときは、賃借人は契約を解除できる住めない状態が続けば入居者側から解除できる
616条の2賃借物の全部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合には、賃貸借は終了する全壊で住めなくなれば、解約の手続きなしに契約は終わる

611条1項は2020年施行の改正民法で「減額を請求することができる」から「減額される」に変わった条文です。床上浸水で1階の居室が使えない、給湯器が壊れて風呂に入れない、という状態は「一部が使用収益できない」に当たりうる事実ですが、何割を減額するかは条文に書いていません。管理会社ができるのは、使えなくなった部分と期間を写真と日付で記録し、貸主と入居者に条文を示したうえで、減額の割合と期間を書面で合意することです。本稿は個別の割合を示していません。

9月中にやること5つ

  1. 被災した管理物件の入居者に、罹災証明書の申請を案内する。罹災証明書は居住者が市町に申請するもので、賃貸型応急住宅・応急修理・見舞金(柏市は床上浸水の世帯に3万円)のすべての入口です。管理会社が代わりに申請することはできませんが、被害状況の写真は管理会社が撮ったものも証拠になります。政府広報の「被害状況を写真で記録する」を入居者に送る。
  2. 使えなくなった部分と期間を記録し、賃料の扱いを書面にする。民法611条は「減額される」建て付けなので、何もしないと後から精算の争いになります。減額の割合と期間、修繕の完了日を貸主・入居者と合意して残す。全壊で住めない部屋は616条の2で終了する旨を貸主に説明する。
  3. 修繕は貸主の修繕義務で進め、応急修理の制度を当てにしない。借家は原則対象外で、貸主の資力がないことの証明が要ります。見積りは複数取り、写真は修理前・中・後で残す。保険は火災保険の水災を保険会社に確認する。
  4. 空室を賃貸型応急住宅に出すかを貸主と決める。新耐震で家賃が上限以内の空室があれば、市町の窓口に協力不動産業者リストへの掲載を相談する。貸主に説明するのは、家賃は県負担で募集家賃のまま、礼金1か月・仲介手数料0.5か月・退去修繕負担金2か月が上限、保険は県の包括契約、期間は最長2年、退去は40日前の届出、という5点です。国勢調査で世帯が増えている千葉県北西部の空室は、この制度で埋まる可能性があります。
  5. 8月13日以降の新規契約に、被災者の切替対象がいないかを見る。罹災証明書で全壊・半壊の判定を受けた入居者は、貸主の同意で三者契約に切り替えられ、家賃は県負担になります。仲介手数料・保証金・火災保険料は戻らないので損得は入居者の判断ですが、制度の存在を伝えるのは管理会社の仕事です。

期限の一覧

項目期限・期間根拠
応急修理の完了災害発生の日から3か月以内(8月13日起算で11月13日・本稿の計算)千葉県・千葉市の制度概要
応急修理の申込み期限は設けていない(速やかに)応急修理Q&A
賃貸型応急住宅の入居期間入居日から最長2年千葉県 制度概要
応急修理と併用する場合応急修理の申込日から原則6か月千葉県 制度概要
賃貸型応急住宅の退去届退去の40日前まで千葉県 チラシ・柏市

よくある質問

Q1. 管理会社が貸主に代わって賃貸型応急住宅の物件を出せますか?

物件の条件は「貸主から同意を得ているもの」で、同意書(様式第2号)は貸主が記入します。速やかに出せない場合は仲介業者が確約書(様式第3号)を出せます。契約は県・入居者・貸主の三者契約なので、管理会社は仲介業者として書類を作り、市町・県に提出する立場です。

Q2. 家賃上限より高い部屋を、差額を入居者が払う形で出せますか?

できません。千葉市・柏市のページは「家賃の上限額を超過するものは認められず、超過分を個人負担することも不可」と明記しています。上限は入居人数で決まります。

Q3. 借家の入居者が応急修理を申し込めますか?

市川市は「原則として持ち家が対象」とし、借家では所有者が金銭的に修理できないことが分かる資料(所有者の課税証明書、賃貸借事業の事業計画や財務諸表など)を求めています。県のQ&Aも、賃貸住宅の共用部分は所有者・管理者が修理するのが一般的で、資力がない場合に限り入居世帯分を合算できるとしています。貸主に資力がある通常の賃貸住宅では、貸主の修繕義務で直すことになります。

Q4. 床上浸水した部屋の賃料は、何割減額すべきですか?

本稿は割合を示していません。民法611条1項は「使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される」とだけ定めており、割合は個別の事実で決まります。使えなかった部分と期間を記録し、貸主・入居者と書面で合意してください。

Q5. 賃貸型応急住宅の入居者が退去したあとの原状回復はどうなりますか?

県が負担する費目に「退去修繕負担金(家賃の2か月分以内)」があり、入居者の故意・過失による損壊でこれを超えた分は入居者の負担です。県は入居時に貸主(または不動産業者)と入居者の双方立会いで室内を確認し、写真を残すよう求めています。退去時も立会いで確認します。

Q6. 千葉市と千葉県で制度は違いますか?

千葉市は災害救助法の救助を市が直接実施しているため、賃貸型応急住宅も応急修理も千葉市の制度です。家賃上限・負担の費目・入居期間・限度額は本稿で見た範囲では同じ数字で、窓口と様式が違います。千葉市の窓口は賃貸型応急住宅が住宅整備課、応急修理が住宅政策課です。

ウルスタくんの位置づけ

本稿は災害時の公的制度と民法の整理です。私たちがつくっている「ウルスタくん」は賃貸管理のクラウドで、反響取込・顧客管理・書類作成・電子サイン・BB流通を1つの流れにしたものです。賃貸型応急住宅の申請書類を自動で作る機能や、罹災証明書と連動する機能はありません。本稿の「記録を残す」は、写真と日付が残る場所なら何でも足ります。まずは被災した部屋ごとに、写真と入居者への連絡の記録を1か所にまとめること。そこが先です。

出典(本文で参照している資料)

本稿の記述は、すべて2026年9月7日に実際に開いて読んだ次の資料にもとづきます。

本稿で使った内容資料
災害救助法の適用日(8月13日)、既適用20市町と追加4市町、千葉市の直接実施千葉県「令和8年8月13日からの大雨に伴う災害に係る災害救助法の適用について(第3報)」
8月31日17時現在の人的被害・住家被害の表(千葉県・埼玉県・合計)、死者の内訳、避難所、注記内閣府「令和8年8月千葉豪雨による被害状況等について(令和8年8月31日17:00現在)」一覧ページ
賃貸型応急住宅の入居対象者、物件の条件、家賃上限、県の負担と入居者の負担、入居期間、手続きの流れ、様式、受付窓口(20市4町)千葉県 住宅課「令和8年8月千葉豪雨で被災された方への賃貸型応急住宅の供与について(制度概要のご案内)」
三者契約の流れ図、値上げの禁止、共益費の扱い、退去修繕負担金、損害保険の県包括契約、切替契約と返還されない費目、退去時のフロー(40日前)千葉県「令和8年8月千葉豪雨によってお住まいに被害を受けられた皆さまへ〜千葉県賃貸型応急住宅のご案内〜」
千葉市の制度(9月1日受付開始・土日祝も受付)、家賃上限、未就学児の換算、市の負担、超過分の個人負担不可、窓口(住宅整備課)千葉市「【令和8年8月千葉豪雨】災害救助法に基づく賃貸型応急住宅の供与について」
柏市の受付、協力不動産業者リスト、不自然に高額な家賃の相談、提出書類、退去届(40日前)柏市「災害救助法に基づく賃貸型応急住宅の供与」
応急修理の対象者、限度額(757,000円・367,000円)、対象範囲、写真の提出、様式、対象市町(20市4町)千葉県 住宅課「令和8年8月千葉豪雨による被災住宅の応急修理について(制度概要のご案内)」
賃貸住宅の共用部分と所有者の資力、完了期限3か月と延長、申込期限なし、グレードアップ不可、分割発注、支援金との併給、保険金と資力、住民票、DIY対象外千葉県「法に基づく住宅の応急修理に関するQ&A(令和8年6月改定)」
千葉市の応急修理(8月21日受付開始)、対象者、修理の期間、対象部位、限度額、支払済みは対象外千葉市「【令和8年8月千葉豪雨】災害救助法に基づく住宅の応急修理について」
「原則として持ち家が対象」、借家で求められる所有者の資料、一部損壊は対象外、家電は対象外市川市「【令和8年8月千葉豪雨】災害救助法に基づく住宅の応急修理について」
柏市の応急修理(8月27日受付開始)、災害見舞金(床上浸水の世帯に30,000円)、支援情報の一覧柏市「【令和8年8月千葉豪雨】被災された方に向けた支援情報まとめ(9月7日10時55分更新)」
県営住宅・UR賃貸住宅・市町村営住宅・県外公営住宅の提供、住宅金融支援機構の相談窓口千葉県 住宅課「令和8年8月千葉豪雨の被災者に対する公営住宅等の提供について」
9月7日の災害査定の効率化(対象区域 千葉県・千葉市、机上査定の上限 8,000万円以下/1億400万円以下、適用要件)国土交通省 報道発表「令和8年8月千葉豪雨により被災した河川・道路等の迅速な復旧を支援」(令和8年9月7日)
第606条(賃貸人による修繕等)、第607条の2(賃借人による修繕)、第608条、第611条(賃借物の一部滅失等による賃料の減額等)、第616条の2(賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了)e-Gov法令検索「民法(明治二十九年法律第八十九号)」

本稿の「11月13日」「4,012棟・82.4%」「家賃8万円の場合の礼金8万円・仲介手数料4万円・退去修繕負担金16万円」は上記の数字からの本稿の計算であり、資料にその日付・数字はありません。個別の物件の賃料減額の割合、保険金の支払いの可否、激甚災害の指定の有無は判断していません。