2026年4月1日、区分所有法の大改正が施行されました。約23年ぶりとなる本格的な見直しで、マンションをはじめとする区分所有建物の「決議のしづらさ」と「老朽化・管理不全」という、現場が長年抱えてきた二つの詰まりに正面から手を入れた内容です。中小の不動産会社にとっては、自社で扱うワンルーム投資や区分のファミリー物件、そしてそれを保有するオーナーへの説明責任に直結します。ここで取り違えてはいけないのは、これは「分譲マンションの管理組合だけの話」ではないという点です。区分所有の投資物件を貸している多くのオーナーと、その客付け・管理を担う中小会社にとっても、資産の出口戦略と日々の意思決定に効いてくる改正なのです。本記事は、ウルスタの代表として宅建業を営みつつ、自社で210室規模の賃貸住宅を管理・客付けし、区分所有の投資物件も扱う立場から、(1)2026年に何が変わったのか、(2)なぜ今この改正が必要だったのか、(3)中小不動産会社と区分所有オーナーに効いてくる論点、(4)施行後にオーナーへ伝えるべきことを整理する実務SOP(5ステップ)、(5)ケース別の対応、(6)この局面で避けるべき5つのNG、(7)よくある質問7問までを、現場が今日から着手できる粒度で整理します。なお制度の細目は管理規約の改定状況や個別事案で扱いが変わるため、最終判断は必ず最新の条文と専門家への確認のうえで行ってください。
2026年4月施行の区分所有法改正で「何が」変わったのか — 4つの柱
まず押さえておきたいのは、今回の改正が一つの論点だけでなく、複数のテーマを束ねた大きなパッケージだという点です。中小の不動産会社がまずやるべきことは、改正の中身を「決議」「再生」「管理不全」「国外所有者」の4つの柱で整理し、自社が扱う物件とオーナーにどれが当たるかを仕分けることです。法律は2025年5月に成立し、2026年4月1日から施行されています。現場に効いてくるのは、おおむね次の四つに集約されます。
柱1:集会決議の円滑化(欠席を「反対」にしない)
ひとつめは集会決議の円滑化です。これまでは決議に必要な賛成割合を区分所有者と議決権の総数で数えていたため、欠席や無関心がそのまま「反対」と同じ重みを持ち、出席率が低いと何も決められないという詰まりが起きていました。今回の改正では、区分所有権の処分を伴わない事項(修繕などの管理に関する決議)について、集会に出席した区分所有者の多数決によることができる仕組みが整理され、欠席者がいても出席者の合意で前に進めやすくなりました。さらに、裁判所が所在等不明と認定した区分所有者を、すべての決議の母数から除外する制度が新設されました。連絡の取れない所有者がいるために定足数や賛成割合を満たせず、必要な修繕すら決められなかった、という状況に出口が用意されたわけです。逆に言えば、これまで「総会が成立しないから先送り」だった案件が動き出す、ということでもあります。
柱2:マンション再生手法の拡充と建替え決議要件の緩和
ふたつめは再生手法の拡充です。従来、区分所有建物の抜本的な対応といえば「建替え(5分の4以上の賛成)」がほぼ唯一の選択肢でしたが、改正により、建物・敷地の一括売却、一棟リノベーション、建物の取壊し、取壊し後の敷地売却といった複数の再生手法が、建替えと同等の多数決決議で選べるようになりました。加えて、建替えなどの決議要件そのものも、原則は5分の4以上を維持しつつ、耐震性不足など客観的な事由が認められる場合には4分の3以上へ、政令で指定される災害により被災した場合には3分の2以上へと引き下げられます。出口の選択肢が「建替え一択」から「複数の中から最適を選ぶ」へ広がり、しかも一定の条件下では合意のハードルも下がった、というのが大きな変化です。築年数の進んだ区分物件を保有するオーナーにとっては、資産の出口を考える前提が根本から変わりました。
柱3:管理不全への対応(管理人選任・管理命令)
みっつめは管理不全への対応です。所有者が不明な専有部分や、管理が著しく不適当な専有部分・共用部分について、利害関係者が裁判所に申し立てることで、管理人を選任して管理を命じる制度が創設されました。ゴミ屋敷化した一室、相続が放置されて連絡先の分からない住戸、長年放置された共用部分など、これまで管理組合や周囲の区分所有者が手を出せずに困っていた問題に、法的な手当てが用意されたかたちです。区分の投資物件を扱う中小会社にとっては、「隣の住戸の荒廃が自社管理物件の資産価値を下げている」といった相談に対し、打ち手の選択肢が一つ増えたことになります。
柱4:国外区分所有者の国内管理人制度
よっつめは国外区分所有者への対応です。区分所有者が国内に住所も居所も持たない場合に、その専有部分・共用部分の管理に関する事務を行わせるため、国内に住所または居所を有する者の中から管理人(国内管理人)を選任できる制度が設けられました。近年は海外居住者や海外法人が区分物件を投資目的で保有するケースが増え、連絡がつかず決議や費用の徴収に支障が出る場面が目立っていました。国内管理人制度は、こうした連絡の断絶を埋めるための受け皿です。投資用区分の客付け・管理を担う中小会社にとっては、国外オーナーとの契約や窓口設計を見直すきっかけになります。
当社で扱う区分の投資物件でも、「総会の案内は届くが誰も出席しないので何も決まらない」「相続で所有者が変わったはずだが連絡先が更新されておらず管理費が滞る」といった詰まりは、決して珍しくありませんでした。今回の改正は、こうした「連絡が取れない人がいるせいで全体が止まる」という構造的な問題に、決議の母数除外と管理人制度という形で出口を用意したものです。施行直後の今は、まだ管理規約の改定や運用が追いついていない管理組合も多く、現場では「制度は変わったが、自分の物件では何が使えるのか」という問い合わせが増える局面だと感じています。
なぜ今、23年ぶりの大改正が必要だったのか — 3つの背景
背景を理解しておくと、オーナーへの説明にも説得力が出ます。今回の改正を後押ししたのは、(1)マンションストックの高齢化、(2)所有者不明・連絡不能問題の深刻化、(3)災害への備えの3つの要因です。いずれも一過性ではなく構造的なものなので、「制度が落ち着くまで様子見」ではなく、変わった前提で資産の方針を組み直すのが正解です。
背景1:マンションストックの高齢化
第一に、マンションストックの高齢化です。分譲マンションが普及して長い年月が経ち、築40年・50年を超える建物が年々積み上がる一方で、建替えや大規模修繕の合意形成は5分の4という高い壁に阻まれて進みにくいという矛盾が、長く指摘されてきました。建物は確実に老いていくのに、それを直すための意思決定だけが固いままだと、最後は誰も住めず、誰も買えない「塩漬けの資産」になってしまいます。決議の円滑化と再生手法の拡充は、この時間との競争に対する制度側の回答です。区分の投資物件を保有するオーナーにとっても、出口を確保できるかどうかは資産価値に直結します。
背景2:所有者不明・連絡不能問題の深刻化
第二に、所有者不明・連絡不能問題の深刻化です。相続登記がされないまま世代が移り、誰が所有者か分からない住戸、海外に移り住んで連絡のつかない区分所有者など、「決議の母数には数えられるのに、実際には参加しない人」が増え、これが合意形成を構造的に難しくしてきました。2024年4月の相続登記の義務化、そして本改正の所在等不明区分所有者の母数除外や国内管理人制度は、いずれもこの「連絡が取れない所有者」という共通の課題に、別々の角度から手を入れたものです。中小会社が扱う区分の管理現場でも、滞納や連絡不能はそのまま管理組合運営の停滞につながるため、無関係な話ではありません。
背景3:災害への備えと被災時の意思決定
第三に、災害への備えです。地震や水害で被災したマンションは、復旧か取壊しかを早く決めなければ、住民の生活再建も周辺の安全確保も進みませんが、平時と同じ高い決議要件のままでは緊急時に間に合わないという問題がありました。今回、耐震性不足や政令指定災害による被災といった客観的事由がある場合に決議要件を引き下げたのは、被災時に迅速な意思決定ができるようにするためです。地震の多い日本で区分物件を扱う以上、「もし被災したらどう決めるのか」という視点は、オーナーへの提案にも組み込んでおく価値があります。
中小不動産会社・区分所有オーナーに効いてくる論点
ここまでの改正が、現場の実務にどう跳ね返るのかを整理します。結論から言えば、効いてくるのは「保有物件の出口戦略」「国外・不在オーナーとの窓口設計」「管理組合運営への関与の仕方」の3点です。分譲マンション管理を本業にしていない中小会社であっても、区分の投資物件を一室でも扱っているなら、いずれかが必ず当たります。
論点1:保有区分物件の出口が「建替え一択」でなくなった
これまで築古の区分物件を持つオーナーには、「建替えは合意が難しいので、結局は持ち続けるか個別に売るしかない」という暗黙の前提がありました。改正後は、管理組合として一棟リノベーションや一括売却、取壊しといった選択肢を多数決で選べるようになり、しかも一定の条件下では合意の壁も下がります。オーナーへの資産提案において、「この物件は将来どの出口を取り得るのか」を、改正後の選択肢を踏まえて語れるかどうかが、提案の質を分けます。出口の幅が広がったということは、保有か売却かの判断材料も増えたということです。
論点2:国外・不在オーナーとの窓口設計を見直す好機
投資用区分の客付け・管理では、オーナーが遠方や海外に住んでいて連絡に時間がかかる、というのは日常的な悩みです。国内管理人制度の新設は、こうした国外オーナーとの間に正規の窓口を置く根拠になります。国外オーナーと管理契約を結ぶ際に、国内管理人の選任や緊急時の連絡体制をあらかじめ設計しておけば、決議や費用徴収、トラブル対応のスピードが上がります。施行を機に、既存の国外オーナーとの契約条項を点検しておくと、後々の手間を大きく減らせます。
論点3:管理組合運営の停滞に打ち手が増えた
区分の投資物件を扱っていると、自社が直接の当事者でなくても、同じ建物内の管理不全や所在不明者の存在が、保有物件の価値や管理のしやすさに影響してきます。所在等不明区分所有者の母数除外や、管理不全部分への管理人選任・管理命令といった制度は、こうした「他人事だが自社物件に跳ね返る問題」に対して、利害関係者として動ける根拠を与えます。オーナーから「同じマンションの荒廃した一室をどうにかできないか」と相談された際に、制度の存在を知っているだけで、提案の幅が変わります。
施行後にオーナーへ伝えるための実務SOP(5ステップ)
では、改正を自社の業務にどう落とし込むか。中小会社が今日から着手できる順番で、5つのステップに整理します。完璧を目指すより、まず保有物件の棚卸しから始めるのが現実的です。
ステップ1:扱っている区分物件を棚卸しする
最初に、自社が客付け・管理している区分物件をリスト化し、築年数、管理組合の有無と活性度、オーナーの居住地(国内/国外)、所在不明や滞納の有無を整理します。どの物件に今回の改正のどの柱が当たりそうかを仕分けることが、すべての出発点です。築古で建替え・再生が論点になりそうな物件、国外オーナーの物件、管理不全が周囲にある物件、というように色分けしておくと、その後の提案が具体的になります。
ステップ2:オーナー向けの簡潔な解説メモを用意する
次に、改正の要点を1枚にまとめたオーナー向けメモを作ります。専門用語を並べるのではなく、「決議が以前より進めやすくなった」「建替え以外の出口が選べるようになった」「連絡の取れない所有者がいても先に進める道ができた」という、オーナーの関心に直結する言葉で書くのがコツです。『あなたの物件にとって何が変わるか』に翻訳して伝えられる会社が、信頼を得ます。一般論の解説は世の中に溢れているので、差別化は「自社が扱うこの物件では」という具体性にあります。
ステップ3:築古・再生検討物件のオーナーに出口の選択肢を提示する
築年数の進んだ区分物件のオーナーには、改正後に取り得る出口(保有継続、個別売却、管理組合としての一括売却・リノベーション・取壊し等)を、それぞれの合意要件とあわせて整理して示します。判断を急かす必要はありませんが、「選択肢が増えた今、改めて方針を考える価値がある」と投げかけることが、長期的な関係につながります。出口の議論は管理組合全体の合意が前提になるため、まずは情報提供にとどめ、専門家と連携する姿勢を示すのが誠実です。
ステップ4:国外・不在オーナーとの連絡体制を再設計する
国外オーナーや連絡の取りにくいオーナーについては、国内管理人制度を踏まえ、緊急時の連絡先、決議の委任の取り方、費用徴収の経路をあらためて設計します。連絡が取れない前提で仕組みを作っておけば、いざというときの停滞を防げます。既存の管理契約に国内の連絡窓口に関する条項がない場合は、契約更新のタイミングで追加を提案するとよいでしょう。
ステップ5:対応経緯を記録し、仕組みとして残す
最後の鍵は、ここまでの対応を個人技ではなく仕組みにすることです。物件ごとに、改正のどの柱が当たるか、オーナーに何を伝えたか、次に何を確認するかを、案件単位で一元管理できる状態をつくる。担当者が変わっても、過去の整理を参照して最短で動けるようにしておくことが、こうした制度対応の取りこぼしを防ぎます。当社でも、物件・オーナー・対応履歴を同じ画面でつなぐ運用に切り替えてから、制度変更時の説明漏れや二度手間が目に見えて減りました。反響対応から契約・管理までを分断せずに回す業務基盤として、ウルスタのような賃貸管理・CRMの一元化ツールは、こうした「制度対応の標準化」と相性が良いと感じています。制度が大きく動く局面ほど、現場の段取りを仕組みで支える価値は大きくなります。
ケース別の実務対応
典型的な場面ごとに、現場での向き合い方を整理します。いずれも最終判断は管理規約と専門家の確認が前提ですが、相談の入口での対応として押さえておくと役立ちます。
ケースA:国外に住むオーナーの区分物件を管理している
国内管理人制度を踏まえ、連絡窓口と緊急時の対応経路を明確化します。決議への委任の取り方、管理費・修繕積立金の徴収経路、トラブル時の一次対応者を、契約段階で取り決めておくのが理想です。連絡に時間がかかる前提で動けば、決議や費用の停滞を防げます。
ケースB:同じ建物内に所在不明・管理不全の住戸がある
所在等不明区分所有者の母数除外や、管理不全部分への管理人選任・管理命令といった制度の存在をオーナーに伝え、管理組合や専門家と連携して動く道筋を示します。自社が直接の申立人になれるかは利害関係の有無によりますが、「打ち手がある」と知らせるだけでも、オーナーの不安は和らぎます。
ケースC:築古区分物件の出口を相談された
建替え一択だった従来と異なり、一括売却・リノベーション・取壊しといった選択肢を、それぞれの合意要件とあわせて整理して示します。判断は管理組合全体の合意が前提になるため、情報提供にとどめ、必要に応じて専門家へつなぐのが誠実な対応です。
ケースD:管理組合の総会がいつも成立せず困っている
決議の円滑化により、欠席者がいても出席者の多数決で管理に関する事項を進めやすくなった点、所在不明者を母数から除外する道ができた点を伝えます。ただし実際の運用は管理規約の改定状況に左右されるため、まずは規約の見直し状況を確認することを勧めます。
この局面で避けるべき5つのNG
最後に、施行直後の今、現場でやりがちな失敗を5つ挙げておきます。いずれも「制度が変わったことを正しく伝えられない」ことから生じるものです。
NG1:「分譲マンションの話だから自社には関係ない」と切り捨てる
区分の投資物件を一室でも扱っているなら、出口戦略・国外オーナー対応・管理組合運営のいずれかが必ず当たります。自社の業務に翻訳せずに無関係と決めつけるのは、提案機会の取りこぼしです。
NG2:「決議要件が下がった」を過大に伝える
建替え等の原則は5分の4以上で維持されており、緩和は耐震性不足や政令指定災害といった客観的事由がある場合に限られます。「もう簡単に建替えできる」と誤って伝えると、後で信頼を損ないます。条件付きの緩和であることを正確に伝えましょう。
NG3:管理規約の改定状況を確認せずに断定する
法律が変わっても、個々の管理組合での運用は規約の改定状況に左右されます。「制度上はこうだが、この管理組合で実際にどう運用されるかは規約と総会次第」という留保を欠くと、現場で食い違いが起きます。
NG4:専門家につながず自己判断で助言する
再生手法の選択や管理人選任の申立てといった重い判断は、弁護士やマンション管理士など専門家の領域です。中小会社の役割は「打ち手の存在を知らせ、適切な専門家につなぐ」ことであり、踏み込みすぎは禁物です。
NG5:情報提供を一度きりで終わらせる
制度の運用や標準管理規約の対応は、施行後も段階的に整っていきます。一度メモを配って終わりにせず、運用が固まってきた段階で改めて情報を更新して伝える。この継続が、選ばれ続ける会社とそうでない会社を分けます。
よくある質問
Q1. 今回の改正は、賃貸専業の中小会社にも関係しますか。
区分所有の投資物件(ワンルームやファミリータイプの分譲賃貸など)を一室でも客付け・管理しているなら関係します。オーナーの資産の出口や、国外オーナーとの窓口、同じ建物内の管理不全への対応など、日々の実務に跳ね返る論点が含まれます。
Q2. 建替えの決議要件は、結局どのくらいに下がったのですか。
原則は従来どおり5分の4以上です。そのうえで、耐震性不足など客観的な事由が認められる場合に4分の3以上、政令で指定される災害により被災した場合に3分の2以上へと引き下げられます。無条件に下がったわけではない点に注意してください。
Q3. 集会決議の円滑化とは、具体的に何が変わったのですか。
区分所有権の処分を伴わない管理に関する決議について、出席者の多数決で進めやすくなった点と、裁判所が認定した所在等不明区分所有者を全決議の母数から除外できるようになった点が中心です。欠席や連絡不能が決議を止める構造に、出口ができました。
Q4. 国内管理人制度は、誰のための仕組みですか。
国内に住所も居所も持たない区分所有者(海外居住者など)が、専有部分・共用部分の管理事務を行わせるために、国内に住所または居所を有する者の中から管理人を選任できる制度です。連絡の断絶による決議や費用徴収の停滞を防ぐことが目的です。
Q5. 老朽化した区分物件のオーナーには、何を伝えればよいですか。
建替え以外に、一括売却・一棟リノベーション・取壊し・取壊し後の敷地売却といった選択肢が多数決決議で選べるようになったことを、それぞれの合意要件とあわせて整理して伝えます。判断は管理組合全体の合意が前提のため、情報提供にとどめ専門家と連携するのが誠実です。
Q6. 施行されたら、すぐにこれらの制度が使えるのですか。
法律は2026年4月1日に施行済みですが、個々の管理組合での運用は標準管理規約の改定や各組合の規約見直しの進み具合に左右されます。「制度上は可能」と「この組合で実際に使える」は別問題として、規約の改定状況を確認することが重要です。
Q7. 中小会社にとって、この改正は不利ですか、有利ですか。
制度を正しく理解して自社物件とオーナーに翻訳できる会社にとっては、提案の幅が広がる機会です。逆に「関係ない」と切り捨てる会社は、出口提案や国外オーナー対応の機会を取りこぼします。準備の差が、そのまま信頼の差になって表れます。
まとめ:制度を「自社物件の言葉」に翻訳できる会社が選ばれる
2026年4月施行の区分所有法改正は、決議の円滑化、再生手法の拡充と決議要件の条件付き緩和、管理不全への対応、国外区分所有者の国内管理人制度という4つの柱で、「連絡が取れない人がいるせいで全体が止まる」「建替え以外の出口がない」という長年の詰まりに手を入れたものです。中小不動産会社にとって大切なのは、これを分譲マンション管理だけの話と切り捨てず、自社が扱う区分の投資物件とオーナーに『何が変わるか』を翻訳して伝えること。保有物件を棚卸しし、オーナー向けに要点を1枚にまとめ、築古物件には出口の選択肢を、国外オーナーには連絡体制の再設計を提案し、対応を仕組みとして記録に残す。この5ステップを社内の標準にすれば、23年ぶりの大改正は『難しい法律の話』ではなく『選ばれる理由』に変わります。まずは今日、自社が客付け・管理している区分物件を一覧にし、どの物件にどの柱が当たりそうかを色分けするところから始めてみてください。地味な棚卸しですが、こうした足元の整理が、結局はいちばん効きます。今日も一件、丁寧に積み上げていきましょう。
参照: 改正区分所有法(2025年成立・2026年4月1日施行)に関する公開情報 / 老朽化マンション対策・マンション再生の円滑化に関する制度解説(2026年時点) / 標準管理規約の改定動向(令和7年) / 国土交通省マンション政策関連の公開資料


