国土交通省は2026年10月16日、既存のオフィスビルなど住宅以外の建築物の省エネ改修を補助する「既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)」の令和8年度第2回の提案募集を始めました。応募と事業登録の期間は11月27日(金)までで、補助率は工事費の3分の1、限度額は1件5,000万円です。発表は国土交通省の報道発表で確かめられます。
賃貸のオフィスビルや店舗ビルを管理している会社にとっては、オーナーに修繕や設備更新を提案するときの材料になります。この記事では、発表と募集要領に書かれている内容だけを整理し、管理会社が締切までに何を確かめればよいかをまとめます。住宅(賃貸マンション・アパート)はこの事業の対象ではありません。
発表の中身
国土交通省の発表によると、この事業は、民間事業者等が行う既存建築物の省エネ改修等に対して、国が費用の一部を支援するものです。募集要領では、建築物ストックの省エネ改修を進め、既存建築物の省エネ化と関連する投資を活発にすることを目的に挙げています。採択プロジェクトは2027年1月頃に公表される予定です。
国土交通省は同じ10月16日、6月19日から7月31日までの公募(応募17件)から15件を採択したことも別の発表で公表しています。今回の募集は、令和8年度の2回目の募集です。
対象は「既存のオフィスビル等の住宅以外の建築物」です。工場・実験施設・倉庫など生産用の設備がある建築物は対象外です。住宅と店舗・事務所が一つの建物に入っている複合用途の建物や、テナントビルの扱いは募集要領に書かれていないため、該当する場合は評価事務局に確かめる必要があります。
日程・対象・補助額の一覧
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表 | 2026年10月16日 国土交通省 住宅局 |
| 事業名 | 令和8年度(第2回)既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型) |
| 対象の建物 | 既存のオフィスビル等の住宅以外の建築物(工場・実験施設・倉庫等の生産用設備を有する建築物は対象外) |
| 応募・事業登録の期間 | 2026年10月16日(金)から11月27日(金)まで(消印有効) |
| 採択の公表 | 2027年1月頃の予定 |
| 工事契約 | 原則として採択日以降に締結し、その年度中に着手する。採択時点で着手・契約済みのものは対象外 |
| 補助率 | 補助対象工事費の3分の1以内 |
| 補助限度額 | 1件5,000万円(うち設備部分2,500万円)。バリアフリー改修を行う場合は2,500万円を上限に加算 |
| 事業費の下限 | 省エネ改修とバリアフリー改修の事業費の合計が500万円以上 |
補助を受けるための主な要件
募集要領では、次の要件をすべて満たすことを求めています。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 躯体の改修 | 壁・天井など躯体(外皮)の省エネ改修を伴うこと(高機能換気設備を設置する場合は躯体または外皮の改修を伴うこと) |
| 省エネ効果 | 建物全体のエネルギー消費量が改修前より20%以上減る見込みであること(躯体改修の面積割合が20%を超える場合は15%以上) |
| 改修後の性能 | 改修後に既存建築物の一次エネルギー消費量の基準を満たすこと |
| 性能の表示 | 改修後の省エネ性能を表示すること(BELSによる評価結果またはこれと同等のもの) |
| 計測と管理 | エネルギー使用量を計測し、継続的に管理すること |
| 耐震性 | 改修後に耐震性を有すること |
| 事例集への協力 | 事例集などへの情報提供に協力すること |
| 2,000㎡以上の建物 | ライフサイクルカーボン(LCCO2)評価を行い、結果を国に報告すること |
改修後は第三者の評価を受け、評価結果が所定の性能を満たさない場合は補助金が交付されません。完了実績報告書には省エネ性能ラベルの写しを付けます。
誰が応募するのか
提案者は、省エネ改修工事を行う建築主等(民間事業者等)です。建築主と一体となって改修を行うESCO事業者、リース事業者、エネルギーサービス事業者なども提案者になれ、グループでの提案もできます。補助を受ける者は原則として提案者と同じです。同じ建物について応募できるのは1件だけで、複数の応募があった場合はすべて無効になります。
応募の前に、事業のホームページで事業登録をします。登録だけでは正式な応募にならず、登録後にメールで届く応募番号を付けて、提案書類(正副3部と電子ファイル)を提出します。
補助の対象になる費用・ならない費用
対象は、省エネ改修の工事費・設備費と、エネルギー使用量を計測する機器の設置費・機器費です。あわせて行うバリアフリー改修の工事費も、省エネの補助額を上限に加算できます。
一方、後付けの家電、専用形の非常灯、屋外照明、遮熱シート、太陽光発電設備、蓄電池などは対象外と募集要領に書かれています。消費税と地方消費税も対象外です。日射調整フィルムは費用の半分を対象とし、その3分の1を補助します。
ほかの補助金の対象になっている事業は、この事業の対象外です。ただし、補助の対象部分をはっきり分けられる場合は、ほかの補助事業の対象部分を除いて申請できます。
賃貸管理の実務で何をするか
- 管理している非住宅の建物を洗い出す。オフィスビル・店舗ビルなどのうち、近く外壁・窓・屋根の改修や空調・照明の更新を予定している建物を一覧にします。住宅は対象外です。
- 耐震性を確かめる。改修後に耐震性を有することが要件です。建築時期や耐震診断の結果を、オーナーの手元の資料で確かめます。
- 工事の契約時期をオーナーと合わせる。原則として採択日以降に契約し、採択時点で契約・着手済みの工事は対象外です。採択は2027年1月頃の予定なので、すでに発注を決めている工事は対象になりません。
- 事業費と省エネ効果の見込みを施工会社・設計者に出してもらう。事業費の合計500万円以上、省エネ効果20%以上(躯体改修の割合が20%を超える場合は15%以上)、改修後の一次エネルギー消費量の基準の3点を、応募前に数字で確かめます。
- 11月27日の締切から逆算する。事業登録、応募番号の受け取り、提案書類の作成と提出の順に進みます。複合用途やテナントビルで対象になるかが分からない場合は、早めに評価事務局へ問い合わせます。
よくある質問
Q1. 賃貸マンションやアパートの省エネ改修にも使えますか。
使えません。対象は既存のオフィスビル等の住宅以外の建築物です。
Q2. 応募の締切はいつですか。
2026年11月27日(金)です(消印有効)。応募の前に、事業のホームページでの事業登録が必要です。
Q3. すでに契約した改修工事は対象になりますか。
なりません。原則として補助対象の工事を含む契約は採択日以降に結び、その年度中に着手する必要があります。採択時点で着手または契約済みのものは対象外です。
Q4. 補助はいくら受けられますか。
補助対象工事費の3分の1以内で、1件あたり5,000万円(うち設備部分は2,500万円)が上限です。バリアフリー改修を行う場合は、2,500万円を上限に加算できます。
Q5. 太陽光発電設備や蓄電池は対象ですか。
対象外です。後付けの家電、専用形の非常灯、屋外照明、遮熱シートも対象外とされています。
出典
- 国土交通省 報道発表「『建築物の省エネ改修工事』の提案募集を開始します!」(2026年10月16日)
- 国土交通省 報道発表「『建築物の省エネ改修工事』の採択プロジェクトを決定しました!」(2026年10月16日)
- 国土交通省 報道発表資料(PDF)
- 国土交通省 別紙 事業概要(PDF)
- 既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)評価事務局 ホームページ
- 令和8年度(第2回)既存建築物省エネ化推進事業(LCCO2評価実施型)募集要領(PDF)
この記事は 2026-10-17 時点の情報です。
