賃貸管理 読了 25分

家賃滞納は「審査」ではなく「入居後6か月」で分かる|約2,000人の支払いデータで、初期に2回以上遅れた人はその後の滞納が約11.7倍(リース×大竹文雄氏)。年収・勤続年数より行動が効く時代に、賃貸管理会社が組み直す入居後フォローと審査の考え方

家賃債務保証のSaaSを手がけるリース株式会社が、行動経済学の大竹文雄氏(大阪大学特任教授)の監修で出した「家賃支払履歴と滞納率に関するレポート」が、2026年9月8日の全国賃貸住宅新聞で取り上げられました。約2,000人分の実際の支払いデータで、入居後6か月のあいだに2回以上家賃の支払いが遅れた人は、その後に滞納する確率が約11.7倍。この行動データを分析に入れると、年収・年齢・勤続年数は将来の滞納を予測するうえでほとんど意味を持たなくなったといいます。同じ日の紙面にはジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」が一般の民間賃貸も対象になった記事が載り、国交省の認定家賃債務保証業者は7月31日時点で12者です。審査で決めるのではなく入居後6か月で分かる、という前提に立って、管理会社が組み直す入居後フォローと、属性で断らない審査の考え方を整理しました。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
家賃滞納は入居6か月で分かる|2回の遅れで11.7倍、管理会社の入居後フォロー
目次

家賃債務保証会社向けのSaaS「家賃保証クラウド」を手がけるリース株式会社が、行動経済学の大竹文雄氏(大阪大学特任教授)の監修で2026年6月30日に出した「家賃支払履歴と滞納率に関するレポート」が、9月8日の全国賃貸住宅新聞で取り上げられました。約2,000人分の実際の家賃支払いデータを分析し、入居後6か月のあいだに2回以上支払いが遅れた人は、その後に滞納する確率が約11.7倍になる、という内容です。もうひとつ、この行動データを分析に入れると、年収・年齢・勤続年数といった属性は将来の滞納を予測するうえでほとんど意味を持たなくなった、とも書かれています。私たちは自社で210戸を持ち、約100戸を自主管理しています。入居審査で属性を見て、通した後は「滞納したら督促」という順番で動いてきた管理会社にとって、このレポートは順番そのものを問い直すものです。本稿は、レポートの中身と限界、行動経済学で説明される3つの特性、管理会社が組む「入居後6か月」の運用、そして同じ日の紙面に載ったジェイリースの要配慮者プラン改定と国交省の認定家賃債務保証業者12者まで、9月中にやることに落として整理します。

結論(90秒で読める)

  • レポートは、リース株式会社が2025年11月に大阪大学発ベンチャーのCoBe-Tech株式会社とアドバイザリー契約を結び、大竹文雄氏の監修で出した共同検証の最初の成果です。約2,000人分の家賃支払いデータで、入居後6か月に2回以上の遅れがあった人はその後の滞納確率が約11.7倍、この行動データを入れると年収・年齢・勤続年数はほとんど意味を持たなくなった、という2点が骨です。
  • 行動経済学の説明では、毎月の家賃を期日に払えるかどうかは、現在バイアス(先延ばし)の程度・収入の波を吸収する流動性・コミットメント手段(口座振替などの仕組み)の3つを同時に映しています。このうち管理会社が設計できるのは3つ目です。
  • 数字の限界も押さえます。一社のデータ・約2,000人・相対的な倍率で、絶対の滞納率は公開資料に書かれていません。レポート本文(16頁)は章立てのみ確認でき、数値は同社の解説ページに拠っています。
  • 管理会社の実務は「審査で決める」から「入居後6か月を観測する」へ重心を移します。1回目の遅れはうっかりとして扱い、2回目で面談と記録、保証会社への共有という段階を、契約時から決めておく。ただし2回遅れたから解約、はできません(民法541条の催告と、判例の信頼関係の考え方)。
  • 審査の側では、9月8日の同じ紙面に載ったジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」改定(7月16日・一般の民間賃貸住宅も保証対象)と、国交省の認定家賃債務保証業者12者(7月31日時点)が、属性で断らない根拠になります。同社が引用する国交省調査では、大家が高齢者の入居を制限する理由は死亡事故等の不安が約9割、家賃の不安は1.3%です。

レポートの中身|約2,000人・6か月・2回・11.7倍

リース株式会社は、家賃債務保証会社向けの業務支援SaaS「家賃保証クラウド」を運営する会社です。保証会社そのものではなく、保証会社が審査・契約・入金管理に使うシステムを提供していて、200項目以上の与信アルゴリズムを持つと自社で説明しています。2025年11月に大阪大学発ベンチャーのCoBe-Tech株式会社とアドバイザリー契約を結び、同社取締役で大阪大学特任教授の大竹文雄氏と「個人の信用価値を最大化する」というテーマで議論を重ね、その最初の成果として2026年6月30日にレポートを公開しました。

何を測ったか

公開されている説明を整理すると、分析の型は次のとおりです。約2,000人分の実際の家賃支払いデータを使い、「引っ越してからの最初の行動」と「将来の滞納」の関係を調べた。具体的には、入居後6か月のあいだに支払いの遅れが2回以上あったかどうかを行動のシグナルとし、その後に深刻な連続滞納に陥る確率を比べた。結果は、2回以上遅れた人はそうでない人に比べて約11.7倍。レポート本文の章立てには「ロジスティック回帰モデルの係数と有意性の解釈」という節があり、統計モデルで属性と行動の効き方を比べた分析です。

項目レポートの記述
データ約2,000人分の実際の家賃支払いデータ
観測する期間入居後6か月
行動のシグナルその6か月に家賃の支払いが2回以上遅れたか
結果2回以上遅れた人は、その後に滞納する確率が約11.7倍
属性の効き方行動データを入れると、年収・年齢・勤続年数は将来の予測にほとんど意味を持たなくなった
発表2026年6月30日(PR TIMES)、全国賃貸住宅新聞 2026年9月8日

「属性がほとんど意味を持たなくなった」の読み方

この一文は、年収や勤続年数が滞納と無関係だという意味ではありません。行動データを入れる前は属性にも説明力があったが、「最初の6か月で2回遅れたか」を同じモデルに入れると、属性の側がほとんど効かなくなった、という意味です。つまり属性が持っていた情報は、行動のなかにほぼ含まれていた、と読むのが自然です。管理会社の実務に引き直すと、審査で属性を見ること自体をやめる話ではなく、審査で見た属性より、入居後の行動のほうが多くを語る、という順番の話になります。

この数字の限界

使うときに押さえておく限界が3つあります。第一に、一社の、約2,000人のデータです。地域・物件の価格帯・保証会社の審査基準に偏りがある可能性を、レポートの公開部分からは判断できません。第二に、11.7倍は相対的な倍率で、「何%が何%になった」という絶対の滞納率は公開資料にありません。もとの率が低ければ、11.7倍でも多数派は払い続けている人です。第三に、レポート本文(16頁)は章立てと見出しは確認できますが、本文の文字は抽出できず、本稿の数値は同社の解説ページの記述に拠っています。本稿はこのレポートを「傾向として十分ありそうで、運用を組み直す価値がある」ものとして扱い、個々の入居者の判定に直接当てはめる根拠としては扱いません。

なぜ行動が効くのか|行動経済学の3つの特性

レポートは、毎月の家賃を期日に払えるかどうかが、次の3つの潜在的な特性を同時に映していると整理しています。大竹氏のコメントでは、遅れの背景に「将来の不利益より目先の利便性を優先する現在バイアス(先延ばし傾向)」と、「口座引き落としなどで支払いを確約し自動的に実行するコミットメント手段の欠如」が挙げられています。管理会社の側から見ると、3つのうち設計に手が届くのは3つ目だけです。

特性家賃の支払いに出る形管理会社が設計できること
現在バイアスと先延ばし傾向の程度期日の前に払うか、督促されてから払うか入居者の性向そのものは変えられない。期日を「意識しなくても守れる」形に寄せる
収入の不安定さを吸収する資産・流動性給与日と家賃の期日がずれた月に遅れるか支払日の相談に応じられる契約にしておく(給与日の直後に引落日を置く)
コミットメント手段の有無と金融管理の習慣口座振替か、毎月の振込か、コンビニ払いか口座振替を既定にする。振込を選ぶ人には理由を聞き、6か月の観測対象に入れる

ここで「既定にする」という言葉が効きます。行動経済学でいうデフォルトの設計です。申込書に「口座振替/振込」の2択を並べて選ばせるのではなく、口座振替を前提に手続きを進め、振込を希望する人だけが申し出る形にすると、振込を選ぶ人が減り、残った人には理由があります。レポートが挙げる3つ目の特性を、入居者に求めるのではなく、管理会社の手続きの側で用意する、という考え方です。

管理会社が組む「入居後6か月」の運用

レポートを実務に落とすなら、審査の後に「入居後6か月」という観測期間を置き、そのあいだの支払い行動を記録し、遅れの回数で対応の段階を変える、という運用になります。ただしその前に、支払いのデータがどこにあるかを確かめる必要があります。

支払いのデータは誰の手元にあるか

保証会社を使う契約では、家賃の集金の型によって、管理会社に見えるものが違います。保証会社が入居者から直接集金して貸主に送金する型(収納代行型)では、入居者が期日に払ったかどうかを最初に知るのは保証会社で、管理会社には「遅れた」という報告が来るか、来ないかです。管理会社が集金し、遅れたときに保証会社が立て替える型では、入金の有無を管理会社が最初に見ます。どちらの型かで、6か月の観測を誰がするかが変わります。

集金の型支払いデータの所在管理会社に見えるもの6か月の観測に必要なこと
保証会社が集金して貸主へ送金(収納代行型)保証会社遅延の報告(あれば)遅れ1回目から報告してもらう取り決め。報告の期日と手段を決める
管理会社が集金し、遅れたら保証会社が立替(立替型)管理会社入金日・入金額入金日を契約ごとに記録する(入金の有無だけでは足りない)
貸主が直接集金(自主管理・保証なし)貸主貸主からの連絡(あれば)貸主に「遅れたら翌日に連絡を」と頼み、記録は管理会社が持つ

収納代行型で気をつけるのは、保証会社が立て替えて貸主に送金するため、貸主も管理会社も遅れに気づかないまま数か月が過ぎることです。レポートの示す「最初の6か月の2回」は、この型では保証会社の手元にしかありません。保証会社との契約で、遅れの初回から管理会社に知らせてもらう取り決めがあるかを、まず確かめます。

1回目の遅れ、2回目の遅れ、それぞれの動き

レポートの解説ページは「1回の遅れはただのうっかりかもしれないが、2回遅れると決定的なサインになることが示唆される」と書いています。これをそのまま段階にします。1回目は事実の確認と記録だけ、2回目で面談と支払い方法の見直し、というふうに、回数で対応が変わることを契約時に入居者へ伝えておくのが要点です。後から態度を変えると、入居者には突然きつくなったように見えます。

段階いつ管理会社がすること残す記録
契約時入居前口座振替を既定で案内。「最初の6か月は支払い日を見ています。遅れたときの連絡の順番」を説明説明した日付と、支払い方法の選択
1回目の遅れ期日の翌営業日事実の確認の連絡(電話またはSMS)。理由を聞き、支払い予定日を聞く。責めない遅れた日数・理由・入金日
2回目の遅れ6か月以内の2回目面談(対面か電話)。給与日と引落日のずれ、口座残高の管理、振込から口座振替への変更を相談。保証会社に共有面談の日付・合意した支払い方法・保証会社への共有日
3回目以降6か月以内、または6か月を過ぎても続く初期督促SOPの通常手順へ。貸主に状況を報告し、保証会社の手続きの期限を確認督促の書面・貸主への報告日
6か月経過入居から6か月遅れ0〜1回なら観測を終え、通常の管理に戻す。貸主に「6か月の支払い状況」を1行で報告報告日

3回目以降の督促の手順は、家賃滞納の初期督促SOPで「うっかり/2か月/保証会社の代位弁済まで」の段階を書いているので、本稿はそこに接続するだけにします。本稿で足しているのは、その前段の「最初の6か月を、遅れの回数で見る」という観測です。

「2回で解約」はできない

レポートは信用評価の話で、契約解除の話ではありません。ここは分けて書きます。民法541条は、債務の不履行があったときに相当の期間を定めて催告し、その期間内に履行がなければ解除できると定めたうえで、「その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない」と続けています。賃貸借では、判例上、賃貸人と賃借人の信頼関係が破壊されたといえる程度の不履行が要る、と扱われてきました。入居後6か月に2回、数日ずつ遅れて結局払っている、という事実は、この建て付けでは解除の理由になりません。6か月の観測は、解約の材料を集める作業ではなく、遅れが続く前に支払い方法を直す作業です。ここを取り違えると、入居者との関係も、貸主への説明も壊れます。

個人情報とやりとりの範囲

支払い履歴は個人情報です。管理会社が貸主・保証会社と共有するのは、その賃貸借契約と保証委託契約の履行に必要な範囲に限ります。具体的には、貸主には「遅れの有無と回数、対応した内容」、保証会社には契約で定めた報告事項です。別の物件の審査に、以前の物件での支払い履歴を持ち出すことは、本人の同意なしにはできません。レポートが目指す「支払い履歴が信用として蓄積される社会」は、信用情報機関を通じた仕組みの話であり、管理会社が手元の履歴を使い回すことではありません。

審査の側|属性で断らない根拠と、家賃保証で埋まらない不安

「入居後6か月で分かる」という前提に立つと、審査の側の考え方も変わります。属性で断る根拠が弱くなる一方で、通した後に観測する仕組みがあるなら、通せる範囲は広がります。9月8日の同じ紙面に、その材料になる記事がもう1本ありました。

ジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」改定(7月16日)

家賃債務保証大手のジェイリースは、2026年7月16日に「住宅確保要配慮者プラン」を改定し、保証の対象物件を広げました。これまでのセーフティネット登録住宅に加え、改正住宅セーフティネット法(2025年10月1日施行)で創設された居住サポート住宅と、登録されていない一般の民間賃貸住宅を対象に加えたものです(所定の利用条件あり)。同社は居住支援法人の指定を全国20都府県で受け(2026年2月時点)、2025年12月に国土交通大臣の認定家賃債務保証業者(認定第5号)になっています。要配慮者が「制度に登録された物件の中から選ぶ」のではなく、「住みたい住まいを起点に選べる」状態に近づける、という趣旨です。管理会社の側から見ると、登録住宅でない自社の管理物件でも、要配慮者向けの保証を付けられることを意味します。

認定家賃債務保証業者は12者(7月31日時点)

認定家賃債務保証業者は、改正住宅セーフティネット法で設けられた制度で、住宅確保要配慮者が利用しやすい家賃債務保証業者として、登録家賃債務保証業者等から一定の要件を満たす者を国土交通大臣が認定するものです(法第72〜80条、施行規則第31〜44条)。国交省の一覧では、令和8年7月31日時点で12者です。

認定番号事業者名本社所在地(都道府県)
第1号一般財団法人高齢者住宅財団東京都
第2号エルズサポート株式会社東京都
第3号レントエール株式会社大阪府
第4号一般財団法人東京公社住宅サービス東京都
第5号ジェイリース株式会社大分県
第6号株式会社USEN TRUST東京都
第7号ナップ賃貸保証株式会社東京都
第8号株式会社いえらぶパートナーズ東京都
第9号スリーエー株式会社兵庫県
第10号アーク株式会社岩手県
第11号あんしん保証株式会社東京都
第12号特定非営利活動法人eナビステーションりあん秋田県

12者のうち東京都が7者、大阪府・兵庫県・大分県・岩手県・秋田県が各1者です。自社の商圏で使える認定業者があるかは、この一覧と各社の対応地域で確かめます。認定制度そのものと、居住サポート住宅の活用は、改正住宅セーフティネット法と単身高齢者の入居受け入れ居住サポート住宅の活用4ステップで書いているので、本稿では一覧の更新にとどめます。

貸主の不安は「家賃」ではなく「死亡事故」

ジェイリースの発表文は、国交省の調査(改正法の説明資料・令和6年9月、入居制限を行っている団体 n=76)を引いて、大家等が高齢者の入居を制限する理由は「居室内での死亡事故等に対する不安」が約9割「家賃の支払いに対する不安」は1.3%だと書いています。同社自身が「家賃を保証するだけでは、入居を断られる状況は変わらない」と認めているのが、この数字の重さです。管理会社が貸主に要配慮者の受け入れを提案するとき、家賃保証の話を厚くしても不安の9割には届きません。見守りの運用と残置物の扱いを先に置き、家賃はレポートの「入居後6か月で見る」で補う、という順番になります。

審査の考え方の全体は入居審査の実務マニュアル、保証会社の審査が厳しくなっている側の事情は家賃保証会社の審査厳格化、保証会社をどう選ぶかは保証会社の選び方で書いています。本稿はそれらの前提に「審査の後に観測期間がある」という1枚を足すものです。

9月中にやること5つ

秋の繁忙期の前に、次の5つを済ませておくと、10月以降の新規契約から6か月の観測が回り始めます。

やること確かめる相手・資料
1自社の契約が収納代行型か立替型かを保証会社ごとに書き出し、遅れ1回目から管理会社に報告が来るかを確かめる保証会社との基本契約書・保証委託契約の約款
2申込書・契約時の案内を「口座振替が既定、振込は申し出制」に直す申込書の書式、口座振替の依頼書
3入居後6か月の記録欄(入金日・遅れの回数・対応・保証会社への共有日)を管理台帳に作る管理ソフトの項目、または台帳の列
41回目・2回目・3回目以降の対応を1枚に書き、契約時に入居者へ渡す文面にする初期督促SOPとの接続を確認
5商圏で使える認定家賃債務保証業者と、要配慮者向けプランの対象物件の条件を貸主提案の資料に入れる国交省の認定業者一覧(7月31日時点12者)、各社の商品案内

よくある質問

Q1. 「11.7倍」は、うちの入居者にもそのまま当てはまりますか?

当てはまるとは言えません。一社の約2,000人のデータで出た相対的な倍率で、絶対の滞納率も、地域や価格帯の内訳も公開資料にはありません。「入居後の行動は属性より多くを語る」という傾向を、運用を組み直す根拠として使うのが本稿の立場です。

Q2. 入居後6か月に2回遅れた入居者の契約を解除できますか?

できません。民法541条は催告と相当期間を求め、不履行が軽微なときは解除できないと定めています。賃貸借では判例上、信頼関係が破壊されたといえる程度の不履行が要ります。6か月の観測は、支払い方法を直すための仕組みで、解約の材料集めではありません。

Q3. 収納代行型の保証会社を使っていて、遅れの報告が来ません。どうすればよいですか?

保証会社との契約に、遅延の報告の有無・時期・手段が書かれているかを確かめます。書かれていなければ、初回の遅れから報告してもらうよう取り決めを追加します。取り決めができない場合、この型では管理会社は6か月の観測ができないので、貸主にその旨を説明しておきます。

Q4. 口座振替を「既定」にすると、振込を希望する入居者を断ることになりませんか?

断るのではなく、既定を口座振替にして振込は申し出制にする、という手続きの順番の話です。振込を選んだ人を不利に扱う趣旨ではなく、その人には理由を聞き、6か月の観測で見ればよい、という整理です。

Q5. 要配慮者向けの保証プランは、セーフティネット登録住宅でなくても使えるのですか?

ジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」は2026年7月16日の改定で、登録住宅に加えて居住サポート住宅と一般の民間賃貸住宅を対象にしました。ただし所定の利用条件があります。他社の商品は各社の案内で確かめてください。認定家賃債務保証業者は7月31日時点で12者です。

Q6. 以前の物件での支払い履歴を、別の物件の審査に使ってよいですか?

本人の同意なしには使えません。支払い履歴は個人情報で、取得したときの利用目的(その契約の履行)の範囲を超えます。レポートが描く「支払い履歴が信用として蓄積される仕組み」は、信用情報機関を通じた制度の話で、管理会社が手元の履歴を別の審査に使うことではありません。

ウルスタくんの位置づけ

本稿は公開されているレポートと制度の整理です。私たちがつくっている「ウルスタくん」は賃貸管理のクラウドで、反響取込・顧客管理・書類作成・電子サイン・BB流通を1つの流れにしたものです。入居後6か月の観測は、入金日と遅れの回数を契約ごとに残せる台帳があれば回ります。専用の機能を待つより、いま使っている台帳に列を足すことを勧めます。ウルスタくんでは契約ごとの書類と履歴を1か所に置けるので、6か月の記録欄をそこに置く使い方ができます。制度と数字の出典は次の章にまとめました。

出典(本文で参照している資料)

本稿の記述は、すべて2026年9月8日に実際に開いて読んだ次の資料にもとづきます。

本稿で使った内容資料
レポートの発表日(2026年6月30日)、監修者、CoBe-Techとのアドバイザリー契約(2025年11月)、3つの特性、「初期に2回以上の滞納」、属性より行動の予測精度、欧米の動向、代表・監修者のコメント、会社の説明PR TIMES リース株式会社「行動経済学の第一人者・大竹文雄氏監修の『家賃支払履歴と滞納率に関するレポート』を発表」(2026年6月30日)
約2,000人分のデータ、入居後6か月に2回以上の遅れで約11.7倍、年収・年齢・勤続年数がほとんど意味を持たなくなったこと、「1回はうっかり、2回は決定的なサイン」の記述リース株式会社 note「家賃の滞納を予測するカギはどこにある? ~行動経済学で読み解く『支払いのクセ』~」(2026年6月30日)
レポート本体の章立て(全6章+Appendix・16頁)、4.1「ロジスティック回帰モデルの係数と有意性の解釈」リース株式会社「行動経済学的観点からの家賃支払履歴 分析レポート」(PDF・PR TIMES 添付資料)
9月8日の報道(家賃支払い「入居6カ月」に着目、静的属性と行動特性の対比、米国の動き)全国賃貸住宅新聞「リース、滞納リスク分析レポート発表」(2026年9月8日)
9月8日の報道(要配慮者プランの対象拡大、居住支援法人協議会への加盟、認定業者、死後事務委任サービスの見直し。紙面は9月7日6面)全国賃貸住宅新聞「ジェイリース、要配慮者向け保証プラン改定 一般賃貸住宅も対象に」(2026年9月8日)
改定日(7月16日)、追加された対象(居住サポート住宅・一般の民間賃貸住宅)、所定の利用条件、居住支援法人の指定20都府県(2026年2月時点)、2025年12月の認定(第5号)、国交省調査の引用(n=76・死亡事故等の不安約9割・家賃の不安1.3%)、付帯サービスPR TIMES ジェイリース株式会社「『住宅確保要配慮者プラン』を改定し保証対象を拡大」(2026年7月16日)
認定事業者数12者(令和8年7月31日時点)、12者の名称・所在地・認定番号国土交通省 住宅局「認定家賃債務保証業者一覧」
認定制度の趣旨(要配慮者が利用しやすい業者を登録業者等から認定)、根拠条文(法第72〜80条・施行規則第31〜44条)、Q&A(令和8年6月19日時点)、申請先の地方整備局国土交通省 住宅局「認定家賃債務保証業者制度」
第541条(催告による解除)の条文e-Gov 法令検索「民法(明治29年法律第89号)」

本稿は、レポートの絶対的な滞納率・回帰係数の値・データの収集期間を書いていません(本文の文字が抽出できず、公開されている解説の範囲で書いたためです)。「12者のうち東京都が7者」は一覧の所在地を本稿で数えたものです。国交省調査の「約9割・1.3%」はジェイリースの発表文が引用している数字で、本稿は元資料そのものは開いていません。個別の入居者への対応は、契約書・保証委託契約・各社の約款で確かめてください。