税金・優遇 読了 6分

不動産業の税務確認|個人・法人で分ける3制度

青色申告特別控除、少額減価償却資産、小規模企業共済を個人・法人で整理。2026年4月の少額資産の基準変更、控除と税額の違い、申告前にそろえる資料を公的情報で確認します。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
不動産業の税務確認|個人・法人で分ける3制度
目次

節税制度を調べる前に、「誰の、何年分の、どの税金か」を決めます。個人の所得控除と法人の経費処理を混ぜると、同じ支出を二重に見込むなどの誤りにつながります。

3制度の対象を分ける

制度の入口を確認する表(2026年9月10日確認)
制度対象の整理最初の確認
青色申告特別控除個人の所得税の制度所得区分、事業的規模、記帳・申告方法
少額減価償却資産の特例要件を満たす個人・法人。適用条件をそれぞれ確認取得日、使用開始日、取得価額、対象者要件
小規模企業共済の掛金控除加入資格を満たす契約者個人の所得控除加入資格、支払額、控除証明書

控除額は、そのまま減る税金の額ではありません。設備の購入や共済への拠出には資金が必要です。手元資金、今後の支出、制度を使わない場合も並べて判断します。

青色申告特別控除は、個人の要件から確認する

国税庁の説明では、青色申告特別控除には55万円・65万円・10万円の区分があります。55万円の控除には、対象となる所得、複式簿記等による記帳、貸借対照表・損益計算書の添付、期限内申告などの要件があります。65万円は、55万円の要件に加えてe-Taxによる申告等、定められた条件を満たす場合です。

不動産所得があるだけで、必ず65万円を控除できるわけではありません。55万円・65万円の区分では不動産貸付けの事業的規模も確認します。法人の青色申告を、法人の利益から65万円を一律に引く制度として扱わないでください。

相談前にそろえる資料

  • 対象年、所得区分、青色申告の承認状況
  • 賃貸物件の貸付状況と記帳方法
  • 決算書、申告方法、提出予定日

詳細は国税庁「青色申告特別控除」で、自分の申告年に適用される条件を確認します。

少額資産は、取得日の境目を見落とさない

2026年4月1日以後に取得等をする資産について、少額減価償却資産の特例の取得価額基準は30万円未満から40万円未満へ変更されています。法人では対象から除外される従業員数の基準も変更されました。改正前の「30万円未満」という説明を、そのまま新しい購入に当てはめないようにします。

これは全事業者が、40万円未満の購入を無条件に経費にできるという意味ではありません。対象者、青色申告、資産の種類・用途、取得と事業供用の時期、年300万円の限度、申告時の明細等の要件を確認します。税抜・税込の判定は採用する経理方式等に左右されます。

通常の減価償却と比較して判断する

国税庁の個人向け説明では、通常の減価償却のほか、取得価額10万円未満の資産や10万円以上20万円未満の一括償却資産などの扱いが整理されています。少額資産の特例だけで決めず、購入の必要性、適用可能な方法、将来の費用計上も確認します。土地は減価償却の対象ではありません。

個人の確認には国税庁「減価償却のあらまし」、法人の改正点には国税庁「令和8年度法人税関係法令の改正の概要」16〜17ページを参照してください。

小規模企業共済は、個人の資金計画と合わせる

小規模企業共済は、加入資格を満たす個人事業主や会社等の役員が利用する制度です。会社が加入する契約として扱わず、事業形態や役員としての立場が加入要件に合うかを中小機構で確認します。

国税庁は、その年に支払った対象掛金の全額を所得控除の対象としています。法人の経費に同じ額をそのまま計上する説明とは分けてください。控除証明書と支払記録を保管し、資金拘束や解約時の取扱いも確認してから掛金を決めます。

申告前の確認を一枚にまとめる

不明点には「確認中」と書き、資料名・税理士等からの回答・確認日を残します。異なる年の制度や個人・法人の条件を混ぜないために、シートは納税者と申告年ごとに分けて使ってください。

不動産業の税務相談準備シートを保存する(TXT)

登録不要です。テキスト形式の空欄シートなので、保存後に自社の条件を記入できます。

よくある質問

Q1. 3制度は誰でも併用できますか?

それぞれ対象者と適用要件が異なります。対象となる本人・法人、所得、資産、掛金を分けて確認してください。

Q2. 65万円控除なら税金が65万円減りますか?

いいえ。所得から控除する額と、実際に減る税額は別です。所得や他の控除などによって結果が変わります。

Q3. 2026年3月に取得した35万円の資産にも新基準を使えますか?

改正後の40万円未満の基準を取得日にさかのぼって適用する説明にはなりません。取得等の日と適用関係を確認し、通常の償却なども検討します。

Q4. 何を税理士に相談すればよいですか?

納税者、申告年、取得・使用開始日、金額、用途、証憑を伝えます。適用可否だけでなく、届出・添付資料・期限と資金繰りへの影響も確認してください。

出典・確認日

確認日:2026年9月10日。制度の説明は以下の公的資料に基づきます。記録方法と確認シートは編集部の提案です。

訂正履歴

2026年9月10日:個人と法人の制度を整理し、2026年4月の改正を反映しました。根拠を提示できない「58万円」の節税実績を撤回しました。本記事は一般的な確認事項で、個別の申告判断を代行するものではありません。

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