賃貸管理・仲介の現場で判断に迷う場面を、法改正の期限、実務の手順、書式の作り方から整理しています。

借地借家法32条2項の「年1割」は、家賃の増額が裁判で確定したとき、それまで借主が払っていた額との不足分に付く年10%の利息です。東京都が2026年9月に貸主向けに示した賃料見直しのルールとあわせて整理します。

公益財団法人不動産流通推進センターと東日本レインズが2026年9月10日に公表した8月の成約データで、全国の既存マンションの成約㎡単価は62.56万円(前年同月比-3.46%)と75か月ぶりにマイナスになりました。首都圏は成約件数3,180件(-10.5%)で5か月連続の前年割れ、在庫は48,235件(+8.2%)で6か月連続の増加です。ただしエリア別に見ると、㎡単価が前年より下がったのは東京都区部(-0.3%)と横浜・川崎市(-0.5%)だけで、多摩は+9.1%、千葉は+5.1%、埼玉・神奈川は+2.0%。区部の成約件数が-20.6%と大きく減り、単価の高い区部が首都圏に占める割合が44.8%から39.8%に落ちたことで、平均が-3.8%になっています。もう一つの数字は、成約㎡単価81.60万円に対して在庫㎡単価119.36万円(1.46倍)という売り出しと成約の乖離です。宅建業法第34条の2第2項は、価額について意見を述べるときは根拠を明らかにすることを求めています。媒介の現場で売主に見せる3つの単価と、毎月10日にやることを整理しました。

旭化成ホームズ マンション建替え研究所は2026年9月7日のメディア懇談会で、4月の改正区分所有法施行後に同社が携わる建替え決議が13件、過去10年平均の約4倍になったと報告しました(R.E.port 9月8日報道)。決議済み5件のうち1件は賛成77.0%で、旧法の5分の4では成立しなかった数字です。築40年以上のマンションは2025年末で158.8万戸、10年後には313.1万戸(国土交通省)。決議が身近になるということは、管理・仲介している区分所有の1室で「建替え決議が出た」と連絡が来る日が来るということです。本稿は、そのとき賃貸借がどうなるかを条文で整理します。第64条の2は、賃貸中の専有部分について、決議に賛成した区分所有者等が賃借人に賃貸借の終了を請求でき、請求から6か月の経過で終了する、区分所有者は通常生ずる損失の補償金を払う、賃借人は補償金の提供を受けるまで明渡しを拒める、と定めています。反対したオーナーには第63条の売渡し請求が来ます。入居者・オーナー・自社が押さえる日付を時系列で並べました。

帝国データバンクが2026年9月8日に公表した「不動産代理・仲介業の倒産動向(2026年1-8月)」は、倒産86件、通年では約130件の見込みで、過去最多だった2025年の133件に迫るペースです。負債総額は約79億8,300万円と前年同期の1.66倍に増えましたが、件数の69.8%は負債5,000万円未満、関東が44.2%、近畿が27.9%です。同じ調査が引く国土交通省の数字では、宅建業者は132,291業者で11年連続の増加。増え続ける業者の中で、小さい会社が静かに消えている。帝国データバンクはこれを「DX投資の格差」と読みました。本稿は、この数字を中小の仲介・管理会社の側から読み直し、毎月見ておく3つの数字と、取引先が倒れたときに預り金がどうなるか(営業保証金の還付は宅建業者どうしの取引には効かない、管理業者の分別管理)を整理します。

家賃債務保証のSaaSを手がけるリース株式会社が、行動経済学の大竹文雄氏(大阪大学特任教授)の監修で出した「家賃支払履歴と滞納率に関するレポート」が、2026年9月8日の全国賃貸住宅新聞で取り上げられました。約2,000人分の実際の支払いデータで、入居後6か月のあいだに2回以上家賃の支払いが遅れた人は、その後に滞納する確率が約11.7倍。この行動データを分析に入れると、年収・年齢・勤続年数は将来の滞納を予測するうえでほとんど意味を持たなくなったといいます。同じ日の紙面にはジェイリースの「住宅確保要配慮者プラン」が一般の民間賃貸も対象になった記事が載り、国交省の認定家賃債務保証業者は7月31日時点で12者です。審査で決めるのではなく入居後6か月で分かる、という前提に立って、管理会社が組み直す入居後フォローと、属性で断らない審査の考え方を整理しました。

2026年8月13日から14日にかけての令和8年8月千葉豪雨で、千葉県は21市4町に災害救助法を適用しました。内閣府の8月31日時点の集計では千葉県の住家被害は4,866棟で、うち床上浸水が1,996棟です。県と千葉市は民間賃貸住宅を借り上げて被災者に提供する「賃貸型応急住宅」と、市町が業者に直接支払う「住宅の応急修理」を動かしています。賃貸管理会社は、被災した入居者の側と、空室を出す貸主の側の両方でこの制度に関わります。家賃上限・県が負担する費目・貸主の同意書・切替契約・退去修繕負担金、借家では応急修理が原則対象外であること、民法の賃料減額の条文を整理し、9月中にやることを5つにまとめました。

総務省統計局が2026年5月29日に公表した令和7年国勢調査の人口速報集計では、日本の人口は1億2,305万人で5年間に309万7千人(2.5%)減りました。一方、世帯数は5,712万5千世帯で129万4千世帯(2.3%)増え、1世帯当たり人員は2.15人になりました。賃貸住宅の需要は人口ではなく世帯の数で決まります。本稿は47都道府県の人口増減率と世帯増減率を1つの表に並べ、人口が減っても世帯が増えた30県と、世帯も減った15道県を読み分けます。9月29日14時に確定値(人口等基本集計)が出る前に、自社商圏の市区町村の数字をe-Statで控えておく手順も書きました。

毎年9月と3月は「価格交渉促進月間」です。2026年8月27日付の経済産業大臣の周知文が日管協を通じて管理会社にも届き、9月下旬からは受注側中小企業30万社へのフォローアップ調査が始まります。6月に公表された前回調査では、発注者としての「不動産業・物品賃貸業」は転嫁率52.9%で19位、受注者としては41.0%で28位、前回から8.0ポイント下がりました。賃貸管理会社は清掃・点検・工事を発注する側であり、オーナーや元請けから受託する側でもあります。2026年1月1日に施行された中小受託取引適正化法(取適法)の対象になるかを資本金と従業員数で確かめる手順、労務費指針の12の行動、9月中にやること5つを書きました。

国土交通省が8月28日に公表した令和9年度予算概算要求。住宅局は4,187億円で前年度の2.43倍、行政経費は7.87倍です。みらいエコ住宅2027事業(新規2,000億円)、空き家のサブリース事業に融資する住宅金融支援機構の新制度、管理会社と居住支援法人が組む居住サポート住宅のモデル事業、賃貸住宅管理業者の「評価制度」創設のための技術的設計。中小の賃貸管理会社に関わる7項目を要求額・補助率つきで拾い、概算要求を「決まったこと」と読み違えないための見方を書きました。

付帯設備表と物件状況確認書は、契約書の後ろに付く添付書類として扱われがちです。ですがこの2枚が決めているのは「壊れたときに誰が払うか」です。売買は民法562条、賃貸は611条1項。日管協のガイドラインは2024年10月に改定されました。書き分けの実務を整理します。

入居申込書には法定の様式がないため、申込金の返し方、個人情報の利用目的と提供先、外国人の在留カードの欄は各社が法令に合わせて整える必要があります。宅建業法、個人情報保護法、出入国在留管理庁と国土交通省の資料をもとに、見直す欄と確認表をまとめます。

令和8年度の地域別最低賃金は、47都道府県の答申が9月3日に出そろいました。全国加重平均1,177円、引上げ額は54円から65円、最高は東京1,280円、最低は宮崎1,085円。発効日は10月1日が15都道府県、残りは10月2日から12月2日にかけて順次です。業務改善助成金の申請期限は「発効日の前日」なので、10月1日発効の県は9月30日が締切。一覧表と換算式、9月中にやることを書きました。