賃貸管理 読了 9分

【2026年10月】居住支援モデル事業に25件採択|賃貸管理で見るべき点

国交省が10月2日、居住支援法人・家賃債務保証業者・賃貸人などが連携するモデル事業で46件中25件を採択。上限300万円、期間は2027年2月12日まで。見守り・残置物対応など管理会社に関わる中身を整理。

馬場生悦
宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
目次

国土交通省は2026年10月2日、「みんなが安心して住まいを提供できる環境整備モデル事業《多主体連携型》」で、応募46件のうち25件を採択したと発表しました。居住支援法人、家賃債務保証業者、保険業者、賃貸人などが連携し、見守りなどを行う住宅(居住サポート住宅など)を供給して、貸す側の不安を減らす取組を国が支援するものです。本稿は、発表と応募要領に書かれている中身、日程、そして賃貸管理の現場で今できることを整理します。

結論

  • 2026年10月2日、国土交通省住宅局が採択結果を公表しました。令和8年度の《多主体連携型》は、応募46件のうち25件の採択です。学識経験者による評価委員会の評価を踏まえて決めたとしています。
  • 狙いは「貸す側の不安を減らすこと」です。住宅確保要配慮者(低額所得者、被災者、高齢者、障害者、子育て世帯等)の入居を円滑にするため、複数の事業者が役割を分けて連携する取組が対象です。
  • 補助の上限は1件300万円で、補助対象期間は交付決定日から2027年2月12日までです(応募要領)。建設・改修の費用や、入居者が負担すべき家賃債務保証料・家賃は対象外です。
  • 管理会社に新しい義務ができる話ではありません。ただ、採択された取組の多くは、家賃債務保証、ICTによる見守り、残置物への対応、死後事務など、高齢の入居者を受け入れる時に管理会社が実際に向き合う項目を組み合わせたものです。成果は報告書としてまとめられ、国が事例として公開・横展開する予定です。

発表の中身

国土交通省の報道発表(2026年10月2日)に書かれていることは次のとおりです。

  • 対象は、住宅確保要配慮者の居住の安定確保に向け、賃貸人等の不安感の軽減に資するモデル的な取組を行う居住支援法人等です。
  • 居住支援法人、家賃債務保証業者、保険業者、賃貸人等が連携して実施する、見守りなどを行う住宅(居住サポート住宅など)を供給する先導的な取組を支援します。
  • 公募期間は2026年6月15日から7月13日まで。応募は46件で、25件を採択しました。
  • 採択事業の一覧は別紙1(採択事業一覧)に、代表提案者と事業概要が載っています。

居住サポート住宅は、改正住宅セーフティネット法にもとづく認定制度(法律上の名称は「居住安定援助賃貸住宅」)で、2025年10月1日に認定が始まりました。制度の中身は当サイトの住宅セーフティネット法改正と居住サポート住宅の解説で整理しています。

事業の枠組み(応募要領から)

令和8年度の応募要領(多主体連携型)と募集開始の発表(2026年6月15日)から、数字と条件を抜き出しました。

項目内容メモ
事業の型《多主体連携型》と《サブリース型》の2つ今回の採択発表は多主体連携型。サブリース型は居住サポート住宅の認定が前提
応募できる者代表提案者1者と共同提案者による、複数の事業者の提案地方公共団体は代表提案者になれない
必須の条件複数の事業者が役割を分けて連携し、要配慮者の入居を円滑にする取組であること。成果を報告・公開すること同じ内容を各社が行うだけの取組は対象外
補助の対象になる事業検討事業・試行事業・普及広報事業普及広報事業だけの実施は不可
対象になる住宅一般の賃貸住宅、セーフティネット住宅、居住サポート住宅、公営住宅等サービス付き高齢者向け住宅、有料老人ホーム、グループホーム等の他制度の事業は対象外
補助の上限300万円(消費税等は対象外)同じモデル事業への継続応募は3年間まで
対象外の経費建設・改修・不動産取得の費用、家賃債務保証料や家賃など入居者本人が負担すべき経費 など物件の改修は別の補助制度の話
補助対象期間交付決定日から2027年2月12日(金)まで完了実績報告書・成果報告書は2027年2月19日(金)必着

応募要領は、成果報告書に「事業概要、費用負担、成果、今後の課題」を含め、他の事業者が参考にできる具体的な記載をするよう求めています。居住サポート住宅として取り組む場合は、収支計画、居住サポートの体制・価格、契約内容なども含めるとしています。

採択された取組に並ぶ要素

採択事業一覧の事業概要には、次のような要素を組み合わせた取組が並んでいます。個々の事業の評価は本稿ではしません。

  • 家賃債務保証と見守りの組み合わせ
  • ICT(センサー等)を使った見守り
  • 残置物への対応、死後事務、原状回復までの一体的な対応
  • 緊急連絡先の引受け、身元保証に近い役割
  • 公営住宅の空室や空き家の活用
  • 大家向けの勉強会や、管理会社が導入しやすい仕組みづくり

どれも、単身の高齢者などの入居を断る理由としてよく挙がる「亡くなった後の部屋と荷物」「家賃」「異変に気づけるか」に向けたものです。

賃貸管理の実務で今できること

  1. 地域の居住支援法人を把握しておく。管理エリアの都道府県が指定している居住支援法人と、その支援内容(見守り、緊急連絡先、死後事務など)を一覧にしておくと、オーナーから高齢者の入居について相談された時に、断る以外の選択肢を示せます。
  2. オーナーの不安を「項目」に分けて聞く。家賃、残置物、異変の発見、原状回復のどれが不安なのかを分けると、家賃債務保証、残置物の取扱いの契約、見守りサービスのどれで手当てするかを話し合えます。
  3. 採択された取組の地域と内容を確認する。採択事業一覧で、自社の管理エリアに関係する取組があるかを確かめます。試行事業に物件や管理会社として関われるかは、各代表提案者への問い合わせになります。
  4. 成果報告の公開を待って、使える型を拾う。補助対象期間は2027年2月12日まで、報告書の提出期限は2月19日です。国が事例集などで公開した段階で、契約の特約や役割分担の型を自社の手順に取り込めるかを検討します。
  5. 居住サポート住宅の認定を検討するオーナーには、制度の窓口を案内する。認定の窓口は物件の所在地の自治体で、賃貸人と居住支援法人などが連携して取り組む仕組みです。モデル事業の事務局であるみんな安心住まいサポートセンターのサイトにも、事業のお知らせが載っています。

まだ決まっていないこと

  • 各採択事業の具体的な実施地域・規模・期間(採択事業一覧には事業概要のみが書かれています)
  • 成果報告や事例集がいつ、どの形で公開されるか
  • 令和9年度に同じモデル事業の募集があるかどうか

よくある質問

Q1. 管理会社もこの補助に応募できますか。

応募要領では、複数の事業者による提案(代表提案者と共同提案者)が条件で、賃貸人等も連携主体の一つとされています。管理会社の位置づけは要領に明記されていません。令和8年度の公募は2026年7月13日で締め切られています。

Q2. 物件の改修費に使えますか。

使えません。応募要領は、建設・改修・不動産取得の経費を補助対象外としています。セーフティネット住宅の改修には別の補助制度があります(セーフティネット住宅の改修補助の解説)。

Q3. 入居者の家賃債務保証料をこの補助で払えますか。

払えません。家賃債務保証料や家賃など、入居者本人が負担すべき経費は補助対象外です。

Q4. 居住サポート住宅でないと対象になりませんか。

多主体連携型では、一般の賃貸住宅、セーフティネット住宅、居住サポート住宅、公営住宅等が対象に含まれます。サブリース型は居住サポート住宅の認定が前提です。

Q5. 採択された事業の中身はどこで見られますか。

国土交通省の報道発表のページに、別紙1(採択事業一覧)と別紙2が掲載されています。

出典(本文で参照している資料)

この記事は 2026-10-13 時点の情報です。

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