賃貸住宅の新築で「みらいエコ住宅2026事業」を使うには、GX志向型住宅・長期優良住宅・ZEH水準住宅のいずれかとして建て、登録された建築事業者に交付申請をしてもらう必要があります。長期優良住宅とZEH水準住宅では、子育て世帯等に限った入居募集や事務局への事前相談が条件になり、補助の対象は要件を満たす住戸数の50%です。既存の賃貸物件の省エネ改修は、リフォーム・窓・給湯器の別の事業が対象です。2026年10月7日時点の公式サイトの内容をもとに整理します。
住宅省エネ2026キャンペーンの4事業と賃貸オーナーとの関係
国土交通省・経済産業省・環境省は、令和7年11月28日の報道発表で、住宅の省エネ化を支援する予算案の閣議決定を公表しました。新築とリフォームを支援する「みらいエコ住宅2026事業」は、このとき創設が発表された事業です。
現在は「住宅省エネ2026キャンペーン」として、次の4事業がまとめて案内されています。賃貸オーナーに関係する範囲を整理すると、次のとおりです。
| 事業名 | 所管 | 賃貸オーナーに関係する対象 |
|---|---|---|
| みらいエコ住宅2026事業(新築) | 国土交通省・環境省 | 賃貸住宅の新築(GX志向型住宅、長期優良住宅、ZEH水準住宅) |
| みらいエコ住宅2026事業(リフォーム) | 国土交通省 | 住宅を所有し賃貸に供する個人・法人による省エネ改修 |
| 先進的窓リノベ2026事業 | 環境省 | 住宅を所有し賃貸に供する個人・法人による窓・ドアの断熱改修 |
| 給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 高効率給湯器の導入(賃貸住宅で使えるかは公式サイトで確認してください) |
| 賃貸集合給湯省エネ2026事業 | 経済産業省 | 既存の賃貸集合住宅での小型の省エネ型給湯器への交換 |
補助額は住宅の種類と地域区分で変わり、賃貸住宅の新築では、古家除却の加算を除くと1戸35万円から125万円までの幅があります。次の章から、公式サイトで確認できた内容を順に見ていきます。
賃貸住宅の新築で使うときの要件
誰が対象で、誰が申請するか
補助の対象者は、みらいエコ住宅事業者と工事請負契約を結ぶ「建築主かつ賃貸オーナーである個人又は法人」です。一方、交付申請をするのは、あらかじめ「みらいエコ住宅事業者」として登録した建築事業者です。公式サイトの申請手続きのページには、建築主かつ賃貸オーナーは自ら申請できないと書かれています。オーナーは申請に協力する立場です。
住戸と工事の主な要件
- 住戸の床面積が50㎡以上240㎡以下であること。
- 2025年11月28日以降に基礎工事に着手したものであること。
- 2027年1月31日までに一定以上の出来高の工事完了を報告すること。報告が確認できない場合、事務局は交付申請を却下し、交付決定済みでも取り消すとされています。
- 立地等の除外要件に当たらないこと(詳細は公式サイトの別ページ)。
長期優良住宅・ZEH水準住宅の追加条件
長期優良住宅とZEH水準住宅には、GX志向型住宅にない条件があります。
- 子育て世帯または若者夫婦世帯に限定した入居募集を、少なくとも3か月行うこと。
- 補助金額を勘案した合理的な優遇家賃を設定すること。
- 事務局が定める技術基準をすべて満たすこと。公式サイトでは、住宅内の事故防止、子供の様子の見守り、不審者の侵入防止、災害への備えの4つが挙げられています。
- 交付申請(予約を含む)の前に事務局へ事前相談を行い、技術基準を満たすことの確認を受けること。事前相談は「相談受付終了日(決定次第公表)まで」とされています。
GX志向型住宅は、すべての世帯を対象に、少なくとも3か月または募集対象との賃貸借契約締結まで入居募集を行う形で、優遇家賃の要件はありません。
性能の基準
公式サイトの性能の説明では、長期優良住宅は所管行政庁で認定を受けた住宅で、断熱等性能等級5以上かつ一次エネルギー消費量等級6以上とされています。ZEH水準住宅は、断熱等性能等級5以上、再生可能エネルギーを除いた一次エネルギー消費量の削減率20%以上(一次エネルギー消費量等級6)です。GX志向型住宅は断熱等性能等級6以上などの、より高い基準が設けられています。どの基準を満たせるかは設計段階で決まるため、設計者と早めに確認します。
補助額と50%の考え方
賃貸住宅の新築の補助額は、公式サイトで次のとおり示されています。
| 住宅の種類 | 1〜4地域 | 5〜8地域 | 古家除却の加算 |
|---|---|---|---|
| GX志向型住宅 | 125万円/戸 | 110万円/戸 | なし |
| 長期優良住宅 | 80万円/戸 | 75万円/戸 | 20万円/戸 |
| ZEH水準住宅 | 40万円/戸 | 35万円/戸 | 20万円/戸 |
長期優良住宅とZEH水準住宅は、「補助対象は、要件を満たす賃貸住戸数の50%です」とされています。地域区分は建設地の市町村で決まるため、設計者や公式資料で確認します。
古家除却の加算は、建築主かつ賃貸オーナー(個人の場合はその親族を含む)が所有する住宅の解体工事を発注し、2025年11月28日から完了報告までに解体が完了するもので、古家と新築する賃貸住宅の所在地が同じ場合に限られます。
仮の数字で計算例を示します
5〜8地域で、ZEH水準住宅の賃貸住宅を8戸建て、8戸すべてが要件を満たすとします。補助対象は50%の4戸で、補助額は35万円×4戸=140万円です。戸数が奇数のときの端数の扱いなどは、公式の要件で確認してください。
補助を受けると、子育て世帯等に限った募集と優遇家賃の設定が条件になります。補助額だけで判断せず、優遇家賃による家賃収入の差や、募集期間中に空室が続く可能性も含めて、オーナーと試算しておくことが大切です。
申請の流れと期限
公式サイトの賃貸住宅の申請手続きページでは、流れが次の順で示されています。
- 建築事業者のアカウント取得と事業者登録(公表は任意)
- 事前相談(長期優良住宅・ZEH水準住宅)
- 工事請負契約、共同事業実施規約の締結
- 予約(任意)
- 基礎工事の着手
- 交付申請、交付決定
- 入居募集
- 出来高の工事完了の報告
- 完了報告、補助金の振込
| 手続き | 時期・期限(公式サイトの記載) |
|---|---|
| 予約(任意) | 申請開始〜遅くとも2026年11月16日。有効期間は遅くとも2026年12月31日または提出から3か月のいずれか早い日 |
| 交付申請 | 基礎工事(根切り工事または基礎杭打ち工事)の完了以降、遅くとも2026年12月31日まで。予算上限に達した場合はその時点まで |
| 出来高の報告 | 2027年1月31日まで |
| 完了報告 | 戸建は2027年7月31日まで、共同住宅10階以下は2028年4月30日まで、11階以上は2029年2月28日まで |
補助金は、原則として建築代金の最終支払の一部に充当する方法で、建築主かつ賃貸オーナーに還元されます。現金で支払う方法も、規約で取り決めれば可能とされています。どちらにするかは、工事請負契約と規約を結ぶ段階で確認しておきます。
予算の消化状況は公式サイトで毎日更新されています。2026年10月6日の更新では、GX志向型住宅が63%、長期優良住宅・ZEH水準住宅が37%、リフォームが8%でした。予算上限に達すると期限前でも受付が終わるため、最新の数字を確認してから計画を立てます。
既存の賃貸物件で使える補助
みらいエコ住宅2026事業の新築枠は、既存物件の改修には使えません。既存の賃貸物件では、次の事業が候補になります。
みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
対象者は「住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人」を含みます。対象は平成28年12月31日以前に新築された住宅で、戸建・共同住宅は問いません。外皮に面する開口部を持つ1つの居室で、決められた組み合わせの工事(要件化工事)を行うことが条件です。補助上限は、住宅の新築時期と、義務基準相当か次世代省エネ基準相当かの工事の組み合わせで、1戸40万円から100万円まで分かれています。工事の着手は2025年11月28日から遅くとも2026年12月31日までです。
先進的窓リノベ2026事業
対象者には「住宅を所有し、賃貸に供する個人または法人」が含まれます。建築から1年が経過した住宅か、過去に人が居住した住宅が対象です。対象製品を使ったガラス交換、内窓設置、外窓交換、ドア交換で、外気に接する開口部の工事に限られます。上限は1戸あたり100万円です。交付申請は工事完了後に提出し、締切は予算上限に応じて公表されます。
賃貸集合給湯省エネ2026事業
対象は、1棟に2戸以上の賃貸住戸があり、建築から1年以上が経過しているか居住実績がある既存の賃貸集合住宅です。従来型の給湯器を、補助対象の小型の省エネ型給湯器に交換する工事が対象です。基本額は追い焚きなしが1台5万円、追い焚きありが1台7万円(1住戸1台まで)で、追い焚きなしの場合は共用廊下を横断するドレン排水ガイドの敷設工事に3万円の加算があります。補助対象者には、所有者のほか管理法人等も含まれます。申請は登録した事業者が行い、オーナーが直接は申請できません。
どの事業も、申請者は登録事業者で、オーナーは事業者と契約して補助を受ける形です。改修の相談を受けたら、まず施工会社が該当事業の登録事業者かどうかを確かめます。
不動産会社がオーナーを支援する手順
補助金の申請そのものは登録事業者が行います。管理会社や仲介会社ができるのは、オーナーの判断材料をそろえ、期限を管理することです。手順の例を示します。
手順1:計画が新築か改修かを分ける
建替えや新築の予定があるオーナーには新築枠、既存物件の改修を考えているオーナーにはリフォーム・窓・給湯の各事業を案内します。新築は2026年12月31日までに基礎工事を終えて交付申請できる計画かどうかが最初の分かれ目です。
手順2:登録事業者を公式の検索で確かめる
住宅省エネ2026キャンペーンの公式サイトには、登録事業者を検索するページがあります。施工会社の候補が登録しているかを、オーナーと一緒に確認します。
手順3:募集条件を先に決める
長期優良住宅・ZEH水準住宅を選ぶ場合、子育て世帯等に限った3か月以上の募集と優遇家賃が条件です。家賃設定、募集の時期、募集図面や広告での条件の書き方を、着工前にオーナーと決めておきます。
手順4:期限の一覧を共有する
予約の期限(2026年11月16日)、交付申請の期限(2026年12月31日)、出来高の報告(2027年1月31日)、完了報告の期限を1枚にまとめ、オーナー・施工会社と共有します。
手順5:ほかの補助との併用を確かめる
みらいエコ住宅2026事業の賃貸住宅のページでは、「当該住宅に対して、重複して国の他の補助制度から補助を受けることはできません。なお、地方公共団体の補助制度については、国費が充当されているものを除き、併用可能です。」とされています。自治体の補助を使う場合は、国費が入っているかを自治体に確認します。
ウルスタ株式会社の業務クラウド「ウルスタくん」では、募集図面(マイソク)の作成や、業者間流通(ウルスタBB)での物件情報の共有ができます。子育て世帯等に限った募集条件を図面や物件情報に正しく載せる作業に使えます。
よくある質問
Q1. 既存の賃貸アパートの改修にも、みらいエコ住宅2026事業の新築枠は使えますか?
使えません。新築枠は新築の賃貸住宅が対象です。既存物件の改修は、みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)、先進的窓リノベ2026事業、賃貸集合給湯省エネ2026事業などが候補になります。
Q2. オーナーが自分で申請できますか?
できません。新築の賃貸住宅では、建築主かつ賃貸オーナーは自ら申請できず、登録したみらいエコ住宅事業者が交付申請を行います。オーナーは書類の準備などで協力します。
Q3. 補助金はどのように受け取りますか?
完了報告の後に振り込まれます。原則は建築代金の最終支払の一部に充当する方法で、規約で取り決めれば現金で支払う方法もとれます。
Q4. 自治体の補助と併用できますか?
国の他の補助制度との重複はできません。自治体の補助は、国費が充当されているものを除いて併用できるとされています。
Q5. 2027年に着工する計画でも使えますか?
交付申請は基礎工事の完了以降で、遅くとも2026年12月31日までとされているため、この事業での申請は難しいと考えられます。後継の事業があるかどうかは、2026年10月7日時点では確認できませんでした。国土交通省の発表を確認してください。
出典(本文で参照している資料)
- 国土交通省 報道発表資料「住宅の省エネ化への支援強化に関する予算案を閣議決定!」(令和7年11月28日)
- 住宅省エネ2026キャンペーン 公式サイト
- みらいエコ住宅2026事業 賃貸住宅の新築(要件・補助額)
- みらいエコ住宅2026事業 賃貸住宅の新築(申請手続き)
- みらいエコ住宅2026事業 対象となる住宅の性能
- みらいエコ住宅2026事業(リフォーム)
- 先進的窓リノベ2026事業 事業概要(環境省)
- 賃貸集合給湯省エネ2026事業 対象要件(経済産業省)
- 長期優良住宅の普及の促進に関する法律(e-Gov法令検索):5条
この記事は2026年10月7日時点の情報です。