賃貸管理・仲介の現場で判断に迷う場面を、法改正の期限、実務の手順、書式の作り方から整理しています。

2026年8月7日、国土交通省の有識者会議が提言を公表しました。見出しになりやすいのは届出対象面積の引き下げですが、実務への影響が大きいのはそこではありません。提言は、利用目的を変えたときの再届出を求めるべきだと書き、相続や無償譲渡も届出対象に加えることが考えられると書き、国外に住む取得者には国内連絡先や国内に居住する管理者・保証人の登録を求める方策を検討すべきだと書きました。さらに、これまで取引段階だけだった指導監督を利用段階にも広げ、被害が生じるおそれがある場合には利用行為の差し止めや変更の命令、緊急的な行政代執行まで可能とすることも考えられるとしています。届出は一回で終わる手続きではなくなる、というのが本稿の読みです。

国土交通省は2026年、重要事項説明に関する業務でデジタルやAIの補助ツールを使うことについて、基本的な考え方と具体例を整理して業界団体に周知しました。根拠は規制改革実施計画(令和7年6月13日閣議決定)で、そこには宅建業者が補助ツールの利用に「躊躇」しないようにという表現が入っています。ところが同じ周知に添えられた一覧を数えると、掲載44件のうちAI系の技術が書かれているのは3件だけで、契約関連書類の作成の欄に書かれているのはAPI連携です。生成AIについては3箇所すべてに「検証が必要」という留保がついています。その検証が、令和8年7月頃から9月末までの実証事業です。本稿の日付から実証終了まで42日。中小の会社が今できるのは、採択を待つことではなく、同じ測り方を自社でしておくことです。

国土交通省が2026年6月5日に公表した令和7年度の全国立入検査結果は、168社を検査して118社に是正指導、是正指導率70.2%でした。条項別の指摘を前年度と並べると、11条項のうち増えたのは法13条と法14条の2つだけで、他は軒並み減っています。増えた2条項はいずれも契約書面で、指摘の例示には「登録年月日及び登録番号」が並びます。そして2026年は賃貸住宅管理業の登録が初めて一斉に更新期を迎えた年で、更新すると登録番号の括弧の中の数字が変わります。更新申請の完了と、書面の差し替えの完了は、別の作業です。

令和8年度の賃貸不動産経営管理士試験は、受験申込が2026年9月30日で締め切られます。その翌日の10月1日から、有効期限が令和9年3月31日の有資格者の更新受付が始まります。増やす扉が閉じる日と、減らさない扉が開く日が、48時間の距離で並んでいるのが今年の8月です。業務管理者は事務所ごとに1名以上で、他の事務所と兼任できません。つまりこの頭数が、来期に開ける事務所の数の上限になります。公表された試験統計と更新要領から、管理会社が今月決めるべきことを整理します。

外国人技能実習機構が、育成就労計画認定の施行日前申請を2026年9月1日から受け付けます。この計画には「適切な宿泊施設の確保」が認定要件として入っており、申請時点で契約により部屋が押さえられていることが原則です。つまり8月は、受入企業が部屋を探す月になります。寝室の面積、収納、採光、避難階段——認定要件を賃貸の内見チェックに翻訳し、戸単位の分散と一棟集約で適用される法律が変わる境目まで整理します。

大規模修繕のためにオーナーが自分の口座へ積み立てても、その年の経費にはなりません。一方、区分所有マンションの修繕積立金には、4つの要件を満たせば支払時に経費算入できる道があります。この非対称から生まれたのが賃貸住宅修繕共済で、6月末に累計2,000棟を超えました。ただし掛け捨てで、返戻金はありません。公表値だけを使って、制度の輪郭と限界を測ります。

賃料の上昇が続き、法人契約や店舗・事務所の案件を扱う機会が増えています。ところが事業用の賃貸借には、居住用にはない保証のルールがあります。民法465条の10——事業のために負担する債務の保証を個人に委託するとき、借主は自分の財産と収支の状況を保証人に伝えなければならない。伝えなかったことを貸主が知り、または知ることができたときは、保証人は保証契約そのものを取り消せます。契約書の様式ではなく、契約前の会話に穴があるという話です。

賃貸の仲介手数料は「1か月分が上限」と覚えられがちですが、告示の条文はそうは書いていません。居住用建物の貸借の媒介で依頼者の一方から受け取れるのは、承諾を得ている場合を除き借賃の1月分の0.55倍まで。しかもその承諾は「媒介の依頼を受けるに当たって」取る必要があり、契約日に交わした承諾書では遅いと判断された裁判例があります。半額を常設サービスとして打ち出す会社が現れた2026年に、1か月分を受け取る手続きそのものを点検します。

政令ひとつで、5つの期日が動きました。宅地建物取引業の免許、賃貸住宅管理業者の登録、宅地建物取引士証。令和8年7月28日以後に満了するものは、令和9年1月27日まで延びています。ただし全社が対象ではありません。告示に書かれた「対象者」の一文が、そのまま線引きになっています。被災地の会社が何を確認し、被災地の外の会社が何を点検しておくべきかを整理します。

届出面積が下がる、という一行の提言です。ですが根拠になった全国調査を開くと、不適切な土地利用として報告された事案のうち、面積が判明した1,023件の約半分が2,000㎡未満でした。現行のいちばん厳しい閾値でも網にかからない。そして取得前に気づけていたのは1.3%だけです。仲介の段取りが、どこで一段増えるのかを整理します。

空き家の補助事業の採択結果が出ました。応募117件、採択36件。注目したいのは通った36件ではなく、落ちた81件のほうです。評価委員会は「なぜ評価が低かったか」を8つの型で書き残しています。それは補助金の書類の話ではなく、空き家事業そのものの設計の話でした。

入居者に「何が不満ですか」と正面から聞いた統計が出ました。賃貸だけ、住んでから不満が増える項目が3つあります。浴室、台所、そして断熱です。内見のときには飲み込めたはずのものが、なぜ住んだあとに効いてくるのか。募集図面と原状回復の順番を組み替える話として読みます。